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第二十二話
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『メンバーは集まったわ。でも予定とか合わせることを考えると今度の連休を使った方がいいってことになったわ。だから週末、金曜日の夕方からログインして出発。可能ならカヴァーロの往復を三日間で終わらせる予定』
知香からのメールでカヴァーロに行くのは週末と決まった。それまで何をするかだけど、一つはもう決まっている。《装飾付与》だ。これで装備を強化して、それが終わったら保存食作り。別に買ってもいいんだけど、これからのことを考えると作れた方がいい。と言っても干物を作る程度だと思っている。あとは修行? かな。
今日のバイトはいつも以上に猫まみれになった気がする。やたらウニャウニャと寄ってきた。ふふん、愛い奴らめ。
講義も終えて帰ると思った以上に早く帰れた。まだ十五時と少し。今ログインするとゲームではまだ夜が明けないはず。十六時まで待ってログインしよう。軽く食事を取って、ん~……二十時ログアウト、かな。と、予定を立てたところで何か食べよう。と言っても時間が少ないから……インスタントにラーメンで。
ログインしたら朝です。ちょうどいいタイミングだ。なので早速アルトさんの所に行こう。
「おはようございます」
「やあ、おはようございます。ユル君、早いですね。ちょっと待ってくださいね」
店に入るとアルトさんは店員さんに何やら指示を出していた。軽く手をあげて挨拶するとまた指示をする。
「……ではよろしくお願いしますね。さて、お待たせしました。工房に行きましょう」
この優しげな人が作業になると口調が変わる。二重人格もいいところだ。
工房に入るとまずは口頭指導になる。
「さて、以前は軽く説明しましたが、《装飾付与》にはエーテルもしくは魔素を使います。これはどちらでも構いません。効率で言えば魔素ですが効果で言えばエーテルです。なので使いやすい方で結構です。重要なのは媒体で、これにエーテルもしくは魔素を定着させます。なので定着率の良いものを使います。もちろん金属加工品には金属、布や革製品には糸を使います」
そう言って、工房にあった二つの素材を手に取る。
「決まりはないですが、金属はこの魔銀か少し高価ですがミスリルを使います。糸なら魔蚕の絹糸が一般的です。ところでユル君はエーテルと魔素のどちらの扱いが得意です?」
「エーテルの方が得意ですね」
「では《外気功》と《内気功》は使えますね?」
俺が頷くとすぐに作業モードに入った。
「なら始めるぞ。さっさと準備しろ」
鬼アルトモードだ。
「まずこの魔銀を使う。これを握ってエーテルを込めろ。感覚は《外気功》と《内気功》を同時発動だ」
投げてよこされた魔銀の塊をお手玉しながら受け取り意味不明なこと言うアルトさんに聞きかえした。
「ど、ど、どういう事?」
「馬鹿か。いいか? 魔銀に向かってエーテルを放出する。そして魔銀を自身の一部だと思い放出したエーテルを受け取れ。その時、魔銀をお前のエーテルで満たしておけよ。でないと反発するぞ。そして受けたエーテルを魔銀に取り込ませるんだ」
説明されたけど、よくわからん。取りあえずやってみよう。
まず魔銀にエーテルをまとわせるのかな? ん……むむむ、なんか違うか? えとアルトさんは体の一部と思えって言ってたから、魔銀も自分だと思って強化する感じか? ぬ~ん…………あ、なんとなく魔銀? 異物感がある気がする。
「よし、そのままエーテルを魔銀に放出するんだ」
アルトさんのオッケーも貰ったからこの感覚が魔銀にまとわせる感覚で合ってたんだな。そういえば、内気功使いながらの放出ってしたことないけど大丈夫か? とりあえず試してみるべし。
魔銀を握った反対の手で放出を。お、ジワリとだができた。
「おいおい、えらく弱弱しいな。日が暮れるぞ」
……うるさい。今から出力上げますよーだ。ぬぬぬ……おお。いい感じかも。あ、魔銀から俺のエーテルが戻ってきた。そしてそれを再び放出。おお、これぞ永久機関。
「阿保か!」
スパーン! と頭を叩かれた。痛い。かなり痛い。ちょっと涙出たさ。
「お前が自分で吸収してどうする。魔銀に受け取らせるんだよ」
いや、これ自動で返ってくるんですけど。と言うか疑問なんですが。
「これ、内功で満たしてるだけじゃダメなんですか?」
このまま使えば超絶に簡単なんだけど。
「やってみたらわかるが、内功を切った時点でエーテルが消える。それを定着させるまでとなると数年かかる。だから無理やり外から取り込ませるんだ」
と言うので内気功切ってみた。すると魔銀の反応も消えた。えー……。
「コツとしてはエーテルが戻ってくる前に内功を切れ。そうすれば魔銀が受けたエーテルが残る」
と言うのでやってみた。けどタイミングがシビアだ。トカゲの尻尾みたいにちょろっとだけ魔銀に残ったり、完全に自分で吸収したり。切るのが早すぎて魔銀が弾かれて顔面直撃したり。と、繰り返していると。
《アビリティ《エーテル・魔素付与》を取得しました》
てことでアビリティゲット。説明を見ると、これ人にも出来るみたいだけど反発があるので短時間で切れるみたい。これが出来ないと他人へバフとか出来ないらしい。物や植物も基本的には同じだけど、今使ってる魔銀とかみたいに溜め込む性質のものとかだと付与したエーテルや魔素は消えないらしい。
とにかくこのおかげで一気にやりやすくなった。具体的にいうと今まで両手を使ってたのが片手でできるようになった。感覚的なことなので説明しにくいが、エーテルで満たしてそのまま弾き飛ばす? みたいな。実際に弾き飛ばす訳じゃないけど、握ったボールに力を入れて~パッと放す、みたいな。……言っててよくわからんからやめよう。
取りあえず効率よくエーテルを魔銀に与えることが出来た。
【魔銀:エーテル付与Cランク】
「ふ、Cランクか。このランクは質だ。ABCの三つでもちろんCは最下級だ。伝説級と言うSがあるとも聞くが見たものはいないな。もちろん俺もない。まあいい、次だ。これからが本番だからな。最初に効率は魔素がいいと言ったが、魔素は付与がすこぶる簡単だからということと、精霊たちの好きな属性の魔素を付与できる。そうなると多少細工が歪でも問題ないからだ。エーテルだと付与も難しいがさらに各精霊の好みの細工を施さないとだめだ。その代り精霊が気に入る細工なら複数属性も可能だ。魔素は複数属性の魔素付与は難しいが細工自体も気に入られれば効果は上がる。エーテルは細工の腕次第で複数属性の付与もできるが、効果の上昇率は上がりにくい、というか狙うのは難しい。精霊次第だからな」
なるほど。一長一短がありますな。製造職を目指すならエーテルと魔素の両方を鍛えた方がいいのかも。ま、俺は製造職じゃないんでこのまま行くけど。
「効果を簡単に言うと火なら火属性・筋力上昇、水なら水属性・知力上昇、地なら地属性・体力上昇、風なら風属性・敏捷上昇だ。属性が付くかステータス上昇が付くか、あるいは両方付くかは運と腕だ。腕がよくなると両方付く可能性が増える。複数属性の精霊に気に入られた場合、付く属性も効果も不明だ。細工によって変わるから職人はこれを独自の技術として持ち、他人にはまず教えない。同じ細工にはだいたい同じ効果が付くからな。特に腕やデザイン次第のエーテル付与の場合は一子相伝の物が多い。と言うのも大体の細工は見ればわかるが、真似をした所で全く同じものが出来る訳ではない。技量の違いもあるが付与したエーテルにはそれぞれ特徴があるからな。親子でもない限りエーテルはかなり違う」
なるほどね。となると狙った効果を付けるのはなかなか難しそうだ。
「なら基本はどんな細工でどの属性が付くんですか?」
「馬鹿め。そんなことを教えるわけないだろうが。……と言いたいところだが、一応弟子でもあるわけだからな。基本だけ教えてやる。火属性は火を感じる様な細工。水は水を感じる細工。地は大地などを感じる細工。風は風を感じる細工だ」
「……は?」
意味わかんねーですけど。
「狙った効果を目指すならその効果を感じる細工をすることだ。ただし、エーテルの質によって細工から受ける印象が変わることを覚えておけ。とは言え基本はさっき言った通りだ。以上がコツだが質問はないな?」
いや、質問しかないというか謎だらけだ。
「よし、さっさとこれにやれ」
こっちが何か言う前に俺の腰から焔を抜いて差し出してきた。素早い。ってそれよりも喉元に切っ先を当てるのはやめて! やりますんで!
知香からのメールでカヴァーロに行くのは週末と決まった。それまで何をするかだけど、一つはもう決まっている。《装飾付与》だ。これで装備を強化して、それが終わったら保存食作り。別に買ってもいいんだけど、これからのことを考えると作れた方がいい。と言っても干物を作る程度だと思っている。あとは修行? かな。
今日のバイトはいつも以上に猫まみれになった気がする。やたらウニャウニャと寄ってきた。ふふん、愛い奴らめ。
講義も終えて帰ると思った以上に早く帰れた。まだ十五時と少し。今ログインするとゲームではまだ夜が明けないはず。十六時まで待ってログインしよう。軽く食事を取って、ん~……二十時ログアウト、かな。と、予定を立てたところで何か食べよう。と言っても時間が少ないから……インスタントにラーメンで。
ログインしたら朝です。ちょうどいいタイミングだ。なので早速アルトさんの所に行こう。
「おはようございます」
「やあ、おはようございます。ユル君、早いですね。ちょっと待ってくださいね」
店に入るとアルトさんは店員さんに何やら指示を出していた。軽く手をあげて挨拶するとまた指示をする。
「……ではよろしくお願いしますね。さて、お待たせしました。工房に行きましょう」
この優しげな人が作業になると口調が変わる。二重人格もいいところだ。
工房に入るとまずは口頭指導になる。
「さて、以前は軽く説明しましたが、《装飾付与》にはエーテルもしくは魔素を使います。これはどちらでも構いません。効率で言えば魔素ですが効果で言えばエーテルです。なので使いやすい方で結構です。重要なのは媒体で、これにエーテルもしくは魔素を定着させます。なので定着率の良いものを使います。もちろん金属加工品には金属、布や革製品には糸を使います」
そう言って、工房にあった二つの素材を手に取る。
「決まりはないですが、金属はこの魔銀か少し高価ですがミスリルを使います。糸なら魔蚕の絹糸が一般的です。ところでユル君はエーテルと魔素のどちらの扱いが得意です?」
「エーテルの方が得意ですね」
「では《外気功》と《内気功》は使えますね?」
俺が頷くとすぐに作業モードに入った。
「なら始めるぞ。さっさと準備しろ」
鬼アルトモードだ。
「まずこの魔銀を使う。これを握ってエーテルを込めろ。感覚は《外気功》と《内気功》を同時発動だ」
投げてよこされた魔銀の塊をお手玉しながら受け取り意味不明なこと言うアルトさんに聞きかえした。
「ど、ど、どういう事?」
「馬鹿か。いいか? 魔銀に向かってエーテルを放出する。そして魔銀を自身の一部だと思い放出したエーテルを受け取れ。その時、魔銀をお前のエーテルで満たしておけよ。でないと反発するぞ。そして受けたエーテルを魔銀に取り込ませるんだ」
説明されたけど、よくわからん。取りあえずやってみよう。
まず魔銀にエーテルをまとわせるのかな? ん……むむむ、なんか違うか? えとアルトさんは体の一部と思えって言ってたから、魔銀も自分だと思って強化する感じか? ぬ~ん…………あ、なんとなく魔銀? 異物感がある気がする。
「よし、そのままエーテルを魔銀に放出するんだ」
アルトさんのオッケーも貰ったからこの感覚が魔銀にまとわせる感覚で合ってたんだな。そういえば、内気功使いながらの放出ってしたことないけど大丈夫か? とりあえず試してみるべし。
魔銀を握った反対の手で放出を。お、ジワリとだができた。
「おいおい、えらく弱弱しいな。日が暮れるぞ」
……うるさい。今から出力上げますよーだ。ぬぬぬ……おお。いい感じかも。あ、魔銀から俺のエーテルが戻ってきた。そしてそれを再び放出。おお、これぞ永久機関。
「阿保か!」
スパーン! と頭を叩かれた。痛い。かなり痛い。ちょっと涙出たさ。
「お前が自分で吸収してどうする。魔銀に受け取らせるんだよ」
いや、これ自動で返ってくるんですけど。と言うか疑問なんですが。
「これ、内功で満たしてるだけじゃダメなんですか?」
このまま使えば超絶に簡単なんだけど。
「やってみたらわかるが、内功を切った時点でエーテルが消える。それを定着させるまでとなると数年かかる。だから無理やり外から取り込ませるんだ」
と言うので内気功切ってみた。すると魔銀の反応も消えた。えー……。
「コツとしてはエーテルが戻ってくる前に内功を切れ。そうすれば魔銀が受けたエーテルが残る」
と言うのでやってみた。けどタイミングがシビアだ。トカゲの尻尾みたいにちょろっとだけ魔銀に残ったり、完全に自分で吸収したり。切るのが早すぎて魔銀が弾かれて顔面直撃したり。と、繰り返していると。
《アビリティ《エーテル・魔素付与》を取得しました》
てことでアビリティゲット。説明を見ると、これ人にも出来るみたいだけど反発があるので短時間で切れるみたい。これが出来ないと他人へバフとか出来ないらしい。物や植物も基本的には同じだけど、今使ってる魔銀とかみたいに溜め込む性質のものとかだと付与したエーテルや魔素は消えないらしい。
とにかくこのおかげで一気にやりやすくなった。具体的にいうと今まで両手を使ってたのが片手でできるようになった。感覚的なことなので説明しにくいが、エーテルで満たしてそのまま弾き飛ばす? みたいな。実際に弾き飛ばす訳じゃないけど、握ったボールに力を入れて~パッと放す、みたいな。……言っててよくわからんからやめよう。
取りあえず効率よくエーテルを魔銀に与えることが出来た。
【魔銀:エーテル付与Cランク】
「ふ、Cランクか。このランクは質だ。ABCの三つでもちろんCは最下級だ。伝説級と言うSがあるとも聞くが見たものはいないな。もちろん俺もない。まあいい、次だ。これからが本番だからな。最初に効率は魔素がいいと言ったが、魔素は付与がすこぶる簡単だからということと、精霊たちの好きな属性の魔素を付与できる。そうなると多少細工が歪でも問題ないからだ。エーテルだと付与も難しいがさらに各精霊の好みの細工を施さないとだめだ。その代り精霊が気に入る細工なら複数属性も可能だ。魔素は複数属性の魔素付与は難しいが細工自体も気に入られれば効果は上がる。エーテルは細工の腕次第で複数属性の付与もできるが、効果の上昇率は上がりにくい、というか狙うのは難しい。精霊次第だからな」
なるほど。一長一短がありますな。製造職を目指すならエーテルと魔素の両方を鍛えた方がいいのかも。ま、俺は製造職じゃないんでこのまま行くけど。
「効果を簡単に言うと火なら火属性・筋力上昇、水なら水属性・知力上昇、地なら地属性・体力上昇、風なら風属性・敏捷上昇だ。属性が付くかステータス上昇が付くか、あるいは両方付くかは運と腕だ。腕がよくなると両方付く可能性が増える。複数属性の精霊に気に入られた場合、付く属性も効果も不明だ。細工によって変わるから職人はこれを独自の技術として持ち、他人にはまず教えない。同じ細工にはだいたい同じ効果が付くからな。特に腕やデザイン次第のエーテル付与の場合は一子相伝の物が多い。と言うのも大体の細工は見ればわかるが、真似をした所で全く同じものが出来る訳ではない。技量の違いもあるが付与したエーテルにはそれぞれ特徴があるからな。親子でもない限りエーテルはかなり違う」
なるほどね。となると狙った効果を付けるのはなかなか難しそうだ。
「なら基本はどんな細工でどの属性が付くんですか?」
「馬鹿め。そんなことを教えるわけないだろうが。……と言いたいところだが、一応弟子でもあるわけだからな。基本だけ教えてやる。火属性は火を感じる様な細工。水は水を感じる細工。地は大地などを感じる細工。風は風を感じる細工だ」
「……は?」
意味わかんねーですけど。
「狙った効果を目指すならその効果を感じる細工をすることだ。ただし、エーテルの質によって細工から受ける印象が変わることを覚えておけ。とは言え基本はさっき言った通りだ。以上がコツだが質問はないな?」
いや、質問しかないというか謎だらけだ。
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