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冒険者登録
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今日も太陽が天高く昇りその温かな陽光が燦々と降り注ぐ、優しい風が街を駆け巡り人々に活力を与え、モアの街は今日も活気に満ちている。
スズネたちは、怒涛のように過ぎ去った昨日がまるで嘘だったかのように思えるほど穏やかな朝を迎えていた。
「クッ…まさかこの世にこんなに美味いものがあったとは・・・」
「はっはっは、そこまで喜んでもらえたのなら、腕によりをかけて作った甲斐があるってもんだよ」
「えへへ、おばあちゃんの料理はどれも美味しいからね~」
いつもは祖母と二人で穏やかに囲んでいた食卓も、一人増えるだけで段違いに賑やかな食卓へと変貌する。
いつもと違う雰囲気も、いつも以上に嬉しそうな祖母も、一心不乱に目の前の食事を口に運ぶクロノも、どれもスズネにとって心地良いものであり、こんな時間がずっと続けばいいなと思うのであった。
「特にこの肉の入ったスープ」
「それはビーフシチューって言うんだ。昨日も食べたろ」
「あと、あの甘いやつ!!」
「あれはフィナンシェって言うんだよ。おばあちゃんのフィナンシェは、世界一美味しいって街でも有名なんだから」
「ほんと困ったもんだよ。うちは薬屋だってのに」
昨日の今日とは思えないほどに軽快なトークの掛け合いをしていく三人。
朝からテーブルいっぱいに用意された料理の数々が瞬く間にクロノの胃袋へと消えていく。
「そんなに急がなくても、誰も取りやしないよ!!もっと落ち着いて食べな」
フグッ ─────
「ほら、言わんこっちゃない。早く水を飲みな」
ゴクッゴクッゴクッ ─────
「ぷはぁ~死ぬかと思ったー」
「最強の魔王様が食べ物を喉に詰まらせて死んでたら世話無いね」
「ホントホント」
「「あはははははははは」」
「お前ら笑い過ぎだぞ」
三人が和やかな雰囲気の中で食事を進めていると、そこに割って入るかのように外から人一倍元気な声が飛び込んできた。
「スッズネーーー」
「ミリアだ!朝からどうしたんだろう?」
いつもミリアが来る時は早くても九時やそこらなものだが、今はまだ朝の七時半だ。
何かあったのかとも思いながら、スズネは玄関まで出迎えに行く。
「おはよう。どうしたの今日は早いね」
「いや~なんかテンション上がっちゃってさ~。居ても立っても居られなくて来てしまいました」
そう言うと、ミリアは興奮と恥じらいを混ぜ合わせながら照れ笑いを見せる。
「まぁまぁ立ち話もなんだし上がって。今三人で朝ご飯を食べてるところだからミリアも食べていきなよ」
「やった!!ロザリーさんのご飯~~~」
これを見越していたかのようにルンルン気分で足を進めるミリアであった。
「ミリアちゃん、いらっしゃい」
「おはようございます、ロザリーさん。クロノもおはよう」
「うむ。朝から騒がしいやつだな」
「いやいや、さっきまでクロノも騒いでたでしょ」
「なっ!?そ…そんなことは…ない」
気まずそうにしながら朝食を口に運ぶクロノの姿に、再び食卓に笑い声が響く。
「ほらほらそんなとこ突っ立ってないで、こっちに来て一緒に食べな」
「えへへ、それでは遠慮なくご馳走になります」
ミリアを加え四人となり、さらなる賑わいを見せるのであった。
───────────────────────────────────
朝食を食べ終え、静けさを取り戻したリビング。
各々が心地よい満足感を得つつリラックスしている。
「いや~美味しかったね~」
「ホント、さすがロザリーさんよね。気持ち良すぎて、このままのんびり ───── じゃなーーーい!!」
突然大声を上げたミリアにスズネとクロノは驚きを見せる。
「どうしたのミリア、急に大声出したりして」
「どうしたじゃないわよ。スズネ、あたし達学校を卒業したのよ」
「ホント、無事に卒業できて良かったよね~」
「いやいや・・・アンタそんな事で喜んでてどうすんのよ」
無邪気に笑うスズネを前に、ミリアは頭を抱え呆れてみせた。
そんなミリアの様子を不思議そうにして眺めるスズネは何がなんだか理解できず、頭の上に?マークを浮かべている。
「どうせスズネのことだから何も考えてないんでしょ。準備してさっさと行くよ」
「えっ!?えっ!?行くって何処へ??」
「ギルドよ!!ギルド登録に行きましょう」
かくして、ミリアに言われるがままギルドへと冒険者登録をしに行くことになったのであった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
──────【 冒険者ギルド モア支部 】──────
冒険者登録をするため冒険者ギルド モア支部へとやってきたスズネたち一行。
「はぇ~~~ここがギルドかぁ~」
初めてギルドを目にしたスズネが感嘆の声を漏らす。
ミリアはそんなスズネの手を引きギルドへと誘(いざな)う。
こういう時、何事にも物怖じしないミリアの性格が頼もしい。
「ほらほら、こんな所で立ち止まってないで入るよ~」
ギルドの中に入ると、数多くの冒険者たちがおり、まるで市場のような賑わいを見せていた。
依頼書が貼られた掲示板を眺めている者。
情報交換のために他の冒険者と談笑する者。
モンスター討伐の換金か何かだろうか?袋一杯のドロップアイテムを手に受付の女性と話をする者。
各々が自身の目的に合わせてギルドを利用していた。
スズネたちが一歩足を踏み入れると同時にギルド中の視線が集まる。
そして、先程までの騒がしさが嘘のようにギルド内が一気に静寂と化した。
「な…なんか…すっごい見られてるよ」
「あっはっは~…まぁ~魔王連れて冒険者ギルドに来たらこうなるわよね」
ギルド中の視線をその身に浴び、スズネは蛇に睨まれた蛙のごとく、その場で怯えおどおどし始める。
一方のミリアは、ある程度の予想をしていたのか、苦笑いを浮かべつつ周囲を見回している。
「まっ、とりあえず受付に行こうか」
数多の視線を集めつつも受付へと向かう三人。
出迎えてくれたのはスラッとした細身の女性で、サラリとした茶色の髪は艶やかで美しく、ギルド職員用の制服にはシワがひとつとして無くビシッときまっている。
そして、身に付けた眼鏡がより一層の”出来る女”感を醸し出す。
「いらっしゃいませ。本日は、どの様なご用件でしょうか?」
「私たち冒険者登録をしに来ました」
「冒険者登録ですね!それでは、こちらの紙に記入をお願いします」
スズネとミリアは渡された紙にそれぞれ記入し、書き終えると受付の女性にそれを手渡した。
「「書けました。お願いします」」
「はい、ありがとうございます。私は、本日二人の担当をするマリです。宜しくお願いしますね」
「はい!!宜しくお願いします!!!」
「ふふふっ。そんなに緊張しなくても大丈夫よ。それじゃ、一人ずつ順番に登録していきましょうか」
─────────────────────────
三人が通されたのはギルド内にある一室。
部屋の中央には、左右に大理石で作られた台座と魔法陣がある。
そして、台座の上には大きな水晶球が置かれている。
「それじゃ~まずはアタシから」
そう言うと、ミリアは力強く一歩踏み出した。
「それでは、登録者の方は左の台座の前に立って頂き、水晶球に触れてください。また、固有の武具もしくは召喚獣をお持ちの方は右側の魔法陣の中にお願いします」
ミリアは魔法陣の中に”炎帝の剣”を置き、台座の前へと立った。
そして、ミリアが水晶球に触れた瞬間に水晶球と魔法陣が輝きだし、一瞬の内に青い光に包まれたのだった。
「はい、登録完了です。水晶球から手を離してもらい、武具も取ってもらっていいですよ」
登録を終えスズネの元へと戻るミリア。
額には薄っすらと汗をかいており、さすがのミリアも緊張していたようだ。
そんなミリアをスズネが満面の笑顔で迎えた。
「お疲れ様~」
「いや~緊張した~~~。次はスズネの番だよ。頑張って!!」
自身の登録を終えたことにより、多少の余裕が生まれたミリア。
そんなミリアからの応援を受けつつ、いよいよ次はスズネの番である。
「それでは、先程と同様に登録者の方は台座へ、そちらの召喚獣の方は・・・」
「あ?この俺を獣風情と一緒にするんじゃねぇ~よ。消し炭にされたいのか」
マリの額から頬を伝い大粒の汗が流れ落ちる。
あまりの威圧感に息を飲み、震える左手を隠すように右手で押さえつけている。
しかし、そんな重苦しい空気もスズネには関係ない。
全く意に介す様子もなく淡々と準備を進める。
「はいはい、いちいち文句を言ってないでその魔法陣の中に入って」
「おい、押すな。分かったから。自分で行くから押すなよ」
クロノの背中を押し、魔法陣の中へとグイグイ押し進めるスズネ。
不服そうなクロノとは対照的に、その顔はどこか嬉しそうにも見えた。
そして、スズネが水晶球に触れると瞬く間に青い光に包まれたのであった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「みなさんお疲れ様でした。スズネさんとミリアさんには、こちらの冒険者カードとプレートを渡しておきますね」
マリから冒険者カードとプレートを受け取った二人は大はしゃぎする。
そんな様子を隣で見ているクロノは呆れた様に溜息を吐く。
「これが冒険者カードか~」
「なんか一気に冒険者になったって感じがするね」
そんな二人の様子を見ながらマリは優しく微笑むのだった。
「大盛り上がりしてるところ悪いんだけど、冒険者カードとプレートについて説明しますね」
「あはははは…すみません。宜しくお願いします」
「ホント、登録したくらいで大はしゃぎしやがって。恥ずかしい奴らだ」
ただでさえ注目を集めている中で、さらに視線を集めることになりバツが悪そうな二人。
そこに追い討ちをかけるようにクロノがトドメの一撃を刺し、より一層恥ずかしさが増した二人は顔を真っ赤にして身を縮めるのだった。
「それではカードを見てください。まず、一番上に現在の冒険者ランクが書いてあります。Eランクから始まり、クエストをこなして行くことによりD→C→B…と順にランクアップしていきます。例外はありますが最上位がSランクとなります。二人は登録したばかりなのでEランクと表示されていると思います」
「「お~~~」」
「そして、次に自身の名前・現在のレベル・ジョブ、その下に固有の武具もしくは召喚獣の名前とレベルが書いてあります。最後に現ランクのクエスト達成回数となり、規定回数以上をクリアするとランクアップ試験を受けることができ、試験に合格して無事ランクアップとなります」
──────────────────────────────────
冒険者ランク E
氏名:スズネ Lv.7 魔法師
召喚獣:クロノ Lv.1
Eランククエスト達成回数 0/200
──────────────────────────────────
──────────────────────────────────
冒険者ランク E
氏名:ミリア Lv.10 剣士
武具:炎帝の剣 Lv.1
Eランククエスト達成回数 0/200
──────────────────────────────────
「ランクについてはこちらの用紙をご覧ください」
マリから手渡された用紙を受け取りったスズネとミリアはさっそく目を通す。
===========================================
⦅ランクについて⦆
■E~Sランクに分けられる。
■D及びCランクへのランクアップは、課題とされる素材を規定量採取しギルドへ提出すること
で合格となる。
■Cランク以上へのランクアップの試験は、現ランクのひとつ上のランク冒険者が試験官となる。
→試験はギルド職員立ち会いのもと1対1の実戦形式(10分間)。
・受験者は試験官から一本取れば合格。
・試験中の生死については不問とする。
Eランク:素材採取など街の人たちからの雑務系の依頼を受けられる。
ランクアップ回数:200
Dランク:護衛依頼+Eランク
ランクアップ回数:150
Cランク:低難易度の討伐依頼+E~Dランク
ランクアップ回数:100
Bランク:中難易度の討伐依頼+E~Cランク
ランクアップ回数:50
Aランク:高難易度の討伐依頼+E~Bランク
ランクアップ回数:30
Sランク:超難易度の討伐依頼+E~Aランク
===========================================
「クエストは、あちらの掲示板に張り出された紙を受付にて受領し、クエスト達成後に
受付で完了を確認したのち報酬を得るという流れになります」
報酬という言葉に目をキラキラと輝かせるミリア、その隣で未だに浮かれ気分が抜けない様子のスズネ。
クロノはというと・・・。
全く興味がないようで、退屈そうに大口を開けて欠伸をしている。
まさに三者三様である。
そんな様子に苦笑いを浮かべつつマリは説明を続ける。
「あとプレートは依頼者や同業者などから現ランクがひと目で分かるようにしているので、肌身離さず付けておいて下さいね」
マリの説明を受け、さっそくブロンズのプレートを身に付ける二人。
「なんかアクセサリーみたいで良いね」
「ホント首飾りみたい。それに付けるとより一段と”冒険者”って感じが出るわね」
プレートを身に付けさらにテンションが上がった二人は、お互いの冒険者カードを見ながらあれやこれやと話し始めた。
「アタシはジョブが剣士でLv.10。炎帝の剣はLV.1だったよ。スズネは?」
「私はね~魔法師でLv.7。クロノは・・・Lv.1だね」
「えっ!?クロノってLv.1なの??魔王なのに!?」
あまりの衝撃に驚きを隠せないミリアは、身を乗り出してスズネの冒険者カードを覗き込んだ。
そんなミリアの様子を見て、マリが重い口を開いた。
「クロノさんに関してなんですが・・・ごめんなさい!!測定が出来ませんでした」
「「ええ~~~~~っ!?」」
まさかの言葉に驚愕するスズネとミリアをよそに、当の本人は気にする素振りも見せず平静を保っている。
「ふん、何をそんなに驚くことがある。そもそも人族が作った物にこの俺様を測ることなど出来るはずもないだろ」
なぜか少し嬉しそうな表情のクロノは、鼻で笑うように言い放った。
ギルドとしては当然あってはならない事態であり、マリは申し訳なさそうに頭を下げている。
そんなマリに対し慌てたようにスズネがフォローする。
「そんな…頭を上げて下さいよ。マリさんが謝ることじゃないですし、たまにはそういう事もあるというか・・・ほら、もしかしたら本当にクロノがLv.1なのかもしれないですし」
「ふざけるな!!なぜ俺のレベルがお前より下なんだ。ありえんだろ」
「あれ??やっぱそうかなぁ~あははははは・・・」
スズネの言葉に対し本気で怒るクロノ。
クロノのツッコミにとぼけた様子で笑ってみせるスズネ。
そんな二人のじゃれあいを無視し、ミリアはマリへと疑問を投げかける。
「でも、実際のところこういう事ってあるんですか?」
「いえ…これまでのギルドの歴史において聞いたこともないですね」
「あと測定不能によってLv.1になってますけど、それによって何か不都合とかはないんですか?」
「はい、それは大丈夫です。他の武具や召喚獣と同様に所有者との繋がりや練度によってレベルを上げていくことに変わりはありません」
マリの返答を聞きホッと一安心した様子のミリア。
これからクエストに挑んでいく上で、どれだけ小さな不安や問題であったとしても放置は命取りになりかねない。
スズネが常にマイペースな性格なのは周知の通り。
そして、ミリアは基本的に勇ましい性格であるが、こういう点において冷静な頭も持っているのでとても心強い。
「問題は無いんだって♪♪一緒に頑張っていこうねクロノ」
「ふん、せいぜい足を引っ張らないようにな」
「うん。頑張るよ!!」
こうして、一先ずギルドへの冒険者登録が完了したのであった。
スズネたちは、怒涛のように過ぎ去った昨日がまるで嘘だったかのように思えるほど穏やかな朝を迎えていた。
「クッ…まさかこの世にこんなに美味いものがあったとは・・・」
「はっはっは、そこまで喜んでもらえたのなら、腕によりをかけて作った甲斐があるってもんだよ」
「えへへ、おばあちゃんの料理はどれも美味しいからね~」
いつもは祖母と二人で穏やかに囲んでいた食卓も、一人増えるだけで段違いに賑やかな食卓へと変貌する。
いつもと違う雰囲気も、いつも以上に嬉しそうな祖母も、一心不乱に目の前の食事を口に運ぶクロノも、どれもスズネにとって心地良いものであり、こんな時間がずっと続けばいいなと思うのであった。
「特にこの肉の入ったスープ」
「それはビーフシチューって言うんだ。昨日も食べたろ」
「あと、あの甘いやつ!!」
「あれはフィナンシェって言うんだよ。おばあちゃんのフィナンシェは、世界一美味しいって街でも有名なんだから」
「ほんと困ったもんだよ。うちは薬屋だってのに」
昨日の今日とは思えないほどに軽快なトークの掛け合いをしていく三人。
朝からテーブルいっぱいに用意された料理の数々が瞬く間にクロノの胃袋へと消えていく。
「そんなに急がなくても、誰も取りやしないよ!!もっと落ち着いて食べな」
フグッ ─────
「ほら、言わんこっちゃない。早く水を飲みな」
ゴクッゴクッゴクッ ─────
「ぷはぁ~死ぬかと思ったー」
「最強の魔王様が食べ物を喉に詰まらせて死んでたら世話無いね」
「ホントホント」
「「あはははははははは」」
「お前ら笑い過ぎだぞ」
三人が和やかな雰囲気の中で食事を進めていると、そこに割って入るかのように外から人一倍元気な声が飛び込んできた。
「スッズネーーー」
「ミリアだ!朝からどうしたんだろう?」
いつもミリアが来る時は早くても九時やそこらなものだが、今はまだ朝の七時半だ。
何かあったのかとも思いながら、スズネは玄関まで出迎えに行く。
「おはよう。どうしたの今日は早いね」
「いや~なんかテンション上がっちゃってさ~。居ても立っても居られなくて来てしまいました」
そう言うと、ミリアは興奮と恥じらいを混ぜ合わせながら照れ笑いを見せる。
「まぁまぁ立ち話もなんだし上がって。今三人で朝ご飯を食べてるところだからミリアも食べていきなよ」
「やった!!ロザリーさんのご飯~~~」
これを見越していたかのようにルンルン気分で足を進めるミリアであった。
「ミリアちゃん、いらっしゃい」
「おはようございます、ロザリーさん。クロノもおはよう」
「うむ。朝から騒がしいやつだな」
「いやいや、さっきまでクロノも騒いでたでしょ」
「なっ!?そ…そんなことは…ない」
気まずそうにしながら朝食を口に運ぶクロノの姿に、再び食卓に笑い声が響く。
「ほらほらそんなとこ突っ立ってないで、こっちに来て一緒に食べな」
「えへへ、それでは遠慮なくご馳走になります」
ミリアを加え四人となり、さらなる賑わいを見せるのであった。
───────────────────────────────────
朝食を食べ終え、静けさを取り戻したリビング。
各々が心地よい満足感を得つつリラックスしている。
「いや~美味しかったね~」
「ホント、さすがロザリーさんよね。気持ち良すぎて、このままのんびり ───── じゃなーーーい!!」
突然大声を上げたミリアにスズネとクロノは驚きを見せる。
「どうしたのミリア、急に大声出したりして」
「どうしたじゃないわよ。スズネ、あたし達学校を卒業したのよ」
「ホント、無事に卒業できて良かったよね~」
「いやいや・・・アンタそんな事で喜んでてどうすんのよ」
無邪気に笑うスズネを前に、ミリアは頭を抱え呆れてみせた。
そんなミリアの様子を不思議そうにして眺めるスズネは何がなんだか理解できず、頭の上に?マークを浮かべている。
「どうせスズネのことだから何も考えてないんでしょ。準備してさっさと行くよ」
「えっ!?えっ!?行くって何処へ??」
「ギルドよ!!ギルド登録に行きましょう」
かくして、ミリアに言われるがままギルドへと冒険者登録をしに行くことになったのであった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
──────【 冒険者ギルド モア支部 】──────
冒険者登録をするため冒険者ギルド モア支部へとやってきたスズネたち一行。
「はぇ~~~ここがギルドかぁ~」
初めてギルドを目にしたスズネが感嘆の声を漏らす。
ミリアはそんなスズネの手を引きギルドへと誘(いざな)う。
こういう時、何事にも物怖じしないミリアの性格が頼もしい。
「ほらほら、こんな所で立ち止まってないで入るよ~」
ギルドの中に入ると、数多くの冒険者たちがおり、まるで市場のような賑わいを見せていた。
依頼書が貼られた掲示板を眺めている者。
情報交換のために他の冒険者と談笑する者。
モンスター討伐の換金か何かだろうか?袋一杯のドロップアイテムを手に受付の女性と話をする者。
各々が自身の目的に合わせてギルドを利用していた。
スズネたちが一歩足を踏み入れると同時にギルド中の視線が集まる。
そして、先程までの騒がしさが嘘のようにギルド内が一気に静寂と化した。
「な…なんか…すっごい見られてるよ」
「あっはっは~…まぁ~魔王連れて冒険者ギルドに来たらこうなるわよね」
ギルド中の視線をその身に浴び、スズネは蛇に睨まれた蛙のごとく、その場で怯えおどおどし始める。
一方のミリアは、ある程度の予想をしていたのか、苦笑いを浮かべつつ周囲を見回している。
「まっ、とりあえず受付に行こうか」
数多の視線を集めつつも受付へと向かう三人。
出迎えてくれたのはスラッとした細身の女性で、サラリとした茶色の髪は艶やかで美しく、ギルド職員用の制服にはシワがひとつとして無くビシッときまっている。
そして、身に付けた眼鏡がより一層の”出来る女”感を醸し出す。
「いらっしゃいませ。本日は、どの様なご用件でしょうか?」
「私たち冒険者登録をしに来ました」
「冒険者登録ですね!それでは、こちらの紙に記入をお願いします」
スズネとミリアは渡された紙にそれぞれ記入し、書き終えると受付の女性にそれを手渡した。
「「書けました。お願いします」」
「はい、ありがとうございます。私は、本日二人の担当をするマリです。宜しくお願いしますね」
「はい!!宜しくお願いします!!!」
「ふふふっ。そんなに緊張しなくても大丈夫よ。それじゃ、一人ずつ順番に登録していきましょうか」
─────────────────────────
三人が通されたのはギルド内にある一室。
部屋の中央には、左右に大理石で作られた台座と魔法陣がある。
そして、台座の上には大きな水晶球が置かれている。
「それじゃ~まずはアタシから」
そう言うと、ミリアは力強く一歩踏み出した。
「それでは、登録者の方は左の台座の前に立って頂き、水晶球に触れてください。また、固有の武具もしくは召喚獣をお持ちの方は右側の魔法陣の中にお願いします」
ミリアは魔法陣の中に”炎帝の剣”を置き、台座の前へと立った。
そして、ミリアが水晶球に触れた瞬間に水晶球と魔法陣が輝きだし、一瞬の内に青い光に包まれたのだった。
「はい、登録完了です。水晶球から手を離してもらい、武具も取ってもらっていいですよ」
登録を終えスズネの元へと戻るミリア。
額には薄っすらと汗をかいており、さすがのミリアも緊張していたようだ。
そんなミリアをスズネが満面の笑顔で迎えた。
「お疲れ様~」
「いや~緊張した~~~。次はスズネの番だよ。頑張って!!」
自身の登録を終えたことにより、多少の余裕が生まれたミリア。
そんなミリアからの応援を受けつつ、いよいよ次はスズネの番である。
「それでは、先程と同様に登録者の方は台座へ、そちらの召喚獣の方は・・・」
「あ?この俺を獣風情と一緒にするんじゃねぇ~よ。消し炭にされたいのか」
マリの額から頬を伝い大粒の汗が流れ落ちる。
あまりの威圧感に息を飲み、震える左手を隠すように右手で押さえつけている。
しかし、そんな重苦しい空気もスズネには関係ない。
全く意に介す様子もなく淡々と準備を進める。
「はいはい、いちいち文句を言ってないでその魔法陣の中に入って」
「おい、押すな。分かったから。自分で行くから押すなよ」
クロノの背中を押し、魔法陣の中へとグイグイ押し進めるスズネ。
不服そうなクロノとは対照的に、その顔はどこか嬉しそうにも見えた。
そして、スズネが水晶球に触れると瞬く間に青い光に包まれたのであった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「みなさんお疲れ様でした。スズネさんとミリアさんには、こちらの冒険者カードとプレートを渡しておきますね」
マリから冒険者カードとプレートを受け取った二人は大はしゃぎする。
そんな様子を隣で見ているクロノは呆れた様に溜息を吐く。
「これが冒険者カードか~」
「なんか一気に冒険者になったって感じがするね」
そんな二人の様子を見ながらマリは優しく微笑むのだった。
「大盛り上がりしてるところ悪いんだけど、冒険者カードとプレートについて説明しますね」
「あはははは…すみません。宜しくお願いします」
「ホント、登録したくらいで大はしゃぎしやがって。恥ずかしい奴らだ」
ただでさえ注目を集めている中で、さらに視線を集めることになりバツが悪そうな二人。
そこに追い討ちをかけるようにクロノがトドメの一撃を刺し、より一層恥ずかしさが増した二人は顔を真っ赤にして身を縮めるのだった。
「それではカードを見てください。まず、一番上に現在の冒険者ランクが書いてあります。Eランクから始まり、クエストをこなして行くことによりD→C→B…と順にランクアップしていきます。例外はありますが最上位がSランクとなります。二人は登録したばかりなのでEランクと表示されていると思います」
「「お~~~」」
「そして、次に自身の名前・現在のレベル・ジョブ、その下に固有の武具もしくは召喚獣の名前とレベルが書いてあります。最後に現ランクのクエスト達成回数となり、規定回数以上をクリアするとランクアップ試験を受けることができ、試験に合格して無事ランクアップとなります」
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冒険者ランク E
氏名:スズネ Lv.7 魔法師
召喚獣:クロノ Lv.1
Eランククエスト達成回数 0/200
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冒険者ランク E
氏名:ミリア Lv.10 剣士
武具:炎帝の剣 Lv.1
Eランククエスト達成回数 0/200
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「ランクについてはこちらの用紙をご覧ください」
マリから手渡された用紙を受け取りったスズネとミリアはさっそく目を通す。
===========================================
⦅ランクについて⦆
■E~Sランクに分けられる。
■D及びCランクへのランクアップは、課題とされる素材を規定量採取しギルドへ提出すること
で合格となる。
■Cランク以上へのランクアップの試験は、現ランクのひとつ上のランク冒険者が試験官となる。
→試験はギルド職員立ち会いのもと1対1の実戦形式(10分間)。
・受験者は試験官から一本取れば合格。
・試験中の生死については不問とする。
Eランク:素材採取など街の人たちからの雑務系の依頼を受けられる。
ランクアップ回数:200
Dランク:護衛依頼+Eランク
ランクアップ回数:150
Cランク:低難易度の討伐依頼+E~Dランク
ランクアップ回数:100
Bランク:中難易度の討伐依頼+E~Cランク
ランクアップ回数:50
Aランク:高難易度の討伐依頼+E~Bランク
ランクアップ回数:30
Sランク:超難易度の討伐依頼+E~Aランク
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「クエストは、あちらの掲示板に張り出された紙を受付にて受領し、クエスト達成後に
受付で完了を確認したのち報酬を得るという流れになります」
報酬という言葉に目をキラキラと輝かせるミリア、その隣で未だに浮かれ気分が抜けない様子のスズネ。
クロノはというと・・・。
全く興味がないようで、退屈そうに大口を開けて欠伸をしている。
まさに三者三様である。
そんな様子に苦笑いを浮かべつつマリは説明を続ける。
「あとプレートは依頼者や同業者などから現ランクがひと目で分かるようにしているので、肌身離さず付けておいて下さいね」
マリの説明を受け、さっそくブロンズのプレートを身に付ける二人。
「なんかアクセサリーみたいで良いね」
「ホント首飾りみたい。それに付けるとより一段と”冒険者”って感じが出るわね」
プレートを身に付けさらにテンションが上がった二人は、お互いの冒険者カードを見ながらあれやこれやと話し始めた。
「アタシはジョブが剣士でLv.10。炎帝の剣はLV.1だったよ。スズネは?」
「私はね~魔法師でLv.7。クロノは・・・Lv.1だね」
「えっ!?クロノってLv.1なの??魔王なのに!?」
あまりの衝撃に驚きを隠せないミリアは、身を乗り出してスズネの冒険者カードを覗き込んだ。
そんなミリアの様子を見て、マリが重い口を開いた。
「クロノさんに関してなんですが・・・ごめんなさい!!測定が出来ませんでした」
「「ええ~~~~~っ!?」」
まさかの言葉に驚愕するスズネとミリアをよそに、当の本人は気にする素振りも見せず平静を保っている。
「ふん、何をそんなに驚くことがある。そもそも人族が作った物にこの俺様を測ることなど出来るはずもないだろ」
なぜか少し嬉しそうな表情のクロノは、鼻で笑うように言い放った。
ギルドとしては当然あってはならない事態であり、マリは申し訳なさそうに頭を下げている。
そんなマリに対し慌てたようにスズネがフォローする。
「そんな…頭を上げて下さいよ。マリさんが謝ることじゃないですし、たまにはそういう事もあるというか・・・ほら、もしかしたら本当にクロノがLv.1なのかもしれないですし」
「ふざけるな!!なぜ俺のレベルがお前より下なんだ。ありえんだろ」
「あれ??やっぱそうかなぁ~あははははは・・・」
スズネの言葉に対し本気で怒るクロノ。
クロノのツッコミにとぼけた様子で笑ってみせるスズネ。
そんな二人のじゃれあいを無視し、ミリアはマリへと疑問を投げかける。
「でも、実際のところこういう事ってあるんですか?」
「いえ…これまでのギルドの歴史において聞いたこともないですね」
「あと測定不能によってLv.1になってますけど、それによって何か不都合とかはないんですか?」
「はい、それは大丈夫です。他の武具や召喚獣と同様に所有者との繋がりや練度によってレベルを上げていくことに変わりはありません」
マリの返答を聞きホッと一安心した様子のミリア。
これからクエストに挑んでいく上で、どれだけ小さな不安や問題であったとしても放置は命取りになりかねない。
スズネが常にマイペースな性格なのは周知の通り。
そして、ミリアは基本的に勇ましい性格であるが、こういう点において冷静な頭も持っているのでとても心強い。
「問題は無いんだって♪♪一緒に頑張っていこうねクロノ」
「ふん、せいぜい足を引っ張らないようにな」
「うん。頑張るよ!!」
こうして、一先ずギルドへの冒険者登録が完了したのであった。
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主人公はウォークゲームを楽しむ高校生、ある時学校の教室で異世界召喚され、クラス全員が異世界に行ってしまいます。
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異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~
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図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。
その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。
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高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
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現世に侵略してきた異世界人を撃退して、世界を救ったら、世界と異世界から命を狙われるようになりました。
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勝利後、直斗は、正体が発覚することなく、その場を離れることに成功した。
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パワハラで会社を辞めた俺、スキル【万能造船】で自由な船旅に出る~現代知識とチート船で水上交易してたら、いつの間にか国家予算レベルの大金を稼い
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過労とパワハラで心身ともに限界だった俺、佐伯湊(さえきみなと)は、ある日異世界に転移してしまった。神様から与えられたのは【万能造船】というユニークスキル。それは、設計図さえあれば、どんな船でも素材を消費して作り出せるという能力だった。
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―――
当作品は過去作品の改稿版です。情景描写等を厚くしております。
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4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
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