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じゅうなな

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「だけど………今更すぎて」

「えっ?」

「僕ときみは、生まれながらの婚約者だろう?だから、今更すぎて。どうすればいいか分からなかったんだ」

「………?」

いや、ん~~~~!?ただの言い訳にしか聞こえない。だけどそれ以上に殿下の赤くなってる顔が本当に、意外すぎて頭が回らない。それだけ衝撃が強いのだ。
私は殿下をじっと見ると、ずいっと距離を縮めた。それと同時に殿下がびくりと肩を震わす。………そう言えば、一度目の人生。殿下に触れたらさりげなく距離を取られたのは、ただ戸惑っていただけ………?私を嫌いだからじゃない………の……?

「………わたくしのことが、お嫌いですか」

「………嫌いじゃないよ。シャロ………あー、えっと。シャロ、って呼んでいいんだよね」

うわ、照れるな、と殿下は言う。
え、いや。この方誰???殿下ってこんなに初心で照れ屋だったかしら………。まるで恋を覚えたての少年のように顔を赤くしながら、横目で殿下は私を見た。
私は殿下にこくりと頷いて返す。

「………シャロ、のことは」

すごく言いにくそう。さては名前を呼ぶのも恥ずかしいの??何それ、付き合いたての恋人じゃないんだから。婚約者になったばっかでもあるまいし、どうしてこんなに初々しいの………!?
殿下は何かすごく言いにくそうにしていたが、やがて声を振り絞るようにいった。

「嫌い、じゃない。でも好きかも、分からない。ごめん。………でも、シャロ、のことは………家族のように感じているよ」

ーーーそれなら。

それなら。なぜ、私を処刑などしたの。そう口にでかかったが、それは今の人生ではない。以前のーーーもっと前。一回目の人生でだ。
私はなんとか言葉を飲み込むと、殿下の顔をじっとみた。

「………あんまり見ないで、本当に。すまない、………照れるから」

照れるから、という言葉はぎりぎり聞き取れるような声量の小ささだった。尻すぼみにそう言うと、殿下は「あー、ごめん。ダメだな」とまた独りごちる。

「とにかく、僕はこの婚約を白紙に戻す気は無い。だから………シャロ。僕が、きみを好きにさせてみせる」

「殿下………」

思わず呟く。
いや、あなたがものすごく照れてどうするのよ。どちらかというと今照れるの私でしょう。いや、照れないけれど。今更すぎる。全部。今更好きにさせる、なんて言われても、もう気持ちは消滅している。私は自分の人生のために、この婚約は破棄したいと言うのに。

「………ありがとうございます」

ふわりと微笑む。そして、私は口を開いた。
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