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力試し
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「それじゃ、行こっか」
「ようやくね!ホントただ待ち続けるっていうのは性に合わないわ」
「まぁ~五日も経てばさすがに落ち着いてると思うっすよ」
単眼巨人の一件を耳にしたスズネたちは、その騒ぎの大きさから数日の間冒険者ギルドへ行くことを控えていた。
それは現場の混乱や詳細の不透明さなど、あまりにも情報が少な過ぎるため自分たちが何かを決断するには早過ぎると判断したからである。
そうして数日が経ち、そろそろ混乱も落ち着いたタイミングではないかということで、改めて冒険者ギルドを訪れることにしたのだった。
ガヤガヤガヤガヤ ──────── 。
「はい。確かにクエストの完了を確認致しました。こちらが今回の報酬となります」
「おー、ありがとさん」
ガヤガヤガヤガヤ ──────── 。
「それで、お前んとこは今回の件どうすんだよ」
「うちか?今回はパスだ。行ったところで何か出来るわけじゃないしな」
「ハハハハハ。俺のところもだ。報酬はデカいが、いかんせんリスクが高過ぎる。命あっての物種だ。死んじまったら意味ねーからな」
ガヤガヤガヤガヤ ──────── 。
いつもの日常。
いつもの冒険者ギルド。
数日前とは異なり、冒険者たちもギルド職員たちもいつもと変わらぬ様子をみせている。
その光景を目にしてホッとひと安心したスズネたちは、さっそく受付のマリの元へと足を進める。
「マリさーん」
「あら、久しぶりね」
「前回来た時に凄い騒ぎだったんで、騒動が落ち着くまでは活動を控えていたんです」
「そうだったのね。それは賢明な判断だわ。ギルドもパッと見では落ち着いたように見えるかもしれないけど、一昨日まではバッタバタだったんだから。それで昨日の午後辺りからようやく通常業務を開始させられたくらいなのよ」
「「「「「「 え~~~~~!? 」」」」」」
マリの話を聞き、事の大きさを実感するスズネたち。
そして、ここ数日の間で集められた情報を元に改めて今回の単眼巨人の件について詳細を聞くのであった。
=========================
冒険者ギルドが調査した結果は以下の通りである。
モアの街の南東に位置しているモンナケルタという山に単眼巨人が数十体規模と思われる群れを成して棲みついていることを確認。
そして、単眼巨人たちは山中にある巨大な洞窟を根城としており、中に群れをまとめている個体の存在が確認されている。
しかし、それが特殊個体単眼巨人の王なのかどうかは定かではなく、引き続き調査中。
現状、単眼巨人たちに何か特別な動きというものは確認されておらず、クエストランクはBと認定。
しかし、万が一にも群れをまとめる個体が単眼巨人の王であると断定された場合には、早急にクエストランクをAに変更するものとする。
=========================
「まぁ~ざっと説明するとこんな感じね」
「通常単独で行動することが多い単眼巨人による数十体規模の群れですか・・・。これは僕たちには ────── 」
「最っっっっっ高ね!!!」
マクスウェルが何かを言いかけたタイミングでミリアが大きな声を上げる。
その表情はひときわ輝いており、喜びとワクワクに包まれていた。
「ミリア、なんだか嬉しそうだね」
「そりゃそうよ!だってBランクのクエストなんでしょ。それならアタシたちも受けられるってことじゃない!騒ぎの大きさからしてAランクになるんじゃないかって心配してたのよね」
「しかし ───── 」
「うるさい!マクスウェル、アンタまさかビビってんの?これだから半人前の聖騎士見習いは・・・」
マクスウェルの制止を振り切って、嫌味たっぷりの笑みを浮かべつつ左右に首を振るミリア。
「僕は決してビビってなどいません」
「それなら止める必要ないわよね」
「僕はただ冷静に状況を見極めるべきだと言っているんです」
互いに相手がああ言えばこう言うといったやり取りを続ける二人であったのだが、他の者たちはいつものことだと言わんばかりに気にも留めない様子。
しかし、互いに譲らずヒートアップし続ける二人を前にリーダーが仲裁に入る。
パンッ!! ──────── 。
!?!?
手を叩く大きな音を耳にして両者の口論が止まる。
そして、二人が振り向いた先にはいつもの穏やかな笑顔があった。
「それじゃ、今回のクエストを受けるかどうか、みんなで話し合おっか」
スズネの言葉に顔を赤らめて恥ずかしそうな素振りをみせるミリアとマクスウェル。
あくまでもどうするのかはパーティ全員で決める。
そんな当たり前のことを忘れて熱くなっていたことを反省し、バツが悪そうに他のメンバーたちに頭を下げる。
そうして改めて全員で話し合いをした結果、スズネたちは今回のクエストに参加することを決めたのであった。
「マリさん、このクエストでお願いします」
「参加するのね」
「はい。実際にどこまでやれるのかは分からないけど、単眼巨人と戦ったこともないので、力試しとしてチャレンジすることに決めました」
「そう、分かったわ。ただ無理だけはしちゃダメよ。危ないと思ったら逃げることも必要だからね」
「もちろんです」
「今回はかなり珍しいケースでもあるから、参加パーティの制限も設けられていないの。今現在でもすでに数十のパーティが参加しているから気負い過ぎずに行ってらっしゃい」
「はい!ありがとうございます」
「まぁ~欲を言えば単眼巨人の王とも戦ってみたいわね」
「またそんなことを言って。欲張り過ぎですよミリア」
「別にいいじゃない。言うのはタダなんだしさ」
「ウチはとりあえず普通の単眼巨人で十分っす」
「わ…私もまずは単眼巨人とどこまで戦えるのかを確かめたいです」
「わっちは魔法の試し撃ちが出来ればそれでいいのじゃ」
「・・・・・」
こうして単眼巨人の討伐クエストを受けることにしたスズネたち。
新たな強敵を前にそれぞれが目的をもって戦いに挑む。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
ザッザッザッ ──────── 。
「ワレラガオウヨ。ヒトゾクドモガ、ブキヲモッテコチラニムカッテキテイル」
「グハハハハ。チビどもがわざわざ殺されにくるとはな。皆殺しだ!俺たちの縄張りに足を踏み入れた者は容赦無く殺せ!!」
「「「「「 グオォォォォォ ────────── 」」」」」
「ようやくね!ホントただ待ち続けるっていうのは性に合わないわ」
「まぁ~五日も経てばさすがに落ち着いてると思うっすよ」
単眼巨人の一件を耳にしたスズネたちは、その騒ぎの大きさから数日の間冒険者ギルドへ行くことを控えていた。
それは現場の混乱や詳細の不透明さなど、あまりにも情報が少な過ぎるため自分たちが何かを決断するには早過ぎると判断したからである。
そうして数日が経ち、そろそろ混乱も落ち着いたタイミングではないかということで、改めて冒険者ギルドを訪れることにしたのだった。
ガヤガヤガヤガヤ ──────── 。
「はい。確かにクエストの完了を確認致しました。こちらが今回の報酬となります」
「おー、ありがとさん」
ガヤガヤガヤガヤ ──────── 。
「それで、お前んとこは今回の件どうすんだよ」
「うちか?今回はパスだ。行ったところで何か出来るわけじゃないしな」
「ハハハハハ。俺のところもだ。報酬はデカいが、いかんせんリスクが高過ぎる。命あっての物種だ。死んじまったら意味ねーからな」
ガヤガヤガヤガヤ ──────── 。
いつもの日常。
いつもの冒険者ギルド。
数日前とは異なり、冒険者たちもギルド職員たちもいつもと変わらぬ様子をみせている。
その光景を目にしてホッとひと安心したスズネたちは、さっそく受付のマリの元へと足を進める。
「マリさーん」
「あら、久しぶりね」
「前回来た時に凄い騒ぎだったんで、騒動が落ち着くまでは活動を控えていたんです」
「そうだったのね。それは賢明な判断だわ。ギルドもパッと見では落ち着いたように見えるかもしれないけど、一昨日まではバッタバタだったんだから。それで昨日の午後辺りからようやく通常業務を開始させられたくらいなのよ」
「「「「「「 え~~~~~!? 」」」」」」
マリの話を聞き、事の大きさを実感するスズネたち。
そして、ここ数日の間で集められた情報を元に改めて今回の単眼巨人の件について詳細を聞くのであった。
=========================
冒険者ギルドが調査した結果は以下の通りである。
モアの街の南東に位置しているモンナケルタという山に単眼巨人が数十体規模と思われる群れを成して棲みついていることを確認。
そして、単眼巨人たちは山中にある巨大な洞窟を根城としており、中に群れをまとめている個体の存在が確認されている。
しかし、それが特殊個体単眼巨人の王なのかどうかは定かではなく、引き続き調査中。
現状、単眼巨人たちに何か特別な動きというものは確認されておらず、クエストランクはBと認定。
しかし、万が一にも群れをまとめる個体が単眼巨人の王であると断定された場合には、早急にクエストランクをAに変更するものとする。
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「まぁ~ざっと説明するとこんな感じね」
「通常単独で行動することが多い単眼巨人による数十体規模の群れですか・・・。これは僕たちには ────── 」
「最っっっっっ高ね!!!」
マクスウェルが何かを言いかけたタイミングでミリアが大きな声を上げる。
その表情はひときわ輝いており、喜びとワクワクに包まれていた。
「ミリア、なんだか嬉しそうだね」
「そりゃそうよ!だってBランクのクエストなんでしょ。それならアタシたちも受けられるってことじゃない!騒ぎの大きさからしてAランクになるんじゃないかって心配してたのよね」
「しかし ───── 」
「うるさい!マクスウェル、アンタまさかビビってんの?これだから半人前の聖騎士見習いは・・・」
マクスウェルの制止を振り切って、嫌味たっぷりの笑みを浮かべつつ左右に首を振るミリア。
「僕は決してビビってなどいません」
「それなら止める必要ないわよね」
「僕はただ冷静に状況を見極めるべきだと言っているんです」
互いに相手がああ言えばこう言うといったやり取りを続ける二人であったのだが、他の者たちはいつものことだと言わんばかりに気にも留めない様子。
しかし、互いに譲らずヒートアップし続ける二人を前にリーダーが仲裁に入る。
パンッ!! ──────── 。
!?!?
手を叩く大きな音を耳にして両者の口論が止まる。
そして、二人が振り向いた先にはいつもの穏やかな笑顔があった。
「それじゃ、今回のクエストを受けるかどうか、みんなで話し合おっか」
スズネの言葉に顔を赤らめて恥ずかしそうな素振りをみせるミリアとマクスウェル。
あくまでもどうするのかはパーティ全員で決める。
そんな当たり前のことを忘れて熱くなっていたことを反省し、バツが悪そうに他のメンバーたちに頭を下げる。
そうして改めて全員で話し合いをした結果、スズネたちは今回のクエストに参加することを決めたのであった。
「マリさん、このクエストでお願いします」
「参加するのね」
「はい。実際にどこまでやれるのかは分からないけど、単眼巨人と戦ったこともないので、力試しとしてチャレンジすることに決めました」
「そう、分かったわ。ただ無理だけはしちゃダメよ。危ないと思ったら逃げることも必要だからね」
「もちろんです」
「今回はかなり珍しいケースでもあるから、参加パーティの制限も設けられていないの。今現在でもすでに数十のパーティが参加しているから気負い過ぎずに行ってらっしゃい」
「はい!ありがとうございます」
「まぁ~欲を言えば単眼巨人の王とも戦ってみたいわね」
「またそんなことを言って。欲張り過ぎですよミリア」
「別にいいじゃない。言うのはタダなんだしさ」
「ウチはとりあえず普通の単眼巨人で十分っす」
「わ…私もまずは単眼巨人とどこまで戦えるのかを確かめたいです」
「わっちは魔法の試し撃ちが出来ればそれでいいのじゃ」
「・・・・・」
こうして単眼巨人の討伐クエストを受けることにしたスズネたち。
新たな強敵を前にそれぞれが目的をもって戦いに挑む。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
ザッザッザッ ──────── 。
「ワレラガオウヨ。ヒトゾクドモガ、ブキヲモッテコチラニムカッテキテイル」
「グハハハハ。チビどもがわざわざ殺されにくるとはな。皆殺しだ!俺たちの縄張りに足を踏み入れた者は容赦無く殺せ!!」
「「「「「 グオォォォォォ ────────── 」」」」」
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