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経理補佐は、今日も大騒ぎ 3
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プロジェクトは、中々進行せず、佐々木専務は頭を抱えている。新人君の確か名前は…そうそう近藤飛鳥は、三浦貴一の事がうらやましいのか、毎日毎回嫌みの連発。それが嫌のか、やたらと3階の経理課にやってくる。私が忙しく動き回っているのを、じっと見ている。
経理部長のリカが「暇ならミカの代わりに新聞社にでも行ってらっしゃい!」「は~い経理部長は、怖いね。ね凜ちゃん」「何ですか?」と凜が訪ねると「凜ちゃん。今度いつ暇?」「ナンパは他でやって。見ての通り凜は忙しいの!」「は~い。またね凜ちゃん」と言い残しエレベーターホールへと向かった。「はぁまた厄介事が起きそう」と呟くと、リカが「あれのどこがヤリ手なのか解らん。風雲児としか思えんけど…ね凜」「まだミカの事が残ってますもんね」「あっ!」ビクッとした私に「その問題棚上げだぁ社長何考えてるのか解んないわぁ。ありがとう凜。今社長に連絡するわ」と言い社長用の携帯に連絡をいれる。社長用の携帯は、経理部長のリカしか知らない。普段は別の携帯だ。
「もしもし、リカです。プロジェクトの件で棚上げになっていた、ミカの件ですが、本人呼びますか?」「!マズいぞぉ。またしても私絡みになりそう。やっと胃が治ってきているのに」とブツブツと独り言を言っていると「凜ちゃん凜ちゃ~ん。何呟いているのかな?」「ハッハッハッ別に」「私絡みって何?」急に真剣な顔で貴一が聞いてくる。後ずさりながら「三浦さん。営業部に行かないと、怒られますよ。」「自分の仕事は、終わったからね。凜ちゃん何してるかなって思って」「資料整理です。」「凜ちゃん怒ってる?かっわいいな。メガネ?何時もはコンタクトなんだ。凜ちゃんの初めて見~つけた」二重のくりっとしたやんちゃ目で体を傾けて覗き込んでくる。「あ~、凜ちゃん照れてるぅ」「凜。片付け終わったって三浦お前は営業部に帰れ」とリカが押してエレベーターに押し込む。実は、社長と経理部長の二人でミカのお宅へ行きミカ本人とその親に話し合いをしに行ってきたところだ。
ミカ本人は、働きたいばかりだが、彼女の親は神妙な面持ちで、仕事に対して軽い考えでいると詫びと聞いた。ミカ本人からどう思ったか聞いてみたいが、連絡手段がない。連絡先は全て経理部長のデスクの中だが、鍵がかかっているため、後押ししてやれない自分が歯痒い。
終礼が鳴り帰る身支度をして経理課をあとにする。明日は、夏を告げる祭りがある。そこで会えればと思ったが、会社は休みでは無い。夏祭りは丁度会社の前を、馬に乗った芸能人が練り歩く。そんな群衆の中ミカを見つけるのは至難の業だ。そんな心配をよそに、三浦貴一は、「経理課からは見下ろせる絶好の場所だ。うぉーすっげー本物の芸能人だぁ」と声高らかに興奮気味。それを見た経理部長リカは、ため息混じりで「お前は子供か?」と言ってくすっ笑った。私はと言うとミカを心配しつつ業務に勤しむ。「ね~ね~凜ちゃんも観ようよ。今日は仕事無しでさ」「え?」と経理部長を見るとタバコをふかしながら笑っている。「経理、そんなことしてて良いんですか?」「まぁ、今日の所は良いんじゃない」クスクスと笑っているし、三浦貴一の存在をも忘れている。
梅雨はどこに行ったのか。夏祭りは、盛況のうちに終わりを告げた。
夏祭りが終わり本格的な夏がやって来る。
「フゥ今日も暑いなぁ」と私が会社のドアの前に来るなり、ガツと勢いよく開いた物に頭が当たり目眩がした。一体何があったのか…「うったたた」「ん?あっ凜ちゃん。ごめんね。急いでるんだ。後で何かおごるね~」と足早に姿を消した。
「何、今の。初めて星が跳んだよぉ。イッタイなもぉ」「凜ちゃん大丈夫?」聞き覚えのある声!振り返るとミカがいた。「ミカ…仕事復帰したの?」「ううん。多分その逆だと思う。経理部長に言われたの。会社に来るようにって」
「そっかぁ。気にはなっていたんだけど、ほら。連絡先経理が持っているからさ。」「そうよね。なんか落ち込んできた…」「元気だしなって。ね。」ウィーンと扉が開いた。それに乗って2人で経理課へと歩いた。経理課のドアを開けて「おはよう御座います。」とまず私が先に入る?事になってしまった。私に隠れるように、ミカが入る。経理部長がそれを見て「ミカあなた、大概にしなさいよ!隠れて入らない!」「ひゃあ。す、す、すみません。おっおっおはよう御座います」私も経理部長も逆に驚いてしまった。「ひゃあ。はないでしょ?縁起でも無い!」「す、す、すみません」「ところでミカあんた、仕事、どう思ってるの?遊びでまたは彼氏欲しさに来ているとか?」「えっとえっと」「えっと、じゃない!暇つぶしとか、遊びとかあわよくば彼氏を引っ掛けに来てるわけ?!」「あ?!」上から下へと視線を動かし、昔の何ちゃら見たく、鋭い視線を向ける。「うわっヤッバ本気で怒らせた!」と私は踵を返すように自分のデスクに向かうと、「凜!あんたはどう思うとるんや」かっ関西弁だぁ私まで、餌食になるよぉ勘弁してよ。とそこへ
「ヤッホー。あれなんか空気重いんですけど、なんかあった?」「そういうのならもっと空気読んでよ。貴一さん」と彼に視線を向けると「はっは~ん。凜ちゃんは、大丈夫ですよ。僕が凜ちゃんの保護者です。な~んにも悪い事してませんよ。ね~凜」なっ馴れ馴れしいけどここは、彼の力を借りよう!「そっそうですぅわっ私は自分の業務を全うすべく、日々精進しておりますです。」経理、眼がいっちゃってる。私の心の声とは裏腹に、ミカは、「確かにそう思われても仕方がないですが、私なりに頑張って…」と、とうとう泣きの一手になってしまった。すかさず経理が、「泣けばいいと思うとるん?」「うっうっうっひっく…」と泣き止まない。経理部長リカの形相は変わらない。私は、三浦貴一と一緒にフロアを出た。エレベーターの中で「経理部長怖いね。元やんって本当だったんだね~」穏やかに話しているけど、目の奥の真相はここにはない何かだ。私は、うつむいたまま自分の心のザワつきを押さえるのに必死だった。ザワつきは、一体何なのか解らずモヤモヤに変わり暗闇へと陥っていた。自分の前には三浦貴一が居たがぼんやりとうつむいたままの私の肩を揺さぶり「凜ちゃん大丈夫?」ハッと我に返った。「なっ何?」私の横に来た。また、 私の顔を覗き込んで「凜ちゃん大丈夫?抱え込み過ぎだよ。そのうち、そのメガネみたいに、心まで真っ暗になっちゃうよ。あの2人が心配?」「心配ないとは言えないかな」「経理部長もちょっとやり過ぎかな~って思うよ」野望に満ちた眼をしたと思うと今度は子供っぽさを見せる眼を信じることが出来ないでいる自分がいる。この人を信じちゃいけないと思ったがこの時はそれは違うと言う思いがあったが、それが本物になる日は、それほど遠くないものへと変わり真実となった。
「三浦さんは、本当は何なんですか?」との問いに、きょとんとして笑った。「僕は、この会社が好きだよ。ただ、自分の中ではやりがいのなさを感じてるだけだよ。きっと一部を除いて皆が思っている事じゃないかな」と少し遠い目をしたと思ったが直ぐ子供っぽくなって、「ははは」っと誤魔化されてしまった。ちょっと引っかかるワード…一部を除いては…か。その中に、私は居ない。そう確信した。三浦貴一あなたは信じがたい人。そう胸の中にそってしまった。「この日は、きっと忘れられない日になるだろうな」
と空を見上げて呟いた。
社に戻ると、ミカとでくわした。「ミカ眼が腫れてるよ。大丈夫?ミカ?」「アンタなんか大嫌い!」走り去ろうとするミカの腕を掴む。「何があったの?!私、何かした?言わなきゃ解らないし、行き成り嫌いって何!もしかして、経理部長に何か言われたの?はっきり言え!ミカ!」大声で言い過ぎた。周りの目が冷たい。「ミカ、場所換えよう。」近くの公園のベンチに座った。「何があったの?本当に私のせいなの?三浦さんと出て行ったのが嫌だった?」「ごめんなさい。私人のせいばかりにしてきたから、それを経理に言われて、カッとなって…図星突かれた。」「そっか」「怒らないの?」「だって、私も三浦さんのせいにしていたからね。それに、私そんなに器用じゃないよ。経理部長厳しいから、怒らせないように、いつもヒヤヒヤもんよ。」「言える」とどちらからでもなく、笑っていた。「何を話しているのかな~」と何処からともなく三浦貴一が出てきた!「三浦さん。心臓に悪い!」と私が言うとミカが行き成り「付き合っているの?」と突拍子もないことを言うので、「違うよぉ。」と反論すると三浦貴一が「何時も凜がお世話になっていまぁ~すぅ」「プロジェクトチームにも所属してまぁ~す」「え!あのFMジャック?」「そうそれですぅ」「ミカ耳貸してちゃ駄目よ。」とミカを見ると眼が輝いている。「あっちゃぁ。その気にさせないで三浦さん!」「何時もみたいに貴一って呼んで」「呼べませんし呼んだ覚えもありません!」「凜ちゃん冷たい~ね~ミカさん」「何で私はちゃんでミカは、さん、なわけですか!」と詰め寄ると、「もうすぐプロジェクトチーム分けがあるんだよ」と内部情報を明かした。ミカは、復帰出来るらしいけど、私とは違うチームだとか。私は何故か三浦貴一率いるAチーム。後から聞いた話。三浦貴一が、凜と同じじゃないと働かないと言ったらしい。でミカ(首の皮一枚繋がった)は、経理部長率いるBチームだった。凜は、肩の力が抜けた感じがしてまた、問題が、やたらと多そうだと思った。この人を信じちゃいけない。このワードが、重くのし掛かる。「凜ちゃんさぁ怒ってる?僕は、凜ちゃんと仕事が出来て嬉しいなぁ。この間の1件で怒って要るのなら、今日ランチなんてどぉ?」と彼の向こう側には、経理部長リカとミカがいる。じっとこちらを見ていると言うか、睨んでいる。
肩身の狭い思いをしつつ「今日は、作戦会議と言うことで」と言うと、とびっきりの笑顔で「うんうん!ゆっくりと話そうね!」先輩達の前で平気で、さらりと言ってのける。凜は「あの~今会議中だよ」「うん知っているよ。でもね。僕となら最強だよ」と野望に満ち溢れている眼をしているなぁと見ていたら「僕のこと惚れ直した?」との問いに「嫌別に…」「あぁ凜ちゃんはまだまだ遠い高嶺の花かなぁ」ちらっと貴一を見ると仕事のオンオフが出来る人何だと初めて知ったが、あの言葉”一部の人はそう思っている“…この言葉の意味を知るのが今日何じゃないかな?と凜は思った。
私は主に、電話の受付を兼ねた請負係でも経理業務もする事になり、今まで以上に忙しくなった。が、Aチームの私たちの滑り出しは快調だった。三浦貴一が中心となって全てのFM局にアポを取り、後日会う予定を組み計画書の説明をし、契約を交わす。三浦貴一の言葉巧みの最後の口説き文句に、相手は即決へと導かれる。全てのFM局を回り汗だくで帰って来る。他のメンツは、電話応対でてんやわんやだ。Bチームは、フットワークが悪いのか、はたまたミカが鈍くさいのか、問題が山積みになって行く。三浦貴一は、他県へも目を光らせている。その様子をそっと見ていた社長から三浦貴一だけを呼び出す。他の皆は三浦貴一が抜けたことなど気付きもしないで必死にアポを取っている。私も「あれ?三浦さんが居ない。新幹線のチケットを購入しその時間が迫っているのに、何処に行ったのだろう」とブツブツいいながら、西日を浴びながら、男2人の姿を見つけ立ち止まった。息を殺し、話を聞いていた。「お前はどういうつもりで、ここで働いている。プロジェクトのためだけじゃ無いだろう。この際ハッキリ聞かせて貰おうかな」明らかにその声の主は社長だった。
もう一人は探していた三浦貴一だと悟った。その質問に彼は「社長が僕のことをここへ呼んだんじゃないですか?!それを今更答えろと言うんですか!」と声を荒げている。「何?三浦貴一は、ヘッドハンティングで入ったの?」と言葉にせず冷ややかに見守る。社長が「お前は仕事が出来る男だ。だが、凜のこととなると理性を失う。違うか?」「仕事と彼女は関係ないです。彼女は僕の起爆剤です。一部を除いては彼女への風当たりが強すぎる!仕事もする!彼女も守る!駄目ですか?!」「それが本音何だな?」「お前は変わっているな!凜!」「…」「凜ちゃん何時から其処に?」「…」「何?凜ちゃん。」優しく言葉を紡ぎだす。「あの…新幹線の予定時刻が…」「はっ!しまった!凜ちゃんサンキュー」と言い私の頭をくしゃっと触った。社長が「いい男に惚れれたな」と言い経理課を後にした。しばらく、ぼーぜんとしていた。「三浦貴一がメガネの私を何の取り柄もない、私を好き?違う!きっと私をからかっているんだ。きっとそうだ」と自分に言い聞かせた。
経理部長のリカが「暇ならミカの代わりに新聞社にでも行ってらっしゃい!」「は~い経理部長は、怖いね。ね凜ちゃん」「何ですか?」と凜が訪ねると「凜ちゃん。今度いつ暇?」「ナンパは他でやって。見ての通り凜は忙しいの!」「は~い。またね凜ちゃん」と言い残しエレベーターホールへと向かった。「はぁまた厄介事が起きそう」と呟くと、リカが「あれのどこがヤリ手なのか解らん。風雲児としか思えんけど…ね凜」「まだミカの事が残ってますもんね」「あっ!」ビクッとした私に「その問題棚上げだぁ社長何考えてるのか解んないわぁ。ありがとう凜。今社長に連絡するわ」と言い社長用の携帯に連絡をいれる。社長用の携帯は、経理部長のリカしか知らない。普段は別の携帯だ。
「もしもし、リカです。プロジェクトの件で棚上げになっていた、ミカの件ですが、本人呼びますか?」「!マズいぞぉ。またしても私絡みになりそう。やっと胃が治ってきているのに」とブツブツと独り言を言っていると「凜ちゃん凜ちゃ~ん。何呟いているのかな?」「ハッハッハッ別に」「私絡みって何?」急に真剣な顔で貴一が聞いてくる。後ずさりながら「三浦さん。営業部に行かないと、怒られますよ。」「自分の仕事は、終わったからね。凜ちゃん何してるかなって思って」「資料整理です。」「凜ちゃん怒ってる?かっわいいな。メガネ?何時もはコンタクトなんだ。凜ちゃんの初めて見~つけた」二重のくりっとしたやんちゃ目で体を傾けて覗き込んでくる。「あ~、凜ちゃん照れてるぅ」「凜。片付け終わったって三浦お前は営業部に帰れ」とリカが押してエレベーターに押し込む。実は、社長と経理部長の二人でミカのお宅へ行きミカ本人とその親に話し合いをしに行ってきたところだ。
ミカ本人は、働きたいばかりだが、彼女の親は神妙な面持ちで、仕事に対して軽い考えでいると詫びと聞いた。ミカ本人からどう思ったか聞いてみたいが、連絡手段がない。連絡先は全て経理部長のデスクの中だが、鍵がかかっているため、後押ししてやれない自分が歯痒い。
終礼が鳴り帰る身支度をして経理課をあとにする。明日は、夏を告げる祭りがある。そこで会えればと思ったが、会社は休みでは無い。夏祭りは丁度会社の前を、馬に乗った芸能人が練り歩く。そんな群衆の中ミカを見つけるのは至難の業だ。そんな心配をよそに、三浦貴一は、「経理課からは見下ろせる絶好の場所だ。うぉーすっげー本物の芸能人だぁ」と声高らかに興奮気味。それを見た経理部長リカは、ため息混じりで「お前は子供か?」と言ってくすっ笑った。私はと言うとミカを心配しつつ業務に勤しむ。「ね~ね~凜ちゃんも観ようよ。今日は仕事無しでさ」「え?」と経理部長を見るとタバコをふかしながら笑っている。「経理、そんなことしてて良いんですか?」「まぁ、今日の所は良いんじゃない」クスクスと笑っているし、三浦貴一の存在をも忘れている。
梅雨はどこに行ったのか。夏祭りは、盛況のうちに終わりを告げた。
夏祭りが終わり本格的な夏がやって来る。
「フゥ今日も暑いなぁ」と私が会社のドアの前に来るなり、ガツと勢いよく開いた物に頭が当たり目眩がした。一体何があったのか…「うったたた」「ん?あっ凜ちゃん。ごめんね。急いでるんだ。後で何かおごるね~」と足早に姿を消した。
「何、今の。初めて星が跳んだよぉ。イッタイなもぉ」「凜ちゃん大丈夫?」聞き覚えのある声!振り返るとミカがいた。「ミカ…仕事復帰したの?」「ううん。多分その逆だと思う。経理部長に言われたの。会社に来るようにって」
「そっかぁ。気にはなっていたんだけど、ほら。連絡先経理が持っているからさ。」「そうよね。なんか落ち込んできた…」「元気だしなって。ね。」ウィーンと扉が開いた。それに乗って2人で経理課へと歩いた。経理課のドアを開けて「おはよう御座います。」とまず私が先に入る?事になってしまった。私に隠れるように、ミカが入る。経理部長がそれを見て「ミカあなた、大概にしなさいよ!隠れて入らない!」「ひゃあ。す、す、すみません。おっおっおはよう御座います」私も経理部長も逆に驚いてしまった。「ひゃあ。はないでしょ?縁起でも無い!」「す、す、すみません」「ところでミカあんた、仕事、どう思ってるの?遊びでまたは彼氏欲しさに来ているとか?」「えっとえっと」「えっと、じゃない!暇つぶしとか、遊びとかあわよくば彼氏を引っ掛けに来てるわけ?!」「あ?!」上から下へと視線を動かし、昔の何ちゃら見たく、鋭い視線を向ける。「うわっヤッバ本気で怒らせた!」と私は踵を返すように自分のデスクに向かうと、「凜!あんたはどう思うとるんや」かっ関西弁だぁ私まで、餌食になるよぉ勘弁してよ。とそこへ
「ヤッホー。あれなんか空気重いんですけど、なんかあった?」「そういうのならもっと空気読んでよ。貴一さん」と彼に視線を向けると「はっは~ん。凜ちゃんは、大丈夫ですよ。僕が凜ちゃんの保護者です。な~んにも悪い事してませんよ。ね~凜」なっ馴れ馴れしいけどここは、彼の力を借りよう!「そっそうですぅわっ私は自分の業務を全うすべく、日々精進しておりますです。」経理、眼がいっちゃってる。私の心の声とは裏腹に、ミカは、「確かにそう思われても仕方がないですが、私なりに頑張って…」と、とうとう泣きの一手になってしまった。すかさず経理が、「泣けばいいと思うとるん?」「うっうっうっひっく…」と泣き止まない。経理部長リカの形相は変わらない。私は、三浦貴一と一緒にフロアを出た。エレベーターの中で「経理部長怖いね。元やんって本当だったんだね~」穏やかに話しているけど、目の奥の真相はここにはない何かだ。私は、うつむいたまま自分の心のザワつきを押さえるのに必死だった。ザワつきは、一体何なのか解らずモヤモヤに変わり暗闇へと陥っていた。自分の前には三浦貴一が居たがぼんやりとうつむいたままの私の肩を揺さぶり「凜ちゃん大丈夫?」ハッと我に返った。「なっ何?」私の横に来た。また、 私の顔を覗き込んで「凜ちゃん大丈夫?抱え込み過ぎだよ。そのうち、そのメガネみたいに、心まで真っ暗になっちゃうよ。あの2人が心配?」「心配ないとは言えないかな」「経理部長もちょっとやり過ぎかな~って思うよ」野望に満ちた眼をしたと思うと今度は子供っぽさを見せる眼を信じることが出来ないでいる自分がいる。この人を信じちゃいけないと思ったがこの時はそれは違うと言う思いがあったが、それが本物になる日は、それほど遠くないものへと変わり真実となった。
「三浦さんは、本当は何なんですか?」との問いに、きょとんとして笑った。「僕は、この会社が好きだよ。ただ、自分の中ではやりがいのなさを感じてるだけだよ。きっと一部を除いて皆が思っている事じゃないかな」と少し遠い目をしたと思ったが直ぐ子供っぽくなって、「ははは」っと誤魔化されてしまった。ちょっと引っかかるワード…一部を除いては…か。その中に、私は居ない。そう確信した。三浦貴一あなたは信じがたい人。そう胸の中にそってしまった。「この日は、きっと忘れられない日になるだろうな」
と空を見上げて呟いた。
社に戻ると、ミカとでくわした。「ミカ眼が腫れてるよ。大丈夫?ミカ?」「アンタなんか大嫌い!」走り去ろうとするミカの腕を掴む。「何があったの?!私、何かした?言わなきゃ解らないし、行き成り嫌いって何!もしかして、経理部長に何か言われたの?はっきり言え!ミカ!」大声で言い過ぎた。周りの目が冷たい。「ミカ、場所換えよう。」近くの公園のベンチに座った。「何があったの?本当に私のせいなの?三浦さんと出て行ったのが嫌だった?」「ごめんなさい。私人のせいばかりにしてきたから、それを経理に言われて、カッとなって…図星突かれた。」「そっか」「怒らないの?」「だって、私も三浦さんのせいにしていたからね。それに、私そんなに器用じゃないよ。経理部長厳しいから、怒らせないように、いつもヒヤヒヤもんよ。」「言える」とどちらからでもなく、笑っていた。「何を話しているのかな~」と何処からともなく三浦貴一が出てきた!「三浦さん。心臓に悪い!」と私が言うとミカが行き成り「付き合っているの?」と突拍子もないことを言うので、「違うよぉ。」と反論すると三浦貴一が「何時も凜がお世話になっていまぁ~すぅ」「プロジェクトチームにも所属してまぁ~す」「え!あのFMジャック?」「そうそれですぅ」「ミカ耳貸してちゃ駄目よ。」とミカを見ると眼が輝いている。「あっちゃぁ。その気にさせないで三浦さん!」「何時もみたいに貴一って呼んで」「呼べませんし呼んだ覚えもありません!」「凜ちゃん冷たい~ね~ミカさん」「何で私はちゃんでミカは、さん、なわけですか!」と詰め寄ると、「もうすぐプロジェクトチーム分けがあるんだよ」と内部情報を明かした。ミカは、復帰出来るらしいけど、私とは違うチームだとか。私は何故か三浦貴一率いるAチーム。後から聞いた話。三浦貴一が、凜と同じじゃないと働かないと言ったらしい。でミカ(首の皮一枚繋がった)は、経理部長率いるBチームだった。凜は、肩の力が抜けた感じがしてまた、問題が、やたらと多そうだと思った。この人を信じちゃいけない。このワードが、重くのし掛かる。「凜ちゃんさぁ怒ってる?僕は、凜ちゃんと仕事が出来て嬉しいなぁ。この間の1件で怒って要るのなら、今日ランチなんてどぉ?」と彼の向こう側には、経理部長リカとミカがいる。じっとこちらを見ていると言うか、睨んでいる。
肩身の狭い思いをしつつ「今日は、作戦会議と言うことで」と言うと、とびっきりの笑顔で「うんうん!ゆっくりと話そうね!」先輩達の前で平気で、さらりと言ってのける。凜は「あの~今会議中だよ」「うん知っているよ。でもね。僕となら最強だよ」と野望に満ち溢れている眼をしているなぁと見ていたら「僕のこと惚れ直した?」との問いに「嫌別に…」「あぁ凜ちゃんはまだまだ遠い高嶺の花かなぁ」ちらっと貴一を見ると仕事のオンオフが出来る人何だと初めて知ったが、あの言葉”一部の人はそう思っている“…この言葉の意味を知るのが今日何じゃないかな?と凜は思った。
私は主に、電話の受付を兼ねた請負係でも経理業務もする事になり、今まで以上に忙しくなった。が、Aチームの私たちの滑り出しは快調だった。三浦貴一が中心となって全てのFM局にアポを取り、後日会う予定を組み計画書の説明をし、契約を交わす。三浦貴一の言葉巧みの最後の口説き文句に、相手は即決へと導かれる。全てのFM局を回り汗だくで帰って来る。他のメンツは、電話応対でてんやわんやだ。Bチームは、フットワークが悪いのか、はたまたミカが鈍くさいのか、問題が山積みになって行く。三浦貴一は、他県へも目を光らせている。その様子をそっと見ていた社長から三浦貴一だけを呼び出す。他の皆は三浦貴一が抜けたことなど気付きもしないで必死にアポを取っている。私も「あれ?三浦さんが居ない。新幹線のチケットを購入しその時間が迫っているのに、何処に行ったのだろう」とブツブツいいながら、西日を浴びながら、男2人の姿を見つけ立ち止まった。息を殺し、話を聞いていた。「お前はどういうつもりで、ここで働いている。プロジェクトのためだけじゃ無いだろう。この際ハッキリ聞かせて貰おうかな」明らかにその声の主は社長だった。
もう一人は探していた三浦貴一だと悟った。その質問に彼は「社長が僕のことをここへ呼んだんじゃないですか?!それを今更答えろと言うんですか!」と声を荒げている。「何?三浦貴一は、ヘッドハンティングで入ったの?」と言葉にせず冷ややかに見守る。社長が「お前は仕事が出来る男だ。だが、凜のこととなると理性を失う。違うか?」「仕事と彼女は関係ないです。彼女は僕の起爆剤です。一部を除いては彼女への風当たりが強すぎる!仕事もする!彼女も守る!駄目ですか?!」「それが本音何だな?」「お前は変わっているな!凜!」「…」「凜ちゃん何時から其処に?」「…」「何?凜ちゃん。」優しく言葉を紡ぎだす。「あの…新幹線の予定時刻が…」「はっ!しまった!凜ちゃんサンキュー」と言い私の頭をくしゃっと触った。社長が「いい男に惚れれたな」と言い経理課を後にした。しばらく、ぼーぜんとしていた。「三浦貴一がメガネの私を何の取り柄もない、私を好き?違う!きっと私をからかっているんだ。きっとそうだ」と自分に言い聞かせた。
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