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今日は王宮でウィルフォードと月一のお茶会だ。
暇さえあれば一緒に居るので、畏まっての茶会は、今さら必要ないんじゃないかと思ってしまう。
今着ている服も、いつのもワンピースドレスではなく、少しお洒落な簡易ドレスだ。
コルセットが無いだけ楽だけど、ワンピースに比べると窮屈に感じる。
朝、母が部屋へやって来て『このドレスにしなさい』と押し付けて行ったのだ。
17歳の私には、少々可愛らしいピンク色のドレスを残して母は退出して行ったのである。
そして、準備を整えて馬車へと乗り込む。
王宮へ着くと、いつもの様にハーパーさんがエスコートをしてくれた。
世間話をしながら王宮の庭園への扉を通り過ぎた時にハーパーさんが『今日はいい日になりそうですね』と言う。
その言葉で、私は空を見上げた。
・・・確かに。
空は晴れ渡り、日差しが眩しい。
暖かい夏の風が優しく包み込んでくれる。
「ええ。そうですね」
そう笑顔で返し、ガゼボへと向かったのであった。
ローズガーデンはウィルフォードと初めて会った場所だ。
あれ以来、来ていないので懐かしさを感じる。
もう、12年は経つのね。
とても考え深く、昔の事を指でなぞる様に思い出していく。
・・・本当に色々あったわね。
楽しい事、辛い事、悲しい事、嬉しい事。
今となっては、全てが私の宝物だ。
昔の出来事に想いを馳せていたら、ウィルフォードが目の前に現れた。
見ると、出会った頃と色彩が似ているフォーマルスーツを着ている。
あの頃に戻ったように感じた。
「フェアリエル、もう一度ここから始めたいと思ったんだ」
そう言って、ウィルフォードは跪き、私の手を取った。
「私、ウィルフォード・ネイトピアはフェアリエル・クリーヴランドを生涯愛すると誓う。
君以外は考えられない。
どうか、私の妻となってはくれないだろうか?」
そう恭しく接して来たのだ。
私は思わず笑ってしまった。
「ふふっ。ええ。私も心から、貴方様をお慕いしております。
是非に、お願い致しますわ」
私の返事にウィルフォードは感極まったのか、いきなり抱きついて来た。
私はウィルフォードの背中をトントンと優しく叩く。
彼はこの前から妙に泣き虫になってしまったのだ。
でも、そんな彼を私は嫌いじゃない。
むしろ、私にだけ見せてくれる顔が増えた事に喜びを感じる。
ふふっ。本当に可愛い人ね。
カッコいいのも、可愛いのも、ウィルフォードだから、どちらでも好きなのだ。
少し落ち着いたウィルフォードが私に箱を差し出して来た。
まさか!?前世で憧れていた、箱パカでは!?
と胸がトキメク。
だが、指輪にしてはかなり大きな箱だった。
ウィルフォードが箱を開けて中身を見せてくれる。
そこには、透明な水晶玉が2つ入っていたのだった。
「これは、マジッククレーなんだ」
・・・え?
こんな色は見た事が無い。
何の属性なんだろう。と考えていると、ウィルフォードが再び口を開いた。
「少し時間はかかってしまったが、この日の為に前々から作っていたんだ。
フェアリエルが言っていた【瞬間移動】が出来る物だよ」
「うそ?・・・本当に?」
「ああ。毎日は無理だが、これで、以前話してくれた、のんびり田舎暮らしができるだろう?」
そう言って微笑むウィルフォードを見て、私は何も言えずに息を呑んだのだ。
・・・・うれしい。
嬉し過ぎて泣いてしまう。
私は、田舎暮らしが出来る事にではなく、ウィルフォードが私の夢を大切に思い、寄り添ってくれた事に心が震えたのだ。
・・・ああ。
私は彼を好きになって良かった。
心からそう思えたのだった。
暇さえあれば一緒に居るので、畏まっての茶会は、今さら必要ないんじゃないかと思ってしまう。
今着ている服も、いつのもワンピースドレスではなく、少しお洒落な簡易ドレスだ。
コルセットが無いだけ楽だけど、ワンピースに比べると窮屈に感じる。
朝、母が部屋へやって来て『このドレスにしなさい』と押し付けて行ったのだ。
17歳の私には、少々可愛らしいピンク色のドレスを残して母は退出して行ったのである。
そして、準備を整えて馬車へと乗り込む。
王宮へ着くと、いつもの様にハーパーさんがエスコートをしてくれた。
世間話をしながら王宮の庭園への扉を通り過ぎた時にハーパーさんが『今日はいい日になりそうですね』と言う。
その言葉で、私は空を見上げた。
・・・確かに。
空は晴れ渡り、日差しが眩しい。
暖かい夏の風が優しく包み込んでくれる。
「ええ。そうですね」
そう笑顔で返し、ガゼボへと向かったのであった。
ローズガーデンはウィルフォードと初めて会った場所だ。
あれ以来、来ていないので懐かしさを感じる。
もう、12年は経つのね。
とても考え深く、昔の事を指でなぞる様に思い出していく。
・・・本当に色々あったわね。
楽しい事、辛い事、悲しい事、嬉しい事。
今となっては、全てが私の宝物だ。
昔の出来事に想いを馳せていたら、ウィルフォードが目の前に現れた。
見ると、出会った頃と色彩が似ているフォーマルスーツを着ている。
あの頃に戻ったように感じた。
「フェアリエル、もう一度ここから始めたいと思ったんだ」
そう言って、ウィルフォードは跪き、私の手を取った。
「私、ウィルフォード・ネイトピアはフェアリエル・クリーヴランドを生涯愛すると誓う。
君以外は考えられない。
どうか、私の妻となってはくれないだろうか?」
そう恭しく接して来たのだ。
私は思わず笑ってしまった。
「ふふっ。ええ。私も心から、貴方様をお慕いしております。
是非に、お願い致しますわ」
私の返事にウィルフォードは感極まったのか、いきなり抱きついて来た。
私はウィルフォードの背中をトントンと優しく叩く。
彼はこの前から妙に泣き虫になってしまったのだ。
でも、そんな彼を私は嫌いじゃない。
むしろ、私にだけ見せてくれる顔が増えた事に喜びを感じる。
ふふっ。本当に可愛い人ね。
カッコいいのも、可愛いのも、ウィルフォードだから、どちらでも好きなのだ。
少し落ち着いたウィルフォードが私に箱を差し出して来た。
まさか!?前世で憧れていた、箱パカでは!?
と胸がトキメク。
だが、指輪にしてはかなり大きな箱だった。
ウィルフォードが箱を開けて中身を見せてくれる。
そこには、透明な水晶玉が2つ入っていたのだった。
「これは、マジッククレーなんだ」
・・・え?
こんな色は見た事が無い。
何の属性なんだろう。と考えていると、ウィルフォードが再び口を開いた。
「少し時間はかかってしまったが、この日の為に前々から作っていたんだ。
フェアリエルが言っていた【瞬間移動】が出来る物だよ」
「うそ?・・・本当に?」
「ああ。毎日は無理だが、これで、以前話してくれた、のんびり田舎暮らしができるだろう?」
そう言って微笑むウィルフォードを見て、私は何も言えずに息を呑んだのだ。
・・・・うれしい。
嬉し過ぎて泣いてしまう。
私は、田舎暮らしが出来る事にではなく、ウィルフォードが私の夢を大切に思い、寄り添ってくれた事に心が震えたのだ。
・・・ああ。
私は彼を好きになって良かった。
心からそう思えたのだった。
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