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三章:宝石姫を失った代償
キャサリン・ステファニーが編み出す【未来】
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「俺が未来予知……つまり、追体験から戻ってくる方法はひとつ。追体験の中で俺自身が殺されることだ」
「追体験で……殺される?それ以外の戻り方はないのですか?」
「そうだね。基本的にはないんじゃないかな。というか、俺はそれ以外知らない」
私はリアム殿下の話すその内容に絶句した。
つまりそれって──
(彼は未来を見る度に、死を繰り返している……という、こと?)
それがもし事実だとするのなら。想像するだに恐ろしいことだと思った。ゾッと背筋が冷えて、血の気が引く。
私は一度、殺されて死に戻った。だけど、リアム殿下は一度ではなく、複数回、いえ、もしかしたら何十、何百という死を体験している……?
「そんなの……。そんなの、惨すぎますわ」
何度も死に戻るなんて、まともな精神ではいられないはずだ。
だけど、今のリアム殿下に変わった様子は見受けられない。
受け答えもはっきりしているし、いきなり取り乱したりということもない。
だけど──想像を絶する。
想像、できない。
唖然とする私に、リアム殿下が困ったように言った。
「そうだよね。他人が聞けば、酷い話だと思うかもしれない」
「お国事情ですから……他国出身の私がとやかく言えることではないかと思います。それでも、断言出来ますわ。予知から戻る条件は死を迎えること、なんてあまりにも惨すぎます。……誰も、誰も、異を唱えなかったのですか?」
他国の事情だ。その国にはその国の事情があるし、またその背景もある。考え方も異なる。それは分かっていても、どうしても気になってしまった。だって、そんなの普通じゃない。
リアム殿下もひとなのに、一人に対する負担が大きすぎる。
責めるような聞き方にはならないよう、注意したつもりだけどやはりそう聞こえてしまっただろうか。リアム殿下は肩を竦めた。
「さあ。だけど俺自身は何とも思ってないから、あなたもそんなに気にしないで。他でもない俺自身が納得してることだ」
「…………」
リアム殿下は、この場で預言者の在り方を議論するつもりはないのだろう。自己完結させるように言うと、本題は別にある、とでも言うように彼は言った。
「……それはいいとして。重要なのはその時間軸で、俺が魔女と話せなかったこと。つまり、彼女の目的を聞けずじまいに終わってしまった」
(触れられたくないこと、なのかしら)
私に宝石姫としての責務があったように、彼にも預言者としての役目があるのだろう。それを苦痛に思い、投げ出してしまった私とは違い、彼はそれを誠実に果たしている。自身の役割に納得し、真摯に、国のために責務を果たそうと尽力しているのだろう。
「…………」
自分とリアム殿下の立場はとても似ているように感じるのに、取り巻く環境も、考え方も全く違う。
(他人だから、それも当然なのかもしれないけれど)
それでも、考えてしまう。立場に誠実であろうとして、それに疑問を抱いていない様子のリアム殿下。
彼を見ていると──私の選択は誤りだったのでは無いか、という感情が。
あるいは、他に選択肢があったのではないか、と囁く自分の声が聞こえてくる。
全て投げ出して、放り出して逃げるのはあまりに無責任だ、と。
自問自答に陥り考え込んでいると、同じようになにか考え込んでいた様子のリアム殿下が顔を上げた。
「……予知を行うには、様々な条件が必要となる。最もそれに適した場所が、俺の部屋──サミュエルの城なんだけど、つまり、最後に予知を行ったのは一ヶ月以上前ということだ」
「その予知では、何を見たのですか?……私の死?」
私の疑問に、リアム殿下は首を横に振った。
「いや、あなたの死を知ったのは三年前。一ヶ月前に見たのは、また別だ。未来は常に変化するものだから、既にずれてる部分もあるかもしれないけど、大きな変化はないと仮定して──」
そこで、リアム殿下は人差し指を立てた。
そして、真剣な眼差しで私を見る。
「……近日中に、王太子の恋人であるキャサリン・ステファニーがあなたの噂を辿って、このノルトヴァルトまで来る。なにか対策しなければまず間違いなく、あなたはキャサリンと会うことになる」
「──」
確信を持った言い方に、またしても私は目を見開いた。言葉が出なかった。
「追体験で……殺される?それ以外の戻り方はないのですか?」
「そうだね。基本的にはないんじゃないかな。というか、俺はそれ以外知らない」
私はリアム殿下の話すその内容に絶句した。
つまりそれって──
(彼は未来を見る度に、死を繰り返している……という、こと?)
それがもし事実だとするのなら。想像するだに恐ろしいことだと思った。ゾッと背筋が冷えて、血の気が引く。
私は一度、殺されて死に戻った。だけど、リアム殿下は一度ではなく、複数回、いえ、もしかしたら何十、何百という死を体験している……?
「そんなの……。そんなの、惨すぎますわ」
何度も死に戻るなんて、まともな精神ではいられないはずだ。
だけど、今のリアム殿下に変わった様子は見受けられない。
受け答えもはっきりしているし、いきなり取り乱したりということもない。
だけど──想像を絶する。
想像、できない。
唖然とする私に、リアム殿下が困ったように言った。
「そうだよね。他人が聞けば、酷い話だと思うかもしれない」
「お国事情ですから……他国出身の私がとやかく言えることではないかと思います。それでも、断言出来ますわ。予知から戻る条件は死を迎えること、なんてあまりにも惨すぎます。……誰も、誰も、異を唱えなかったのですか?」
他国の事情だ。その国にはその国の事情があるし、またその背景もある。考え方も異なる。それは分かっていても、どうしても気になってしまった。だって、そんなの普通じゃない。
リアム殿下もひとなのに、一人に対する負担が大きすぎる。
責めるような聞き方にはならないよう、注意したつもりだけどやはりそう聞こえてしまっただろうか。リアム殿下は肩を竦めた。
「さあ。だけど俺自身は何とも思ってないから、あなたもそんなに気にしないで。他でもない俺自身が納得してることだ」
「…………」
リアム殿下は、この場で預言者の在り方を議論するつもりはないのだろう。自己完結させるように言うと、本題は別にある、とでも言うように彼は言った。
「……それはいいとして。重要なのはその時間軸で、俺が魔女と話せなかったこと。つまり、彼女の目的を聞けずじまいに終わってしまった」
(触れられたくないこと、なのかしら)
私に宝石姫としての責務があったように、彼にも預言者としての役目があるのだろう。それを苦痛に思い、投げ出してしまった私とは違い、彼はそれを誠実に果たしている。自身の役割に納得し、真摯に、国のために責務を果たそうと尽力しているのだろう。
「…………」
自分とリアム殿下の立場はとても似ているように感じるのに、取り巻く環境も、考え方も全く違う。
(他人だから、それも当然なのかもしれないけれど)
それでも、考えてしまう。立場に誠実であろうとして、それに疑問を抱いていない様子のリアム殿下。
彼を見ていると──私の選択は誤りだったのでは無いか、という感情が。
あるいは、他に選択肢があったのではないか、と囁く自分の声が聞こえてくる。
全て投げ出して、放り出して逃げるのはあまりに無責任だ、と。
自問自答に陥り考え込んでいると、同じようになにか考え込んでいた様子のリアム殿下が顔を上げた。
「……予知を行うには、様々な条件が必要となる。最もそれに適した場所が、俺の部屋──サミュエルの城なんだけど、つまり、最後に予知を行ったのは一ヶ月以上前ということだ」
「その予知では、何を見たのですか?……私の死?」
私の疑問に、リアム殿下は首を横に振った。
「いや、あなたの死を知ったのは三年前。一ヶ月前に見たのは、また別だ。未来は常に変化するものだから、既にずれてる部分もあるかもしれないけど、大きな変化はないと仮定して──」
そこで、リアム殿下は人差し指を立てた。
そして、真剣な眼差しで私を見る。
「……近日中に、王太子の恋人であるキャサリン・ステファニーがあなたの噂を辿って、このノルトヴァルトまで来る。なにか対策しなければまず間違いなく、あなたはキャサリンと会うことになる」
「──」
確信を持った言い方に、またしても私は目を見開いた。言葉が出なかった。
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とても面白くて一気に読ませていただきました!
続きをお待ちしています!!🙏
面白くて一気に読みました。
続きを!続きをお願い致します!
続きを楽しみにお待ちしています~♪
あああ
ありがとうございます՞߹ - ߹՞
密かに更新を再開していたのですが読んでる方がいるとおもうととても励みになります…!!