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カツオフィレの猛威
冥王、夜空の下で部下を思う
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「ここが十階……層……」
「さっきまで洞窟だったのに」
石段の階段を下ると光に包まれながら、微かに見える階段を降りると、先程までとは違う地面の感触だった。
「草原だな」
「先が見えないし」
地面はちょうど良い高さの芝生が生い茂り、空はダンジョンの中なのに青い空と流れる雲に、輝く太陽が目に入る。
先に進んでいくユカリ達一行の姿を見失わないように後を着いていく。
オレとペルセポネは、歩きながらも距離を保ちつつ辺りを見渡していると、リフィーナ達の声が聴こえてくる。
「やっとこれたぁ」
「十階層になると全く違う景色だし」
「そよ風が気持ちいい」
「本当に、さっきまでのカビ臭いし、土埃で汚れるしってなんなの」
「皆さん、何階まで行ったことあるんですか?」
「うーん。 十五」
「そうそう、十五」
「十七、十七!!」
ユカリの質問に一斉に答えるリフィーナ達だが、一人だけ違う回答。
「ちょっと、十七まで行ったでしょ!!」
「あんなの行ったって範疇に入らないっ」
「そうそう階段降りて、すぐに引き返しただけだし」
「それなら、十七でも、二人とも十五ってぇ!!」
「ったくぅ。 リフィーナ!! ユカリの前だから……いや、ペルセポネさんの前だから見栄張ってるのっ!!」
「い、いやぁ」
「まぁー。 フェルトもリフィーナもぉ。 私達が無理せずに魔物を倒せるのが十五階層までって事だよぉユカリ」
「それじゃ!! 二十まで目指して」
「分かるね、ユカリ!! そうよっ、二人共。 目標は高くっ。 っよ」
フェルトの叱咤を受け、フォローしたミミンの言葉すら流しているリフィーナを二人は、苦笑いをしている。
「そうそう魔物なんだけど、さっきまで虫系のが多かったけど」
「まぁ、ほとんど甲虫類だね」
「そんな細かい事ぉー」
「どんな魔物?」
「ふっふーん。 ここから動物系の魔物」
「動物系って」
「特にぃワイルドボアとかだね」
「ちょっとぉミミン!! 先に言わないでっ」
自慢したいリフィーナは、ふくれっ面してミミンに迫るが、それをユカリとフェルトで取り押さえている。
すると『ブゥッホォン!』と荒らげる音の方向に視線と共に向きを変え、すぐさま戦闘態勢に武器を構えるユカリ一行に、向かうは三体のワイルドボア。一匹だけ茶色の毛並みのブラウンワイルドボアを筆頭にユカリ達に充血した目で睨み鼻を鳴らしている。
だが、そんなブラウンを含めたワイルドボア三体を勇者パーティーとなった青銀の戦乙女の三人は、あっさりと倒している。
「これこれ」
「うん。 これが重要なのよっ」
リフィーナは、手に取った半透明で黒い小石を、二本の指でツマミ眺めている。
「やはり、ワイルドボアだわぁ」
「それは、わかるけど」
「その、石って。 魔石?」
「そう、魔石」
――――【魔石】その言葉不味いのでは?魔石と耳にしたらすっ飛ばして取りに行くぞ。
そう考えた俺は、そっとゆっくり隣にペルセポネがいるかと確認する。
「ん? あっー。 行かないわよ、あんなちっぽけな魔石で」
「そ、そうか」
「あんな小物の魔物からは、ちっちゃい魔石しか出ないわ。 むしろドロップアイテム狙いが良いのよ」
「その言葉、前にこのダンジョンきたようだな?このダンジョン出なくとも何処かにある……」
「へっ? ななななっ無いわよ。 そうヘカテーの資料に書いてあったから」
「それ、もう良いだろペルセポネ。 知りすぎだ」
「へっ? そんな事無いわよ」
「いや、知りすぎている。 初めて来たという設定では、この世界の事知りすぎているんだ」
「はいぃぃっ」
しょげて暗い顔をするペルセポネと共に俺も、先を行くユカリ達に着いていく。
そんな平原エリアの階層は、木がそんなに立っていなく。もし固まって立っていたらそこの下に降る階段が、あるんだとか。そんな会話をしながらユカリ達に次々と魔物が攻撃を仕掛け、それを倒して行っている。
今まで太陽が照らしていたこのダンジョン、草原も空も夕焼けに染めて次第に暗くなる。
「これなら、外と変わらないな」
「そうね。 でもあの岩肌の洞窟で時間が忘れるよりはまだマシ」
「これがダンジョン物ってヤツの一つだな」
「ダンジョン、イコール洞窟じゃないってのが良いのよ」
ペルセポネとの会話しながらユカリ達の行動を眺めていたら、フェルトがバックから十数本の手でにぎれる程の木を取り出し地面に置くと、それに向けて火弾の魔法を放つミミン。
「よっし! これで焚き火……暖、確保ね」
「あんたねぇ、見てただけじゃん」
「私は、これを出すことだし」
リフィーナの手には取り出した干し肉。それを見てフェルトとミミンにユカリも肩を落とし頭を下げ、地面に腰を下ろし無言のまま、干し肉を咥えている。
そんな中、ペルセポネが腰にあるアイテムバックから盾みたいな鉄板と、長方形の石を数個取り出して簡易的な竈を作り上げ、その上に鉄板を置く。
ペルセポネは、そおっと立ち上がりゆっくりとミミンの所に向かい耳元に話しかける。
「キャッ! わ、わかりましたぁ」
驚くも何か頬をうっすら赤く染めて、こちらにやってくると、不思議な顔をしながらも竈の中に小さな火弾を放つ。
「これで良いんですかぁ?」
「ええ、ミミンありがとう」
「いえいえ、何するん物なんですか?」
「これ、焼くのよ」
「ええ、それは分かりますけど。 焼くものなんて無いんじゃ」
「まぁ、いいわありがとうね」
ペルセポネは、ミミンの両肩を掴んで反転させ、リフィーナの方へ行けと言わんばかりに背中を軽く叩き送り出す。
「ねぇ、なにしてた?」
「おねぇさま。 なんか焼くとか」
「焼くったって材料ないじゃない。 あった所で味付けも無いじゃないの」
「うーんそうなんだけど、あの鉄板やら何処から?」
「あっ! あれ、まさかァっ!」
「ユカリは分かるの?」
「バーベキュー?」
「「「ばーべきゅうぅ?」」」
「まぁ、私が居た世界にあったの。 外で友達とか数人で肉や野菜等焼いて、みんなで食べる集まりのような」
「それが、ばーべきゅうぅ」
「でも、やっぱりあの女はやばいって。 焼いている感で食事楽しもうだなんて、干し肉むしゃむしゃすればいいのに」
目を閉じながら口の中に神経を研ぎ澄まし干し肉を貪るリフィーナの鼻に、何やら香しい匂いがまとわりつき咀嚼が捗っていた。
ジュゥゥ!!っと、リフィーナの耳には、さらに音まで伝わる。
すると、目を大きく見開いてペルセポネ側の方を見つめるリフィーナと既に見ているフェルトとミミン。そしてユカリは干し肉を咥えながらゆっくりと俺たちに近づいていた。
そう、俺とペルセポネのあいだにはミミンが放った火弾によって熱せられた鉄板に、その上にはブラウンワイルドボアの1センチ程の厚みのある肉が焼かれている。
ペルセポネは、筒状の物を取り出し、肉の上で両手でひねって回していると、その筒状からパラパラと細かい物が肉の上にふりかけられる。
「それ、ペッパーミルだな」
「そうよ。 肉といえば塩コショウが良いでしょ」
「まぁ、時と場合だけどな」
「この世界ならこれでも最高級のだと思うけど」
塩コショウで肉の旨みが焼かれた煙と共に、リフィーナ達の鼻に吸い込まれていく。
「ペルセポネさん、これって」
「あぁ、ユカリ。 まぁ私の旦那さんと楽しい食事だよ」
「ハーデスさん、ペルセポネさん。 私もっ混ぜて……肉ください」
「って言うかユカリ。 ヨダレ出てる……まぁ良いわよっ」
「「「わたしもっ!!」」」
ユカリへ返答するペルセポネの言葉尻と被るタイミングで、リフィーナ達はユカリに覆いかぶさりながら、ペルセポネに迫っていた。それを見て少し引いているペルセポネ。
俺の顔を見てナイフを取り出し、肉に向けてサクサクとまるで剣を振るっているかのように斬っていた。
「まぁ、肉はあのまるデブから沢山貰ってきたから。ハーデス、あと食べやすく切るわ」
「あ、ありがとう」
渡されたフォークを使って肉を食べる。ペルセポネもユカリに四人分のフォークを渡しみんな食べていた。
「なにこぉれぇ!!」
「この、ピリってくるのって」
「おねぇさま!! これペッパーですか?」
「こっちもペッパーって言うのね」
「「こっち?」」
ペルセポネの不可思議な言葉にフェルトとミミンが、少し悩むがすぐに肉の旨みで忘れていた。
「ちょっとぉ、もう無いじゃないのぉっ」
「リフィーナ、早すぎ」
「もっと味わって。 ダンジョンの中で温かい物食べれるのって」
「あーっ。 分かったけぇどっ……。 ってペッパーってぇ、ペッパーってぇ!!」
目を大きく開き、肉を堪能しているリフィーナだったが、既に無くなってしまってペルセポネに怒りをぶつけていた。
「味わかったの? アホなのに」
「アホじゃないわいっ!! こう見えても美食家リフィーナ様なのよ」
胸を大きく手を置いて上から下ろす目線に、ペルセポネは若干イラッとしていた。
食べ終わってすぐに脇のバックから何やら取り出しては、地面に広げるペルセポネ。取り出したのはワンタッチで開くテントで、すぐに中に入ると入口から顔だけ外に出して俺を見る。
「ハーデス、見張りよろしく」
「はっ、俺も入るぞ」
「えっ。 やはりアホがいても女性同士話もあるし」
「夫婦なんだから……っていつの間に仲良く」
「結構前からじゃないか」
俺とペルセポネの会話中にぞろぞろとユカリに続いてフェルトやミミン、リフィーナもそそくさとペルセポネが広げたテントに入る。
ペルセポネも顔を引っ込めテント内の灯りによって、女性陣の楽しい姿の影がテントに映る。
――――用意周到だな。ペルセポネ、このダンジョン……他でもこの体験しているんだろうし、それにしてもリフィーナとあんなに言い合う仲なのに、仲良くしているのは不思議だ。
俺はそんな事思いながら、近くにあった座るにはちょうど良い石に座り、夜空の演出をしている天井を眺めている。
寝なくても耐えれるが神とてやはり寝たいのが本音。しかしそんな事思っててもテントの中の灯りが消えはしゃぐ会話の声も静まり、うっすら誰かのいびきが聴こえてくる。
そんな一人寂しい一時を今は過ごしている。
――――これなら、アヌビスかオリシス……閻魔を連れて来れば良かったな。うーん、アヌビスはあの顔だから、人族の中にいたら魔族と間違われてしまうかもな?というかこの世界、獣人とかいないのか?いて欲しいなぁ。アーリマンは確実に向こう側に見られるけどなっ。そうだ、あいつらなら仕事大丈夫だろう。
この夜更けに冥界の事を頭によぎる冥王であった。
「さっきまで洞窟だったのに」
石段の階段を下ると光に包まれながら、微かに見える階段を降りると、先程までとは違う地面の感触だった。
「草原だな」
「先が見えないし」
地面はちょうど良い高さの芝生が生い茂り、空はダンジョンの中なのに青い空と流れる雲に、輝く太陽が目に入る。
先に進んでいくユカリ達一行の姿を見失わないように後を着いていく。
オレとペルセポネは、歩きながらも距離を保ちつつ辺りを見渡していると、リフィーナ達の声が聴こえてくる。
「やっとこれたぁ」
「十階層になると全く違う景色だし」
「そよ風が気持ちいい」
「本当に、さっきまでのカビ臭いし、土埃で汚れるしってなんなの」
「皆さん、何階まで行ったことあるんですか?」
「うーん。 十五」
「そうそう、十五」
「十七、十七!!」
ユカリの質問に一斉に答えるリフィーナ達だが、一人だけ違う回答。
「ちょっと、十七まで行ったでしょ!!」
「あんなの行ったって範疇に入らないっ」
「そうそう階段降りて、すぐに引き返しただけだし」
「それなら、十七でも、二人とも十五ってぇ!!」
「ったくぅ。 リフィーナ!! ユカリの前だから……いや、ペルセポネさんの前だから見栄張ってるのっ!!」
「い、いやぁ」
「まぁー。 フェルトもリフィーナもぉ。 私達が無理せずに魔物を倒せるのが十五階層までって事だよぉユカリ」
「それじゃ!! 二十まで目指して」
「分かるね、ユカリ!! そうよっ、二人共。 目標は高くっ。 っよ」
フェルトの叱咤を受け、フォローしたミミンの言葉すら流しているリフィーナを二人は、苦笑いをしている。
「そうそう魔物なんだけど、さっきまで虫系のが多かったけど」
「まぁ、ほとんど甲虫類だね」
「そんな細かい事ぉー」
「どんな魔物?」
「ふっふーん。 ここから動物系の魔物」
「動物系って」
「特にぃワイルドボアとかだね」
「ちょっとぉミミン!! 先に言わないでっ」
自慢したいリフィーナは、ふくれっ面してミミンに迫るが、それをユカリとフェルトで取り押さえている。
すると『ブゥッホォン!』と荒らげる音の方向に視線と共に向きを変え、すぐさま戦闘態勢に武器を構えるユカリ一行に、向かうは三体のワイルドボア。一匹だけ茶色の毛並みのブラウンワイルドボアを筆頭にユカリ達に充血した目で睨み鼻を鳴らしている。
だが、そんなブラウンを含めたワイルドボア三体を勇者パーティーとなった青銀の戦乙女の三人は、あっさりと倒している。
「これこれ」
「うん。 これが重要なのよっ」
リフィーナは、手に取った半透明で黒い小石を、二本の指でツマミ眺めている。
「やはり、ワイルドボアだわぁ」
「それは、わかるけど」
「その、石って。 魔石?」
「そう、魔石」
――――【魔石】その言葉不味いのでは?魔石と耳にしたらすっ飛ばして取りに行くぞ。
そう考えた俺は、そっとゆっくり隣にペルセポネがいるかと確認する。
「ん? あっー。 行かないわよ、あんなちっぽけな魔石で」
「そ、そうか」
「あんな小物の魔物からは、ちっちゃい魔石しか出ないわ。 むしろドロップアイテム狙いが良いのよ」
「その言葉、前にこのダンジョンきたようだな?このダンジョン出なくとも何処かにある……」
「へっ? ななななっ無いわよ。 そうヘカテーの資料に書いてあったから」
「それ、もう良いだろペルセポネ。 知りすぎだ」
「へっ? そんな事無いわよ」
「いや、知りすぎている。 初めて来たという設定では、この世界の事知りすぎているんだ」
「はいぃぃっ」
しょげて暗い顔をするペルセポネと共に俺も、先を行くユカリ達に着いていく。
そんな平原エリアの階層は、木がそんなに立っていなく。もし固まって立っていたらそこの下に降る階段が、あるんだとか。そんな会話をしながらユカリ達に次々と魔物が攻撃を仕掛け、それを倒して行っている。
今まで太陽が照らしていたこのダンジョン、草原も空も夕焼けに染めて次第に暗くなる。
「これなら、外と変わらないな」
「そうね。 でもあの岩肌の洞窟で時間が忘れるよりはまだマシ」
「これがダンジョン物ってヤツの一つだな」
「ダンジョン、イコール洞窟じゃないってのが良いのよ」
ペルセポネとの会話しながらユカリ達の行動を眺めていたら、フェルトがバックから十数本の手でにぎれる程の木を取り出し地面に置くと、それに向けて火弾の魔法を放つミミン。
「よっし! これで焚き火……暖、確保ね」
「あんたねぇ、見てただけじゃん」
「私は、これを出すことだし」
リフィーナの手には取り出した干し肉。それを見てフェルトとミミンにユカリも肩を落とし頭を下げ、地面に腰を下ろし無言のまま、干し肉を咥えている。
そんな中、ペルセポネが腰にあるアイテムバックから盾みたいな鉄板と、長方形の石を数個取り出して簡易的な竈を作り上げ、その上に鉄板を置く。
ペルセポネは、そおっと立ち上がりゆっくりとミミンの所に向かい耳元に話しかける。
「キャッ! わ、わかりましたぁ」
驚くも何か頬をうっすら赤く染めて、こちらにやってくると、不思議な顔をしながらも竈の中に小さな火弾を放つ。
「これで良いんですかぁ?」
「ええ、ミミンありがとう」
「いえいえ、何するん物なんですか?」
「これ、焼くのよ」
「ええ、それは分かりますけど。 焼くものなんて無いんじゃ」
「まぁ、いいわありがとうね」
ペルセポネは、ミミンの両肩を掴んで反転させ、リフィーナの方へ行けと言わんばかりに背中を軽く叩き送り出す。
「ねぇ、なにしてた?」
「おねぇさま。 なんか焼くとか」
「焼くったって材料ないじゃない。 あった所で味付けも無いじゃないの」
「うーんそうなんだけど、あの鉄板やら何処から?」
「あっ! あれ、まさかァっ!」
「ユカリは分かるの?」
「バーベキュー?」
「「「ばーべきゅうぅ?」」」
「まぁ、私が居た世界にあったの。 外で友達とか数人で肉や野菜等焼いて、みんなで食べる集まりのような」
「それが、ばーべきゅうぅ」
「でも、やっぱりあの女はやばいって。 焼いている感で食事楽しもうだなんて、干し肉むしゃむしゃすればいいのに」
目を閉じながら口の中に神経を研ぎ澄まし干し肉を貪るリフィーナの鼻に、何やら香しい匂いがまとわりつき咀嚼が捗っていた。
ジュゥゥ!!っと、リフィーナの耳には、さらに音まで伝わる。
すると、目を大きく見開いてペルセポネ側の方を見つめるリフィーナと既に見ているフェルトとミミン。そしてユカリは干し肉を咥えながらゆっくりと俺たちに近づいていた。
そう、俺とペルセポネのあいだにはミミンが放った火弾によって熱せられた鉄板に、その上にはブラウンワイルドボアの1センチ程の厚みのある肉が焼かれている。
ペルセポネは、筒状の物を取り出し、肉の上で両手でひねって回していると、その筒状からパラパラと細かい物が肉の上にふりかけられる。
「それ、ペッパーミルだな」
「そうよ。 肉といえば塩コショウが良いでしょ」
「まぁ、時と場合だけどな」
「この世界ならこれでも最高級のだと思うけど」
塩コショウで肉の旨みが焼かれた煙と共に、リフィーナ達の鼻に吸い込まれていく。
「ペルセポネさん、これって」
「あぁ、ユカリ。 まぁ私の旦那さんと楽しい食事だよ」
「ハーデスさん、ペルセポネさん。 私もっ混ぜて……肉ください」
「って言うかユカリ。 ヨダレ出てる……まぁ良いわよっ」
「「「わたしもっ!!」」」
ユカリへ返答するペルセポネの言葉尻と被るタイミングで、リフィーナ達はユカリに覆いかぶさりながら、ペルセポネに迫っていた。それを見て少し引いているペルセポネ。
俺の顔を見てナイフを取り出し、肉に向けてサクサクとまるで剣を振るっているかのように斬っていた。
「まぁ、肉はあのまるデブから沢山貰ってきたから。ハーデス、あと食べやすく切るわ」
「あ、ありがとう」
渡されたフォークを使って肉を食べる。ペルセポネもユカリに四人分のフォークを渡しみんな食べていた。
「なにこぉれぇ!!」
「この、ピリってくるのって」
「おねぇさま!! これペッパーですか?」
「こっちもペッパーって言うのね」
「「こっち?」」
ペルセポネの不可思議な言葉にフェルトとミミンが、少し悩むがすぐに肉の旨みで忘れていた。
「ちょっとぉ、もう無いじゃないのぉっ」
「リフィーナ、早すぎ」
「もっと味わって。 ダンジョンの中で温かい物食べれるのって」
「あーっ。 分かったけぇどっ……。 ってペッパーってぇ、ペッパーってぇ!!」
目を大きく開き、肉を堪能しているリフィーナだったが、既に無くなってしまってペルセポネに怒りをぶつけていた。
「味わかったの? アホなのに」
「アホじゃないわいっ!! こう見えても美食家リフィーナ様なのよ」
胸を大きく手を置いて上から下ろす目線に、ペルセポネは若干イラッとしていた。
食べ終わってすぐに脇のバックから何やら取り出しては、地面に広げるペルセポネ。取り出したのはワンタッチで開くテントで、すぐに中に入ると入口から顔だけ外に出して俺を見る。
「ハーデス、見張りよろしく」
「はっ、俺も入るぞ」
「えっ。 やはりアホがいても女性同士話もあるし」
「夫婦なんだから……っていつの間に仲良く」
「結構前からじゃないか」
俺とペルセポネの会話中にぞろぞろとユカリに続いてフェルトやミミン、リフィーナもそそくさとペルセポネが広げたテントに入る。
ペルセポネも顔を引っ込めテント内の灯りによって、女性陣の楽しい姿の影がテントに映る。
――――用意周到だな。ペルセポネ、このダンジョン……他でもこの体験しているんだろうし、それにしてもリフィーナとあんなに言い合う仲なのに、仲良くしているのは不思議だ。
俺はそんな事思いながら、近くにあった座るにはちょうど良い石に座り、夜空の演出をしている天井を眺めている。
寝なくても耐えれるが神とてやはり寝たいのが本音。しかしそんな事思っててもテントの中の灯りが消えはしゃぐ会話の声も静まり、うっすら誰かのいびきが聴こえてくる。
そんな一人寂しい一時を今は過ごしている。
――――これなら、アヌビスかオリシス……閻魔を連れて来れば良かったな。うーん、アヌビスはあの顔だから、人族の中にいたら魔族と間違われてしまうかもな?というかこの世界、獣人とかいないのか?いて欲しいなぁ。アーリマンは確実に向こう側に見られるけどなっ。そうだ、あいつらなら仕事大丈夫だろう。
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