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知ったことでは
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ギィーーーーーン!!
ガキーーーーーン!!
ザッザッザッザッ ──────── 。
「ハァ…ハァ…もう少しです」
ドーーーーーン!!
ドーーーーーン!!
「なんかとんでもない音がしてるけど、大丈夫なのかな」
目的地である闘技場が近づくにつれ、甲高い剣戟音と何かが崩れ落ちるような音がより大きくなっていく。
その耳を覆いたくなるような爆音によって、内在する恐怖心を強く煽られながらも走る速度を落とすわけにはいかない。
そうして全速力で走り続けたスズネたちは、とうとうゼリックとアーサーが戦いを続ける闘技場へと辿り着いたのであった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
闘技場に到着したスズネたちが観客席から目の当たりにしたのは、彼女たちの想像を遥かに超えた激闘であった。
斬撃が飛び交い、血と土埃に塗れた二人の男の姿がそこにあった。
「そこまでです!戦いを止めてください!!」
ギィーーーーーン!!
「ガッハッハッ。聖騎士ってのはもっとお高くとまってんのかと思ってたけどよ~。そんな顔もできんじゃねーか!!」
「まったく・・・戦いの最中だというのに本当にうるさい口だ。まずはそのよく回る舌を斬り落としてやろう」
キーン!キーン!キーン!キーン!
「戦いを止めてください!!」
ガキーーーーーン!!
「オルラァァァァァ」
ドーーーーーン!!
ユニの決死の叫びも激しい戦闘音にかき消されて二人の耳には届かない。
いや…実際には届いているのかもしれないが、ゼリックもアーサーも戦いの手を緩める気配はない。
まぁ~当然といえば当然である。
国を…国民を巻き込んでまで起きた戦争。
両軍入り乱れての大規模な戦い、そんな両軍を率いる大将同士による死闘を“止めろ”の一言で終わらせられるはずもない。
それでも彼女は叫ぶことを止めず、さらに声を張り上げ続ける。
しかし、そんな思いとは裏腹に二人の戦いは激しさを増していくのであった。
キーーーン!キーーーン!
ガキーーーン!ガキーーーン!
激しさを増し続ける剣戟音とその中で虚しく響く叫び声。
心の奥底で思っているだけでは何も変えられない。
そんな想いを抱えながら勇気を出して踏み出した一歩。
でも…いくら叫べども争いは止まらない。
行動を起こすには遅すぎたのか。
もっと早く何かをするべきだったのか。
いろいろな考えが頭の中を巡り、その葛藤と自分の無力さを前にショックを受け肩を落とすユニ。
そんな心に傷を負った状態の彼女にクロノが現実を突きつける。
「自分が止めろと言えば戦いが終わるとでも思ったか?」
「クロノ!!」
「お前は黙ってろ。自分の生まれの良さを理解もせず、ぬくぬくと温室の中で育てれられたコイツにはまず現実を知る必要があんだよ」
「で…でも・・・」
「・・・・・」
あまりの言葉の強さにユニの身を心配するスズネであったが、クロノはあえて厳しい言葉を続ける。
「戦争が始まるまで何もしてこなかったんだろ?その上、“戦う”ということの意味すらも理解してないようなお前の言葉が命を懸けて戦ってる奴等に届くわけねーだろ。もし、本気で止めてーと思うなら、こんな遠くからじゃなくお前も命を懸けろ」
「ウッ…ウゥゥゥゥッ ───────── 」
クロノの言葉によって自分の覚悟の無さを自覚させられ、あまりの不甲斐無さに涙するユニ。
「ユニさん、大丈夫ですか?」
そして、その様子を目にしたスズネが膝から崩れ落ちたユニを気遣いそばに駆け寄り肩を抱く。
しかし、悔しさのあまり涙に暮れる女性を前にしても魔王様の口撃は止まらない。
「何を泣いてんだ?そんなことをしている暇があんのかよ。お前はここに何をしに来たんだ?」
「グスッ…申し訳…ありません。下へ、二人の元へ行きます」
クロノによって半ば強制的に促され、ユニは観客席から二人が戦う決戦の場へ足を運ぶことを決める。
その状況に対して複雑な思いをしながらも、ただただ気丈に振る舞おうとするユニに寄り添うスズネなのであった。
─────────────────────────
ギィーーーーーン!!
ガキーーーーーン!!
「オルラァァァァァ」
「ウオォォォォォ」
数百メートル先で戦う二人の男。
触れただけで今にも切り裂かれそうな張り詰めた空気を周囲に撒き散らしながら互いの信念の下に剣を振るう。
ブルブルブルッ ──────── 。
そんな二人の剣気と殺気、そしてこの場を包み込む強烈な覇気に触れて身体の震えが止まらなくなる。
あれが本気の戦いにその身を投じた時のゼリックなのか。
初めて見る最愛の人の姿にどこか孤独感のようなものを覚える。
「おい、ボーっとすんな!ここまで来りゃ~さすがに聞こえんだろ」
「えっ!?」
「止めんだろ?戦争」
「あっ…はい!!」
今、この戦争の中心にいる両国を代表する戦士と騎士。
そんな彼らの戦いを止めることさえ出来れば。いや…国ためとはいえ武力による暴走を続ける獣王ゼリックを止めることが出来れば戦争は終わる。
そう信じて彼女は再び声を上げる。
「戦いを止めてください!!」
─────────────────────────
ユニが再び叫び始めてから五分ほどが経っただろうか。
長引く戦いにさすがの二人も疲労が溜まってきたのか、小休止とでもいうように動きが止まる。
そして、ここまで散々相手にもされてこなかった彼女の想いが両者の耳に届く。
「戦いを止めてください!!」
「さっきからうるせぇーぞ」
初めて返ってきた言葉。
それを耳にしたユニは叫ぶことを止め、毅然とした態度で真っ直ぐ二人に向けて視線を送る。
「邪魔だから怪我しねーうちにさっさと失せろユニ。ここはお前みたいな甘ちゃんが来るような場所じゃねーんだよ」
「お嬢さん、申し訳ありませんが獣王の言う通りです。この場は危険ですので早いうちにここから立ち去りなさい」
「いえ!私は逃げません!この無意味な戦争を止めさせるまでは、決してここから動きません!!」
力強く言い放った決意の言葉。
もう迷いは無い。
最後までやり遂げてみせる。
そう強く思い発した言葉であったのだが、この言葉にゼリックが強烈に反発する。
「あぁ?無意味…だと?ユニ、お前殺されたいのか?」
初めてゼリックから向けられた本気の殺意。
足がすくみ、身体が震え、今にも逃げ出してしまいそうになる。
当然、誰にだって戦う理由はある。
それが戦場であろうと、職場であろうと、家庭であろうと、それぞれの戦いがあり、その根底に信念がある。
それをあえて“無意味”と言ったのだ。
怒りを向けさせるために。
自分の存在を見てもらうために。
《怖い…。あんな表情の兄様、見たことない。怖い…。怖い…。恐怖に飲み込まれてしまいそう ──────── 》
震える手を力一杯押さえつけ、弱みを見せないように気丈に振る舞うユニ。
そんな彼女の肩にそっと優しく手が乗せられる。
「自分の信念を疑うな。誰かに支配されてしまうような程度のものならさっさと捨てちまえ。だが、どんな強者を前にしてもそれを貫き通すというのなら、今だけはこの魔王クロノが手を貸してやろう」
「えっ!?」
「アハハハハ。ユニさん、私にも協力させてください。絶対に戦争を止めましょう!」
「はい!宜しくお願いします!!」
ユニの身体から恐怖心が消え去る。
震えは止まり、目に力が宿る。
「戦争を終わらせましょう!これ以上の戦いは両国にとって損害でしかありません」
強い力を宿した言葉がゼリックとアーサーに向けられる。
しかし、その一連の流れは獣王の機嫌を大きく損ねることとなった。
「おい!どこの誰だか知らねぇーけどよ、そいつに変な入れ知恵するんじゃねーよ。こっちは国の威信をかけて戦っ ──────── 」
「知らねーよ。獣どもが何をしようが、ヒト族どもがどうなろうが、俺の知ったことではない」
「はぁ~?それじゃ、テメェーは何しに来たんだよ。お守りでついて来たのか?」
「囀るな。俺様はこの俺に無断で“王”だの“最強”だのと勝手にほざいている愚か者どもに制裁を与えるために来ただけだ」
「ナメた口ききやがって・・・」
「いや?獣を相手にするなら躾になるのか?」
ブチッ ──────── 。
「死罪だ。お前もアーサー共々八つ裂きにしてやるよ」
「面倒だから二人まとめてかかって来い。“本物の王”というものを教えてやる」
クロノの挑発にブチ切れたゼリック。
その姿を前にしてもまだまだ余裕の表情を崩さない魔王様。
こうして、クロノ・ゼリック・アーサーによる三つ巴の戦いがいよいよ幕を明ける。
ガキーーーーーン!!
ザッザッザッザッ ──────── 。
「ハァ…ハァ…もう少しです」
ドーーーーーン!!
ドーーーーーン!!
「なんかとんでもない音がしてるけど、大丈夫なのかな」
目的地である闘技場が近づくにつれ、甲高い剣戟音と何かが崩れ落ちるような音がより大きくなっていく。
その耳を覆いたくなるような爆音によって、内在する恐怖心を強く煽られながらも走る速度を落とすわけにはいかない。
そうして全速力で走り続けたスズネたちは、とうとうゼリックとアーサーが戦いを続ける闘技場へと辿り着いたのであった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
闘技場に到着したスズネたちが観客席から目の当たりにしたのは、彼女たちの想像を遥かに超えた激闘であった。
斬撃が飛び交い、血と土埃に塗れた二人の男の姿がそこにあった。
「そこまでです!戦いを止めてください!!」
ギィーーーーーン!!
「ガッハッハッ。聖騎士ってのはもっとお高くとまってんのかと思ってたけどよ~。そんな顔もできんじゃねーか!!」
「まったく・・・戦いの最中だというのに本当にうるさい口だ。まずはそのよく回る舌を斬り落としてやろう」
キーン!キーン!キーン!キーン!
「戦いを止めてください!!」
ガキーーーーーン!!
「オルラァァァァァ」
ドーーーーーン!!
ユニの決死の叫びも激しい戦闘音にかき消されて二人の耳には届かない。
いや…実際には届いているのかもしれないが、ゼリックもアーサーも戦いの手を緩める気配はない。
まぁ~当然といえば当然である。
国を…国民を巻き込んでまで起きた戦争。
両軍入り乱れての大規模な戦い、そんな両軍を率いる大将同士による死闘を“止めろ”の一言で終わらせられるはずもない。
それでも彼女は叫ぶことを止めず、さらに声を張り上げ続ける。
しかし、そんな思いとは裏腹に二人の戦いは激しさを増していくのであった。
キーーーン!キーーーン!
ガキーーーン!ガキーーーン!
激しさを増し続ける剣戟音とその中で虚しく響く叫び声。
心の奥底で思っているだけでは何も変えられない。
そんな想いを抱えながら勇気を出して踏み出した一歩。
でも…いくら叫べども争いは止まらない。
行動を起こすには遅すぎたのか。
もっと早く何かをするべきだったのか。
いろいろな考えが頭の中を巡り、その葛藤と自分の無力さを前にショックを受け肩を落とすユニ。
そんな心に傷を負った状態の彼女にクロノが現実を突きつける。
「自分が止めろと言えば戦いが終わるとでも思ったか?」
「クロノ!!」
「お前は黙ってろ。自分の生まれの良さを理解もせず、ぬくぬくと温室の中で育てれられたコイツにはまず現実を知る必要があんだよ」
「で…でも・・・」
「・・・・・」
あまりの言葉の強さにユニの身を心配するスズネであったが、クロノはあえて厳しい言葉を続ける。
「戦争が始まるまで何もしてこなかったんだろ?その上、“戦う”ということの意味すらも理解してないようなお前の言葉が命を懸けて戦ってる奴等に届くわけねーだろ。もし、本気で止めてーと思うなら、こんな遠くからじゃなくお前も命を懸けろ」
「ウッ…ウゥゥゥゥッ ───────── 」
クロノの言葉によって自分の覚悟の無さを自覚させられ、あまりの不甲斐無さに涙するユニ。
「ユニさん、大丈夫ですか?」
そして、その様子を目にしたスズネが膝から崩れ落ちたユニを気遣いそばに駆け寄り肩を抱く。
しかし、悔しさのあまり涙に暮れる女性を前にしても魔王様の口撃は止まらない。
「何を泣いてんだ?そんなことをしている暇があんのかよ。お前はここに何をしに来たんだ?」
「グスッ…申し訳…ありません。下へ、二人の元へ行きます」
クロノによって半ば強制的に促され、ユニは観客席から二人が戦う決戦の場へ足を運ぶことを決める。
その状況に対して複雑な思いをしながらも、ただただ気丈に振る舞おうとするユニに寄り添うスズネなのであった。
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ギィーーーーーン!!
ガキーーーーーン!!
「オルラァァァァァ」
「ウオォォォォォ」
数百メートル先で戦う二人の男。
触れただけで今にも切り裂かれそうな張り詰めた空気を周囲に撒き散らしながら互いの信念の下に剣を振るう。
ブルブルブルッ ──────── 。
そんな二人の剣気と殺気、そしてこの場を包み込む強烈な覇気に触れて身体の震えが止まらなくなる。
あれが本気の戦いにその身を投じた時のゼリックなのか。
初めて見る最愛の人の姿にどこか孤独感のようなものを覚える。
「おい、ボーっとすんな!ここまで来りゃ~さすがに聞こえんだろ」
「えっ!?」
「止めんだろ?戦争」
「あっ…はい!!」
今、この戦争の中心にいる両国を代表する戦士と騎士。
そんな彼らの戦いを止めることさえ出来れば。いや…国ためとはいえ武力による暴走を続ける獣王ゼリックを止めることが出来れば戦争は終わる。
そう信じて彼女は再び声を上げる。
「戦いを止めてください!!」
─────────────────────────
ユニが再び叫び始めてから五分ほどが経っただろうか。
長引く戦いにさすがの二人も疲労が溜まってきたのか、小休止とでもいうように動きが止まる。
そして、ここまで散々相手にもされてこなかった彼女の想いが両者の耳に届く。
「戦いを止めてください!!」
「さっきからうるせぇーぞ」
初めて返ってきた言葉。
それを耳にしたユニは叫ぶことを止め、毅然とした態度で真っ直ぐ二人に向けて視線を送る。
「邪魔だから怪我しねーうちにさっさと失せろユニ。ここはお前みたいな甘ちゃんが来るような場所じゃねーんだよ」
「お嬢さん、申し訳ありませんが獣王の言う通りです。この場は危険ですので早いうちにここから立ち去りなさい」
「いえ!私は逃げません!この無意味な戦争を止めさせるまでは、決してここから動きません!!」
力強く言い放った決意の言葉。
もう迷いは無い。
最後までやり遂げてみせる。
そう強く思い発した言葉であったのだが、この言葉にゼリックが強烈に反発する。
「あぁ?無意味…だと?ユニ、お前殺されたいのか?」
初めてゼリックから向けられた本気の殺意。
足がすくみ、身体が震え、今にも逃げ出してしまいそうになる。
当然、誰にだって戦う理由はある。
それが戦場であろうと、職場であろうと、家庭であろうと、それぞれの戦いがあり、その根底に信念がある。
それをあえて“無意味”と言ったのだ。
怒りを向けさせるために。
自分の存在を見てもらうために。
《怖い…。あんな表情の兄様、見たことない。怖い…。怖い…。恐怖に飲み込まれてしまいそう ──────── 》
震える手を力一杯押さえつけ、弱みを見せないように気丈に振る舞うユニ。
そんな彼女の肩にそっと優しく手が乗せられる。
「自分の信念を疑うな。誰かに支配されてしまうような程度のものならさっさと捨てちまえ。だが、どんな強者を前にしてもそれを貫き通すというのなら、今だけはこの魔王クロノが手を貸してやろう」
「えっ!?」
「アハハハハ。ユニさん、私にも協力させてください。絶対に戦争を止めましょう!」
「はい!宜しくお願いします!!」
ユニの身体から恐怖心が消え去る。
震えは止まり、目に力が宿る。
「戦争を終わらせましょう!これ以上の戦いは両国にとって損害でしかありません」
強い力を宿した言葉がゼリックとアーサーに向けられる。
しかし、その一連の流れは獣王の機嫌を大きく損ねることとなった。
「おい!どこの誰だか知らねぇーけどよ、そいつに変な入れ知恵するんじゃねーよ。こっちは国の威信をかけて戦っ ──────── 」
「知らねーよ。獣どもが何をしようが、ヒト族どもがどうなろうが、俺の知ったことではない」
「はぁ~?それじゃ、テメェーは何しに来たんだよ。お守りでついて来たのか?」
「囀るな。俺様はこの俺に無断で“王”だの“最強”だのと勝手にほざいている愚か者どもに制裁を与えるために来ただけだ」
「ナメた口ききやがって・・・」
「いや?獣を相手にするなら躾になるのか?」
ブチッ ──────── 。
「死罪だ。お前もアーサー共々八つ裂きにしてやるよ」
「面倒だから二人まとめてかかって来い。“本物の王”というものを教えてやる」
クロノの挑発にブチ切れたゼリック。
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