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二章:宝石姫と魔女
宝石姫の秘密 ②
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(……王子!?)
さらに、私は彼から距離を取った。
そして、怪訝に彼を見る。
「なぜ、隣国の王子殿下がこんなところにいらっしゃるのです?」
すると、リアムと名乗った彼はにっこりと笑みを浮かべ、答えた。
「俺の目的はあなただよ、宝石姫。俺はあなたを探していたんだ」
「なぜ?」
「なぜ……って」
間髪入れずに尋ねると、リアム殿下はその直球さに面食らったようだった。
(前回、私は魔女の作った毒を飲んだことで体の自由を奪われた。あの時、魔女とウィリアムがどういう関係だったのかは分からない。だけど、ひとつだけ明確なことがある)
それは、魔女は求められたら宝石姫を害する立場にある、ということ。私は彼女の素性を知らない。なぜ、魔女と呼ばれるに至ったのか。あの時、ウィリアムからどういう依頼を受けて、彼女は毒を用意したのか。
魔女とリアム殿下の関係は?
親しげな彼らの様子を見るに、もしかしたら前回の私の死には隣国が関連していた可能性もある、と考えた。
リアム殿下を静かに見つめていると、数秒の沈黙の後、彼が挑戦的に口角を上げた。
「あなたを自国に連れていくため……と答えたら、あなたはどうする?」
「私を連れて行ってどうするのです?とお聞きしますわ」
その答えに、リアム殿下は目を瞬いた。
私の回答は、彼の意表を突くものだったようだ。それから彼は口に手を当てると、楽しげに笑い始めた。
「ふっ……ふはっ、はははは!いいね。期待以上だ、宝石姫。俺はあなたが死んだ後のことしか知らない。宝石姫がこんなに肝の据わったひとだったなんてね。俺はラッキーだ。あなたとこうして話す機会を得られたのだから」
「──」
今度は私の方が驚きに目を目開く。
(今、彼はなんて……)
リアム殿下はハッキリと『私が死んだ後のこと』と口にした。まるで、私が一度死んで生き返ったかのような言い方。
確かに私は、一度やり直している。結婚式の夜、夫となったひとに殺され、気が付いたら時間が戻っていたのだ。しかしそれは、私しか知らないことのはず。
なのに、なぜ彼は見てきたかのように話すのだろうか。彼は異質だ。違和感、というより対峙していると居心地の悪さ、奇妙な感覚に襲われる。
私はじっと注意深くリアム殿下を見て尋ねた。尋ねようとした。
「あなたは、一体──」
しかし、それは最後まで音にならなかった。
その場に、手を叩く音が響いたからだ。そらちに視線を向けると、魔女が手を合わせていた。今の音は、彼女が手を叩いた音だったのだ。
「宝石姫。あなたはあたしに用があってきたのでしょう。それとも、そっちの男を取るかい?」
「相変わらずあなたは思わせぶりな言い方をするなぁ」
魔女の言葉にリアム殿下がからからと笑う。
魔女はリアム殿下の言葉に取り合わず、私を見つめていた。
(魔女は、前回、私を殺すための手助けをした人だ)
これは、賭けだった。
もし、魔女が私に悪感情を持っているのなら私は敵地に、無防備にも単身で乗り込んだことになる。魔女と対峙するのはあまりにリスキーと言っていいだろう。
しかし【何も冒険しなければ何も得られない】とも言う。
私は知りたい。
今の私は、あまりにも知らなすぎると思うから。
自分がなぜ宝石姫なのか、そもそも宝石姫とは何なのか。魔女とは何を意味するのか。
それを知るために、ここまで来たのだ。
覚悟なら、とうにできている。
私は魔女を見つめると言った。
「あなたに聞きたいことがあります」
「家の中に入らなくても?」
真っ赤なくちびるが艶やかに笑う。
私は頷いて答えた。
「ここで結構です」
「ふうん。警戒しているのかしら?」
「単刀直入に聞きます。【宝石姫】とは何でしょう?それをあなたは知っていますか?」
私の言葉に、魔女はくちびるの端を持ち上げ、微笑んだ。
「それを知ってどうする?」
「…………」
私は無言で、フードを払った。
真っ白な髪が零れ、宝石姫の象徴である目が露わになる。私は魔女に言った。
「宝石姫としての死を、あなたに願いたい」
さらに、私は彼から距離を取った。
そして、怪訝に彼を見る。
「なぜ、隣国の王子殿下がこんなところにいらっしゃるのです?」
すると、リアムと名乗った彼はにっこりと笑みを浮かべ、答えた。
「俺の目的はあなただよ、宝石姫。俺はあなたを探していたんだ」
「なぜ?」
「なぜ……って」
間髪入れずに尋ねると、リアム殿下はその直球さに面食らったようだった。
(前回、私は魔女の作った毒を飲んだことで体の自由を奪われた。あの時、魔女とウィリアムがどういう関係だったのかは分からない。だけど、ひとつだけ明確なことがある)
それは、魔女は求められたら宝石姫を害する立場にある、ということ。私は彼女の素性を知らない。なぜ、魔女と呼ばれるに至ったのか。あの時、ウィリアムからどういう依頼を受けて、彼女は毒を用意したのか。
魔女とリアム殿下の関係は?
親しげな彼らの様子を見るに、もしかしたら前回の私の死には隣国が関連していた可能性もある、と考えた。
リアム殿下を静かに見つめていると、数秒の沈黙の後、彼が挑戦的に口角を上げた。
「あなたを自国に連れていくため……と答えたら、あなたはどうする?」
「私を連れて行ってどうするのです?とお聞きしますわ」
その答えに、リアム殿下は目を瞬いた。
私の回答は、彼の意表を突くものだったようだ。それから彼は口に手を当てると、楽しげに笑い始めた。
「ふっ……ふはっ、はははは!いいね。期待以上だ、宝石姫。俺はあなたが死んだ後のことしか知らない。宝石姫がこんなに肝の据わったひとだったなんてね。俺はラッキーだ。あなたとこうして話す機会を得られたのだから」
「──」
今度は私の方が驚きに目を目開く。
(今、彼はなんて……)
リアム殿下はハッキリと『私が死んだ後のこと』と口にした。まるで、私が一度死んで生き返ったかのような言い方。
確かに私は、一度やり直している。結婚式の夜、夫となったひとに殺され、気が付いたら時間が戻っていたのだ。しかしそれは、私しか知らないことのはず。
なのに、なぜ彼は見てきたかのように話すのだろうか。彼は異質だ。違和感、というより対峙していると居心地の悪さ、奇妙な感覚に襲われる。
私はじっと注意深くリアム殿下を見て尋ねた。尋ねようとした。
「あなたは、一体──」
しかし、それは最後まで音にならなかった。
その場に、手を叩く音が響いたからだ。そらちに視線を向けると、魔女が手を合わせていた。今の音は、彼女が手を叩いた音だったのだ。
「宝石姫。あなたはあたしに用があってきたのでしょう。それとも、そっちの男を取るかい?」
「相変わらずあなたは思わせぶりな言い方をするなぁ」
魔女の言葉にリアム殿下がからからと笑う。
魔女はリアム殿下の言葉に取り合わず、私を見つめていた。
(魔女は、前回、私を殺すための手助けをした人だ)
これは、賭けだった。
もし、魔女が私に悪感情を持っているのなら私は敵地に、無防備にも単身で乗り込んだことになる。魔女と対峙するのはあまりにリスキーと言っていいだろう。
しかし【何も冒険しなければ何も得られない】とも言う。
私は知りたい。
今の私は、あまりにも知らなすぎると思うから。
自分がなぜ宝石姫なのか、そもそも宝石姫とは何なのか。魔女とは何を意味するのか。
それを知るために、ここまで来たのだ。
覚悟なら、とうにできている。
私は魔女を見つめると言った。
「あなたに聞きたいことがあります」
「家の中に入らなくても?」
真っ赤なくちびるが艶やかに笑う。
私は頷いて答えた。
「ここで結構です」
「ふうん。警戒しているのかしら?」
「単刀直入に聞きます。【宝石姫】とは何でしょう?それをあなたは知っていますか?」
私の言葉に、魔女はくちびるの端を持ち上げ、微笑んだ。
「それを知ってどうする?」
「…………」
私は無言で、フードを払った。
真っ白な髪が零れ、宝石姫の象徴である目が露わになる。私は魔女に言った。
「宝石姫としての死を、あなたに願いたい」
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