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第二章 第一次〈ムーン〉制圧作戦編
第12話 伝承②
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この頃、ユスティニ地方では、“異常現象”が各地で多発していた。
農作物の不作、井戸の枯渇、川の氾濫、モンスターの大量発生……
一つ一つの被害は小さいものだったが、それがだんだんと積み重なり、人々の不安を駆り立てていった。そして、それがさらに戦局を悪化させていったのである。カルメンとルーク率いるタール軍も、この異常現象の中で戦い続けた。タールランドは、非常に小さい国である。そのため、専門軍人というか、職業的軍人は少なく、軍の約4割が、農民兵士だった。これがタール軍を追い詰めていく1つの要因となってしまった。
◇
「ふぅ………」
カルメンは、本拠地の城内で頭を抱えていた。今日、彼のもとに「兵士をやめたい」と、数十人の農民兵士が辞表を提出しにきたからである。カルメンとしては、彼らの願いを受け入れ、解放してやりたいのは山々だ。だが、タール軍のリーダーとしては、今戦局が悪化しつつあるなかで、貴重な戦力を解き放つわけにはいかなかったのだ。どうすればいいのだろうと、彼は思考を巡らせていた。彼の“ギフト”が、たくさんの人がいることによってその実力を発揮できるのも、彼の頭を悩ませている1つの要因でもあった。
「私は…どうすればいいのでしょうか……」
ふぅ…………と、また大きなため息をつく。
そのときだった。
ドォン!と大きな衝撃音が走った。
「なんだ?一体何が起きたんだ!?」
カルメンは、一目散に音の鳴った方へと向かった。
◇
「こ、これは………一体……」
現場には、軍人や使用人などたくさんの人が集まっていた。
爆発があったのは、城の1階。それも、城の入り口だった。爆発に気付いた使用人が水魔法を使役できたために、延焼を防ぐことはできた。原因は………
「火属性魔法を城内に放った奴がいるな。」
「ルーク……一体どういうことなのでしょう?」
「…………………反乱、か。」
「!!?」
カルメンは、予想はしていたものの、実際に起きてほしくなかった現実に直面し、まっすぐに見れなくなった。彼は、いつも民を思い、国のために尽くしてきた。それなのに……なぜ、こんなことに……と。
このとき、カルメンはある1つの決断をした。《大災厄》も視野にいれて。
「ルーク、戦争を止めにしませんか?」
「はぁ!?おいおいカルメン、今さら何言ってんだよ。」
はははは、とルークは笑いながらカルメンの肩を叩く。どうやらルークは、カルメンが場をなごませるためのジョークを言っているのだと勘違いしているようだ。だが、ジョークのつもりがないカルメンは、ルークの手を振りほどきもう一度強く言う。
「このまま戦争を続けていても、関係のない人々が死に絶えるだけで、なんの利益もありません。土地が手に入るだけですし、呪いも積み重なる。たくさんの一般人だって巻き込まれていますし…それに……」
彼は言葉に詰まった。お告げの話をしても、どうせ信用してもらえないだろうと思ったからである。
「《大災厄》、か?」
「…!何故それを!?」
「ああ、俺もシスターから聞いたんだよ。」
ルークは、下を向く。
「でもな、ここで立ち止まるわけにはいかないんだ……死んでいった同士のためにもな。」
彼は拳を握りしめ、天に掲げた。カルメンには、心当たりがあった。
「…………私は……私はっ!」
そのときだった。
晴れわたった空に、突如巨大な閃光がはしった。
そして――
無数の魔方陣から、ものすごい数の黒い影が飛び出してくる。
「カルメン………あれって確か……“反結界呪文”じゃ………」
「ええ………どうやら、破れてしまったようですね、古代に作られし“聖なる結界”が……」
『この国を覆う黒い影が、まだ消えてないわ。』
カルメンは、シスターのお告げを思い出しながら、空を呆然と眺めていた。
これが、ワーズ大陸史に残る史上最大の大戦、《大災厄》の始まりの儀式だった。
農作物の不作、井戸の枯渇、川の氾濫、モンスターの大量発生……
一つ一つの被害は小さいものだったが、それがだんだんと積み重なり、人々の不安を駆り立てていった。そして、それがさらに戦局を悪化させていったのである。カルメンとルーク率いるタール軍も、この異常現象の中で戦い続けた。タールランドは、非常に小さい国である。そのため、専門軍人というか、職業的軍人は少なく、軍の約4割が、農民兵士だった。これがタール軍を追い詰めていく1つの要因となってしまった。
◇
「ふぅ………」
カルメンは、本拠地の城内で頭を抱えていた。今日、彼のもとに「兵士をやめたい」と、数十人の農民兵士が辞表を提出しにきたからである。カルメンとしては、彼らの願いを受け入れ、解放してやりたいのは山々だ。だが、タール軍のリーダーとしては、今戦局が悪化しつつあるなかで、貴重な戦力を解き放つわけにはいかなかったのだ。どうすればいいのだろうと、彼は思考を巡らせていた。彼の“ギフト”が、たくさんの人がいることによってその実力を発揮できるのも、彼の頭を悩ませている1つの要因でもあった。
「私は…どうすればいいのでしょうか……」
ふぅ…………と、また大きなため息をつく。
そのときだった。
ドォン!と大きな衝撃音が走った。
「なんだ?一体何が起きたんだ!?」
カルメンは、一目散に音の鳴った方へと向かった。
◇
「こ、これは………一体……」
現場には、軍人や使用人などたくさんの人が集まっていた。
爆発があったのは、城の1階。それも、城の入り口だった。爆発に気付いた使用人が水魔法を使役できたために、延焼を防ぐことはできた。原因は………
「火属性魔法を城内に放った奴がいるな。」
「ルーク……一体どういうことなのでしょう?」
「…………………反乱、か。」
「!!?」
カルメンは、予想はしていたものの、実際に起きてほしくなかった現実に直面し、まっすぐに見れなくなった。彼は、いつも民を思い、国のために尽くしてきた。それなのに……なぜ、こんなことに……と。
このとき、カルメンはある1つの決断をした。《大災厄》も視野にいれて。
「ルーク、戦争を止めにしませんか?」
「はぁ!?おいおいカルメン、今さら何言ってんだよ。」
はははは、とルークは笑いながらカルメンの肩を叩く。どうやらルークは、カルメンが場をなごませるためのジョークを言っているのだと勘違いしているようだ。だが、ジョークのつもりがないカルメンは、ルークの手を振りほどきもう一度強く言う。
「このまま戦争を続けていても、関係のない人々が死に絶えるだけで、なんの利益もありません。土地が手に入るだけですし、呪いも積み重なる。たくさんの一般人だって巻き込まれていますし…それに……」
彼は言葉に詰まった。お告げの話をしても、どうせ信用してもらえないだろうと思ったからである。
「《大災厄》、か?」
「…!何故それを!?」
「ああ、俺もシスターから聞いたんだよ。」
ルークは、下を向く。
「でもな、ここで立ち止まるわけにはいかないんだ……死んでいった同士のためにもな。」
彼は拳を握りしめ、天に掲げた。カルメンには、心当たりがあった。
「…………私は……私はっ!」
そのときだった。
晴れわたった空に、突如巨大な閃光がはしった。
そして――
無数の魔方陣から、ものすごい数の黒い影が飛び出してくる。
「カルメン………あれって確か……“反結界呪文”じゃ………」
「ええ………どうやら、破れてしまったようですね、古代に作られし“聖なる結界”が……」
『この国を覆う黒い影が、まだ消えてないわ。』
カルメンは、シスターのお告げを思い出しながら、空を呆然と眺めていた。
これが、ワーズ大陸史に残る史上最大の大戦、《大災厄》の始まりの儀式だった。
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