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一話
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「名前はユウカ、友達はユーカって呼んでる」
ボーイッシュな少女は、ハジメの質問に悪びれずに答えた。
ついておいでと言われたわけでもないのに、少女はヒカルに渡されたコンビニ袋をしっかりと小脇に抱え、彼と並んで歩いている。
「家って、こっちの方なの……?」
そんなユウカの真意を計りかねて、ハジメが前を示した。
「まだ、家まで教えられないよォ、ねっ?」
ユウカは2人に一歩遅れてついてくるロングヘアの友達を振り返った。
「えっ、うん……」
突然話しかけられたもう1人の少女が、驚いたように小声で答えた。
「この子、アオイ。私たち親友なんだ」
勝手に名前を言われて、アオイのほうは戸惑ったようにコクンと頭を下げた。
「ねェ、アオイ。この人、あそこになら一緒に行ってもいいよね……?」
「う、うん……。ユーカがよければ」
ユウカは親友と言ったが、アオイという少女はユウカに振り回されているようにハジメには思えた。
ひょっとすると、アオイの方はハジメの出現も、そしてユウカがハジメと親しくしていることもあまり歓迎していないのかも知れない。
2人の少女が案内したのは、大きなマンションの屋上だった。
「ここの鍵、私が持ってるんだ。何号室かは教えられないけど、ここのどこかに住んでるから」
かなり広い屋上は、がっしりとしたスチール製の物置が整然と並んでいる。おそらく、各部屋にひとつ割当てられているのだろう。
ユウカはその中のひとつの扉を開けた。
「ここ、ウチの物置なんだけど、あんまり入ってないしィ」
内部は多少薄暗いとはいえ照明もあり、これで窓があれば部屋として使えないこともないような3畳ほどのスペースだった。
「いつも、アオイと2人で、ここを隠れ家にしてるんだよ、ねぇー」
「ウン……」
扉を閉め切ると、ユウカは幾分押し殺した声でそう言うと、イタズラっぽく笑った。
「今日、買ってもらった本も、ここに隠しとけばだいじょうぶだと思う!」
彼女は床に座り込むと、コンビニの袋をバサバサとひっくり返して中から2冊の雑誌を引き出した。
どちらも、とても小学生の少女が手を出せないようなアダルト系の写真誌だ。
取りも直さず、これが2人の少女とハジメの関係の発端となった雑誌だった。
ことの起こりは、数日前にさかのぼる。
ハジメの大学の友人の男が、何気なくした話が、彼の心の隅に引っ掛かり続けていたのだ。
その話とは、友人がよく立ち寄るコンビニでエロ本を立ち読みしていると、いつの間にか両脇に小学生の二人組の少女達が立っており、手には当たり障りのない子供向けのコミック誌を持っているものの、その目は間違いなく、彼の読んでいる雑誌の中身に注がれていたと言うのだ。
「中学生がナイフを振り回してる時代だから、小学生がマセるのも仕方ねぇのかな。なんかこっちが恥ずかしくなって、半分も目を通さないうちに店から出て来ちゃったよ」
芸能人の好みなどをみても、ハジメとは正反対で熟女好きな友人としては、ただのマセガキとしか映らないだろう。しかし、少女趣味のハジメにしてみれば、自分がその場に立てなかったことが悔しく思えて仕方がなかった。
そして、無理だろうとは思いながらも、翌日から時折そのコンビニを覗くようになっていた。
彼自身、まさかこんなに早くその二人組に会えるとは思っていなかったが、それから何度目かの今日、いつの間にか彼の両サイドに立った2人の少女達が、彼が手にした雑誌をあからさまに覗き込んでいるのに気付いた。
ハジメはゆっくりと時間をかけてエロ本のページを眺めながら2人の様子を伺った。
その間、少女達は自分が手にしたコミックのページをめくることもなく立ったままだ。
ボーイッシュな少女は、ハジメの質問に悪びれずに答えた。
ついておいでと言われたわけでもないのに、少女はヒカルに渡されたコンビニ袋をしっかりと小脇に抱え、彼と並んで歩いている。
「家って、こっちの方なの……?」
そんなユウカの真意を計りかねて、ハジメが前を示した。
「まだ、家まで教えられないよォ、ねっ?」
ユウカは2人に一歩遅れてついてくるロングヘアの友達を振り返った。
「えっ、うん……」
突然話しかけられたもう1人の少女が、驚いたように小声で答えた。
「この子、アオイ。私たち親友なんだ」
勝手に名前を言われて、アオイのほうは戸惑ったようにコクンと頭を下げた。
「ねェ、アオイ。この人、あそこになら一緒に行ってもいいよね……?」
「う、うん……。ユーカがよければ」
ユウカは親友と言ったが、アオイという少女はユウカに振り回されているようにハジメには思えた。
ひょっとすると、アオイの方はハジメの出現も、そしてユウカがハジメと親しくしていることもあまり歓迎していないのかも知れない。
2人の少女が案内したのは、大きなマンションの屋上だった。
「ここの鍵、私が持ってるんだ。何号室かは教えられないけど、ここのどこかに住んでるから」
かなり広い屋上は、がっしりとしたスチール製の物置が整然と並んでいる。おそらく、各部屋にひとつ割当てられているのだろう。
ユウカはその中のひとつの扉を開けた。
「ここ、ウチの物置なんだけど、あんまり入ってないしィ」
内部は多少薄暗いとはいえ照明もあり、これで窓があれば部屋として使えないこともないような3畳ほどのスペースだった。
「いつも、アオイと2人で、ここを隠れ家にしてるんだよ、ねぇー」
「ウン……」
扉を閉め切ると、ユウカは幾分押し殺した声でそう言うと、イタズラっぽく笑った。
「今日、買ってもらった本も、ここに隠しとけばだいじょうぶだと思う!」
彼女は床に座り込むと、コンビニの袋をバサバサとひっくり返して中から2冊の雑誌を引き出した。
どちらも、とても小学生の少女が手を出せないようなアダルト系の写真誌だ。
取りも直さず、これが2人の少女とハジメの関係の発端となった雑誌だった。
ことの起こりは、数日前にさかのぼる。
ハジメの大学の友人の男が、何気なくした話が、彼の心の隅に引っ掛かり続けていたのだ。
その話とは、友人がよく立ち寄るコンビニでエロ本を立ち読みしていると、いつの間にか両脇に小学生の二人組の少女達が立っており、手には当たり障りのない子供向けのコミック誌を持っているものの、その目は間違いなく、彼の読んでいる雑誌の中身に注がれていたと言うのだ。
「中学生がナイフを振り回してる時代だから、小学生がマセるのも仕方ねぇのかな。なんかこっちが恥ずかしくなって、半分も目を通さないうちに店から出て来ちゃったよ」
芸能人の好みなどをみても、ハジメとは正反対で熟女好きな友人としては、ただのマセガキとしか映らないだろう。しかし、少女趣味のハジメにしてみれば、自分がその場に立てなかったことが悔しく思えて仕方がなかった。
そして、無理だろうとは思いながらも、翌日から時折そのコンビニを覗くようになっていた。
彼自身、まさかこんなに早くその二人組に会えるとは思っていなかったが、それから何度目かの今日、いつの間にか彼の両サイドに立った2人の少女達が、彼が手にした雑誌をあからさまに覗き込んでいるのに気付いた。
ハジメはゆっくりと時間をかけてエロ本のページを眺めながら2人の様子を伺った。
その間、少女達は自分が手にしたコミックのページをめくることもなく立ったままだ。
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