婚約破棄までの大切なプロセス

ごろごろみかん。

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ろくじゅう

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ま、まずい………!

あと数分もしないで、変化が解けるわ………!

そうなれば現れるのはシャーロット本人だし、ネズミは消える。突然路地裏に現れたシャーロットにーーー、というより、ネズミがシャーロットになれば流石の王太子も驚くだろうし………。ええ、あまり想像したくないわ。

現状、自体を把握していない以上ここでシャーロットとして殿下と鉢合わせるのは最悪なパターン………!

私は覚悟を決めると、目をぎゅっと瞑って心の中で呪文を唱えた。

リリース・オブ・アエーラス………!

残量少ない魔力値でどこまでできるか不安だったが、その前にばっと殿下が動いた。魔力の匂いを嗅ぎ取ったんだと思う。犬か?嗅覚どうした??
王族としてその能力は申し分ないどころか、ほぼ能力値が未知数な王太子。
私の放った魔力の匂いをかぎとり、その場から距離をとる。…………もちろん私を連れて。

………なっ………なんでよ~~~~!

離してよ!!手を!!離してちょうだい!!
ちなみに私が今はなった魔法は風の魔法。小手先の技だが、風圧で私を飛ばせないか試行錯誤したのだ。だけど風圧が私にぶつかる前に、王太子に連れられて完全回避。いや回避したら意味ないのよ…………!
仕方ない。こうなれば混乱に乗じてとりあえず逃げるしかない………!

「………」

どこから魔法を飛ばされたのか確認してるのだろう。えっまさかこの人逆探知とかまで出来たりするのかしら?やめてやめて。そうすると私にたどり着いちゃうのよ。ネズミが魔法はなつなんておかしすぎるでしょ。
王太子がどこか遠くを見ている隙に暴れる!暴れる!離してくださいませ………!
短い手足を懸命に振り回し、それでも殿下の手は離れない。チカチカと目前が明滅する。まずい、時間切れの合図だ。このままだと変化が解けるーーー!

「っ……!」

半ばパニックに陥った私は、身も世もなく暴れ、ついには殿下の指先にかじりついた。さすがにかじられるとは思わなかったのだろう。殿下が咄嗟に力を緩める。

今だ…………!

慌てて転がるように落ちた私は、まさに地面の上に叩きつけられるように落下した。頭がクラクラする。やだ、脳震盪かしら………!?
と、とりあえず逃げなきゃ…………!

目前が揺れるが、ひとまず逃げるのが先。こうして私は転がるハムスター宜しく裏路地を走り去ったのだった。

裏路地を抜けて、七番地に戻る。それと同時に変化がとけて本当に危機一髪だったのだと知る。よ、良かった………。ぎりぎり間に合ったわ…………。

「と、言うより私…………」

殿下の指を噛んじゃったわ…………!
信じられない。もしバレれば不敬罪が適用されるだろうか。さすがに露見したらまずいだろう。一瞬焦りが心中を襲ったが、しかし今は目先のことが大事だ。
さて、ネックレスを貰うのはもはや不可能に近い。恐らく………あのネックレスは既に壊された。
路地裏で聞いたあの軽い音。ぴき、というものが割れるようなーーー。
そして、続いてミリニアの声。

「…………」

あのネックレスにはなにかあったんだわ………。それをミリニアが持ち出して、殿下が始末した………?そう考えるのが妥当………。
そう思いながら私はできるだけ例の裏路地から離れるよう歩いた。もしここてエンカウントでもしたら溜まったものじゃないわ。既に私の魔力は尽きかけているもの。

さて、どうしようかしら………。

正直に壊されちゃいました、なんて言って納得してくれる相手ではない。というより、あの男………。
どこか面白がってるようだった。

メゾネリア、話には聞いていた。殺しを娯楽のひとつだと思う、ひとでなしの集団。だけどその強さは折り紙付きで、騎士でも歯が立たないらしい。

このまま諦めて帰るしかないのかしら………。

そう思う私の耳に、快活な声が響いた。

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