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殺し合い
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ギィーーーーーン ──────── 。
ギィーーーーーン ──────── 。
ドゴーーーーーン ──────── 。
ドゴーーーーーン ──────── 。
広大なパスカル大山脈全域に響き渡る轟音。
山中深くで戦うガルディア軍の騎士たちには何が起きているのか全く分からない。
しかし、同じ状況下であっても今回の作戦を知る獣王国軍の戦士たちはいよいよ獣王自らが動き出したのだと理解した。
そんな両者の間に出来た極めて小さな精神的な不安と余裕の差がここからの戦いに大きな差となって表れるのであった。
「ちょっと何なの?この馬鹿デカい音は」
「間違いありません。ゼリックとアーサーの戦いが始まったようです」
「それにしても物凄い音ッスね…。なんか心なしか空気が震えてるように感じるッス」
「や…山の木々たちも騒いでいます」
「それにしてもやかましいのう。戦ってる場所さえ分かれば、わっちの魔法を撃ち込んでやるんじゃが」
ドゴーーーーーン ──────── 。
ドゴーーーーーン ──────── 。
ユニの背中を追って走る間も轟音は鳴り続けている。
そして、少しずつではあるが確実に耳に届くその音は大きくなっていた。
「だいぶ音が近くなってきました。皆さんもう少しで王城に出ます」
「よし!みんな急ごう!!」
「師匠・・・」
スズネの呼び掛けに応えるように全員の走る速度が上がる。
急斜面の山道ではあるが泣き言など言ってはいられない。
そんな中、最後尾を走るマクスウェルは師匠であるアーサーの実力を知りながらも鳴り続ける轟音に一抹の不安を抱くのだった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
ギィーーーーーン!!
ギィーーーーーン!!
「オラオラオラオラーーーーー!!」
「フンッ。威勢の割に大したことがないな」
ギリッ…ギリギリッ…ギリギリギリギリッ…。
激しい打ち合いの後、鍔迫り合いとなった中で両者が近距離で顔を突き合わせる。
「そうかい、そうかい。随分と余裕じゃねーかアーサー。何を勘違いしてんのか知らねぇが、これは“殺し合い”だぜ?」
「無知な獣王に教えておいてやろう。相手を確実に殺すためには、まず相手を知る必要があるんだよ。安心していい。すぐに殺してやる」
「いいね、いいね~。だんだんと殺気が色濃くなってきてるぜ。それじゃ、そろそろスピードを上げていくからな。簡単にくたばるんじゃねーぞ」
ダンッ ──────── 。
それまでの接近戦から一転して距離を取ったゼリック。
そして中腰になったかと思いきやそのまま顎が地面に突くかというくらいの低い態勢をとる。
「それじゃ~いくぜ」
ググッ・・・ドンッ!!
──────── ドーン!!
──────── ドーン!!
──────── ドーン!!
──────── ドーン!!
ゼリックの姿が視界から消えた。
彼が立っていた場所には土煙だけが残っている。
そして、それを視認した時には右側から壁が崩れ落ちる音が聞こえ、次の瞬間には左側から ──────── 。
「フハハハハ」
ゼリックの不敵な笑い声が響く中、前後左右で爆音と共に壁が崩れ落ちる。
その目まぐるしい状況の中でアーサーは静かに目を閉じ、心を鎮める。
「フゥーーー」
《派手な陽動に惑わされるな。どれだけ高速で動き回ろうとも本体は一つ。そして ─────── 》
──────── ドーン!!
──────── ドーン!!
──────── ドーン!!
──────── ドーン!!
「後ろがガラ空きだぜ!目~閉じたまま死んどけやーーー!!」
キーーーーーン ──────── 。
背後からアーサーの首を目掛けて放たれた一文字斬り。
速度、威力共に申し分ない一閃であった ──── が、残念ながらその一撃がアーサーの身に届くことはなかった。
背後からの強襲であったにも関わらず、一切振り返ることなく剣で受け止めたアーサー。
しかし、渾身の一撃を防がれた形となったゼリックの顔に驚きや焦りといったものはなく、むしろ喜ばしいと言わんばかりの笑みが溢れていた。
「やるじゃねぇーかアーサー!四聖なんて呼ばれてのぼせ上がってやがるのかと思ってたけどよ~。久々に俺も本気になれそうだぜ」
「私も実力主義を謳う国の王が口先だけでなくて安心したよ」
「ガッハッハッ。言ってくれるじゃねーか」
キーン、キーン、キーン、キーン。
「オラオラオラオラ。どんどんいくぞ!!」
ギーン、ギーン、ギーン、ギーン。
打ち合う速度と威力がどんどん上がっていく。
しかし、互いに引く気配は微塵もない。
まさに両者の意地と意地が激しくぶつかり合う真っ向勝負の斬り合い。
ヒュンッ、ヒュンッ、ヒュンッ、ヒュンッ。
ブシュッ ─── ブシュッ ─── ブシュッ ─── ブシュッ ─── 。
ブンッ、ブンッ、ブンッ、ブンッ。
ブシュッ ─── ブシュッ ─── ブシュッ ─── ブシュッ ─── 。
力と技の応酬。
剣先には血がへばりつき、互いの血飛沫が宙を舞う。
「なかなかやるな獣王。少し舐めていたよ」
「ガッハッハッハッ ───── いいね、いいね~。コレだよコレ!この血湧き肉踊る感覚・・・堪んねぇーなーーー!!」
滅多に出会えぬ好敵手。
世界最高峰であるからこその悩み。
そして、ここから剣の頂に立つ者同士の殺し合いはさらなる激化をみせていく ──────── 。
ギィーーーーーン ──────── 。
ドゴーーーーーン ──────── 。
ドゴーーーーーン ──────── 。
広大なパスカル大山脈全域に響き渡る轟音。
山中深くで戦うガルディア軍の騎士たちには何が起きているのか全く分からない。
しかし、同じ状況下であっても今回の作戦を知る獣王国軍の戦士たちはいよいよ獣王自らが動き出したのだと理解した。
そんな両者の間に出来た極めて小さな精神的な不安と余裕の差がここからの戦いに大きな差となって表れるのであった。
「ちょっと何なの?この馬鹿デカい音は」
「間違いありません。ゼリックとアーサーの戦いが始まったようです」
「それにしても物凄い音ッスね…。なんか心なしか空気が震えてるように感じるッス」
「や…山の木々たちも騒いでいます」
「それにしてもやかましいのう。戦ってる場所さえ分かれば、わっちの魔法を撃ち込んでやるんじゃが」
ドゴーーーーーン ──────── 。
ドゴーーーーーン ──────── 。
ユニの背中を追って走る間も轟音は鳴り続けている。
そして、少しずつではあるが確実に耳に届くその音は大きくなっていた。
「だいぶ音が近くなってきました。皆さんもう少しで王城に出ます」
「よし!みんな急ごう!!」
「師匠・・・」
スズネの呼び掛けに応えるように全員の走る速度が上がる。
急斜面の山道ではあるが泣き言など言ってはいられない。
そんな中、最後尾を走るマクスウェルは師匠であるアーサーの実力を知りながらも鳴り続ける轟音に一抹の不安を抱くのだった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
ギィーーーーーン!!
ギィーーーーーン!!
「オラオラオラオラーーーーー!!」
「フンッ。威勢の割に大したことがないな」
ギリッ…ギリギリッ…ギリギリギリギリッ…。
激しい打ち合いの後、鍔迫り合いとなった中で両者が近距離で顔を突き合わせる。
「そうかい、そうかい。随分と余裕じゃねーかアーサー。何を勘違いしてんのか知らねぇが、これは“殺し合い”だぜ?」
「無知な獣王に教えておいてやろう。相手を確実に殺すためには、まず相手を知る必要があるんだよ。安心していい。すぐに殺してやる」
「いいね、いいね~。だんだんと殺気が色濃くなってきてるぜ。それじゃ、そろそろスピードを上げていくからな。簡単にくたばるんじゃねーぞ」
ダンッ ──────── 。
それまでの接近戦から一転して距離を取ったゼリック。
そして中腰になったかと思いきやそのまま顎が地面に突くかというくらいの低い態勢をとる。
「それじゃ~いくぜ」
ググッ・・・ドンッ!!
──────── ドーン!!
──────── ドーン!!
──────── ドーン!!
──────── ドーン!!
ゼリックの姿が視界から消えた。
彼が立っていた場所には土煙だけが残っている。
そして、それを視認した時には右側から壁が崩れ落ちる音が聞こえ、次の瞬間には左側から ──────── 。
「フハハハハ」
ゼリックの不敵な笑い声が響く中、前後左右で爆音と共に壁が崩れ落ちる。
その目まぐるしい状況の中でアーサーは静かに目を閉じ、心を鎮める。
「フゥーーー」
《派手な陽動に惑わされるな。どれだけ高速で動き回ろうとも本体は一つ。そして ─────── 》
──────── ドーン!!
──────── ドーン!!
──────── ドーン!!
──────── ドーン!!
「後ろがガラ空きだぜ!目~閉じたまま死んどけやーーー!!」
キーーーーーン ──────── 。
背後からアーサーの首を目掛けて放たれた一文字斬り。
速度、威力共に申し分ない一閃であった ──── が、残念ながらその一撃がアーサーの身に届くことはなかった。
背後からの強襲であったにも関わらず、一切振り返ることなく剣で受け止めたアーサー。
しかし、渾身の一撃を防がれた形となったゼリックの顔に驚きや焦りといったものはなく、むしろ喜ばしいと言わんばかりの笑みが溢れていた。
「やるじゃねぇーかアーサー!四聖なんて呼ばれてのぼせ上がってやがるのかと思ってたけどよ~。久々に俺も本気になれそうだぜ」
「私も実力主義を謳う国の王が口先だけでなくて安心したよ」
「ガッハッハッ。言ってくれるじゃねーか」
キーン、キーン、キーン、キーン。
「オラオラオラオラ。どんどんいくぞ!!」
ギーン、ギーン、ギーン、ギーン。
打ち合う速度と威力がどんどん上がっていく。
しかし、互いに引く気配は微塵もない。
まさに両者の意地と意地が激しくぶつかり合う真っ向勝負の斬り合い。
ヒュンッ、ヒュンッ、ヒュンッ、ヒュンッ。
ブシュッ ─── ブシュッ ─── ブシュッ ─── ブシュッ ─── 。
ブンッ、ブンッ、ブンッ、ブンッ。
ブシュッ ─── ブシュッ ─── ブシュッ ─── ブシュッ ─── 。
力と技の応酬。
剣先には血がへばりつき、互いの血飛沫が宙を舞う。
「なかなかやるな獣王。少し舐めていたよ」
「ガッハッハッハッ ───── いいね、いいね~。コレだよコレ!この血湧き肉踊る感覚・・・堪んねぇーなーーー!!」
滅多に出会えぬ好敵手。
世界最高峰であるからこその悩み。
そして、ここから剣の頂に立つ者同士の殺し合いはさらなる激化をみせていく ──────── 。
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