冥王さま、異世界に憧れる。~現地の神からいきなり貰った勇者スキルが全く使えない冥王とその妻は破壊神!?~

なまけものなのな

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起源から世界を思う神、樹海と祀るエルフ。

冥王、黒ずくめの者の秘策に戸惑う。

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 黒ずくめの者の言葉と発する威圧感に、ユカリ達は固まっている。

「今回の出来は過去一最高だったんですけどね。 やはり魔将から進化させれば良かったのかなぁ」

 黒ずくめの者は若い声だが、女性の声よりも低い声。

「せっかく三体の魔王を倒したんですから、そんなに縮こまらずに……勇者なのですから」
「ペラペラ喋ってないで、魔石をっ返しなさいぃぃっ!!」
「ん? このオレの威圧を受けて、動けるなんて」

 剣を振るい飛びかかったペルセポネは、剣を振るがその場所に黒ずくめの者はいない。
 辺りを見渡すペルセポネを背に、黒ずくめの者はこちらに向かってきている。

――――あの者、一瞬にして移動したような?

 不自然にペルセポネの剣撃を交わ下黒ずくめの男は、こちらではなく、ユカリ達の元へ近づいている。

「なんだ!! もしかしてアイツ強ぇのかっ」
「見た目に反して強そうで、たのしみぃ」
「二柱、油断大敵ですよ」
「三人とも棒状の武器なんだね。 刃物を使うのはさっきのお姉さんだけなのかな?」
「斬ったりとかじゃぁ、面白くないんでな」
「叩きのめすのが、やはり良いのよねぇ~」
「それは同感です」

 アヌビス達は、一直線に黒ずくめの者へと襲いかかる。
 黒ずくめの者の口が緩む。
 ウアス杖を振りきるアヌビス、掠めるヘル、双杖で殴りきるオリシスの攻撃が全て躱され、黒ずくめの者は余裕綽々と足を進める。

「何があった?」
「完全に捉えたのに……」
「一瞬、いなくなったような」

 不思議な光景を見ている俺は、何回も瞬きをする。
 ペルセポネとアヌビス達は、瞬きするもなく目の前にいた敵へ攻撃をした途端、自分の背後にいるのだから苦悩している。
 ユカリ達の前に立つ黒ずくめの者。
 ユカリが、武器を構える。

「勇者が、この私に歯向かう……か。 というか、女の勇者って珍しくねぇ!!」
「……あなたは!?」
「おおぉ! このオレを前にして口が開くって、やっぱり女って度胸あるよなぁ」

 黒ずくめの者は、その言葉を告げ笑いながらフードを脱ぎ取る

「よく聞け!! 魔族の神ぃぃっ、クロセアノスゥッは、このオレの事だっ」

 手を広げ、堂々と胸を張り自慢げな表情をするクロセアノスと名乗るその者の顔は、中性的ではあるが、しっかりとした眉に大きな目をし、女性のよう肌をし小顔。

――――まるで、恋愛小説やマンガにアニメに出てくるイケメン……いやアイドルのような顔だな。

 俺の思うところにユカリの言葉が入る。
「まさか……その顔といい……黒瀬先輩?」
「ん、センパイ? その言葉、久しぶりに聞いた」
「何故……」
「まさかオレを知る奴が召喚されているとは。 アウラめ面倒なやつを召喚しやがって」

 瞬きすると視界には既にクロセアノスの姿がない。ユカリの悲鳴に皆視線をその声に向ける。
 薄着み悪い笑みをするクロセアノスはユカリに襲いかかっている。

――――一瞬で……やはりか!!

 クロセアノスの振りかぶる手。光る鋭い爪がユカリの顔に迫る。

「地獄の業火ァッ!!」

 放たれる灼熱の炎は渦を巻く。
 刹那の速さでクロセアノスの目の前。
 驚くクロセアノスは、殺意のある爪を引きユカリから離れる。
 リフィーナとフェルトがユカリの肩を担ぎ、六人離れていく。
 俺を睨むクロセアノス。

「きさま、時を扱うか?」
「おっ、おぉまさか、こんな短時間で当ててしまうとは……ご名答です」
「厄介だな」
「オレ以外なら厄介な事でしょう。 時を操れるこれは素晴らしい事ですよ」
「いや、そうだな」
「端切れ悪い言い方ですね。 あぁそっやってオレを倒す方法を考えていたと?」
「全く考えていないが」
「クッ、ワッハハハ。 神が目の前、それに敵対。 なんの対策も考えられない」
「弱い相手に考える必要あるか?」
「弱い?オレは神だぞぉぉっ!! 神の前で打つ手なしなのは分かっている」
「はぁ……」
「女が多い……しかも可愛いヤツらばかりでは無いか――――」

 クロセアノスは、俺ら全員……いやここにいる女性を舐めまわすように見ていると、大声を出し不敵な笑みをする。

「さぁ、男はオレに命を差し出せ! 魔族にしてやる。 女は体を差し出せっ、快楽に満たしてやる!!」
「させるか」
「先ずはあの、二つの剣を持つ女を……」

 スゥっと陽炎のように消えるクロセアノス。
 世界の時の流れが止まる。
 世界が灰色に染る時の流れの中、黒いローブのクロセアノスは、ゆっくりとペルセポネへと歩み寄る。

「させんと、言っただろ」

 俺の言葉に驚くクロセアノス。

「何故、時が止まった中で動ける!?」
「時を超越しているんだ。 時を操れる事など造作でもない」
「クソっ、アウラめ!! 変な能力付けやがって」

 俺と距離をとるクロセアノスは、手を横に出し俺を睨む。

「時を止める能力……神……お前にその力をくれたのは『母』と言う奴か!!」
「――――あぁ。 そうさ、俺は時が自由に出来る力が欲しかったからな」
「人は短い時間の中で、精一杯輝き生きていく。 それが生物というものだ」
「だからだよっ! 精一杯生きているのに、何故短い時間なんだ!! もっと長くてもいい」
「堕落した生き方を選んでしまうもんだ」
「良いじゃん。 堕落して快楽に満たして幸せ感じる――――サイコーじゃねぇ?」
「それをこの世界で味わい尽くしたんだろ?」
「いいや、あんな超絶美人を味わってねぇなぁ」

 クロセアノスの手に浮かび上がる長い棒状の物。それを振りかぶりペルセポネへと襲いかかる。
 俺の右手に二又の槍バイデントの穂先がクロセアノスの持つ物を狙う。
 視線と体を反転するクロセアノスは、不気味な笑み。
 俺のバイデントを弾くと、その持つ棒の先に鋭利な鎌。

「お前が死んだ後、この女はオレが楽しんでやるよっ」
「ペルセポネに手を出させん!」

 弾かれたバイデントを引き付け、クロセアノスの頭上を目掛け振り下ろす。
 鎌を両手で握るクロセアノスは、振りかぶる。

「地獄の業火っ!」
「それ、効かねぇ」

 放つ渦巻く業火をクロセアノスの振るう鎌を横薙ぎで掻き消す。
 俺のバイデントを躱すクロセアノスが笑を浮かべ、鎌の鋭利な先端が俺を襲い袖を破かれる。

「おっ、しぃ~!」
「鎌の鋭さが増してても……」

――――ん?

「増してても、なんですかぁ?」

――――まさか……

「血が出てますよォ」

――――この俺を害する武器……

「コレはコレは……。 ここでの私の母がくれた鎌なんですよ。 なんでも、孫が親のアレを斬ったとかで」

――――その昔、俺やゼウスの父クロノスが、その父ウラノスの陰部をアダマスの鎌で斬ったと聞いている。
――――まさかやつの手にあるのがアダマスの鎌なのか。
――――なら何故時を操る? 時の神クロノスと父であった農耕の神クロノスは全くの別神。

「だ、か、ら。 俺は何でも切れるんだよね。 時でも神でも」

――――コイツ知っていたのか?

「アウラ――――エウラロノースはお前達のこと知らないんだろうな」
「クロセアノス。 俺はお前を倒さなくてはならないようだ」
「オレも、お前を倒したら美女を囲んでウハウハするんだ。 その勇者達もアウラは要らんと言ってそうだし」

――――時の神クロノスと近しき力なら、俺を害するのは時だけなら、倒す方法はあった。

――――だが、神をも殺す武器アダマスの鎌がやつの手にあると、それにあの余裕な顔……何か隠し持っているかもしれん。



 止まった時が動く。
 辺りに色づき、流れ出す。

 俺の流れる血を見たペルセポネ。

「はっ、冥王さ……ハーデス!!」
「何があった?」
「何故、王が血を」
「まさか、時が?」

 アヌビス達も驚いている。
 クロセアノスの笑みが更に口角を上げ口を開く。

「やはり、地球の神。 さぁかかって来いよっ!! 早くお前を倒してペルセポネちゃんとぉ、イチャイチャするんだからよ」
「その汚い口から、俺の愛する妻の名をするな」
「何回でも言ってやるよっ」

 笑いが止まらないクロセアノスはアダマスの鎌を握る。
 怒りに包まれた俺は、バイデントを握りしめヤツの汚い口を狙い、穂先を突きつけ飛びかかる。
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