世界はクマちゃんの肉球を中心に回っている 《ヨチヨチ猫手Craft事変》――最強保護者のもこもこ至上計画――

ฅ•ω•ฅ 猫野コロ

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第367話 菓子はみんなのために。黒髪の王。考えるマスター。仲良しな一人と一匹。

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 現在クマちゃんとリオちゃんは、道をつくっている。



 ――ポヒー――。

 聞き覚えのある笛の音。仕事へ向かおうと『クマちゃんリオちゃんパーク』の園内を歩いていた男達は音の方向を見た。

 そこには予想通り、『黒髪のリオちゃん王』が。
 相変わらずサングラスをかけている。楽しそうな恰好をしているわりに、ご機嫌というわけでもない。数時間前に会った時よりはマシになったようだが、少々疲れているように見えた。

 もこもこの保護者達に用があるのか。
 マスターが口を開きかける。
 と同時に、男は笛を腰に戻し、拳銃のような形にした指先でピ、とどこかを指した。

 そうしてそのままふらりと、どこかへ歩いて行った。

「少し遅れる――」

 クライヴがマスターに言い残し、止める間もなく男を追いかけてゆく。

 さきほどのことを気に病んでいるのだろう。『赤子のお願いを断った』というよりも『心臓への負荷のせいで意識が朦朧とし、答えられなかった』に近いと思うが。

「…………」

 マスターはもこもこの言葉を思い出していた。
 菓子の国を作ると、黒髪の男の仕事が減るというそれを。

『みんなちゃ、いっぱいちゃ、幸せちゃ、癒しちゃ、たまるちゃ……』

 それから、幼いもこもこはいつも人々の幸せばかりを考えているということ。
 きっと、菓子の国づくりもそういったものなのだろう。

 人間のために力を尽くしてくれる幼子。
 ――本音をいうと、仕事は誰かに任せ、健気なもこもこを抱えて菓子を集めていたい。

 酒場の人間にも、手があいている者は菓子集めをしろと伝えておくか。

 マスターは真剣な表情で、「菓子を集められそうな人間がいたら声をかけておけ。深夜でも構わん。白いのには休息が必要だ」と鬱陶しい男に伝えた。



 マスターの言葉に感動した男が『世界を平和にするため菓子を集めよ』と書いた張り紙を、酒場のあちこちにばら撒いていたころ。


「クマちゃんこの道高いねぇ。……五メートルでお菓子の家くらいするねぇ」

「クマちゃ……」

 リオとクマちゃんは『メインストリート』をつくっていた。

 現在のもこもこは、『マーメイド妖精クマちゃん』と同じ美しい格好をしている。
 高位で高貴なお兄さんが『これを――』と言って闇色の球体で渡してきた服だ。

『お兄さんめっちゃクマちゃんの服つくらせてるじゃん……』という言葉は、リオの心の扉にそっと仕舞われた。


「でも海底ならやっぱ青系でしょ。この水色の道でいいよね」

 彼が選んだのは涼し気な『クマちゃんラムネちゃん』が使われたうろこ状タイル、クマちゃん宝石キャンディ入りだ。光に当たると小さな宝石がきらきらと光り、とても美しい。
 未入手の高級素材を、作ったばかりの取引所で――クマちゃーん――と購入する。

「クマちゃ……」

「あ、こっちも? 混ぜちゃう感じ? いいねぇ」

 一軒しかない家の前に、お高い道がまっすぐ、――クマちゃーん――と敷かれてゆく。
 ところどころに、『美しいクマちゃんのレリーフ』が彫られた超高級な道も混ぜられる。
     
「クマちゃ、クマちゃ……」

「噴水かぁ。まぁ当然いるよね。……ヤバイヤバイ。めっちゃ高い。これ一個でソーダのやつくらいするし」

 といいつつ、リオの手は肉球ボタンをぽち……と押していた。
 
 ――クマちゃーん――。
 ――お買い上げちゃーん――。

 クマちゃんのお手々が示すものはとてもお洒落で高級感がある。
 つまりお高い。だが抗えない。

「クマちゃんあっちの樹邪魔じゃね?」

「クマちゃ……」

 ピヨピヨピヨ……。ピヨピヨピヨ……。

 愛らしいもこもこがアヒルさんの笛を鳴らす。
『整地ちゃん』が終わるのを仲良く待つ。
 
「クマちゃん可愛いねー」「クマちゃ」


 仲良しな一人と一匹は、あいた空間にひたすらまっすぐ、メインストリートを敷いていった。五メートルで菓子の家一軒分のそれらを。

「クマちゃんこれどこまで敷くかんじ? どっかで曲げたほうがよくね?」

「クマちゃ……」


 そうしている間に、菓子を届けにアルバイトがやってくる。

「リオさーん! 足りないお菓子ってどれですかー」

 と言いながら。腹にポケットが付いた服にたくさんの妖精クマちゃんを入れて。

「……じゃあクマちゃんキャンディとクマちゃんはちみつ」

 リオは『なにその変な服』が口から出てくる前に、サッと目を逸らした。
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