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赤い糸が………ない!?

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2年D組に行くと、すぐさまその人を見つけた。もとよりリュミエールはめちゃくちゃ目立つのである。そのキラキラとした光の粉を飛ばしてるかのように発光している金髪に、浮かび上がるような白い肌。細長く繊細な指先に、すっと伸びた背筋。彼は今、読書をしているようだった。同じ教室であろうと相手は王太子であり気軽に話せない女生徒が遠くから王太子を見ている。そして、王太子の隣には王太子側近のカインデルがリュミエールになにか話しかけていた。

(なんの話をしてるかは知らないけれど、読書中の人間に話しかけるのはやめた方がいいと思うわ)

そんな当たり前なことを思いながらエレノアはリュミエールを見た。そして、愕然とした。

(赤い糸が……………………ない!?)

エレノアは絶句した。そのまま立ち尽くしているエレノアに気がついたカインデルが「よっ」と手を挙げた。しまった。見つかった。気分は探偵である。しかし見つかれば向かう他ない。渋々エレノアはふたりの元へと向かった。カインデルはオレンジに近い茶髪を刈り上げている短髪の青年である。やんちゃそうな顔をしていて、リュミエールとは正反対のタイプである。彼もまたかっこいい顔の部類に入るのだろう。
しかしエレノアは彼が苦手だった。なぜならば彼もまたエレノアとリュミエールの幼なじみであり、昔のエレノアを知っているからである。つまり、猫を被る前のエレノアを知っているのである。
未だにエレノアが令嬢のように淑やかにしてると笑みをかみ殺してるような顔をすることがある。万が一ピンヒールを履いていたら思わずそれで後頭部をぶん殴っていたかもしれないから、カインデルはエレノアが低いヒールしか履かないことに感謝した方がいい。

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