〈完結〉離縁予定の王太子妃は初恋をやり直す

ごろごろみかん。

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ソフィア

奪われる日

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あとはもうこの荷を纏めるだけ。
ソフィアは七年お世話になった部屋をぐるりと見渡した。元からあった調度品のみがあるその部屋にはもはや、ソフィアが使用していた痕跡は見いだせない。さすがプロの仕事だ、と感慨深さもそこそこにソフィアは感心した。
ほかのことを考えてでもいなければ平静を保っていられなかった。

「妃殿下、そろそろ……」

"妃殿下"。
そう呼ばれるのもあと僅かの話だ。そう思ったソフィアの元に、しかしまた違う侍女の声がする。

「失礼いたします!ソフィア妃殿下はこちらですか!」

慌ただしく転がり込んでくる歳若い侍女の失態に侍女頭の眉がよる。

「今、王宮から通達がございました」

「………」

「ロウディオ殿下に不測の事態があり……至急、妃殿下にお越しいただくよう、陛下からのお達しです!」

「!」

思わぬ言葉にソフィアの体が硬直する。部屋に控えていた侍女も同様に驚いた様子を見せていた。静かな混乱が広がる中、しかしソフィアはすぐに落ち着きを取り戻す。

「向かいます。支度を」

「かしこまりました!」

ソフィアは城を出るだけであったので簡易的なドレスローブしか身にまとっていない。分厚い外套は冬でも寒さをしのげるようにするためだ。緊急事態と言えど、この格好で謁見することははばかれる。ソフィは取り急ぎ身だしなみを整えある程度見れるようになるとすぐに部屋を後にした。



◆◆◆


謁見の間。
大理石の冷たい床には赤いカーペットが敷かれ、ソフィアのヒールの音は全て吸収された。ソフィアが謁見の間に向かうと、そこは極わずかな人間しかいない。
まずは玉座に座る王。そしてその隣に立つのは………透き通るような薄い金色の髪をした少年だった。

「この子供は………」

思わず、といったようにぽつりと言葉を漏らすソフィアに王はゆるりと顔を上げる。ひどく焦燥したのか、その顔は記憶よりもやつれていた。
いつもなら近衛兵や魔道隊が取り囲む重々しい雰囲気のある謁見の間は、しかしこの時ばかりは両手の数で足りる程度の人数しかいなかった。
とは言っても、そのどれを取っても実力に間違いのない者ばかりなのだが。ソフィアは嫌な予感がした。王は重々しく口を開けた。

「この子は………13歳のロウディオだ」

「っは………?」

落ち着いているとよく人に言われるソフィアだが、この時ばかりは声が出た。

「驚くだろうが本当だ。実際、私はこの子の王の証を確認している」

「王の証……」
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