無能な婚約者はいりません

ごろごろみかん。

文字の大きさ
4 / 5

呪いの鏡か精霊か

しおりを挟む

呪いの鏡だ。絶対そうだ。
それか誰かがなにか小細工したに違いない。
こう見えて私は魔術が得意である。趣味は魔術の回路階席だったりする。プライドが山より高く海より深いリヴェルト様にそんなこと言った日には死ぬほどめんどくさくなることは目に見えているから言ってないけれど。独自の魔術回路を作り出し、新たな魔術酵素を発見するのはとっても楽しかった。口下手で世渡りが下手で口を開けば失言をしかねない私にはぴったりの趣味だった。魔術解析、ひとと話さないし。
自分が発見したり作り出した回路をメモしたノートを手に取ると、私は魔術探知の術を起動させた。

「ラ トゥユ フォ レーベ………」

古代語だというこれは、調べるのにとても時間がかかった。だけど調べれば調べるほど奥が深く楽しかった。よく秘密の恋人同士が魔術の報告書に見せかけて愛の言葉を紙にして送りあっているという発見もあった。古代語を理解している人なんて極小数しかいないからなかなか気づかれることは無いだろう。みな、何となく魔術を使っている。言葉の意味まで調べたりしない。
魔術探知の術式を起動させると、ぽわ、と光が宿った。しかし、直ぐに消える。どうやら魔術の類は使われてないようだ。

「…………え、じゃあ」

やっぱり悪魔…………?
流石にすーっと背筋が寒くなった。こういった超常現象には悪魔が付き物だ。よく言う。悪魔につかれたら人間性がなくなり、凶暴な動物のようになってしまうらしい。まさか私もそうなる…………!?
今すぐこの鏡をかち割るべきか悩んでいると、不意に鏡になにか映り込んできた。
悲鳴をあげるかと思った。
しかし、よくよく見れば鏡にうつっているのはなにかの言葉のようだった。

「あら…………?これ、古代語…………」

デ ブーレ ユ セイファン…………。何も知らない人が見たらいたずら書きのようにしか見えないだろう羅列。だけどそれはれっきとした古代語だった。

「満月、夜、蝶、踊り………?」

単語のみ羅列されたそれは、しかしすぐに消えた。あっと思う間もなかった。は、早い………。だけど私はかなりワクワクしていた。未知との遭遇。しかも、なんか思念を伝えてきている。私は鏡をじっと見た。鏡にはもう何も映っていない。

「………そう言えば」

ふと思い出す。
そういえば、私リヴェルト様と結婚したくないと思いながら鏡に話しかけたんだっけ………。ということは、もしかして今の単語がリヴェルト様との婚約破棄に繋がる要素………!?
魔術を使われた気配はなかった。他に鏡に小細工もしかけられてなさそうだった。そうなると、これは

「精霊………?」

悪魔でないなら、鏡に宿った精霊だろうか?昔読んでいた小説に出てきた森の妖精。私はあの小説が大好きで妖精は本当にいるとずっと信じていた。リヴェルト様に鼻で笑われるまではずっと信じていたのだ。あのオブラートという言葉を知らないリヴェルト様に一蹴されてからいないと思い込んでいたが、もしかしたら本当にいるのかもしれない………。
あと、やっぱりリヴェルト様はオブラートとか気遣いとかそういうものが明らかに足りていないので海にでも潜って身につけてくればいいと思った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】離縁されたので実家には戻らずに自由にさせて貰います!

山葵
恋愛
「キリア、俺と離縁してくれ。ライラの御腹には俺の子が居る。産まれてくる子を庶子としたくない。お前に子供が授からなかったのも悪いのだ。慰謝料は払うから、離婚届にサインをして出て行ってくれ!」 夫のカイロは、自分の横にライラさんを座らせ、向かいに座る私に離婚届を差し出した。

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

逃した番は他国に嫁ぐ

基本二度寝
恋愛
「番が現れたら、婚約を解消してほしい」 婚約者との茶会。 和やかな会話が落ち着いた所で、改まって座を正した王太子ヴェロージオは婚約者の公爵令嬢グリシアにそう願った。 獣人の血が交じるこの国で、番というものの存在の大きさは誰しも理解している。 だから、グリシアも頷いた。 「はい。わかりました。お互いどちらかが番と出会えたら円満に婚約解消をしましょう!」 グリシアに答えに満足したはずなのだが、ヴェロージオの心に沸き上がる感情。 こちらの希望を受け入れられたはずのに…、何故か、もやっとした気持ちになった。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

他の女にうつつを抜かす夫は捨てます

りんごあめ
恋愛
幼いころから婚約者同士だったメアリーとダン 幼少期を共にし、ついに結婚した 二人の間に愛が芽生えることはなかったが、せめて気の置ける夫婦になれたらと思っていた 最初は上手くやっていた二人だったが、二人の間を引き裂くようにあらわれた女によってメアリーとダンの関係は壊れていく すっかり冷たくなったダンに、私に情なんてないのね メアリーの心はどんどん冷えていく

処理中です...