悪役令嬢は鼻歌を歌う

さんごさん

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ヒロイン2

スピーチ

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 先生の長話が終わった。

 だからといって、入学式が終わったわけではない。
 先生に続いては生徒代表の挨拶だ。

 最初に出て来たのは黒い髪に、青い瞳の男の子だ。
 蝋人形のような、美しい人だった。

 髭の一本すら生えていないような、遠目に見ても美人だと分かる顔だ。
 私も含めてだけれど、女の子はみんな『勝てない』と思ったことだろう。

 それくらい綺麗な人。

 体育館に来る前に出会った、銀髪銀眼の人とどちらが綺麗だろうか。
 彼の登場と共に、女生徒たちから歓声が上がる。
 どうやらかなり有名な人らしい。

 在校生代表として紹介された彼は、ラウル・イスラと名乗った。

 現在三年生で、生徒会長をしているらしい。

 私が彼を見たのは初めてだったけれど、その名前くらいはさすがに知っていた。
 イスラ公爵家の嫡男だ。

 美貌の次期公爵様だから、女子生徒が騒ぐのも当然なのかもしれない。
 理路整然と新入生に対する祝辞を述べた彼は、とても聡明に見えた。

 でもとっても、冷たそうな人。

 私が勝手にそう感じただけで、実際には優しい人なのかもしれない。
 でも遠くから見ただけだと、人間味のない冷たそうな人に見えた。

「三年という短い学園生活を、素晴らしい物にしてほしい」

 そう言ってラウル・イスラ生徒会長は舞台を降りた。
 次に姿を見せたのは、銀髪銀眼の男の子だ。

「あの人……」

 そう、ついさっき、木から落ちたところを助けてくれた人。

 彼もさっきの生徒会長と同じくらい綺麗な人だった。
 けれど会場から上がる声は、対局的なものだ。

 生徒会長が歓声を受けていたのに対し、銀髪銀眼の彼に対して上がる声は、悲鳴やひそひそと聞こえる蔭口。
 おおよそ、好意的なものとは思えない。

 彼は第三王子で、ロイド・ルインクルードと名乗った。

 身分でも、美貌でも生徒会長に負けることのない高貴な人。
 なのに、彼に対して好意的な感情を持つ人は少ないようだ。

 王子様だったんだ……。

 中には憎らしげに睨みつけている人もいる。

 どうして、こんなに嫌われているのだろう……?

 よっぽど嫌な人なのかとも思うが、さっきの対応からすると、良い人そうだ。
 悪い人だったら、自分も危険があるかもしれないのに、木から落ちた私を助けたりはしないだろう。

 あんなに綺麗な顔をした王子様なのに、女子生徒からすら嫌われている理由が分からず、困惑する。

「皆で切磋琢磨し、共に成長して行こう」

 そう言って、ロイド殿下のスピーチは終わった。

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