〈完結〉離縁予定の王太子妃は初恋をやり直す

ごろごろみかん。

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ソフィア

エピローグのその後に 6

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「騎馬訓練だったんだ。馬は可愛いね。目がくりくりしてる」

「そうだったんですね」

「ソフィア、今時間ある?少し歩こうよ」

ソフィアは言われるがままに頷いて、彼と共に庭園を歩いた。後ろを歩く侍女と騎士は王太子夫妻に遠慮して、少しあとを遅れてついてくる。

「ねえ、ソフィア」

「はい」

「子供が出来なくても、叔父上がいる」

「え………」

突然の話に、ソフィアは思わず足が止まった。それに合わせて、ロウディオも足を止める。ソフィアの呆然とした顔に、ロウディオは苦笑したり

「確かに直系の継承が望ましいんだと思う。だけど実際、スヴェン七世は兄の三世と三世の子、四世、五世、六世が立て続けに死したことで王位を戴いている。その後は七世の子が王位を継承していったようだし、二十二世も同様に兄王の子が全員病死したことで……」

「ろ、ロロ?待って、何を話してるの?」

「だから、伯父がたが王位を継いでも何らおかしくないんだよ」

「何を……」

そこまで言って、ソフィアはようやくピンときた。突然の話でソフィアも頭が回っていなかったのだ。ロウディオは、ソフィアに子ができずとも、王位を叔父─王弟の方に流せばいいと言っているのだ。あまりにも不遜じみた考えにソフィアはくらくらした。

「待ってください。だけど過去のそれは全て、死んでしまったからこその王位移管で……」

王位継承順位によって定められたとおりに従った結果だ。ソフィアの言葉に、ロウディオは首を振って答えた。

「前例がないなら、作ればいい。大丈夫。僕はロトの王太子だ。賢く動けば、難しいことじゃない」

「それは……」

「それに、今すぐどうこうという話じゃないんだよ。ソフィア、僕は今十三歳で、十五から二十の間に子を作ればいい。それに僕は、王朝なんて知ったこっちゃないんだ」

「ロウディオ!?」

ロウディオのあまりにも不遜で、そして暴君じみた発言に今度こそソフィアはめまいがする思いだった。しかしロウディオは真っ直ぐに彼女を見つめて言う。聞けば、子供の戯言のようなものだ。できるかも分からないことをできると豪語するほど愚かなことは無い。だけど、ソフィアはその愚かさを知った上で、ロウディオの必死さに息を飲む。ロウディオは希うような眼差しでソフィアを見ていた。

「気付かれないように養子を取ればいい。大丈夫。誰も気づきやしない。そもそも調べるすべがないんだから。上手くいくよ。よくある話だ」

「……私の血でも、貴方の血も引いてない、子、を………?」

とんでもない計画だ。ソフィアはもはや血の気が引いた顔でロウディオを見る。彼は冷たいソフィアの手を取って、両手で握った。ふたりの視線は複雑に絡み合う。

「手段はある。だからソフィ。ひとりで背負わないで。大丈夫。大丈夫だから」

「…………ロロ」

「僕じゃ頼りないかな。だけど、僕はこれからの人生をかけて、それを証明してみせる」

庭園の前で僅かに気恥しさを見せながらもしっかりと言うロウディオに、ソフィアは言葉に迷う。ソフィアがどう思おうと、この婚姻は続行が決められたばかりだ。彼女の一存でどうこうできるものではない。ソフィアは僅かに戸惑ったものの、ロウディオのその言葉に確かに心の重荷が解かれたのもまた、確かだった。

「……ありがとう。ロロ」

まだぎこちないものの、ふわりと微笑んだソフィアに、ロウディオもようやく、安心した笑みを見せた。


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