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計画する そのに

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キャロルは金髪ストレートの令嬢で、瞳は黄緑。右の側頭部にはいつも小ぶりの紫の蝶の髪飾りをつけていて大人しい印象を受ける。その実かなり毒舌だけれど。

「でもさっきあなた喜んでたじゃない」

「褒められてるって思ったから!」

「ああそう。で、婚約破棄なんて簡単に出来ると思ってるの?」

キャロルに聞かれ私は言葉をつまらせた。
うぐ、実を言うとそんな簡単な話でもないのよね………。
いや、普通に考えて当たり前よね。王家との正式な婚約。覆すのは難しい。
それでも私はこの婚約、破棄する必要があるのよ………!だから頑張るわ。アルのことは好きだけれど、命には変えられない。

「アルに承諾を貰えればあとは何とかするわ」

お父様が。
人任せかよ!と思うかもしれないが背に腹はかえられない。命がかかっているのだからなりふりかまっていられない。
ちなみに、私が婚約を破棄したいのには理由がある。


私はある日、と言ってもつい先日。酷く長い夢を見た。
そこでは『スマホ』というものを持つ女性が露出の高い服装でくつろいでいた。
私はすぐにあれが自分だと気づいた。なぜだか分からないけれど。
そこで、彼女のことを自然と理解したのだ。夢だからかしら………?
夢には全て前提があって、それをなぜか理解している場合がある。今回はそのタイプのものだった。
彼女の名前は………ええと、何だったかしら。
あまり覚えていないけれど、彼女が好んでいたゲームはよく覚えている。
『魔法科学校のイケメンたち』という名前のそれはリリース当初から大注目を浴びていて、私もファンの一人だったのだ。
ストーリーは至って王道で、ヒロインの女の子が攻略対象と仲良くして最終的に結婚する物語。
課金式のストーリーだったけれど私はそのお話が大好きで、だいぶやりこんだものだ。
人気キャラ投票はまだ行われてなかったので知らないが、攻略サイトで人気なのはやはり第1王子だった。第一王子であり、王太子のアルヴァント。
耳を覆う前髪や少し長い襟足にくせっ毛気味の、少し長髪な、いわゆる『お兄さん』の魅力があるキャラクター。
楽しそうに笑いながらも何を考えているか分からず、ザ・お兄様属性のアルはSNSでも攻略サイトでも大人気だった。腹黒属性とも言われていたわね………。
アルと主人公のCPなんかは毎日のようにあちらこちらで創作されてた。
そんな私も二人のカップルが好きなファンの一人だったのだけれど…………。
まさか転生したのがアルの婚約者でヒロインをいじめる役の悪役令嬢だと思わなかったわ…………!

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