婚約破棄までの大切なプロセス

ごろごろみかん。

文字の大きさ
27 / 66

にじゅうろく

しおりを挟む

「………」

「シャーロット?」

私は無言でカーテンを引いた。体に悪い良いじゃなくて、こうも肌が赤くなってるのを見たらこうする以外ない。
私はちらりと殿下を見た。

「……本当にお熱はないのですよね?」

「ないよ。確かめてみる?」

「……大丈夫です」

少し悩んだが、やめておく。殿下とあまり距離は縮めたくない。余計な関わりあいはしないべきだ。そういった私に、だけど殿下は「そう」と言うのみだった。

着いたのは、王家所有の美しい湖だった。
よく有名画家や、物語の題材に使われるので私も少しは知っている。だけど来るのは三回の人生全てを合わせて初めてだった。何より、ここには嫌な思い出があったからだ。一回目の人生で、私はどうしてもここに殿下と来たかった。この美しい湖を殿下と見て、語らいたかった。だけど殿下は私の提案ん拒否しーーーと言うとり、あの頃は完全に殿下に嫌われていた。まあ何にするにせよべったりくっついてきて公私をわけない婚約者なんて嫌よね。それだけは反省している。
だけど私ら諦めきれなくて、何度も何度も突撃ーーーもとい、執務室に押しかけた。それが煩わしかったのだろう。殿下は私に湖の使用許可は与えたものの、自分は同伴しなかった。それがすごく、私は悔しくてーーー。そうそう、結局殿下はあの娘と湖に行ったんだったかしら。そう思うと忘れていた感情が顔を出す。どうしたってこのやるせない暗い感情とは付き合っていかなくてはいけないのかと思うと、うんざりする。
私は馬車から降りながら周りを見渡した。殿下が手を差し出し、エスコートしてくれる。………一回目も、一回目の人生もこんなふうにしてくれたらよかったのに。そしたら私は。

………そしたら?

「綺麗だよね。シャロはこういうの好き?」

「……まあ、人並みには」

「そう。それと、シャロ。もしかしてそれが素?」

「なんのことでございましょう?」

「玉座の間で話してた時よりも無感情と言うより………そうだな。シャロは僕のことが嫌いだよね」

この王太子はあまりにもドストレートに確信をついてくる。だけど私も猫を被るのは面倒になってきて、とん、と地面に降りると殿下と向き合った。そしてにこりと淑女として恥ずかしくない笑みをのせる。

「嫌いではありませんわよ?殿下のことは、人としては好いております」

男としてはありえないけど。そう思って微笑むと、殿下も少し笑みを見せた。

「そう。それならまだいいのかな」

逆に婚約者としてはありえないと言われたも同然なのに、殿下はそういうだけだった。………調子が狂う。
私は別に、殿下を傷つけたいわけじゃない。そんなことをしてやり返すつもりなんてない。
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

病弱な愛人の世話をしろと夫が言ってきたので逃げます

音爽(ネソウ)
恋愛
子が成せないまま結婚して5年後が過ぎた。 二人だけの人生でも良いと思い始めていた頃、夫が愛人を連れて帰ってきた……

一途に愛した1周目は殺されて終わったので、2周目は王子様を嫌いたいのに、なぜか婚約者がヤンデレ化して離してくれません!

夢咲 アメ
恋愛
「君の愛が煩わしいんだ」 婚約者である王太子の冷たい言葉に、私の心は砕け散った。 それから間もなく、私は謎の襲撃者に命を奪われ死んだ――はずだった。 死の間際に見えたのは、絶望に顔を歪ませ、私の名を叫びながら駆け寄る彼の姿。 ​……けれど、次に目を覚ました時、私は18歳の自分に戻っていた。 ​「今世こそ、彼を愛するのを辞めよう」 そう決意して距離を置く私。しかし、1周目であれほど冷酷だった彼は、なぜか焦ったように私を追いかけ、甘い言葉で縛り付けようとしてきて……? ​「どこへ行くつもり? 君が愛してくれるまで、僕は君を離さないよ」 ​不器用すぎて愛を間違えたヤンデレ王子×今世こそ静かに暮らしたい令嬢。 死から始まる、執着愛の二周目が幕を開ける!

婚約破棄から50年後

あんど もあ
ファンタジー
王立学園の卒業パーティーで、王子が婚約者に婚約破棄を宣言した。王子は真に愛する女性と結ばれ、めでたしめでたし。 そして50年後、王子の孫の王子は、婚約破棄された女性の孫と婚約する事に。そこで明かされた婚約破棄の真実とは。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

婚約者に妹を紹介したら、美人な妹の方と婚約したかったと言われたので、譲ってあげることにいたしました

奏音 美都
恋愛
「こちら、妹のマリアンヌですわ」  妹を紹介した途端、私のご婚約者であるジェイコブ様の顔つきが変わったのを感じました。 「マリアンヌですわ。どうぞよろしくお願いいたします、お義兄様」 「ど、どうも……」  ジェイコブ様が瞳を大きくし、マリアンヌに見惚れています。ジェイコブ様が私をチラッと見て、おっしゃいました。 「リリーにこんな美しい妹がいたなんて、知らなかったよ。婚約するなら妹君の方としたかったなぁ、なんて……」 「分かりましたわ」  こうして私のご婚約者は、妹のご婚約者となったのでした。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

処理中です...