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すれ違いの先は 2
しおりを挟む「っレイ、待っ…………やっ!」
レイルは何も言わない。先程から何も言わずに、ただ突然私をうつ伏せにして後ろから抱きしめてきた。レイルの行動が読めなくて彼に声をかけるも、しかしレイルはやはり答えない。
ーーー怖い
レイルが何を考えているかわからなくて、思わず足をばたつかせる。だけどレイルはそんな抵抗気にもとめず、器用に夜着も脱がせていく。コルセットのつけていない夜着はあっさりと脱げてしまう。違うのに。こんなことがしたいわけではないのに。それに、最後の夜はもう終わった。
これは、これ以上は、蛇足でしかない。
あの幸せだった夜の思い出をこんな形で塗りつぶしたくない。塗りつぶされたくない。綺麗なままで終わらせたい。それを望むのはいけないこと………?もしかしてレイルは私のその考えもわかっての上で、あえて恐怖心を与えるような行為に及ぼうとしているのだろうか。でも何故?どうして?そんなにいけないことだった?私が昨日の夜を、レイルとの時間を幸福だと、そう覚えていることも許されない?それ程までにレイルはヴィヴィアナ様を愛しているの?
レイルは何も言わない。だからこそ、思考がどんどん混乱していく。じわりと涙が滲み、私は咄嗟に身をよじった。
レイルと視線が絡まる。
やはり、何を考えているか分からなかった。だけどレイルのその海底のような瞳と目が合うと、貪るように口を合わせられた。
「んっ…………んぅ…………!!」
いきなり深く、強く吸いつかれて息がしにくい。レイルはすぐに舌を差し込んできて、深く深く口付けてきた。絡み合うようなキスに、脳が溺れていく。空気が足りなくて口を開ければ、さらにグッとレイルがまた口付けを深くする。
それはまさに奪うような口付けだった。荒々しい、呼吸すらしにくいキスを終えると、レイルは不意に唇を離した。すっかり息が上がってしまった私に、レイルが小さく笑う。
「っは、………はっ………レイ、なん、で」
「何で?…………何でだと思う?リーフェなら分かるんじゃない?俺がどうして、こうもあなたに執着しているのか。知れるものなら俺の方が知りたいね」
「何、をっ………んぅ!!」
また口付けに噛み付くようなキスが落とされて、するすると夜着を脱がされていく。だめ、止めないと。そう思うのに力が抜けてうまく動かせない。それでも何とか手を動かしレイルの手へと重ねると、それは驚くほど熱かった。
「………っ!」
「はは。なぁに、この手?リーフェは何がしたいの?………俺を、止めたい?」
「レイ、ル。違うの。あの、でもこんなことする必要ないわ、だって私、」
ちゃんと分かっているから。
そう伝えようとするけれど、不意にレイルが首筋に噛み付いてきて口にするはずの言葉が霧散した。レイルは噛み付いた首元をぺろぺろと舐めながらどこか濡れた声で呟いた。
「必要ない?だってリーフェは………他に好きな男がいるから?」
「っ!?なっ………」
思わぬ言葉に思わず跳ね起きるようにそちらを見ると、レイルは相変わらず笑みを浮かべていた。その笑みは確かに優しいのに、やはり怖い。レイルが何を考えているか分からない。
「ダメだよ。リーフェ。あなたは、ずっと俺のものだ。………どうか俺だけを愛して。じゃないと俺は狂ってしまう」
「何言って…………」
「永遠の愛をあなたに誓うよ。この気持ちはきっと失われない。………綺麗事じゃないんだ。きっと、死んでもなお俺はリーフェを求める。…………俺は、おかしいんだよ」
「レイ………ル?」
レイルが自嘲するように笑うから、思わずそれが気になって聞いてしまった。レイルの瞳は切なく、どこか痛々しい。私は思わず彼の頬に手を伸ばしていた。レイルはそんな私の手に擦り寄るようにすると、私を見た。祈るような、願うような、そんな切ない瞳だ。思わず胸がはねる。
ーーーなぜ?どうして、そんなことをいうの………
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