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飛来
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ギィーーーーーン!!
ドゴーーーーーン!!
戦地に轟音が鳴り響く中、各戦闘地での戦いもまた激しさを増していた。
それまでの戦いにおいてあまり積極性がみられなかった獣王国軍であったのだが、轟音が耳に届くようになったと同時に人が変わったように好戦的な姿勢をみせ始めるのだった。
「「「「「ウオォォォォォ」」」」」
「侵略者どもを殺せーーーーー」
「思い上がったヒト族どもに俺たち獣人族の力をみせてやれ!!」
そんな獣王国軍の姿を目の当たりにし、急な展開の変化に動揺をみせるガルディア王国軍なのであった。
それでも各団長の指示の下、なんとか大崩れすることなく、各所で拮抗した状況が続いていた。
「落ち着いて対処しろ!相手もやっとやる気になったみたいだ。ここからが本番だぞ!!」
「ハッ。各員隊列を乱すな!目の前の敵を各個撃破し、ガウェイン様に続けーーー!!」
「「「「「ウオォォォォォ!!!!!」」」」」
第二軍、第三軍、第四軍はそれぞれを率いるランスロット、トリスタン、ケイの陣頭指揮によって向かってくる敵軍を討ち倒しながら少しずつではあるものの着実に進軍を続けていた。
しかし、第一軍だけは敵の攻略に苦慮していた。
ガウェインとガラハット二人の団長が先頭に立ち軍を鼓舞し続けてはいるのだが、第一軍全体の士気が一向に上がらない。
いや、実際には上がってはいる。
それでも対する獣王国軍のそれを上回ることが出来ていないのだ。
その原因はただ一つ。
聖騎士長アーサーの不在である。
第一軍の総指揮及びアーサー直属の団をまとめ上げる指揮官の不在によって全体的な軍の連携に歪みが生じていたのだ。
そして、その僅かな歪みを見逃すことなく敵軍の主力であるドランの強力な攻撃が彼らを襲うのであった。
「炎の息吹」
ヴォーーーッ ───── ゴゴーーーッ ───── 。
「ダメだ…保たない…」
「ガウェイン様、このままでは盾兵が保ちません」
「クッ…仕方ない。一時撤退だ!全員奴から距離を取れ」
「一時撤退!一時撤退!各員速やかに奴から距離を取れ!!」
「「「「「 ハッ!!! 」」」」」
脱兎のごとく一斉にその場を離れる騎士たち。
しかし、そう易々と逃がしてくれるほど相対している敵は優しくない。
「あら~あら~?そんなに~急いで~何処に~行くの~? ───── 煙霧による迷子」
再び山間に漂い始める煙霧によって視界を奪われる第一軍。
そして、逃げ惑う彼らを嘲笑うかのようにあの男が背後から次々とその首を切り裂くのであった。
スーーーーーッ。
スパッ ───── ブシューーーッ。
──────── ドサッ・・・。
「うわぁぁぁぁぁ」
スパッ ───── ブシューーーッ。
──────── ドサッ・・・。
「急げ、狙われているぞ!走れ、はし・・・」
スパッ ───── ブシューーーッ。
──────── ドサッ・・・。
「ハァ~…どいつもこいつもうるさいなぁ~…。どうせ死ぬんだから静かに死んでよね…。っていうか…僕働き過ぎじゃない? ──── ハァ~…ゼリックさん、さっさと終わらせてくんないかなぁ~…」
結果的にこの撤退は裏目となる。
背後を取られた騎士たちは為す術無く次々と討たれることとなり、撤退を開始して十分の時が過ぎた頃には百人近くの騎士がマウルスの凶刃によって命を落としたのだった。
ドガッ!!
「クソッ!俺のせいだ。俺のせいで多くの仲間が・・・」
「ガウェイン殿、あまり自分を責めるでない。それに今は感傷に浸っている暇などないぞ」
「・・・。ああ、分かってる。総員直ちに隊列を組み直せ!殺られた奴らの仇は倍にして返してやるぞ!!」
「「「「「 オウ!!! 」」」」
仲間の無念を晴らすべく一斉攻撃を仕掛けた第一軍であったのだが、その奮闘も虚しくドランの強固な皮膚を破ることも強力な攻撃を打ち破ることも出来ず、加えてメールの幻術とマウルスの闇討ち、嗅覚を駆使して的確に奇襲を仕掛けてくる獣王国の戦士たちの前に劣勢に追い込まれていったのだった。
「ガウェイン様、ガラハット様、これ以上は兵たちの気力が保ちそうにありません。一度下山して体制を整えたほうがよろしいかと・・・」
「馬鹿なこと言ってんじゃねー!ここで俺たちが下がったら、ここの連中は隣の戦場へ雪崩れ込むぞ。そうなったら連鎖的に各軍が劣勢となり、この戦争は俺たちの敗けとなる」
「し…しかし・・・」
「落ち着かれよ、ガウェイン殿。冷静さを欠いては勝てるものも勝てぬぞ」
相対する敵軍の圧力がより一層強くなり、攻めているはずの第一軍が逆にジリジリと後退させられてしまっている状況に騎士たちの士気も下がり始める中で苛立ちをみせるガウェインであったのだが、勝負を急ぐあまり冷静さを欠いた彼をガラハットが一喝したのだった。
「フゥー・・・」
───────── ドガッ!!
───────── !?!?!?!?!?
「何をしておるのだ!?ガウェイン殿」
突然自身の顔面を殴りつけたガウェイン。
ガラハットを始め周囲にいた騎士たちはその行動に驚き、何事かと心配そうな表情を向ける。
「わりぃ~、わりぃ~。あれこれ考えてる内に冷静さを失ってたみたいだ。俺もまだまだだな」
頭に上った血を下げるためにあえて自身の拳で喝を入れたガウェイン。
その直前までどこか切羽詰まったような空気感を漂わせていたのだが、仲間たちの助けもあり、いつもの自分を取り戻したのだった。
ドッドッドッドッドッドッドッドッ ──────── 。
その時ガウェインたち第一軍が戦う戦闘地に向けて一つの赤い物体が近づいてきていたのだが、そんなことなど彼らは知る由もなかった。
「して、ガウェイン殿はここからどう出るつもりだ?」
「騎士たちは周囲を警戒しつつ煙霧の外まで撤退。敵が別の戦場へ向かうような素振りを見せたらいつでも出れる準備をしておいてくれ。そして、俺とガラハットはここに残って偉そうに上から俺たちを見下してやがるあの野郎に一泡吹かせてやる」
「お二人でですか!?しかしガウェイン様、それでは ───── 」
「黙れ、これは命令だ。軍としてこれ以上の損害は致命傷となる。言いたいことは分かるが今は耐えてくれ」
「クッ・・・畏まりました・・・」
騎士たちを惑わせ、敵に背を討つ機会を作り出している厄介な煙霧の外にさえ出てしまえば騎士たちが討たれることは無いと判断したガウェイン。
そして、その指示に従い速やかに交代を進める騎士たちを背にガウェインとガラハットはドランへと立ち向かう。
ドッドッドッドッドッドッドッドッ ──────── 。
「イヒッ…イヒヒヒヒ。あ~いい香り~」
謎の物体の到着まで残り1分 ─────── 。
「くらえ!!」
ガキーーーン!! ──────── 。
「クソッ!マジでどんだけ硬ぇーんだよ」
「どれだけ硬かろうが、我が剛拳で沈めてくれるわ ───── 龍牙」
ドガッ ────── ミシッ…ミシミシミシッ。
ブウォンッ ────── バサッバサッバサッ。
ガウェインとガラハットによる連携攻撃によって数メートル殴り飛ばされたドラン。
ツーーーーーッ ──────── !?
擦り傷とはいえ自身の身体に傷を付けられたことに憤りを感じ怒りを滲ませる。
「小癪な・・・脆弱なヒト族どもめ ───── 。自惚れた貴様らに我が最強の一撃を味わわせてやろう」
ググッ…グググググッ。
そう一言漏らすと、ドランは少し背を反らせこれまでとは比べ物にならないほどのエネルギーを溜め始める。
「ガウェイン殿!アレはまずいですぞ」
「あの野郎…まだあんなもんを隠してやがったのか。アレを放たれたらここら一帯が吹き飛ぶぞ」
膨大な量のエネルギーを一点に集束させていくドラン。
それは誰もがひと目見ただけでこれまでの炎の息吹と比べ物にならない桁違いの威力であると分かるものであった。
そして、いよいよドランによる渾身の一撃が放たれようとした・・・その時 ──────── 。
ドッドッドッドッドッドッドッドッ ──────── 。
「うん?何の音であるか?」
「分からねぇ…が、近づいてきてやがる」
ドッドッドッドッドッドッドッドッ ──────── ドーーーーーーーーーン!!!!!
「イッヒッヒッヒッヒッ。と~~~ちゃ~~~~~く」
ドゴーーーーーン!!
戦地に轟音が鳴り響く中、各戦闘地での戦いもまた激しさを増していた。
それまでの戦いにおいてあまり積極性がみられなかった獣王国軍であったのだが、轟音が耳に届くようになったと同時に人が変わったように好戦的な姿勢をみせ始めるのだった。
「「「「「ウオォォォォォ」」」」」
「侵略者どもを殺せーーーーー」
「思い上がったヒト族どもに俺たち獣人族の力をみせてやれ!!」
そんな獣王国軍の姿を目の当たりにし、急な展開の変化に動揺をみせるガルディア王国軍なのであった。
それでも各団長の指示の下、なんとか大崩れすることなく、各所で拮抗した状況が続いていた。
「落ち着いて対処しろ!相手もやっとやる気になったみたいだ。ここからが本番だぞ!!」
「ハッ。各員隊列を乱すな!目の前の敵を各個撃破し、ガウェイン様に続けーーー!!」
「「「「「ウオォォォォォ!!!!!」」」」」
第二軍、第三軍、第四軍はそれぞれを率いるランスロット、トリスタン、ケイの陣頭指揮によって向かってくる敵軍を討ち倒しながら少しずつではあるものの着実に進軍を続けていた。
しかし、第一軍だけは敵の攻略に苦慮していた。
ガウェインとガラハット二人の団長が先頭に立ち軍を鼓舞し続けてはいるのだが、第一軍全体の士気が一向に上がらない。
いや、実際には上がってはいる。
それでも対する獣王国軍のそれを上回ることが出来ていないのだ。
その原因はただ一つ。
聖騎士長アーサーの不在である。
第一軍の総指揮及びアーサー直属の団をまとめ上げる指揮官の不在によって全体的な軍の連携に歪みが生じていたのだ。
そして、その僅かな歪みを見逃すことなく敵軍の主力であるドランの強力な攻撃が彼らを襲うのであった。
「炎の息吹」
ヴォーーーッ ───── ゴゴーーーッ ───── 。
「ダメだ…保たない…」
「ガウェイン様、このままでは盾兵が保ちません」
「クッ…仕方ない。一時撤退だ!全員奴から距離を取れ」
「一時撤退!一時撤退!各員速やかに奴から距離を取れ!!」
「「「「「 ハッ!!! 」」」」」
脱兎のごとく一斉にその場を離れる騎士たち。
しかし、そう易々と逃がしてくれるほど相対している敵は優しくない。
「あら~あら~?そんなに~急いで~何処に~行くの~? ───── 煙霧による迷子」
再び山間に漂い始める煙霧によって視界を奪われる第一軍。
そして、逃げ惑う彼らを嘲笑うかのようにあの男が背後から次々とその首を切り裂くのであった。
スーーーーーッ。
スパッ ───── ブシューーーッ。
──────── ドサッ・・・。
「うわぁぁぁぁぁ」
スパッ ───── ブシューーーッ。
──────── ドサッ・・・。
「急げ、狙われているぞ!走れ、はし・・・」
スパッ ───── ブシューーーッ。
──────── ドサッ・・・。
「ハァ~…どいつもこいつもうるさいなぁ~…。どうせ死ぬんだから静かに死んでよね…。っていうか…僕働き過ぎじゃない? ──── ハァ~…ゼリックさん、さっさと終わらせてくんないかなぁ~…」
結果的にこの撤退は裏目となる。
背後を取られた騎士たちは為す術無く次々と討たれることとなり、撤退を開始して十分の時が過ぎた頃には百人近くの騎士がマウルスの凶刃によって命を落としたのだった。
ドガッ!!
「クソッ!俺のせいだ。俺のせいで多くの仲間が・・・」
「ガウェイン殿、あまり自分を責めるでない。それに今は感傷に浸っている暇などないぞ」
「・・・。ああ、分かってる。総員直ちに隊列を組み直せ!殺られた奴らの仇は倍にして返してやるぞ!!」
「「「「「 オウ!!! 」」」」
仲間の無念を晴らすべく一斉攻撃を仕掛けた第一軍であったのだが、その奮闘も虚しくドランの強固な皮膚を破ることも強力な攻撃を打ち破ることも出来ず、加えてメールの幻術とマウルスの闇討ち、嗅覚を駆使して的確に奇襲を仕掛けてくる獣王国の戦士たちの前に劣勢に追い込まれていったのだった。
「ガウェイン様、ガラハット様、これ以上は兵たちの気力が保ちそうにありません。一度下山して体制を整えたほうがよろしいかと・・・」
「馬鹿なこと言ってんじゃねー!ここで俺たちが下がったら、ここの連中は隣の戦場へ雪崩れ込むぞ。そうなったら連鎖的に各軍が劣勢となり、この戦争は俺たちの敗けとなる」
「し…しかし・・・」
「落ち着かれよ、ガウェイン殿。冷静さを欠いては勝てるものも勝てぬぞ」
相対する敵軍の圧力がより一層強くなり、攻めているはずの第一軍が逆にジリジリと後退させられてしまっている状況に騎士たちの士気も下がり始める中で苛立ちをみせるガウェインであったのだが、勝負を急ぐあまり冷静さを欠いた彼をガラハットが一喝したのだった。
「フゥー・・・」
───────── ドガッ!!
───────── !?!?!?!?!?
「何をしておるのだ!?ガウェイン殿」
突然自身の顔面を殴りつけたガウェイン。
ガラハットを始め周囲にいた騎士たちはその行動に驚き、何事かと心配そうな表情を向ける。
「わりぃ~、わりぃ~。あれこれ考えてる内に冷静さを失ってたみたいだ。俺もまだまだだな」
頭に上った血を下げるためにあえて自身の拳で喝を入れたガウェイン。
その直前までどこか切羽詰まったような空気感を漂わせていたのだが、仲間たちの助けもあり、いつもの自分を取り戻したのだった。
ドッドッドッドッドッドッドッドッ ──────── 。
その時ガウェインたち第一軍が戦う戦闘地に向けて一つの赤い物体が近づいてきていたのだが、そんなことなど彼らは知る由もなかった。
「して、ガウェイン殿はここからどう出るつもりだ?」
「騎士たちは周囲を警戒しつつ煙霧の外まで撤退。敵が別の戦場へ向かうような素振りを見せたらいつでも出れる準備をしておいてくれ。そして、俺とガラハットはここに残って偉そうに上から俺たちを見下してやがるあの野郎に一泡吹かせてやる」
「お二人でですか!?しかしガウェイン様、それでは ───── 」
「黙れ、これは命令だ。軍としてこれ以上の損害は致命傷となる。言いたいことは分かるが今は耐えてくれ」
「クッ・・・畏まりました・・・」
騎士たちを惑わせ、敵に背を討つ機会を作り出している厄介な煙霧の外にさえ出てしまえば騎士たちが討たれることは無いと判断したガウェイン。
そして、その指示に従い速やかに交代を進める騎士たちを背にガウェインとガラハットはドランへと立ち向かう。
ドッドッドッドッドッドッドッドッ ──────── 。
「イヒッ…イヒヒヒヒ。あ~いい香り~」
謎の物体の到着まで残り1分 ─────── 。
「くらえ!!」
ガキーーーン!! ──────── 。
「クソッ!マジでどんだけ硬ぇーんだよ」
「どれだけ硬かろうが、我が剛拳で沈めてくれるわ ───── 龍牙」
ドガッ ────── ミシッ…ミシミシミシッ。
ブウォンッ ────── バサッバサッバサッ。
ガウェインとガラハットによる連携攻撃によって数メートル殴り飛ばされたドラン。
ツーーーーーッ ──────── !?
擦り傷とはいえ自身の身体に傷を付けられたことに憤りを感じ怒りを滲ませる。
「小癪な・・・脆弱なヒト族どもめ ───── 。自惚れた貴様らに我が最強の一撃を味わわせてやろう」
ググッ…グググググッ。
そう一言漏らすと、ドランは少し背を反らせこれまでとは比べ物にならないほどのエネルギーを溜め始める。
「ガウェイン殿!アレはまずいですぞ」
「あの野郎…まだあんなもんを隠してやがったのか。アレを放たれたらここら一帯が吹き飛ぶぞ」
膨大な量のエネルギーを一点に集束させていくドラン。
それは誰もがひと目見ただけでこれまでの炎の息吹と比べ物にならない桁違いの威力であると分かるものであった。
そして、いよいよドランによる渾身の一撃が放たれようとした・・・その時 ──────── 。
ドッドッドッドッドッドッドッドッ ──────── 。
「うん?何の音であるか?」
「分からねぇ…が、近づいてきてやがる」
ドッドッドッドッドッドッドッドッ ──────── ドーーーーーーーーーン!!!!!
「イッヒッヒッヒッヒッ。と~~~ちゃ~~~~~く」
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