王妃の鑑

ごろごろみかん。

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茶会

あれから陛下とは顔を合わせなかった。
陛下の言う通り、わたくしは仮初の王妃として公務を行った。
わたくしと陛下の仲が良くないのはすぐに城中の噂となり、誰もが知る事実となった。きっと両親も知っているに違いない。だけど両親は抗議の文を送るどころか、我関せずの姿勢を貫いた。きっと関わって余計な醜聞を繰り広げるのが嫌だったのだろう。たまに顔を合わせても血縁関係がないかのように振る舞わられた。
そのうちわたくしは自他共に認める『建前上の王妃』となった。
囁き声が耳に抜ける。

『妃殿下のようになったらおしまいね、あんな目に遭うなら王妃なんてなりたくないわ』
『公爵だって仰ってたわ、不出来な娘で恥ずかしいと。それもそうよね、あの容姿じゃ陛下だってお相手にならないわ』
『そうそう、お名前にふさわしい在り方よね!』

クスクスとした笑い声が頭から離れない。陛下と婚姻してから数ヶ月。陛下の姿を見る時はいつもアデライード様が一緒だった。アデライード様は時折こちらを見ては気遣わしげにわたくしを見てきていた。気づいてはいたけれど、目を合わせてしまえば何かが崩れてしまう。そう思ってわたくしは目を合わせなかった。
淑女として有るまじき行為だと分かってはいたが、目をふせて陛下とアデライード様との対面をやり過ごしていた。
日に日に、王宮は居心地が悪くなっていく。
わたくしは貴族の娘として恥じる容姿はしていないと思う。栗色の髪にサファイア色の瞳。派手ではないが取り立てて地味という訳でもないと思う。だけどどうしてもこの体は凸凹に欠けていた。それに比べてアデライード様は豊満な体つきをしている。

わたくしでは相手にならないというのなら確かにそうだと思う。わたくしのからだはどこもかしこも骨のようで、女性らしい体つきとはとても言えない。
嫁いできた時はもう少し肉があったように思う。だけど夜、窓ガラスに映った女はどこかの亡霊のような顔をしていた。血の気が引いた顔に、ほっそりとした顎。見れば自分の手は老婆のように細くなっていた。みすぼらしい。その言葉が頭にかけめぐり、思わず泣きくずれてしまった。
こんなことを望んで嫁いできた訳では無い。
こんなことにはなるために生まれてきた訳では無い。
どうして私は愛されないのだろうか。
私が何をしたというのだろうか。誰だって望む、普通の幸せすら私が望むにはおこがましいと言うのだろうか………!?
失意のうちに、私は自分の爪のネイルが剥がれかけていることに気づいた。
それを見て思わず笑う。馬鹿みたいだ。着飾ったって意味ないのに。綺麗にしたって誰も見ないのに。

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