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ロウディオ
エピローグのその前に 6
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僕はソフィアを尋ねようと思った。
二十五歳のロウディオと、十三歳の僕、どちらを選ぶか彼女に選択を迫ってしまったが、彼女が僕に愛想をつかしていたらそのどちらも選ばない可能性がある。なにより、僕は彼女に二十五歳のロウディオとの関係を聞きたかった。
朝日が登り、寝不足な頭は少しだけ重い。だけど何食わぬ顔で朝食を食べたところで、扉がノックされた。侍女が取次、相手はソフィアだと言う。
驚いた。そして、同じくらい嬉しかった。ソフィアは変わっていないと言ったけれど、確かにそうなのだろう。昔の彼女──僕がつい最近一緒に行動していたソフィアもまた、喧嘩をしても次の日には何食わぬ顔をして訪れていた。
僕が扉に向かえば、しかし二十五歳の彼女は少し申し訳なさそうな顔をしていた。そこだけが、僕の知る彼女とは違う。
「来たんだね。ソフィア、良かった。来ないかと思った」
「……来るわ。だって、約束したじゃない」
ソフィアは目線を下げて、落ち着いた声でいう。やはり、どこもかしこも、僕が知る彼女とは少し違う。僕の知るソフィアはこんなに落ち着いた話し方をしなかった。こんなに、寂しげな目をしなかった。今の彼女を作ったのが二十五歳のロウディオだというのなら、僕は……。
僕は、ソフィアの手を引いた。ソフィアは僅かにこちらにこちらに体を預けた。ふ、と彼女の顔がもちあがる。その瞳が探るような、恐れを抱いたような色がやどる。僕は知りたかった。
彼女の本音を。建前に隠された、彼女の真意を。
「それは今の僕とソフィアを知るために必要な期間のため、っていう名目だろ。そうじゃなくて……」
「私たちのこと。話そうと思ったの。だから……入れてくれる?」
「……うん」
ソフィアの手を引いて室内に招きいれれば、彼女は逆らわずに促されてソファに座った。ソフィアは手の上で手を握りしめていたが、やがて静かに話し出す。
「私と殿下は、上手くいってなかった」
「……うん」
知っている。日記を全て読んだのだから。
ソフィアはまるで罪でも告白するかのような硬い声で言った。
「殿下は……恋多き方だったわ」
「………」
「いつからかは分からない。だけど……婚姻してからだんだん、貴方は変わった」
「僕が……?」
確かに変わったのだろう。
だけど何も急に、突然の変化ではなかったはずだ。ソフィアのはっきりとした物言いに、僕は顔を上げる。ソフィアは苦しげな顔をしていた。まるで、胸を潰されたかのような。
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