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メイド
憤り
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公爵令嬢として、何不自由ない生活をして、大抵のことは思い通りになる。
あくまでも令嬢。
本人は爵位を持たない少女とはいえ、それだけの権力と財力が、彼女にはある。
そんなお嬢様のことをこんな風に言ったら、事情を知らない人からしたら何を言ってるんだと思われるだろう。
けれど敢えて言わせてもらうと、シルティーナお嬢様は恵まれない子供だ。
物心つく前に母親を亡くし、使用人に囲まれて育った。
父親はいても公務で忙しく、顔を合わせるのも、月に一度あるかどうか。
それだけなら良かったかもしれない。
母がいなかろうと、父親に会えなかろうと、それだけなら、そういうものとして受け入れることが出来ただろう。
自分の周りにいるのが使用人だけだということに疑問を持たなかっただろう。
だが、彼女には腹違いの妹がいた。
ナリアという名の、黒髪でおっとりした印象の妹がいた。
そして彼女の母親は存命だ。
側室として嫁いで来たレイチェルは、書類上ではシルティーナお嬢様の母でもある。
だが、シルティーナお嬢様の母であるイルーナ様が生前レイチェルとナリアの母娘と交流を持とうとしていなかったこともあり、亡くなった後もシルティーナお嬢様と接点を持とうとしなかった。
レイチェルにとってみれば、シルティーナお嬢様はあくまでも他人の子。それも、少し苦手な相手の子供ということでしかなかったのだろう。
しかし、大人たちにどんなやり取りがあろうと、シルティーナお嬢様には関係ない。
シルティーナお嬢様はレイチェルとナリアが睦まじく過ごす様子を目の当たりにして、いつも寂しそうにしていた。
使用人はあくまでも使用人。母親のようにシルティーナお嬢様を抱きしめることが出来るわけもないのだ。
「どうしてしるてぃにはおかあさまがいないの?」
きょとんと首を傾げて聞かれたのは、まだお嬢様が三歳だったか、四歳だったか。
亡くなったからだと告げるのは簡単だったが、いたいけな子供にはあまりにも残酷で、言葉に詰まってしまった。
答えに窮する様子で、色々と察してしまったのだろう、お嬢様はそれ以来、同じ質問をすることはなかった。
とても賢い子だ、というのは、私の意見。私だけの意見。
当時はまだ、お嬢様が今ほどの冷遇を受けてはいなかったから、中には同じように感じた人もいただろうが、その評価が今なお続いているのは、おそらく私だけだろう。
お嬢様の不運はたくさんある。
母親が亡くなったこと、父親が子供にあまり関心を持たなかったこと、妹が、優秀すぎたこと。
ナリア様は本当に優秀だった。
少し学んだだけで読み書きが出来るようになり、家庭教師が驚くほどの速度で計算を修め、まだ子供だというのにマナーは熟練の淑女のようだ。
その様子に、次第に旦那様がナリア様を可愛がるようになっていく。
もともと、子供には興味のない旦那様も、レイチェル様と睦まじくしていることはあり、ナリア様との接触も、シルティーナお嬢様との接触と比べると多かったのだ。
その娘が優秀だと聞くにつれ、可愛く思えるようになったのだろう。
ただそれを、お嬢様の前で、シルティーナお嬢様の前で見せつけるように振舞うのはどうなのかと、空気を読めと、私はその時旦那様の首を絞めてやりたくなった。
「お父様は、どうしてシルティの頭は撫でてくれないの?」
お嬢様が七歳の時、目鼻立ちもはっきりとし、将来とんでもない美人になるであろうことを予感させるその口から、悲しげにそう聞かれた時の私の気持ちが分かるだろうか。
お嬢様は幼い頃からずっと、自分が持っていない物をたくさんもらっている妹を、見せつけられて生きて来たのだ。
ある日遅くまで起きているので、「お嬢様、もうお休みの時間ですよ」と告げると、「もうちょっとだけ!」と嬉しそうにしていた時があった。
何をしているのかとこっそり覗いてみると、教本を手に、必死に勉強をしていた。
私の視線に気づいたのか、「お父様はお勉強が出来るとナリアを褒めていたの。きっと私も頑張れば褒めてもらえるわ!」振り返ってそう言った。
その頃の笑顔が、思えばお嬢様の最後の笑顔だったかもしれない。
お嬢様は必死に勉強していた。
それはもう、とりつかれたように、時間さえあれば机に向かっていた。
親に褒めてもらいたい。
たったそれだけのために、幼い女の子が、何時間も、下手したら一日に十時間近く机に向かい続けた。
けれどお嬢様は天才じゃなかったから、ナリア様のような才能はなかったから、それだけ勉強をしたって、あくまでも『子供にしては賢い』という程度の成果しか出すことが出来なかった。
ナリア様が『大人顔負けの天才』であるのに対抗するには、少し見劣りがしてしまった。
そして、死に物狂いで勉強をしたお嬢様に待っていたのは……。
「お前も少しはナリアを見習いなさい」という旦那様のお言葉だった。
お嬢様は賢い。すごく賢い。
天才ではなくても、努力をし続けることは出来たから。
勉強をした分だけの知性は、確かに身についていた。
同じ年頃の子供を百人連れて来たとしても、成績は上から一番か二番だろう。
しかしこの家にはナリア様がいたから、十万人に一人とも、百万人に一人と言われたとしても文句が出ないような天才がいたから、旦那様にとっては、それが普通のことになってしまっていたのだ。
年上なのにナリア様より劣るお嬢様を、出来そこないだと勘違いしたのだ。
この瞬間から、お嬢様は笑わなくなった。
部屋に閉じこもって数日間出てこなくなった。
部屋の前で控えている時に、ドアの向こうからしゃくりあげるような声が聞こえてきた時の憤りは、誰に共有してもらえば良いのだろうか。
今すぐドアを開けて抱きしめてあげたい。
旦那様がやらないなら、私がお嬢様の頭を撫でてあげたい。
目一杯甘やかして、愛情を注いであげたい。
けど、使用人という身分では、こちらから触れるなんてことはあまりにも無礼だ。出来るわけがない。
いっそ解雇されることを覚悟で愛情を伝えてみようかと、何度思ったことだろう。
けれど、この家ではもう、旦那様も、レイチェル様も、その他の使用人たちも、ナリア様を重視して、お嬢様を一番に思ってくれる人間はいない。
そう思うと、どうしても辞められないと思ってしまう。
雇われの身である以上、表立って言うことは出来ないけれど、この時から私は旦那様を軽蔑するようになった。
領主としては優れていようと、娘を差別するような人間を、私は認められなかった。
たぶん旦那様には自覚もないのだと思うが、お嬢様の視点から見ると、あからさまなまでの差別にしか見えなかったのだ。
そこからゆっくりと、お嬢様は変わって行った。徐々に声を荒げることが多くなり、次第に他人を罵倒し始めた。
ナリア様に向かって「あなたなんて所詮側室の子なのよ!」と怒鳴り付けたりもした。
そうするとナリア様は泣き喚き、家中をひっくり返したような騒動になった。
実際問題、ナリア様には非がないのだから、お嬢様の言葉は言いがかりに過ぎない。
けれど、お嬢様がこれまでどれだけ泣いて来たと思っているのか。
一度泣いただけで大きな騒動になるだなんて、あまりにも対応が違い過ぎるのではないだろうか。
お嬢様は旦那様に呼び出され、酷く叱られたようだ。
ただ、それでお嬢様は気づいてしまったのだ。
『お父様は頑張っても相手にしてくれないけれど、妹を罵倒すれば構ってくれる』
もともと親に褒められたかっただけだった。
何をしても褒めてくれないということははっきりしてしまった。
だから、せめて構ってほしい。怒られても良いから、構ってほしい。
そんな風に、思ってしまったのだろう。
それからは嬉々として、ナリア様を詰るようになった。
見ていて辛かった。
何をすれば旦那様が叱ってくれるのか。
それを探すように、罵詈雑言を吐き、散財し、家にある美術品を壊して見せた。
努力家で、他人のことを思いやる、優しい笑顔を見せるお嬢様がいなくなってしまったのかと思えた。
けれどそれは、どこか『助けて』って叫んでるようにも思えて……。
どうしてまだこんなに小さい女の子が、こんなにも苦しまなければならないのか。
憤るばかりで、何にも出来ない自分が歯がゆかった。
次第に使用人たちの評価も下がっていく。
ナリア様はあんなにも出来た方なのに、シルティーナ様は……。
陰口をよく聞くようになった。
旦那様からも呆れたような態度を取られるようになって、ますますお嬢様には味方がいなくなった。
十歳を過ぎた頃には、お嬢様は廃人のようになっていた。
朝部屋を訪れると、気だるげに、頭痛を堪えるようにしていることが多くなった。
その姿はまるで、二日酔いの娼婦みたいで、十歳の少女がここまで絶望してしまえる世界を恨んだ。
そんな生活がずっと続いていて、もう二度と、あの頃のような、無邪気な笑顔のお嬢様を拝むことは出来ないんじゃないかと思い始めた頃のこと。
あくまでも令嬢。
本人は爵位を持たない少女とはいえ、それだけの権力と財力が、彼女にはある。
そんなお嬢様のことをこんな風に言ったら、事情を知らない人からしたら何を言ってるんだと思われるだろう。
けれど敢えて言わせてもらうと、シルティーナお嬢様は恵まれない子供だ。
物心つく前に母親を亡くし、使用人に囲まれて育った。
父親はいても公務で忙しく、顔を合わせるのも、月に一度あるかどうか。
それだけなら良かったかもしれない。
母がいなかろうと、父親に会えなかろうと、それだけなら、そういうものとして受け入れることが出来ただろう。
自分の周りにいるのが使用人だけだということに疑問を持たなかっただろう。
だが、彼女には腹違いの妹がいた。
ナリアという名の、黒髪でおっとりした印象の妹がいた。
そして彼女の母親は存命だ。
側室として嫁いで来たレイチェルは、書類上ではシルティーナお嬢様の母でもある。
だが、シルティーナお嬢様の母であるイルーナ様が生前レイチェルとナリアの母娘と交流を持とうとしていなかったこともあり、亡くなった後もシルティーナお嬢様と接点を持とうとしなかった。
レイチェルにとってみれば、シルティーナお嬢様はあくまでも他人の子。それも、少し苦手な相手の子供ということでしかなかったのだろう。
しかし、大人たちにどんなやり取りがあろうと、シルティーナお嬢様には関係ない。
シルティーナお嬢様はレイチェルとナリアが睦まじく過ごす様子を目の当たりにして、いつも寂しそうにしていた。
使用人はあくまでも使用人。母親のようにシルティーナお嬢様を抱きしめることが出来るわけもないのだ。
「どうしてしるてぃにはおかあさまがいないの?」
きょとんと首を傾げて聞かれたのは、まだお嬢様が三歳だったか、四歳だったか。
亡くなったからだと告げるのは簡単だったが、いたいけな子供にはあまりにも残酷で、言葉に詰まってしまった。
答えに窮する様子で、色々と察してしまったのだろう、お嬢様はそれ以来、同じ質問をすることはなかった。
とても賢い子だ、というのは、私の意見。私だけの意見。
当時はまだ、お嬢様が今ほどの冷遇を受けてはいなかったから、中には同じように感じた人もいただろうが、その評価が今なお続いているのは、おそらく私だけだろう。
お嬢様の不運はたくさんある。
母親が亡くなったこと、父親が子供にあまり関心を持たなかったこと、妹が、優秀すぎたこと。
ナリア様は本当に優秀だった。
少し学んだだけで読み書きが出来るようになり、家庭教師が驚くほどの速度で計算を修め、まだ子供だというのにマナーは熟練の淑女のようだ。
その様子に、次第に旦那様がナリア様を可愛がるようになっていく。
もともと、子供には興味のない旦那様も、レイチェル様と睦まじくしていることはあり、ナリア様との接触も、シルティーナお嬢様との接触と比べると多かったのだ。
その娘が優秀だと聞くにつれ、可愛く思えるようになったのだろう。
ただそれを、お嬢様の前で、シルティーナお嬢様の前で見せつけるように振舞うのはどうなのかと、空気を読めと、私はその時旦那様の首を絞めてやりたくなった。
「お父様は、どうしてシルティの頭は撫でてくれないの?」
お嬢様が七歳の時、目鼻立ちもはっきりとし、将来とんでもない美人になるであろうことを予感させるその口から、悲しげにそう聞かれた時の私の気持ちが分かるだろうか。
お嬢様は幼い頃からずっと、自分が持っていない物をたくさんもらっている妹を、見せつけられて生きて来たのだ。
ある日遅くまで起きているので、「お嬢様、もうお休みの時間ですよ」と告げると、「もうちょっとだけ!」と嬉しそうにしていた時があった。
何をしているのかとこっそり覗いてみると、教本を手に、必死に勉強をしていた。
私の視線に気づいたのか、「お父様はお勉強が出来るとナリアを褒めていたの。きっと私も頑張れば褒めてもらえるわ!」振り返ってそう言った。
その頃の笑顔が、思えばお嬢様の最後の笑顔だったかもしれない。
お嬢様は必死に勉強していた。
それはもう、とりつかれたように、時間さえあれば机に向かっていた。
親に褒めてもらいたい。
たったそれだけのために、幼い女の子が、何時間も、下手したら一日に十時間近く机に向かい続けた。
けれどお嬢様は天才じゃなかったから、ナリア様のような才能はなかったから、それだけ勉強をしたって、あくまでも『子供にしては賢い』という程度の成果しか出すことが出来なかった。
ナリア様が『大人顔負けの天才』であるのに対抗するには、少し見劣りがしてしまった。
そして、死に物狂いで勉強をしたお嬢様に待っていたのは……。
「お前も少しはナリアを見習いなさい」という旦那様のお言葉だった。
お嬢様は賢い。すごく賢い。
天才ではなくても、努力をし続けることは出来たから。
勉強をした分だけの知性は、確かに身についていた。
同じ年頃の子供を百人連れて来たとしても、成績は上から一番か二番だろう。
しかしこの家にはナリア様がいたから、十万人に一人とも、百万人に一人と言われたとしても文句が出ないような天才がいたから、旦那様にとっては、それが普通のことになってしまっていたのだ。
年上なのにナリア様より劣るお嬢様を、出来そこないだと勘違いしたのだ。
この瞬間から、お嬢様は笑わなくなった。
部屋に閉じこもって数日間出てこなくなった。
部屋の前で控えている時に、ドアの向こうからしゃくりあげるような声が聞こえてきた時の憤りは、誰に共有してもらえば良いのだろうか。
今すぐドアを開けて抱きしめてあげたい。
旦那様がやらないなら、私がお嬢様の頭を撫でてあげたい。
目一杯甘やかして、愛情を注いであげたい。
けど、使用人という身分では、こちらから触れるなんてことはあまりにも無礼だ。出来るわけがない。
いっそ解雇されることを覚悟で愛情を伝えてみようかと、何度思ったことだろう。
けれど、この家ではもう、旦那様も、レイチェル様も、その他の使用人たちも、ナリア様を重視して、お嬢様を一番に思ってくれる人間はいない。
そう思うと、どうしても辞められないと思ってしまう。
雇われの身である以上、表立って言うことは出来ないけれど、この時から私は旦那様を軽蔑するようになった。
領主としては優れていようと、娘を差別するような人間を、私は認められなかった。
たぶん旦那様には自覚もないのだと思うが、お嬢様の視点から見ると、あからさまなまでの差別にしか見えなかったのだ。
そこからゆっくりと、お嬢様は変わって行った。徐々に声を荒げることが多くなり、次第に他人を罵倒し始めた。
ナリア様に向かって「あなたなんて所詮側室の子なのよ!」と怒鳴り付けたりもした。
そうするとナリア様は泣き喚き、家中をひっくり返したような騒動になった。
実際問題、ナリア様には非がないのだから、お嬢様の言葉は言いがかりに過ぎない。
けれど、お嬢様がこれまでどれだけ泣いて来たと思っているのか。
一度泣いただけで大きな騒動になるだなんて、あまりにも対応が違い過ぎるのではないだろうか。
お嬢様は旦那様に呼び出され、酷く叱られたようだ。
ただ、それでお嬢様は気づいてしまったのだ。
『お父様は頑張っても相手にしてくれないけれど、妹を罵倒すれば構ってくれる』
もともと親に褒められたかっただけだった。
何をしても褒めてくれないということははっきりしてしまった。
だから、せめて構ってほしい。怒られても良いから、構ってほしい。
そんな風に、思ってしまったのだろう。
それからは嬉々として、ナリア様を詰るようになった。
見ていて辛かった。
何をすれば旦那様が叱ってくれるのか。
それを探すように、罵詈雑言を吐き、散財し、家にある美術品を壊して見せた。
努力家で、他人のことを思いやる、優しい笑顔を見せるお嬢様がいなくなってしまったのかと思えた。
けれどそれは、どこか『助けて』って叫んでるようにも思えて……。
どうしてまだこんなに小さい女の子が、こんなにも苦しまなければならないのか。
憤るばかりで、何にも出来ない自分が歯がゆかった。
次第に使用人たちの評価も下がっていく。
ナリア様はあんなにも出来た方なのに、シルティーナ様は……。
陰口をよく聞くようになった。
旦那様からも呆れたような態度を取られるようになって、ますますお嬢様には味方がいなくなった。
十歳を過ぎた頃には、お嬢様は廃人のようになっていた。
朝部屋を訪れると、気だるげに、頭痛を堪えるようにしていることが多くなった。
その姿はまるで、二日酔いの娼婦みたいで、十歳の少女がここまで絶望してしまえる世界を恨んだ。
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