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しおりを挟む「それは……ちょっと、都合がよすぎるよではありませんか?」
私の言葉に、アルベルト様が愕然とした様子を見せた。
「『お前を愛することは無い』……と言ったのは、旦那様ですし、離縁する、と言ったのも旦那様です」
私の言葉に、彼の顔色はどんどん悪くなった。
それもそうだろう。
確かに彼はそういったのだから。
私はニッコリと笑って、彼に一枚の書類、つまり離縁届を差し出した。
「署名、いただけますわよね?」
♡♡♡
結婚式の夜、寝室に旦那様はやって来なかった。
朝まで起きていようと頑張ったのだけど、どうやら私は途中で眠気に負けて寝てしまったようだ。
起きると、メイドたちに支度を整えてもらったが、彼女達の雰囲気は妙に刺々しい。
寝落ちしてしまったからだろうか。
困惑していると、朝食の席で旦那様が宣言するように言った。
「俺がお前を愛することはない」
と。
突然のことだったので、とても驚いた。
唖然としていると、旦那様は嫌そうなものを見る目で私を見たあと、興味を失ったように視線を手元のフォークに移した。
「俺には愛している人がいる。この結婚は、父が無理に推し進めたものだ。俺は納得していない」
「納得していないのに、式に出られたんですか?」
これは別に、煽りとかではなく、不思議に思ったからこそ聞いたことなのだけど。
だけど私の言葉は彼を不快にさせたようだった。強く睨み付けられる。
「父の命令だったんだよ!」
「お父様に逆らうことが出来ないから、と?」
「そうだ」
「その……ええと、あなたの愛する方と言うのは、このことを知っているのですか?」
「何が言いたい?マリアに何かしてみろ。お前を殺してやる」
朝から純度の高い殺意を受けた私は驚いた。
だけど──なるほど、と理解もしていた。
(昨日寝室に来られなかったのは、意図的だったのね)
私みたいに、寝落ちしたのかと思った。
それなら、と私はフォークでレタスを刺しながら感想を口にした。
「マリアさんが不憫ですね」
「お前のせいだろう!」
「私のせいなんですか?」
「そうだ!!お前が、俺と結婚したいなどと言うからこんなことになった!!」
食事中だというのに、アルベルト様がガタンッと音を立てて席を立つ。
怒り狂う彼を見て、私は首を傾げた。
「えっ……そんなこと、言ってませんけれど」
「嘘をいえ!!だから父は断れなかったと言っていた。公爵令嬢のワガママには応えねばならないからな!!」
「言ってません。父に確認します」
「ハッ、泣きつくつもりか。それで、マリアを排除しようというんだな。言っておくが、俺の愛はマリアにある。真実の愛だ。お前ごときがどうこうできるものではない!」
「アルベ……旦那様はどうしたいのですか?」
名前で呼ぼうとするとものすごい顔で睨まれたので、私は言葉を変えた。
アルベルト様は、それでも不満そうに席に座り直す。
「お前とは離縁する」
「…………結婚しなければ良かったのでは?」
やはり、そこに着地する。
というかこのひと……。
(自分でどうしようもなかったからって、私に責任を押し付けようとしている……?)
流石に、口にしない。
これ以上夫婦の関係が悪化したら、社交にも障るからだ。
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