12 / 12
公爵令嬢は混乱中
しおりを挟むあの後アルは最後に私をぎゅっと抱きしめると少し黙って、その後また大きな溜息をついた。
なんだったのだろう。
だけどすぐにアルは離れて部屋を出てしまったので聞きそびれた。
ミーアは『殿下もおかわいそうに…』なんて言っていたけれど何が可哀想なのか分からない。殿下に限って憐れまれる理由などないと思うのだけれど………。私が「何が?」と聞くと、ミーアはさらに『お嬢様は罪作りですね』と言ってきた。なんだというのだろう。
何が何だかわからなくてさらに聞こうと思ったがミーアは悟ったように首を振り『お嬢様はこのままでいいのですよ』と言ってくる。それ以上話す気はなかったようだけれど益々気になるわ………。
レディーとして見苦しい真似はしていないはずだけれど私になにか足りないところがあったのだろうか………?
だけれどアルと約束を取り付けた。
アルが嫌だと思ったら即婚約破棄!そして半年しても婚約継続の意思があればこのまま婚約は続行!あ、あら………?大した約束ではないように思えてくるわ………?いえ、この約束はいわば布石。私を守ってくれる大事な言葉たち(になる予定)なのですわ………
そして、あれ以来妙なことが起きるようになったのだ。
今までは仮にも王太子殿下の婚約者。私に言い寄ってこようなんてする輩はいなかったのだけれども、最近妙に男の人に言い寄られるようになった。
い、今まで魅力が全くなくて、つい最近になって開花した……なんてことでは無いと思う………
それ以前に私は王太子の婚約者である。そんな私に声をかけるなんてルール違反もいいところだわ。
そう、再三になるが私に魅力がなかったわけではないのだ。断じてそういうことでは無いと思う。
そんなことを思っている間にもまたしても声がかけられた。何なのかしら?本当に。
今日はお父様と仲がいいルパール公爵家主催の夜会。ルパール公爵の誕生日を祝うものだ。
本来であれば王族のアルは参加しないのだけれど、私のエスコートということでアルも参加。
だけどアルは王族なので夜会に出てしまうと人に囲まれてしまう。今も殿方たちに囲まれていて解放される兆しはない。
「失礼、麗しいレディー」
その声にちらりと視線を向ければえぇと………確かデュアナ伯爵の令息の………そうだわ。シュバルツ・デュアナ様。紅茶を溶かし込んだような髪色に水色の瞳はこの方で間違いありませんわ。
「あなたは………?」
だけど私とシュバルツ様は初対面。いきなり名前を呼ぶわけにもいかず私は扇で顔半分を隠したまま首を傾げた。シュバルツ様は柔らかく笑って私の手を取る。
きゃーー!!誰が触っていいなんて言ったのよ!
「私は………あなたの唯一の騎士にしてあなたの愛の下僕、シュバルツ・デュアナと申します」
言われて思わず顔がひきつりそうになった。それをすんででこらえる。王妃教育の賜物ね!
ぴゃーー!!この人変な人よ!
変質者だわ!挨拶が変だもの!初対面なのよ!?愛の下僕ってなんなのかしら!?
こんなことを本当に言う人がいるなんて…………肌がゾワゾワしていて鳥肌が立っちゃいそうだわ………。
信じられない言葉の羅列に背筋が震えた。
どうしよう………未知の相手を前にして、恐怖が止まらない。こんなぶっ飛んだやつは初めて見るわ!
「お可哀想に………殿下に放っておかれてしまったのですね。リアライト様………ご安心ください。あなたの寂しさはわたしが癒してさしあげます」
56
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(6件)
あなたにおすすめの小説
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
三回目の人生も「君を愛することはない」と言われたので、今度は私も拒否します
冬野月子
恋愛
「君を愛することは、決してない」
結婚式を挙げたその夜、夫は私にそう告げた。
私には過去二回、別の人生を生きた記憶がある。
そうして毎回同じように言われてきた。
逃げた一回目、我慢した二回目。いずれも上手くいかなかった。
だから今回は。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
婚約破棄すると言われたので、これ幸いとダッシュで逃げました。殿下、すみませんが追いかけてこないでください。
桜乃
恋愛
ハイネシック王国王太子、セルビオ・エドイン・ハイネシックが舞踏会で高らかに言い放つ。
「ミュリア・メリッジ、お前とは婚約を破棄する!」
「はい、喜んで!」
……えっ? 喜んじゃうの?
※約8000文字程度の短編です。6/17に完結いたします。
※1ページの文字数は少な目です。
☆番外編「出会って10秒でひっぱたかれた王太子のお話」
セルビオとミュリアの出会いの物語。
※10/1から連載し、10/7に完結します。
※1日おきの更新です。
※1ページの文字数は少な目です。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年12月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、番外編を追加投稿する際に、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
久しぶりに会った婚約者は「明日、婚約破棄するから」と私に言った
五珠 izumi
恋愛
「明日、婚約破棄するから」
8年もの婚約者、マリス王子にそう言われた私は泣き出しそうになるのを堪えてその場を後にした。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
続きが気になりすぎます!
気が向いたらでいいので更新お待ちしてます️☺️☺️
続きが楽しみです💓💓💓
更新お待ちしております^_^🍓🍓🍓
「大丈夫、しないわ、アル。」
ひどいwww
アル君かわいそう。後悔してあげてー!
期待どおりの噛み合わなさでとても楽しいです。
楽しい作品ありがとうございます!