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よんじゅーろく

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「で、だいたいどれくらいかかるんだ?お嬢様の薬の受け渡しってのは」

ラーセルは大樹の幹にもたれながらぼやくように声をかけた。しかし、件の相手は何も話さない。それを分かっていながら声をかけたことに小さく内心舌打ちする。ただでさえバカ暑いこの季節、あのオジョウサマは何を考えてラーセルとシャフィナ二人を外に置き去りにしたというのだろう。そんなにこの店の内部は秘密の花園………もとい、女性専用エリアだというのだろうか。
涼を取ってるであろうアメリアのことを思い出し、ラーセルはため息をまたしてもついた。先程から汗が首筋を辿り、気持ち悪いと言ったらない。早いとこ退散したいほどの猛暑だと言うのに薬屋の扉が空く気配は一ミリもない。

何も言葉を返さないのはわかっていたがダメもとでまたシャフィナに話しかけようとしたその時だった。
近くを馬車が走り、ききっと音を立ててとまる。ちらりと一瞬見ただけでわかる。どこぞの裕福な貴族の馬車らしかった。伯爵か?金で爵位をかいあげた男爵か?
そう考えているうちに馬車の扉が開く。中からは予想通りというかなんなのか。
きつい印象を覚える令嬢が降りてきた。気が強そうな印象を覚える令嬢を横目に見ていると、令嬢は真っ先に薬屋の扉を開けた。
そして甲高い声を上げながら入っていったのだ。

「どういうことよ!約束が違うじゃない!!」

叫びながら入ってこられて、驚いたのは恐らく中にいるアメリアだろう。だけど内部のことなど全く知らないラーセルは何だか揉めてるなという印象しか覚えなかった。
そして、扉が閉められまた薬屋の内部の様子は全くわからなくなる。
ちらりとラーセルがすぐ近くにいるシャフィナを見るが、同じ人間だと言うのに彼は汗をかいてる様子がなかった。いや、こいつ本当に人間なのか………?一抹の疑問を覚えたラーセルだが、馬鹿らしい疑問を一笑に付した。どうやら暑すぎて頭が回らなくなっているらしい。

「おい、シャフィナ」

呼びかけるとちらりとシャフィナがこちらを向く。だけど興味がひとかけらもなさそうな瞳だ。こいつ、王宮務めでありながら基本シャーロットの言うことしか聞かないんだよな……。それを思い出しながら暇なのでシャフィナに言葉をかけていく。

「お前、よくシャルロットについていけるな」

「…………」

「最近は少しましになったが、以前は結構好き放題やってたろ。それで何人やめたことか。お前も知らないわけじゃないだろう?」

「…………」
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