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よんじゅーなな

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聞いても、シャフィナは答えない。というより、話すことが出来ないからだ。それに構わずラーセルは話していく。
真っ青な空を見上げながらなんとなしに思い浮かんだことを言葉にしていく。何か話していないと暑さで頭がおかしくなりそうだった。

「お前が話せなくなったのだって、シャルロットから酷い仕打ちを受けたからだーーって噂をちらほらーーーっと!悪かったよそんな怒るなって。違うんだな、ああそう。ならいいんだよ」

途中まで言いかけて、ピリピリとした殺気を受けてラーセルが言葉を止める。すかさず見ると、シャフィナは剣の柄に手を置いて、今にもきりかかりそうな顔をしていた。
実際この話を振ったのはシャフィナがシャルロットをどう思ってるか知るためだった。だが、だからといってシャフィナと一戦交えたいなどとは思っていない。
シャフィナは公式戦にはいつも出ていないが、しかししっかりとした実力持ち。
王太子の側近と言うだけあってラーセルの実力も折り紙付きだが、実際剣を混じえたらどんな結果になるかはわからない。それにこんな街中でことを起こす気もない。
慌てて両手を上げて敵意がないことを示すと、ややあってからシャフィナが緩い動きで柄から手を離した。
危なかった…………。
なるほどなぁ、シャフィナはシャルロットのことをそれなりに思ってんのか。あの高飛車な女のどこかいいのかラーセルには全くわからなかったが、 下手なことは言うまい。
そう思って視線を外した時だった。

見慣れた白金の髪が視界に入り、ラーセルは驚いて木から背中を離した。白金の髪に、翡翠色の瞳。いつもより装いは押さえているものの、明らかに高貴なオーラが隠せていないその人は紛れもない。

「なっ………こんなところで何をしてらっしゃるのですか………!」

危うく名を呼びそうになって、既で抑える。その人とはこの国の王太子その人。リルム・ラクリマだった。
彼はラーセルを視界に捉えると、怪訝そうな顔をした。

「ラーセル………それにシャフィナ。どうしてここに」

名を呼ばれたシャフィナは視線を落とし、軽く礼をとる。ラーセルは王太子に近寄ると彼に声をかけた。

「シャルロット嬢の付き添いですよ」

「シャルロットの?」

「はい。どうやらこの店に用事があるようです」

「………そうか。それより、ここに先程娘が来なかったか?」

「娘?」

王太子は一瞬眉を寄せたものの、次の瞬間には無表情になっていた。どこかすましたようにも見える。いつものポーカーフェイスだ。
この時の王太子はいつも以上に何を考えているかわからなくなる。ラーセルはそう思ったがまず聞かれた質問に答えなければ。
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