2 / 26
2.暗闇の声の主
しおりを挟む
「キャァー!」
突然聞こえた男の声に、ベリーナは腰を抜かしその場にへたり込んでしまった。
「さすがにそこまで驚くなんて大袈裟ではないのか」
テラスから続く暗がりの中から聞こえるその声は、一気に不満げな声色へと変わる。
だが、その声の主は一向に姿を見せない。
「あっ……あっ」
正体のわからない恐怖に、ベリーナは声のする方を見つめたまま体を震わせた。
「聞こえていないのか。返事くらいしてくれないか」
「きっ、きっ、聞こえております!」
勇気を振り絞りベリーナは叫んだ。
(まっ、まさか幽霊?)
王城に幽霊が出るなど噂にも聞いたことはない。
だが、今日はやけに月が綺麗な上に、辺りは人の気配もなく物静か。
先ほどから吹き始めた冷たい風がベリーナの体温を奪い始めていたのも事実だ。
「いっ、いっ、一体私に何のご用でしょうか」
暗闇を凝視しながら、か細い声でベリーナは立ち向かう。
「できれば先ほどの質問に答えてほしいんだが……どうした? 体調でも悪くなったか」
「すっ、姿が見えない方とお話するなんて初めてですもの! 体の力が抜けてしまって」
暗闇の声の主に震えながらも、懸命に声を上げたベリーナは言い終えると弱々しく息を吐いた。
「見えない……あっ、いや申し訳なかった。月明かりがこちらまで届いていなかったか」
暗闇の声の主はやっと自分の状況を理解できたのか、コツコツとゆったりとした足音を立てベリーナへと近付く。
(足音が聞こえる! なら幽霊ではないのね)
相手が人間だと確信した彼女は素早く立ち上がり急いでドレスの裾を整えると、姿勢を正し完璧な令嬢として彼を出迎える。
暗がりから月明かりの元へと暗闇の声の主が徐々にその姿を現す。
闇夜でも艶やかに光る黒いエナメルの靴はベリーナのそれよりも遥かに大きく、彼の体格の良さが伺える。
徐々に見えてくるスラリと伸びた足。仕立ての良い燕尾服が彼の鍛えた体をより一層魅力的に見せていた。
そして、ついにベリーナの前に姿を現した声の主。
「貴方は……」
社交界の話題に疎いベリーナですら、その男性の顔には見覚えがあった。
「名乗りもせずいきなり声をかけるなど、存外無作法だったな。私はファラン公爵家のカミロ・ファランだ」
彼の自信に溢れた振る舞いに見惚れていたベリーナだが、ハッと気付き綺麗なカーテシーを披露する。
「とんでもございません。私の方こそ先ほどのご無礼をお許しください。モリス伯爵家ベリーナ・モリスと申します」
「あぁ、貴女がモリス家の……こうして話をするのは初めてか」
「お声をかけていただき光栄でございます」
ベリーナが畏って頭を下げると、なぜかカミロはクスクスと笑い出した。
「いや、すまない。まさか幽霊に間違われるとは」
「情けない姿をお見せしてしまい、本当に申し訳ございませんでした」
照れながら深々と頭を下げるベリーナにカミロは軽く頭を振った。
「気にしないでくれ。いきなり暗がりから声がすれば驚くのも当然だ。しかもこんなナリではな」
自嘲気味に笑うカミロは無造作に伸ばした髪をわざと乱暴に掻き上げた。
「髪型くらいはちゃんとしてきた方がよかったか……」
軽くオールバックにしただけで先ほどよりも色っぽく見えるのは、明らかに彼の容姿の良さのおかげだろう。
「いえ、滅相もございません。ところでファラン公爵様、私に何かご用があったのでは……」
「あぁ、そうだった。ベリーナ嬢、よければ私の質問に対する答えをくれないか?」
「質問、ですか?」
「あぁ、君はさっき随分とおかしなことを言ってただろう。なぜそんなことを言うのか、私には一切理解ができなかった」
「そんなおかしなことを言ってたでしょうか」
「自覚なしか、それは余計に心配だ」
一方的な物言いにベリーナは僅かに顔を引き攣らせた。
「恐れながらファラン公爵様、全く自覚がございませんのでお教えいただけないでしょうか?」
「ほぅ……」
臆することなくしっかりと自分の意見を述べるベリーナの凛とした姿に、カミロは目を見張った。
「確かに貴女の言う通りだ。なら、はっきり言おう」
ベリーナは彼に気付かれないよう静かに息を飲む。
「先ほど貴女の言った言葉の真意を教えてほしい」
「先ほど言った言葉……ですか?」
首を傾げるベリーナにカミロは少し苛立ちを見せる。
「言っただろう。『お腹いっぱいだ。では次の料理を取りにいきましょう』と」
独り言を聞かれた恥ずかしさでベリーナの顔は一気に真っ赤になっていく。
「盗み聞きをしたようですまない」
「いえ、私こそ誰もいないと思っていたとはいえ、安易に本音を漏らすなんて淑女として浅はかでした」
頭を下げるベリーナにカミロは小さくため息をつく。
「正直こうした場はどうにも苦手で……少し休もうと適当に入った先に貴女がいたんだ。決して後を追ってきたわけではないんだ」
「もちろん承知しております。私のようなものにそういった感情を抱く殿方はいらっしゃいませんもの」
そう自分を卑下しながら綺麗に微笑むベリーナ。
(彼女の華やかな容姿ならばむしろ引くて数多だと思うのだが、その自覚なしか)
「……公爵様?」
「あぁ、すまない。とにかく先程の貴女の言葉の真意が知りたい。偶然耳にしてしまったが、あまりに興味深くて」
「そんなにおかしなことを言っていたでしょうか?」
「あぁ。元来、食事とは生きるために必要な栄養を摂取するためのもの。まず満腹になるまで食べる意味はない」
「意味はない……?」
「しかも、すでに空腹が満たされているというのにさらに食べる? 無駄だろう」
「無駄……」
その言葉にベリーナの中で何かが切れた。
「お言葉ですが、公爵様は食事が何たるかも分からずそんなご冗談を?」
「いや、冗談ではなく……」
「ご冗談ではない? ならば余計にお伝えしなければいけませんね」
先ほどまでの完璧な淑女の振る舞いは鳴りをひそめ、ベリーナは好戦的な視線でカミロを捉えまっすぐに見据え微笑んだ。
「たとえ公爵様といえど、食事を軽んじるお方をこのままお帰し致しませんことよ」
突然聞こえた男の声に、ベリーナは腰を抜かしその場にへたり込んでしまった。
「さすがにそこまで驚くなんて大袈裟ではないのか」
テラスから続く暗がりの中から聞こえるその声は、一気に不満げな声色へと変わる。
だが、その声の主は一向に姿を見せない。
「あっ……あっ」
正体のわからない恐怖に、ベリーナは声のする方を見つめたまま体を震わせた。
「聞こえていないのか。返事くらいしてくれないか」
「きっ、きっ、聞こえております!」
勇気を振り絞りベリーナは叫んだ。
(まっ、まさか幽霊?)
王城に幽霊が出るなど噂にも聞いたことはない。
だが、今日はやけに月が綺麗な上に、辺りは人の気配もなく物静か。
先ほどから吹き始めた冷たい風がベリーナの体温を奪い始めていたのも事実だ。
「いっ、いっ、一体私に何のご用でしょうか」
暗闇を凝視しながら、か細い声でベリーナは立ち向かう。
「できれば先ほどの質問に答えてほしいんだが……どうした? 体調でも悪くなったか」
「すっ、姿が見えない方とお話するなんて初めてですもの! 体の力が抜けてしまって」
暗闇の声の主に震えながらも、懸命に声を上げたベリーナは言い終えると弱々しく息を吐いた。
「見えない……あっ、いや申し訳なかった。月明かりがこちらまで届いていなかったか」
暗闇の声の主はやっと自分の状況を理解できたのか、コツコツとゆったりとした足音を立てベリーナへと近付く。
(足音が聞こえる! なら幽霊ではないのね)
相手が人間だと確信した彼女は素早く立ち上がり急いでドレスの裾を整えると、姿勢を正し完璧な令嬢として彼を出迎える。
暗がりから月明かりの元へと暗闇の声の主が徐々にその姿を現す。
闇夜でも艶やかに光る黒いエナメルの靴はベリーナのそれよりも遥かに大きく、彼の体格の良さが伺える。
徐々に見えてくるスラリと伸びた足。仕立ての良い燕尾服が彼の鍛えた体をより一層魅力的に見せていた。
そして、ついにベリーナの前に姿を現した声の主。
「貴方は……」
社交界の話題に疎いベリーナですら、その男性の顔には見覚えがあった。
「名乗りもせずいきなり声をかけるなど、存外無作法だったな。私はファラン公爵家のカミロ・ファランだ」
彼の自信に溢れた振る舞いに見惚れていたベリーナだが、ハッと気付き綺麗なカーテシーを披露する。
「とんでもございません。私の方こそ先ほどのご無礼をお許しください。モリス伯爵家ベリーナ・モリスと申します」
「あぁ、貴女がモリス家の……こうして話をするのは初めてか」
「お声をかけていただき光栄でございます」
ベリーナが畏って頭を下げると、なぜかカミロはクスクスと笑い出した。
「いや、すまない。まさか幽霊に間違われるとは」
「情けない姿をお見せしてしまい、本当に申し訳ございませんでした」
照れながら深々と頭を下げるベリーナにカミロは軽く頭を振った。
「気にしないでくれ。いきなり暗がりから声がすれば驚くのも当然だ。しかもこんなナリではな」
自嘲気味に笑うカミロは無造作に伸ばした髪をわざと乱暴に掻き上げた。
「髪型くらいはちゃんとしてきた方がよかったか……」
軽くオールバックにしただけで先ほどよりも色っぽく見えるのは、明らかに彼の容姿の良さのおかげだろう。
「いえ、滅相もございません。ところでファラン公爵様、私に何かご用があったのでは……」
「あぁ、そうだった。ベリーナ嬢、よければ私の質問に対する答えをくれないか?」
「質問、ですか?」
「あぁ、君はさっき随分とおかしなことを言ってただろう。なぜそんなことを言うのか、私には一切理解ができなかった」
「そんなおかしなことを言ってたでしょうか」
「自覚なしか、それは余計に心配だ」
一方的な物言いにベリーナは僅かに顔を引き攣らせた。
「恐れながらファラン公爵様、全く自覚がございませんのでお教えいただけないでしょうか?」
「ほぅ……」
臆することなくしっかりと自分の意見を述べるベリーナの凛とした姿に、カミロは目を見張った。
「確かに貴女の言う通りだ。なら、はっきり言おう」
ベリーナは彼に気付かれないよう静かに息を飲む。
「先ほど貴女の言った言葉の真意を教えてほしい」
「先ほど言った言葉……ですか?」
首を傾げるベリーナにカミロは少し苛立ちを見せる。
「言っただろう。『お腹いっぱいだ。では次の料理を取りにいきましょう』と」
独り言を聞かれた恥ずかしさでベリーナの顔は一気に真っ赤になっていく。
「盗み聞きをしたようですまない」
「いえ、私こそ誰もいないと思っていたとはいえ、安易に本音を漏らすなんて淑女として浅はかでした」
頭を下げるベリーナにカミロは小さくため息をつく。
「正直こうした場はどうにも苦手で……少し休もうと適当に入った先に貴女がいたんだ。決して後を追ってきたわけではないんだ」
「もちろん承知しております。私のようなものにそういった感情を抱く殿方はいらっしゃいませんもの」
そう自分を卑下しながら綺麗に微笑むベリーナ。
(彼女の華やかな容姿ならばむしろ引くて数多だと思うのだが、その自覚なしか)
「……公爵様?」
「あぁ、すまない。とにかく先程の貴女の言葉の真意が知りたい。偶然耳にしてしまったが、あまりに興味深くて」
「そんなにおかしなことを言っていたでしょうか?」
「あぁ。元来、食事とは生きるために必要な栄養を摂取するためのもの。まず満腹になるまで食べる意味はない」
「意味はない……?」
「しかも、すでに空腹が満たされているというのにさらに食べる? 無駄だろう」
「無駄……」
その言葉にベリーナの中で何かが切れた。
「お言葉ですが、公爵様は食事が何たるかも分からずそんなご冗談を?」
「いや、冗談ではなく……」
「ご冗談ではない? ならば余計にお伝えしなければいけませんね」
先ほどまでの完璧な淑女の振る舞いは鳴りをひそめ、ベリーナは好戦的な視線でカミロを捉えまっすぐに見据え微笑んだ。
「たとえ公爵様といえど、食事を軽んじるお方をこのままお帰し致しませんことよ」
0
あなたにおすすめの小説
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
過労薬師です。冷酷無慈悲と噂の騎士様に心配されるようになりました。
黒猫とと
恋愛
王都西区で薬師として働くソフィアは毎日大忙し。かかりつけ薬師として常備薬の準備や急患の対応をたった1人でこなしている。
明るく振舞っているが、完全なるブラック企業と化している。
そんな過労薬師の元には冷徹無慈悲と噂の騎士様が差し入れを持って訪ねてくる。
………何でこんな事になったっけ?
【完結】魔力ゼロと捨てられた私を、王子がなぜか離してくれません ――無自覚聖女の王宮生活――
ムラサメ
恋愛
伯爵家で使用人同然に扱われてきた少女、エリナ。
魔力も才能もないとされ、義妹アリシアの影で静かに生きていた。
ある日、王国第一王子カイルの視察で運命が動き出す。
誰も気づかなかった“違和感”に、彼だけが目を留めて――。
男装の側近 〜双子の妹は腹黒王子の溺愛からは逃げられない〜
恋せよ恋
恋愛
「お前、なんだか......女っぽいよな?」
病弱な兄の身代わりで、男装し学園に入学したレオーネ。
完璧で美麗な騎士「レオン」として、
冷徹な第二王子・マクシミリアンの側近となったが……
実は殿下には、初日から正体がバレていた!?
「俺を守って死ぬと言ったな。ならば一生、俺の隣で飼い殺されろ」
戦場では背中を預け合い、寝室では甘く追い詰められる。
正体がバレたら即破滅の「替え玉側近ライフ」は、
王子の執着全開な溺愛ルートへと強制突入する――!
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
前世で私を捨てた皇太子が、今世ではなぜか執着してきます。でも私は静王妃なので『皇叔母様』と呼ばせます
由香
恋愛
沈薬は前世、皇太子の妃だった。
だが彼の寵愛は側室へ移り、沈薬は罪もなく冷宮へ送られ――孤独の中で死んだ。
そして目を覚ますと、賜婚宴の日に戻っていた。
二度目の人生。
沈薬は迷わず皇太子ではなく、皇帝の弟である静王を選ぶ。
ただしその夫は、戦で重傷を負い昏睡中だった。
「今世は静かに生きられればそれでいい」
そう思っていたのに――
奇跡的に目覚めた静王は、沈薬を誰よりも大切にしてくれた。
さらにある日。
皇太子が前世の記憶を思い出してしまう。
「沈薬は俺の妃だった」
だが沈薬は微笑んで言う。
「殿下、私は静王妃です」
今の関係は――
皇叔母様。
前世で捨てた女を取り戻そうとする皇太子。
それを静かに守る静王。
宮廷を揺るがす執着と溺愛の物語。
【完結】無能と追放された魔導鍛冶師、最強の騎士に拾われ溺愛される
ムラサメ
恋愛
「君の打つ剣は輝きが足りない。もっと華やかに光る、騎士団の象徴となる剣を打てないのか」
実家の鍛冶屋からも、婚約者である騎士団長カイルからも「無能」と切り捨てられた鍛冶師・メル。不純物を削ぎ落とし、使い手の命を守るためだけに特化した彼女の「究極の業」は、美しさを求める凡夫たちには理解されなかった。
冷たい雨の中、行き場を失い魔物に襲われた彼女を救ったのは、隣国の至宝であり、その強すぎる魔力ゆえに触れる武器すべてを粉砕してしまう最強の騎士――アルベールだった。
圧倒的な武力で魔物を屠り、砕けた愛剣を悲しげに見つめるアルベール。周囲がその「化け物じみた力」を恐れて遠巻きにする中で、メルだけは違った。彼女は泥にまみれた鉄の破片を拾い上げ、おっとりと微笑む。
「……騎士様。この子は、あなたの力に応えようとして、精一杯頑張ったみたいですよ」
その場で振るわれたメルのハンマーが、世界で唯一、アルベールの全力を受け止める「不壊の剣」を産み落とした瞬間――最強ゆえに孤独だった英雄の運命が、狂おしく回り始める。
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる