〈完結〉"出られない部屋"を作ってしまった公爵令嬢

ごろごろみかん。

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性交を成功させないと!

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アルは笑っていたが、目が笑っていない。それもそうだろう。なぜならこの部屋は"性交をしないと出られない部屋"であり、ヴィヴィが手に取りアルがブチ切れた挙句破り捨てた紙には"性交をしないと出られません"と書いてあったのだから。
性交を成功しないと出られない部屋?ふふっ。そんな言葉で笑ってる場合じゃないわ……本当にそんな場合じゃない………。わたくしは恐ろしいほど優しく笑みを浮かべたアルに名誉挽回のチャンスとばかりに、言った。ついでに空気を変えるために手を打った。ぱんぱん!と乾いた音がする。ヴィヴィは戸惑ってわたくしとアルを見ている。
こうなったら仕方ない。わたくしも女よ。腹を括りましょう。

「落ち着いて。アルヴィス。あなたはこの国の王太子でしょう?」

「だから?」

ひえ……ブチギレてる………。
わたくしは怯んだが、しかしここで口をつぐめば半殺し以上殺戮以下の目にあって強制転移されかねない。わたくしはサムズアップした。

「あなたがわたくしに勃つわけがないわ。だからこうしましょう。あなたとヴィヴィがニャンニャン…………いかがわしいことをする。わたくしは空気と化すわ。わたくしのことは気にしなにょわぁん!!」

びにょーんと頬を思い切り引っ張られた。
痛い。思わず涙目になる。アルは目を細めた。酷薄な笑みを浮かべるその様子は、いつもと全く違う。キレてる。大激怒マジカルサワーである。1000%超えて2000%超えてブチギレてるわ。

「誰が、どこでいつなにを、どうして、何だって?」

5W1H………。
わたくしは目を伏せた。
ひんやりとした空間で、ヴィヴィが躊躇いがちに声をかける。

「まあ……フランも本気ではないでしょうし。混乱してるんじゃないでしょうか」

わたくし割と本気だったわ……。
だけどさすがにこの空間で言うことは出来ない。絶対零度のアルの目が射るようにわたくしを見ている。わたくしは降参を知らせるために両手を上げた。

「ごめんなさい……」

「最初からそういえ」

「でもね、わたくし。それ以外の方法が思いつかないの。だいたいあなたとわたくしは政略……ではないわね。契約………でもない………白い結婚………そう。白い結婚みたいなものでしょう。あなたはわたくしに欲情しないし、わたくしもあなたみたいな美少女に抱かれたら女の矜持が傷つくわ。あなたみたいな美少女に抱かれるなんて、抱かれるなんてわたくしはっ………」

「その口ぬいつけて欲しいのか?」

「閑話休題。つまりね?わたくし、その、あなたとヴィヴィがすればいいと思うのよ」

「勝手に余談にするな。勝手に話を戻すな。そして冗談じゃない。俺は男に興奮しない。お前バカか?」

「馬鹿じゃないわ。見て。真剣よ」

「真剣に馬鹿なのか?」
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