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2章
にじゅーろく
しおりを挟む階段から降りると、下から騎士の格好をした男の人が駆け上がってきた。
「殿下!」その後ろに黒髪の青年がいる。
少年は「リュード!」と叫んでいたから知り合いなのかもしれない。
「ミシェラ!もう大丈夫だよ。助けが来たんだ!」
その中に霊媒師はいるのだろうか。
少し気になったけど、この国には霊媒師は少ないようだ。
そもそも妖とか、そういったものに対して詳しくない。
「だめかもしれません」
「えっ」
少年が驚く。
階段をかけ登ってきた騎士が廊下に向かおうとするから思わずその腕を掴む。
「待ってください。死んでしまいます」
騎士は突然腕を掴まれたことに驚いたようだけど、すぐに険しい顔になった。
「お言葉ですが、自分はそんなやわな鍛え方をしていません」
どんなに鍛えても物理攻撃は効かないから意味がない。
騎士はそのまま腕を振り払って行こうとしたけれど、少年が「待て!」と声をかけると止まった。
このまま突っ込んでたら地縛霊に魂を抜き取られていた。
少年は私を見てから騎士を見た。
どこか迷うような顔で続ける。
「エルミー。この階には怪異がいる。普通のひとの手には負えない。すぐここは封鎖して……封鎖した方がいいんだよね?ミシェラ」
少年に効かれて私は少し驚きながらも頷く。
祓えない以上、封鎖するべきだ。
少年は私が頷いたのを見ると、「すぐさまここは封鎖!兄上には僕から伝えるから、僕の言う通りに動いて」と叫ぶ。
すぐさま騎士は動いた。
流石王弟なだけあって、影響力がすごい。廃屋は封鎖して、直ちに私たちは城へと戻った。
疲労困憊だ。
流石に眠い。
馬車の中では熟睡してしまった。
「僕さぁ、少しずつだけどわかってきた気がするんだよね」
眠りが浅くなった時、不意に少年の声が聞こえた。
「思った以上にこのひと、壊れてる」
誰が壊れているのだろう。
そもそも人間は壊れない。
壊れるのは物だけだ。
そう思ったけど、眠気には勝てなくてそのまま眠ってしまった。
二章 完
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