61 / 66
ろくじゅう
しおりを挟む
ま、まずい………!
あと数分もしないで、変化が解けるわ………!
そうなれば現れるのはシャーロット本人だし、ネズミは消える。突然路地裏に現れたシャーロットにーーー、というより、ネズミがシャーロットになれば流石の王太子も驚くだろうし………。ええ、あまり想像したくないわ。
現状、自体を把握していない以上ここでシャーロットとして殿下と鉢合わせるのは最悪なパターン………!
私は覚悟を決めると、目をぎゅっと瞑って心の中で呪文を唱えた。
リリース・オブ・アエーラス………!
残量少ない魔力値でどこまでできるか不安だったが、その前にばっと殿下が動いた。魔力の匂いを嗅ぎ取ったんだと思う。犬か?嗅覚どうした??
王族としてその能力は申し分ないどころか、ほぼ能力値が未知数な王太子。
私の放った魔力の匂いをかぎとり、その場から距離をとる。…………もちろん私を連れて。
………なっ………なんでよ~~~~!
離してよ!!手を!!離してちょうだい!!
ちなみに私が今はなった魔法は風の魔法。小手先の技だが、風圧で私を飛ばせないか試行錯誤したのだ。だけど風圧が私にぶつかる前に、王太子に連れられて完全回避。いや回避したら意味ないのよ…………!
仕方ない。こうなれば混乱に乗じてとりあえず逃げるしかない………!
「………」
どこから魔法を飛ばされたのか確認してるのだろう。えっまさかこの人逆探知とかまで出来たりするのかしら?やめてやめて。そうすると私にたどり着いちゃうのよ。ネズミが魔法はなつなんておかしすぎるでしょ。
王太子がどこか遠くを見ている隙に暴れる!暴れる!離してくださいませ………!
短い手足を懸命に振り回し、それでも殿下の手は離れない。チカチカと目前が明滅する。まずい、時間切れの合図だ。このままだと変化が解けるーーー!
「っ……!」
半ばパニックに陥った私は、身も世もなく暴れ、ついには殿下の指先にかじりついた。さすがにかじられるとは思わなかったのだろう。殿下が咄嗟に力を緩める。
今だ…………!
慌てて転がるように落ちた私は、まさに地面の上に叩きつけられるように落下した。頭がクラクラする。やだ、脳震盪かしら………!?
と、とりあえず逃げなきゃ…………!
目前が揺れるが、ひとまず逃げるのが先。こうして私は転がるハムスター宜しく裏路地を走り去ったのだった。
裏路地を抜けて、七番地に戻る。それと同時に変化がとけて本当に危機一髪だったのだと知る。よ、良かった………。ぎりぎり間に合ったわ…………。
「と、言うより私…………」
殿下の指を噛んじゃったわ…………!
信じられない。もしバレれば不敬罪が適用されるだろうか。さすがに露見したらまずいだろう。一瞬焦りが心中を襲ったが、しかし今は目先のことが大事だ。
さて、ネックレスを貰うのはもはや不可能に近い。恐らく………あのネックレスは既に壊された。
路地裏で聞いたあの軽い音。ぴき、というものが割れるようなーーー。
そして、続いてミリニアの声。
「…………」
あのネックレスにはなにかあったんだわ………。それをミリニアが持ち出して、殿下が始末した………?そう考えるのが妥当………。
そう思いながら私はできるだけ例の裏路地から離れるよう歩いた。もしここてエンカウントでもしたら溜まったものじゃないわ。既に私の魔力は尽きかけているもの。
さて、どうしようかしら………。
正直に壊されちゃいました、なんて言って納得してくれる相手ではない。というより、あの男………。
どこか面白がってるようだった。
メゾネリア、話には聞いていた。殺しを娯楽のひとつだと思う、ひとでなしの集団。だけどその強さは折り紙付きで、騎士でも歯が立たないらしい。
このまま諦めて帰るしかないのかしら………。
そう思う私の耳に、快活な声が響いた。
あと数分もしないで、変化が解けるわ………!
そうなれば現れるのはシャーロット本人だし、ネズミは消える。突然路地裏に現れたシャーロットにーーー、というより、ネズミがシャーロットになれば流石の王太子も驚くだろうし………。ええ、あまり想像したくないわ。
現状、自体を把握していない以上ここでシャーロットとして殿下と鉢合わせるのは最悪なパターン………!
私は覚悟を決めると、目をぎゅっと瞑って心の中で呪文を唱えた。
リリース・オブ・アエーラス………!
残量少ない魔力値でどこまでできるか不安だったが、その前にばっと殿下が動いた。魔力の匂いを嗅ぎ取ったんだと思う。犬か?嗅覚どうした??
王族としてその能力は申し分ないどころか、ほぼ能力値が未知数な王太子。
私の放った魔力の匂いをかぎとり、その場から距離をとる。…………もちろん私を連れて。
………なっ………なんでよ~~~~!
離してよ!!手を!!離してちょうだい!!
ちなみに私が今はなった魔法は風の魔法。小手先の技だが、風圧で私を飛ばせないか試行錯誤したのだ。だけど風圧が私にぶつかる前に、王太子に連れられて完全回避。いや回避したら意味ないのよ…………!
仕方ない。こうなれば混乱に乗じてとりあえず逃げるしかない………!
「………」
どこから魔法を飛ばされたのか確認してるのだろう。えっまさかこの人逆探知とかまで出来たりするのかしら?やめてやめて。そうすると私にたどり着いちゃうのよ。ネズミが魔法はなつなんておかしすぎるでしょ。
王太子がどこか遠くを見ている隙に暴れる!暴れる!離してくださいませ………!
短い手足を懸命に振り回し、それでも殿下の手は離れない。チカチカと目前が明滅する。まずい、時間切れの合図だ。このままだと変化が解けるーーー!
「っ……!」
半ばパニックに陥った私は、身も世もなく暴れ、ついには殿下の指先にかじりついた。さすがにかじられるとは思わなかったのだろう。殿下が咄嗟に力を緩める。
今だ…………!
慌てて転がるように落ちた私は、まさに地面の上に叩きつけられるように落下した。頭がクラクラする。やだ、脳震盪かしら………!?
と、とりあえず逃げなきゃ…………!
目前が揺れるが、ひとまず逃げるのが先。こうして私は転がるハムスター宜しく裏路地を走り去ったのだった。
裏路地を抜けて、七番地に戻る。それと同時に変化がとけて本当に危機一髪だったのだと知る。よ、良かった………。ぎりぎり間に合ったわ…………。
「と、言うより私…………」
殿下の指を噛んじゃったわ…………!
信じられない。もしバレれば不敬罪が適用されるだろうか。さすがに露見したらまずいだろう。一瞬焦りが心中を襲ったが、しかし今は目先のことが大事だ。
さて、ネックレスを貰うのはもはや不可能に近い。恐らく………あのネックレスは既に壊された。
路地裏で聞いたあの軽い音。ぴき、というものが割れるようなーーー。
そして、続いてミリニアの声。
「…………」
あのネックレスにはなにかあったんだわ………。それをミリニアが持ち出して、殿下が始末した………?そう考えるのが妥当………。
そう思いながら私はできるだけ例の裏路地から離れるよう歩いた。もしここてエンカウントでもしたら溜まったものじゃないわ。既に私の魔力は尽きかけているもの。
さて、どうしようかしら………。
正直に壊されちゃいました、なんて言って納得してくれる相手ではない。というより、あの男………。
どこか面白がってるようだった。
メゾネリア、話には聞いていた。殺しを娯楽のひとつだと思う、ひとでなしの集団。だけどその強さは折り紙付きで、騎士でも歯が立たないらしい。
このまま諦めて帰るしかないのかしら………。
そう思う私の耳に、快活な声が響いた。
30
あなたにおすすめの小説
一途に愛した1周目は殺されて終わったので、2周目は王子様を嫌いたいのに、なぜか婚約者がヤンデレ化して離してくれません!
夢咲 アメ
恋愛
「君の愛が煩わしいんだ」
婚約者である王太子の冷たい言葉に、私の心は砕け散った。
それから間もなく、私は謎の襲撃者に命を奪われ死んだ――はずだった。
死の間際に見えたのは、絶望に顔を歪ませ、私の名を叫びながら駆け寄る彼の姿。
……けれど、次に目を覚ました時、私は18歳の自分に戻っていた。
「今世こそ、彼を愛するのを辞めよう」
そう決意して距離を置く私。しかし、1周目であれほど冷酷だった彼は、なぜか焦ったように私を追いかけ、甘い言葉で縛り付けようとしてきて……?
「どこへ行くつもり? 君が愛してくれるまで、僕は君を離さないよ」
不器用すぎて愛を間違えたヤンデレ王子×今世こそ静かに暮らしたい令嬢。
死から始まる、執着愛の二周目が幕を開ける!
婚約破棄から50年後
あんど もあ
ファンタジー
王立学園の卒業パーティーで、王子が婚約者に婚約破棄を宣言した。王子は真に愛する女性と結ばれ、めでたしめでたし。
そして50年後、王子の孫の王子は、婚約破棄された女性の孫と婚約する事に。そこで明かされた婚約破棄の真実とは。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
婚約者に妹を紹介したら、美人な妹の方と婚約したかったと言われたので、譲ってあげることにいたしました
奏音 美都
恋愛
「こちら、妹のマリアンヌですわ」
妹を紹介した途端、私のご婚約者であるジェイコブ様の顔つきが変わったのを感じました。
「マリアンヌですわ。どうぞよろしくお願いいたします、お義兄様」
「ど、どうも……」
ジェイコブ様が瞳を大きくし、マリアンヌに見惚れています。ジェイコブ様が私をチラッと見て、おっしゃいました。
「リリーにこんな美しい妹がいたなんて、知らなかったよ。婚約するなら妹君の方としたかったなぁ、なんて……」
「分かりましたわ」
こうして私のご婚約者は、妹のご婚約者となったのでした。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる