冥王さま、異世界に憧れる。~現地の神からいきなり貰った勇者スキルが全く使えない冥王とその妻は破壊神!?~

なまけものなのな

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聖国と帝国と金色の勇者

冥王、同じ轍は踏まない。金色の勇者、勘づく。

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 俺たちは、聖国グランドセントの城の裏にある草木が生い茂る広い森に入る。
 俺が先頭となり続いて大盾を構えるフェルトに、淡々と歩くペルセポネの後ろで怯えながら辺りをキョロキョロするミミン。

 森の中から威嚇する鳴き声が響く。

 人工的に作られたと分かる四面体らしき岩山を目指し奥に進む中、ペルセポネが受けた依頼内容を思い出す。

――――討伐依頼。グリフォン……。ギルドからの依頼だ。森に住む低ランクの魔物の激減に関わっているらしくその討伐だが、この依頼ランクA以上の冒険者出ないと受けられない。

「その依頼、ランクAならこの国にいる冒険者一人限定って事だろう。 いまその者が不在ならずっと残ったまま。 そんな依頼としてどうなのか?」
「あの受付のが、近いうち冒険者総動員で討伐するとか言ってたよ」
「なら、良いが……。 それにしてもこの蜘蛛の糸か?」

 ペルセポネの返答に気を取られると、進行方向を邪魔するようにピンと張り付いた蜘蛛の糸が、所狭しと張り巡らせている。
 それを俺は、ハルバードで切り裂き払っていく。

「そうですわ。 この蜘蛛の糸……もしかして」
「むーっ。 カースタランチュラの糸がぁっ」
「カース、タランチュラ?」
「小型の蜘蛛ですわ。 足に毛が生えて」

 俺の行先に出来ていたそのカースタランチュラの糸を払っていたのに、その後をフェルトやペルセポネにミミンが通る時には再び糸が張られていて、三人とも糸に警戒している。

 奥に進む俺たちに聴こえてくる何がが動く度に起きる摩る音。
 更にカサカサと音が、次第に大きく幾つも重なり合う。

「むーっ。 きき気持っち悪ぅぅぅっ」

 ミミンの、木々の葉を揺らすような甲高い声が、突き抜ける。すると、その声に反応したのかそのカサカサ音の主の視線が、幾つも俺たちに合わせる。

「カースタランチュラ。 囲まれたわ」
「どこだ?」
「木の上に」

 俺はすこし上に視線を動かす。

――――異世界の魔物。蜘蛛だから地面を這ってとか考えてたが。小型とか言ってなかったか?あれどう見ても小型か?

 気にぶら下がるように青いまだら模様をかもした黒い蜘蛛が白い目を俺たちを視野に入れ光らせている。

――――そう、気にぶら下がる……。小型犬位かと思ったがあれは成犬よりも一回り大きい位、もしかしたら小熊程かもしれん。

 一体のカースタランチュラの口の周りにある牙が、奇妙に動くと臀部の先を俺たちに向け、糸が飛んでくる。

「危ないわっ!!」

 すかさず俺と糸の間に入るフェルトは、大盾で弾く。
 だが、弾いた瞬間、高鳴る金属音と衝撃でノックバックする。
 再びカサカサと左右から幾つも聴こえる。
 先程のカースタランチュラとは逆位置から放たれる糸。
 俺は、ハルバードで振り払う。
 金属音と共にハルバードを握る手に振動が伝わる。
 弾いた糸は、勢い衰えず地面を突き刺すと糸が切れる。

――――なんだ、この糸。まるで金属の槍を投げられているようだ。

「むぅここは、クリムゥ……」
「ミミンダメですわっ」
「む、こいつら火に弱い」
「森が焼けますわ。 私たちもまっ黒焦げに」
「むぬぬぬぅっ。 なら石でぇ」

 ミミンは、最初に糸を放ってきたカースタランチュラに杖先を向け無数の石つぶてを放つ。
 砕かれる枝や葉に、傷がつく木にカースタランチュラもその石つぶてに巻き込まれ身体から体液を吹き出しながら背中から落下する。

「もう一匹ぃぃ……。 そうなのですわね」

 じたばたともがいているカースタランチュラの八本の足が、奇妙な動きを直視するミミンは、苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
 逆方向にいたカースタランチュラは、既にペルセポネによってバラバラにされているが足が、八本以上ある。
 ペルセポネは、二本の剣でカースタランチュラの胴体を突っつきながら切り裂いている。

「ペルセポネ、何体いたんだ?」
「……三匹程かな」
「そうか、魔石無いのだな」
「魔法無さそう。 ユカリ居ないから、あの丸デブ連れてくれば良かったのかも」

 ミミンが、倒したカースタランチュラもフェルトが、トドメを刺していた。
 何度かカースタランチュラが、襲っては撃退し俺たちは、少し開けた所にたどり着く。



 その広い場所に上半身と前足は鷹で下半身はライオンに翼が生えた生き物、グリフォンが横たわって寝ている。
 それも二匹。

「この先に、裏口がありますわ。 でもこれじゃぁ」
「むーっグリフォン、グリフォン」
「へぇー。 グリフォンって意外と大きいのね。現物見るの初めてかも」

――――確かに大きい。人が二人位乗せられる位の大きさだろう。

「ペルセポネが、初めてとなると」
「そうね。 これはやりがいがあるかも」

 俺とペルセポネは、武器を手に取りグリフォンに向かって進む。フェルトとミミンは、少し離れて恐る恐る忍び足で近寄る。

パキッ。

 ペルセポネが、落ちている小枝を踏むが、気にする素振りは無い。

 その音で、起き上がるグリフォン。

『ギャオォォッ!!』
『ギャッオッ』

 二体のグリフォンは、嘴を広げ咆哮し翼をはためかせ、威嚇する。
 だが、ペルセポネの不敵な笑みに圧されグリフォンは、後ずさりしながらも吠え続ける。

「さぁ、何か魔法使ってくるといいわ」
「ランクAの魔物楽しませてくれ」

 一歩足を進める俺とペルセポネ。
 グリフォンが、一歩退る。
 さらに俺とペルセポネは、一歩進む。
 グリフォンは、再び一歩退る。
 さらに一歩、さらに一歩と全く距離が変わらない。

「攻撃してこないじゃない。 焦れったいわね」
『ピッィィィイィィッ』
『ピッピィィッ』
「逃がさないっ」

 一体のグリフォンが、翼をはためかせ首を上にし飛び立とうとするが、後ろ足が地を離れた瞬間、グリフォンの首が赤く滲みそして、倒れ、首の切断面が顕となり地面が赤く染まっていく。
 横たわる胴体に頭が転がる。

『ギャオォォォォッ!!』

 怒り狂うグリフォンの咆哮が、木々の葉を揺らす。
 俺は、ハルバードを構える。

「ハーデスさん。 私達も入りますわ」
「むーっ。 グリフォン倒す」
「いや、大丈夫だが」
「無理せずに。 防御は任せて欲しですわ」
「むーっ。 援護射撃するぅっ」

――――グリフォンが、残り一体なった事で怖気付いていたフェルトとミミンの士気が、回復したみたいだな。だが俺一人で充分なんだけどな。

 睨み効かせ鼻を鳴らし臨戦態勢となっているグリフォンの前足の爪が、地面を抉る。
 翼を広げ嘴を広げ前足爪を突きつけ迫る。
 フェルトの大盾で爪を防ぐ。
 グリフォンは、弾かれた反動で旋回する時、後ろ足で大盾を蹴り飛ばす。
 吹き飛ばされるフェルト。

「きゃぁっ」
「ストーンバレットォオッ」

 そこにミミンの石つぶてが俺の横を通り抜けグリフォンをねらう。
 旋回するグリフォン。
 ミミン放つ魔法の石つぶてが、グリフォンを狙うが、外れて木々や地面に穴を開けていく。

――――そう言えば、このパターン。ブラウンドラゴンと同じか……。

 大盾を構えグリフォンの攻撃に備えているフェルトの横を歩き出す。

「ハーデス……さん?」

――――本来の目的は、この世界の神に地球からの転移転生を阻止することだ。だが、俺としてやはり異世界というものを楽しみにしていたのだ。

 俺は、グリフォンに向けハルバードで斬りつける。
 ハルバードの穂先が、描く綺麗な弧は、グリフォンの胴体を通る。
 ミミンの魔法が、止まるとグリフォンは、俺から少し離れた所で前足を地面につけ止まり頭を俺に向け馬鹿にしたような鳴き声をする。
 だが、その時グリフォンは、バランスを崩し横たわりもがき苦しみだした。
 そう、グリフォンの胴体の半分である下半身が、俺の目の前で後ろ足をばたつかせながら胴体の断面から内臓やら血が溢れ出ている。
 俺は、ハルバードを振るって血を拭う。
 足をばたつかせていたグリフォンは、次第に鳴き声が小さくなり、動きが静かに止まる。

「やはり、これ出なくては。強い敵を倒してこそだな」

 俺の言葉が、聞こえてないのかフェルトとミミンは、口を開いたまま唖然としている。

「やはり、こっちもないわ」
「ミミンの魔法で逃げているんだ。 魔法なんて使わないのだろう」
「む、あのグリフォンだよ。 なんで一撃?」
「ミミン……それ考えちゃダメだわ。 やはり凄いのですわね」

 フェルトの言葉にミミンは、頷き深呼吸して落ち着かせていた。


◆◆◆◆


 グランドセントの城の中。
 天蓋のベットに全裸の勇者キンジョウが、身体を起こし一息着いている。
 床に横たわる一人の女性は、布すら付けず裸のまま頬を赤らめてやっとの事で息をしているようだ。

「それにしても、この城。 やはり何かおかしい」
「ねぇ、もう一回ぃ……」

 床にいた女性は、這いつくばりながらベットによじ登ると勇者キンジョウは、ベットの中から足でその女性を蹴り飛ばす。

「うるさいっ!! はぁ~っ、この女もダメだな。 初々しさや嫌がる素振りすらねぇ」

 ベットから出る勇者キンジョウは、腰を下げ蹴り飛ばした女の顎を上げ睨む。

「おい、この城の秘密教えたらしてやるよ」
「私は、知らないわっ……ギャッ」

 勇者キンジョウは、左手の甲でその女の頬を張り倒すと、女は口から血を出し床に横たわる。

「痛い……」
「使えん女だ。 この城の構造がおかしい。 この2階外からは広いのに中は狭い。 何か隠し部屋見たいのがあると思ったんだけどな」
「そ、それなら……。 あのエルフに聞いたら良いわ」
「ほぉぅ。 何故だ?」
「あの子、どこから来たのか分からないわ」
「どこから? 貴様達と同じで地下牢からじゃ」
「地下牢には居なかったの」
「居なかったか。 そうか、そうか」
「話したんだから。 もっと気持ち良く……させて」
「……」

 勇者キンジョウは、その女と身体を合わせる。
 女は、光悦にひたるが、勇者キンジョウの表情は、険しく何か考えている顔だった。
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