〈完結〉前世と今世、合わせて2度目の白い結婚ですもの。場馴れしておりますわ。

ごろごろみかん。

文字の大きさ
16 / 18
4.お久しぶりです、旦那様

お久しぶりです、(元)旦那様

しおりを挟む
「ここはどこだ!?お前たちは……誰だ!!」

「落ち着いてください。ここは異世界で、あなたは異世界召喚されました……」

「何を言っているんだ!?頭がおかしいのか!!」

彼らのやり取りを、私は呆然と聞いていた。

黒髪に涼し気な同色の瞳──。
端正な顔立ちをしたその男性は、スーツを着ていた。
神官に食ってかかっていた彼は、ふと私を見て──驚いたように目を見開く。

驚きもするだろう。
だって、私も同じくらいびっくりしている。

異世界から召喚されてきたのは、私の前の……花恋だった時の、旦那様だった。

驚きに固まる私に、旦那様……いえ、元旦那様が叫んだ。

「花恋!?」

「えっ……!?」

周囲のひとが驚いたように私と、元旦那様、正一さんを見る。
マシュー様の視線が特に突き刺さる。

私は、そっと目を逸らした。

しかし、正一さんは無理に神官の手を振り払うと、大股でこちらにやってきた。
そして、私の肩を掴み、まくし立てる。

「お前、なんでこんなところにいる!?死んだはずじゃなかったのか……!?いや、そんなことよりも、ここはどこだ!!答えろ!!」

前後にガクガクと肩を揺すられて、視界がぶれる。
私は彼の胸を押しのけようとした。
だけど、その前に。
私と彼の間に割って入ったひとがいた。

「やめないか!女性に乱暴をするなど、紳士として恥ずべき振る舞いだぞ!!」

……マシュー様だ。

私は、ふたりを見て、一瞬思考が止まった。

マシュー様も、正一さんも、私の(元)旦那様だ。

それも、前世と今世の。

(……ど、どういうこと)

正一さんも混乱しているだろうが、私も同じくらい混乱している。

そもそも、なぜ正一さんが召喚されたの?

動揺していると、正一さんがマシュー様に向き直った。
そして、怒鳴りつける。

「なんだお前は!そもそも、ここはどこなんだ!?これは立派な誘拐罪だ。私が誰かわかっているのか!?字波の代表取締役だぞ!!」

「お客様」

そこで、神官が正一さんを呼びかける。
彼は神官を睨みつけた。
ようやく話を聞いてくれると思ったのだろう。神官はホッとした様子だった。

「よくお聞きください。ここは、異世界です」

「……頭が湧いてるのか、貴様」

「これは事実です。そして、こちらの女性はカレン・カーター。カーター家のご令嬢ですが……面識がおありで?」

「カーター?そんなのは知らない。こいつは、私の嫁だった女だ!」

「何だと!?」

マシュー様が反射的に、とでも言うように言葉を挟む。
このままだと、ややこしいことになりそうだわ……。
そう考えた私は、正一さんに言った。

「神官様の言うとおりです。私の名前は、カレン・カーター。カーター伯爵家の娘であり、 つい数ヶ月前まではサザランド公爵夫人でした。……私は、あなたと初めてお会いしますけれど、私のことをご存知なのですか?」

ひとまず、ここで知り合いだと言うのはまずい。

前世の記憶とか、元夫婦だったこととか、説明するのは手間だし、面倒なことになるのは間違いなかった。

そう判断した私は、とぼけることにした。

正一さんの目が見開かれる。


しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

[完結]婚約破棄してください。そして私にもう関わらないで

みちこ
恋愛
妹ばかり溺愛する両親、妹は思い通りにならないと泣いて私の事を責める 婚約者も妹の味方、そんな私の味方になってくれる人はお兄様と伯父さんと伯母さんとお祖父様とお祖母様 私を愛してくれる人の為にももう自由になります

私も貴方を愛さない〜今更愛していたと言われても困ります

せいめ
恋愛
『小説年間アクセスランキング2023』で10位をいただきました。  読んでくださった方々に心から感謝しております。ありがとうございました。 「私は君を愛することはないだろう。  しかし、この結婚は王命だ。不本意だが、君とは白い結婚にはできない。貴族の義務として今宵は君を抱く。  これを終えたら君は領地で好きに生活すればいい」  結婚初夜、旦那様は私に冷たく言い放つ。  この人は何を言っているのかしら?  そんなことは言われなくても分かっている。  私は誰かを愛することも、愛されることも許されないのだから。  私も貴方を愛さない……  侯爵令嬢だった私は、ある日、記憶喪失になっていた。  そんな私に冷たい家族。その中で唯一優しくしてくれる義理の妹。  記憶喪失の自分に何があったのかよく分からないまま私は王命で婚約者を決められ、強引に結婚させられることになってしまった。  この結婚に何の希望も持ってはいけないことは知っている。  それに、婚約期間から冷たかった旦那様に私は何の期待もしていない。  そんな私は初夜を迎えることになる。  その初夜の後、私の運命が大きく動き出すことも知らずに……    よくある記憶喪失の話です。  誤字脱字、申し訳ありません。  ご都合主義です。  

元侯爵令嬢は冷遇を満喫する

cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。 しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は 「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」 夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。 自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。 お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。 本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。 ※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

近すぎて見えない物

あんど もあ
ファンタジー
エルリック王子と一夜を共にした男爵令嬢。エルリックの婚約者シルビアが、優しく彼女に言った一言とは。

あなたが恋をしなければ

あんど もあ
ファンタジー
王立学園の卒業パーティーで婚約破棄を宣言する第一王子。 よくあるシーンだけど、それが馬鹿王子ではなく、優秀だけど人の機微に疎い王子だったら……。

はっきり言ってカケラも興味はございません

みおな
恋愛
 私の婚約者様は、王女殿下の騎士をしている。  病弱でお美しい王女殿下に常に付き従い、婚約者としての交流も、マトモにしたことがない。  まぁ、好きになさればよろしいわ。 私には関係ないことですから。

『お前を愛する事はない』なんて言ってないでしょうね?

あんど もあ
ファンタジー
政略結婚で妻を娶った息子に、母親は穏やかに、だが厳しく訊ねる。 「『お前を愛する事は無い』なんて言ってないでしょうね?」

処理中です...