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4.お久しぶりです、旦那様
お久しぶりです、(元)旦那様
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「ここはどこだ!?お前たちは……誰だ!!」
「落ち着いてください。ここは異世界で、あなたは異世界召喚されました……」
「何を言っているんだ!?頭がおかしいのか!!」
彼らのやり取りを、私は呆然と聞いていた。
黒髪に涼し気な同色の瞳──。
端正な顔立ちをしたその男性は、スーツを着ていた。
神官に食ってかかっていた彼は、ふと私を見て──驚いたように目を見開く。
驚きもするだろう。
だって、私も同じくらいびっくりしている。
異世界から召喚されてきたのは、私の前の……花恋だった時の、旦那様だった。
驚きに固まる私に、旦那様……いえ、元旦那様が叫んだ。
「花恋!?」
「えっ……!?」
周囲のひとが驚いたように私と、元旦那様、正一さんを見る。
マシュー様の視線が特に突き刺さる。
私は、そっと目を逸らした。
しかし、正一さんは無理に神官の手を振り払うと、大股でこちらにやってきた。
そして、私の肩を掴み、まくし立てる。
「お前、なんでこんなところにいる!?死んだはずじゃなかったのか……!?いや、そんなことよりも、ここはどこだ!!答えろ!!」
前後にガクガクと肩を揺すられて、視界がぶれる。
私は彼の胸を押しのけようとした。
だけど、その前に。
私と彼の間に割って入ったひとがいた。
「やめないか!女性に乱暴をするなど、紳士として恥ずべき振る舞いだぞ!!」
……マシュー様だ。
私は、ふたりを見て、一瞬思考が止まった。
マシュー様も、正一さんも、私の(元)旦那様だ。
それも、前世と今世の。
(……ど、どういうこと)
正一さんも混乱しているだろうが、私も同じくらい混乱している。
そもそも、なぜ正一さんが召喚されたの?
動揺していると、正一さんがマシュー様に向き直った。
そして、怒鳴りつける。
「なんだお前は!そもそも、ここはどこなんだ!?これは立派な誘拐罪だ。私が誰かわかっているのか!?字波の代表取締役だぞ!!」
「お客様」
そこで、神官が正一さんを呼びかける。
彼は神官を睨みつけた。
ようやく話を聞いてくれると思ったのだろう。神官はホッとした様子だった。
「よくお聞きください。ここは、異世界です」
「……頭が湧いてるのか、貴様」
「これは事実です。そして、こちらの女性はカレン・カーター。カーター家のご令嬢ですが……面識がおありで?」
「カーター?そんなのは知らない。こいつは、私の嫁だった女だ!」
「何だと!?」
マシュー様が反射的に、とでも言うように言葉を挟む。
このままだと、ややこしいことになりそうだわ……。
そう考えた私は、正一さんに言った。
「神官様の言うとおりです。私の名前は、カレン・カーター。カーター伯爵家の娘であり、 つい数ヶ月前まではサザランド公爵夫人でした。……私は、あなたと初めてお会いしますけれど、私のことをご存知なのですか?」
ひとまず、ここで知り合いだと言うのはまずい。
前世の記憶とか、元夫婦だったこととか、説明するのは手間だし、面倒なことになるのは間違いなかった。
そう判断した私は、とぼけることにした。
正一さんの目が見開かれる。
「落ち着いてください。ここは異世界で、あなたは異世界召喚されました……」
「何を言っているんだ!?頭がおかしいのか!!」
彼らのやり取りを、私は呆然と聞いていた。
黒髪に涼し気な同色の瞳──。
端正な顔立ちをしたその男性は、スーツを着ていた。
神官に食ってかかっていた彼は、ふと私を見て──驚いたように目を見開く。
驚きもするだろう。
だって、私も同じくらいびっくりしている。
異世界から召喚されてきたのは、私の前の……花恋だった時の、旦那様だった。
驚きに固まる私に、旦那様……いえ、元旦那様が叫んだ。
「花恋!?」
「えっ……!?」
周囲のひとが驚いたように私と、元旦那様、正一さんを見る。
マシュー様の視線が特に突き刺さる。
私は、そっと目を逸らした。
しかし、正一さんは無理に神官の手を振り払うと、大股でこちらにやってきた。
そして、私の肩を掴み、まくし立てる。
「お前、なんでこんなところにいる!?死んだはずじゃなかったのか……!?いや、そんなことよりも、ここはどこだ!!答えろ!!」
前後にガクガクと肩を揺すられて、視界がぶれる。
私は彼の胸を押しのけようとした。
だけど、その前に。
私と彼の間に割って入ったひとがいた。
「やめないか!女性に乱暴をするなど、紳士として恥ずべき振る舞いだぞ!!」
……マシュー様だ。
私は、ふたりを見て、一瞬思考が止まった。
マシュー様も、正一さんも、私の(元)旦那様だ。
それも、前世と今世の。
(……ど、どういうこと)
正一さんも混乱しているだろうが、私も同じくらい混乱している。
そもそも、なぜ正一さんが召喚されたの?
動揺していると、正一さんがマシュー様に向き直った。
そして、怒鳴りつける。
「なんだお前は!そもそも、ここはどこなんだ!?これは立派な誘拐罪だ。私が誰かわかっているのか!?字波の代表取締役だぞ!!」
「お客様」
そこで、神官が正一さんを呼びかける。
彼は神官を睨みつけた。
ようやく話を聞いてくれると思ったのだろう。神官はホッとした様子だった。
「よくお聞きください。ここは、異世界です」
「……頭が湧いてるのか、貴様」
「これは事実です。そして、こちらの女性はカレン・カーター。カーター家のご令嬢ですが……面識がおありで?」
「カーター?そんなのは知らない。こいつは、私の嫁だった女だ!」
「何だと!?」
マシュー様が反射的に、とでも言うように言葉を挟む。
このままだと、ややこしいことになりそうだわ……。
そう考えた私は、正一さんに言った。
「神官様の言うとおりです。私の名前は、カレン・カーター。カーター伯爵家の娘であり、 つい数ヶ月前まではサザランド公爵夫人でした。……私は、あなたと初めてお会いしますけれど、私のことをご存知なのですか?」
ひとまず、ここで知り合いだと言うのはまずい。
前世の記憶とか、元夫婦だったこととか、説明するのは手間だし、面倒なことになるのは間違いなかった。
そう判断した私は、とぼけることにした。
正一さんの目が見開かれる。
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