王妃の鑑

ごろごろみかん。

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行動(2)

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そのあとネアモネは生まれて初めて、以前の記憶も含めて初めて食べ歩きというものをした。マナーも何もない、とてもではないが上品とは言えない食べ方。
だけどその気軽な感覚がネアモネにはとても良かった。
リリアベルもネアモネのことをハラハラと見守っていたが、ネアモネが以前のように綻んだ笑顔を見せたのでほっと安堵する。

(最近気を詰めていらっしゃったから………気分転換できてよかった。以前のお嬢様だわ)

リリアベルは安堵しつつネアモネとともに串にささった肉にかぶりついた。拳大の肉はかぶりつく度に肉汁が弾けて口内に広がった。じゅわりとした肉汁に甘酸っぱいソースが絡まり、なんとも言えない至福が口内に広がった。
ネアモネもその肉を頬張っていく。だけど育ちの良さは隠せず、小口で少しずつかじっていった。
やがて肉を完食し、次はどこへ行くか………と思案した時だった。

「どうしてくれんだよ、ええ!?」

男の劈くような怒鳴り声が耳に響いてきたのだ。不躾で低い男の怒鳴り声を聞いて反射的にネアモネは思い出してしまった。思い出したくもない、あのおぞましい記憶を。思わず串を強く強く握ってしまった。だけど細いそれは握れるだけの太さはなく、結果爪が手のひらにくい込むだけだった。
その怒声にほとんどの人が音の発生源を見る。ネアモネも血の気の引いた顔でそちらを見た。リリアベルもあたり警戒しながら探るようにそちらを見る。もしなにか起きたらこの身を呈してでもネアモネを守らなければと思ったのだ。

「おら!言ってみろよ!どうしてくれんだよ!お前母親は!いるんなら早く連れてこい!」

それにもかかわらず怒鳴りあげる男は果物を売る店の店主だった。先程ネアモネが近くを通ったときに見た顔だ。
そして怒鳴られている方はまだ小さな男の子だった。彼は俯いてしまっていて、そしてその小さな肩は震えている。
それを見て、ネアモネは一も二もなく駆け出した。なぜ駆けだしたかはわからない。だけどもしかしたら彼の姿が怯えた自分に重なったせいかもしれない。

「お嬢様っ!?」 

リリアベルの声が静まり返った街に響いた。男が怒鳴り声を上げたせいで、あたりは静まり返っていた。
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