74 / 102
52
今日は王宮でウィルフォードと月一のお茶会だ。
暇さえあれば一緒に居るので、畏まっての茶会は、今さら必要ないんじゃないかと思ってしまう。
今着ている服も、いつのもワンピースドレスではなく、少しお洒落な簡易ドレスだ。
コルセットが無いだけ楽だけど、ワンピースに比べると窮屈に感じる。
朝、母が部屋へやって来て『このドレスにしなさい』と押し付けて行ったのだ。
17歳の私には、少々可愛らしいピンク色のドレスを残して母は退出して行ったのである。
そして、準備を整えて馬車へと乗り込む。
王宮へ着くと、いつもの様にハーパーさんがエスコートをしてくれた。
世間話をしながら王宮の庭園への扉を通り過ぎた時にハーパーさんが『今日はいい日になりそうですね』と言う。
その言葉で、私は空を見上げた。
・・・確かに。
空は晴れ渡り、日差しが眩しい。
暖かい夏の風が優しく包み込んでくれる。
「ええ。そうですね」
そう笑顔で返し、ガゼボへと向かったのであった。
ローズガーデンはウィルフォードと初めて会った場所だ。
あれ以来、来ていないので懐かしさを感じる。
もう、12年は経つのね。
とても考え深く、昔の事を指でなぞる様に思い出していく。
・・・本当に色々あったわね。
楽しい事、辛い事、悲しい事、嬉しい事。
今となっては、全てが私の宝物だ。
昔の出来事に想いを馳せていたら、ウィルフォードが目の前に現れた。
見ると、出会った頃と色彩が似ているフォーマルスーツを着ている。
あの頃に戻ったように感じた。
「フェアリエル、もう一度ここから始めたいと思ったんだ」
そう言って、ウィルフォードは跪き、私の手を取った。
「私、ウィルフォード・ネイトピアはフェアリエル・クリーヴランドを生涯愛すると誓う。
君以外は考えられない。
どうか、私の妻となってはくれないだろうか?」
そう恭しく接して来たのだ。
私は思わず笑ってしまった。
「ふふっ。ええ。私も心から、貴方様をお慕いしております。
是非に、お願い致しますわ」
私の返事にウィルフォードは感極まったのか、いきなり抱きついて来た。
私はウィルフォードの背中をトントンと優しく叩く。
彼はこの前から妙に泣き虫になってしまったのだ。
でも、そんな彼を私は嫌いじゃない。
むしろ、私にだけ見せてくれる顔が増えた事に喜びを感じる。
ふふっ。本当に可愛い人ね。
カッコいいのも、可愛いのも、ウィルフォードだから、どちらでも好きなのだ。
少し落ち着いたウィルフォードが私に箱を差し出して来た。
まさか!?前世で憧れていた、箱パカでは!?
と胸がトキメク。
だが、指輪にしてはかなり大きな箱だった。
ウィルフォードが箱を開けて中身を見せてくれる。
そこには、透明な水晶玉が2つ入っていたのだった。
「これは、マジッククレーなんだ」
・・・え?
こんな色は見た事が無い。
何の属性なんだろう。と考えていると、ウィルフォードが再び口を開いた。
「少し時間はかかってしまったが、この日の為に前々から作っていたんだ。
フェアリエルが言っていた【瞬間移動】が出来る物だよ」
「うそ?・・・本当に?」
「ああ。毎日は無理だが、これで、以前話してくれた、のんびり田舎暮らしができるだろう?」
そう言って微笑むウィルフォードを見て、私は何も言えずに息を呑んだのだ。
・・・・うれしい。
嬉し過ぎて泣いてしまう。
私は、田舎暮らしが出来る事にではなく、ウィルフォードが私の夢を大切に思い、寄り添ってくれた事に心が震えたのだ。
・・・ああ。
私は彼を好きになって良かった。
心からそう思えたのだった。
暇さえあれば一緒に居るので、畏まっての茶会は、今さら必要ないんじゃないかと思ってしまう。
今着ている服も、いつのもワンピースドレスではなく、少しお洒落な簡易ドレスだ。
コルセットが無いだけ楽だけど、ワンピースに比べると窮屈に感じる。
朝、母が部屋へやって来て『このドレスにしなさい』と押し付けて行ったのだ。
17歳の私には、少々可愛らしいピンク色のドレスを残して母は退出して行ったのである。
そして、準備を整えて馬車へと乗り込む。
王宮へ着くと、いつもの様にハーパーさんがエスコートをしてくれた。
世間話をしながら王宮の庭園への扉を通り過ぎた時にハーパーさんが『今日はいい日になりそうですね』と言う。
その言葉で、私は空を見上げた。
・・・確かに。
空は晴れ渡り、日差しが眩しい。
暖かい夏の風が優しく包み込んでくれる。
「ええ。そうですね」
そう笑顔で返し、ガゼボへと向かったのであった。
ローズガーデンはウィルフォードと初めて会った場所だ。
あれ以来、来ていないので懐かしさを感じる。
もう、12年は経つのね。
とても考え深く、昔の事を指でなぞる様に思い出していく。
・・・本当に色々あったわね。
楽しい事、辛い事、悲しい事、嬉しい事。
今となっては、全てが私の宝物だ。
昔の出来事に想いを馳せていたら、ウィルフォードが目の前に現れた。
見ると、出会った頃と色彩が似ているフォーマルスーツを着ている。
あの頃に戻ったように感じた。
「フェアリエル、もう一度ここから始めたいと思ったんだ」
そう言って、ウィルフォードは跪き、私の手を取った。
「私、ウィルフォード・ネイトピアはフェアリエル・クリーヴランドを生涯愛すると誓う。
君以外は考えられない。
どうか、私の妻となってはくれないだろうか?」
そう恭しく接して来たのだ。
私は思わず笑ってしまった。
「ふふっ。ええ。私も心から、貴方様をお慕いしております。
是非に、お願い致しますわ」
私の返事にウィルフォードは感極まったのか、いきなり抱きついて来た。
私はウィルフォードの背中をトントンと優しく叩く。
彼はこの前から妙に泣き虫になってしまったのだ。
でも、そんな彼を私は嫌いじゃない。
むしろ、私にだけ見せてくれる顔が増えた事に喜びを感じる。
ふふっ。本当に可愛い人ね。
カッコいいのも、可愛いのも、ウィルフォードだから、どちらでも好きなのだ。
少し落ち着いたウィルフォードが私に箱を差し出して来た。
まさか!?前世で憧れていた、箱パカでは!?
と胸がトキメク。
だが、指輪にしてはかなり大きな箱だった。
ウィルフォードが箱を開けて中身を見せてくれる。
そこには、透明な水晶玉が2つ入っていたのだった。
「これは、マジッククレーなんだ」
・・・え?
こんな色は見た事が無い。
何の属性なんだろう。と考えていると、ウィルフォードが再び口を開いた。
「少し時間はかかってしまったが、この日の為に前々から作っていたんだ。
フェアリエルが言っていた【瞬間移動】が出来る物だよ」
「うそ?・・・本当に?」
「ああ。毎日は無理だが、これで、以前話してくれた、のんびり田舎暮らしができるだろう?」
そう言って微笑むウィルフォードを見て、私は何も言えずに息を呑んだのだ。
・・・・うれしい。
嬉し過ぎて泣いてしまう。
私は、田舎暮らしが出来る事にではなく、ウィルフォードが私の夢を大切に思い、寄り添ってくれた事に心が震えたのだ。
・・・ああ。
私は彼を好きになって良かった。
心からそう思えたのだった。
あなたにおすすめの小説
【完結】セクハラ護衛騎士と婚約者の観察日記
buchi
恋愛
ハンナは実は大富豪でもある伯爵家の娘。地味でおとなしいので、公爵家の一人娘の婿の座を狙う婚約者から邪魔者扱いされて、婚約破棄を宣言されてしまう。成績は優秀なので王女殿下のご学友に選ばれるが、いつも同席する双子の王子殿下に見染められてしまった。ただし王子殿下は、なぜか変装中で……変装王子と紡ぐ「真実の愛」物語。王道のザマアのはず(ちょっと違う気もするけど、いつものことさっ) 完結しました。
当て馬令息の婚約者になったので美味しいお菓子を食べながら聖女との恋を応援しようと思います!
朱音ゆうひ@4月1日新刊発売!
恋愛
「わたくし、当て馬令息の婚約者では?」
伯爵令嬢コーデリアは家同士が決めた婚約者ジャスティンと出会った瞬間、前世の記憶を思い出した。
ここは小説に出てくる世界で、当て馬令息ジャスティンは聖女に片思いするキャラ。婚約者に遠慮してアプローチできないまま失恋する優しいお兄様系キャラで、前世での推しだったのだ。
「わたくし、ジャスティン様の恋を応援しますわ」
推しの幸せが自分の幸せ! あとお菓子が美味しい!
特に小説では出番がなく悪役令嬢でもなんでもない脇役以前のモブキャラ(?)コーデリアは、全力でジャスティンを応援することにした!
※ゆるゆるほんわかハートフルラブコメ。
サブキャラに軽く百合カップルが出てきたりします
他サイトにも掲載しています( https://ncode.syosetu.com/n5753hy/ )
家族から邪魔者扱いされた私が契約婚した宰相閣下、実は完璧すぎるスパダリでした。仕事も家事も甘やかしも全部こなしてきます
さら
恋愛
家族から「邪魔者」扱いされ、行き場を失った伯爵令嬢レイナ。
望まぬ結婚から逃げ出したはずの彼女が出会ったのは――冷徹無比と恐れられる宰相閣下アルベルト。
「契約でいい。君を妻として迎える」
そう告げられ始まった仮初めの結婚生活。
けれど、彼は噂とはまるで違っていた。
政務を完璧にこなし、家事も器用に手伝い、そして――妻をとことん甘やかす完璧なスパダリだったのだ。
「君はもう“邪魔者”ではない。私の誇りだ」
契約から始まった関係は、やがて真実の絆へ。
陰謀や噂に立ち向かいながら、互いを支え合う二人は、次第に心から惹かれ合っていく。
これは、冷徹宰相×追放令嬢の“契約婚”からはじまる、甘々すぎる愛の物語。
指輪に誓う未来は――永遠の「夫婦」。
狂おしいほど愛しています、なのでよそへと嫁ぐことに致します
ちより
恋愛
侯爵令嬢のカレンは分別のあるレディだ。頭の中では初恋のエル様のことでいっぱいになりながらも、一切そんな素振りは見せない徹底ぶりだ。
愛するエル様、神々しくも真面目で思いやりあふれるエル様、その残り香だけで胸いっぱいですわ。
頭の中は常にエル様一筋のカレンだが、家同士が決めた結婚で、公爵家に嫁ぐことになる。愛のない形だけの結婚と思っているのは自分だけで、実は誰よりも公爵様から愛されていることに気づかない。
公爵様からの溺愛に、不器用な恋心が反応したら大変で……両思いに慣れません。
ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく
犬野きらり
恋愛
リディア・ガルドニ(14)、本日誕生日で転生者として気付きました。私がつい先程までやっていた行動…それは、自分の婚約者に対して重い愛ではなく、ストーカー行為。
「絶対駄目ーー」
と前世の私が気づかせてくれ、そもそも何故こんな男にこだわっていたのかと目が覚めました。
何の物語かも乙女ゲームの中の人になったのかもわかりませんが、私の黒歴史は証拠隠滅、慰謝料ガッポリ、新たな出会い新たな人生に進みます。
募集 婿入り希望者
対象外は、嫡男、後継者、王族
目指せハッピーエンド(?)!!
全23話で完結です。
この作品を気に留めて下さりありがとうございます。感謝を込めて、その後(直後)2話追加しました。25話になりました。
身代わりの公爵家の花嫁は翌日から溺愛される。~初日を挽回し、溺愛させてくれ!~
湯川仁美
恋愛
姉の身代わりに公爵夫人になった。
「貴様と寝食を共にする気はない!俺に呼ばれるまでは、俺の前に姿を見せるな。声を聞かせるな」
夫と初対面の日、家族から男癖の悪い醜悪女と流され。
公爵である夫とから啖呵を切られたが。
翌日には誤解だと気づいた公爵は花嫁に好意を持ち、挽回活動を開始。
地獄の番人こと閻魔大王(善悪を判断する審判)と異名をもつ公爵は、影でプレゼントを贈り。話しかけるが、謝れない。
「愛しの妻。大切な妻。可愛い妻」とは言えない。
一度、言った言葉を撤回するのは難しい。
そして妻は普通の令嬢とは違い、媚びず、ビクビク怯えもせず普通に接してくれる。
徐々に距離を詰めていきましょう。
全力で真摯に接し、謝罪を行い、ラブラブに到着するコメディ。
第二章から口説きまくり。
第四章で完結です。
第五章に番外編を追加しました。
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】
iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
恐怖侯爵の後妻になったら、「君を愛することはない」と言われまして。
長岡更紗
恋愛
落ちぶれ子爵令嬢の私、レディアが後妻として嫁いだのは──まさかの恐怖侯爵様!
しかも初夜にいきなり「君を愛することはない」なんて言われちゃいましたが?
だけど、あれ? 娘のシャロットは、なんだかすごく懐いてくれるんですけど!
義理の娘と仲良くなった私、侯爵様のこともちょっと気になりはじめて……
もしかして、愛されるチャンスあるかも? なんて思ってたのに。
「前妻は雲隠れした」って噂と、「死んだのよ」って娘の言葉。
しかも使用人たちは全員、口をつぐんでばかり。
ねえ、どうして? 前妻さんに何があったの?
そして、地下から聞こえてくる叫び声は、一体!?
恐怖侯爵の『本当の顔』を知った時。
私の心は、思ってもみなかった方向へ動き出す。
*他サイトにも公開しています