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ソフィア
エピローグのその後に 5
しおりを挟む朝、目が覚めて。
ソフィアは眩しさに目を細めた。
目の前には健やかな寝顔のロウディオがいる。彼女はその頬を撫でた。彼女の夫で、十二歳年下の夫。愛しい。その気持ちは未だにある。
燻り続けたそれは紛れもない愛だ。過去、憎悪すら含み彼を殺したいと思ったこともあった。
──いい?ソフィア。
ソフィアの母、テレサは彼女に諭した。
──男性の心が移ろうのは自然なことよ。
──どうして?
幼いソフィアが母に教えを乞う。
ソフィアは目を閉じて、彼の眦に唇を付ける。ロウディオがくすぐったそうに眉を寄せる。もうそろそろ覚醒することだろう。
──理由を求めてはいけないの。
テレサは幼い彼女に言って聞かせた。
──でもね。あなたが取り乱さず、大人しくしていればきっと……帰ってくるから。
母の教えは正解だったらしい、と彼女は眠りを引きずる頭で考えた。尤も、それは予想だにしない方向性によって、だが。経緯はどうあれ、今のロウディオはソフィアを一番に愛してくれているらしい。ソフィア以外の女と関係を持っていたことに彼は怒っていた。
「ん………ソフィ?」
ロウディオがゆっくりと彼女の名を呼んだ。ソフィアは笑みを描いて彼の手に触れた。
「おはよう。ロロ」
「うん……おはよう」
ロウディオは起き上がると、身支度を整えてくると言って、自室へと戻ってしまった。ロウディオは昔から身の回りの世話のほとんどを自分でやっていたが、ソフィアは違う。そもそも彼女の着るドレスはとてもではないがひとりで着れるものではない。彼女は侍女によってビスチェの紐を締めてもらうと、本日のドレスを思案するのだった。
◆◆◆
お昼になり、ソフィアは庭園を散歩することにした。王太子妃であるソフィアの役割は後継を産むことである。社交や謁見ももちろん大切な仕事ではあるが、今回の件で疲れているだろうという国王の配慮により、しばらくは休みをもらっている。尤も、王太子妃である彼女が社交の場に出ないのは非常にまずいので、休むとしても数日程度にはなるだろう。彼女が庭園を眺めながら歩いていれば、ふと、呼び止める声があった。
「ソフィ!」
「ロ……殿下。どうしてこちらに」
驚いてそちらを見れば、ロウディオが乗馬服のまま、こちらに向かっていた。彼は足早にソフィアの元に向かうと、侍女から眩しい白の日傘を受け取り、彼女に指す。ソフィアはロウディオの姿に目を丸くしていた。
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