魔王召喚 〜 召喚されし歴代最強 〜

四乃森 コオ

文字の大きさ
178 / 208

目に映る脅威

しおりを挟む
単眼巨人サイクロプスの討伐クエストに挑むことを決めた宿り木。
初めて戦う魔獣、久しぶりの大きなクエスト、それらの要因が彼女たちの気持ちを昂らせていた。


「あ~早く戦いたいわ~単眼巨人サイクロプス

「ダメっすよ。ただでさえウチらにとっては強敵なんすからね。まずは何よりも情報っす。調子に乗って戦えるほど甘い相手ではないんすから」

「わ…分かってるわよ」

「全く分かってないですね。今のままではいつものように敵陣に一人で突っ込んでいくに決まってます」

「うるさいわね!なによマクスウェル、文句でもあんの!!」

「文句の一つも言いたくなりますよ。戦いが始まるといつも誰かさんが単独で突っ込んでいくので、そのフォローをさせられている僕の身にもなってほしいものです」

「ま…まぁまぁ二人とも落ち着いて。マクスウェルも悪戯に挑発してはいけませんよ」

「はい…。すみません」

「まったく、いつまで経っても子供なんじゃから。さっさと情報を集めんか」

「あはははは。ラーニャちゃんの言う通りだね。二人とも口じゃなくて手と頭を動かしてね」

「「はーい」」


逸る気持ちを抑え?ながら冒険者ギルドで今回の標的である単眼巨人サイクロプスについての情報を集めるスズネたち。
標的の特徴や習性、弱点や戦い方に至るまで、今現在判明していることを徹底的に調べ尽くしていく。
そして、それらの調査と並行して実際の戦闘を想定した訓練も欠かすことなく行っていた。

スズネたちがそんな日々を二週間ほど過ごしていたある日 ──────── 。

バタンッ!!


「救急だ!すまないが誰か治癒魔法を使える者はいないか!仲間が重症なんだ!!」


突然入口の扉が力強く開けられる。
そして、一人の男が冒険者ギルドに飛び込んでくると同時にギルド内に大きな声が響き渡る。


「頼む!金なら後で必ず払う。誰でもいい。仲間を助けてくれ!!」


必死に頭を下げ続ける男の顔は悲壮感に覆われており、目には薄っすらと涙を浮かべている。
そして、男の後を追うようにして仲間と思われる二人の男がギルドに入ってきたのだが、その内の一人の背中には額や脇腹などから出血して気を失っている男が背負われていた。
見るからに深傷をを負っており、助かる見込みは少ないように思えるほどの重症であった。

どうやら最初に飛び込んできた男がこのパーティのリーダーらしく、クエスト挑戦中に仲間が負傷してしまい、命からがら逃げ帰ってきたようだ。
すると、大声を上げて慌てふためいていた男たちの混乱に気付いた一人の老人が傷を負った男の元へと駆け寄る。


「おい、傷を見せてみろ」


老人の言葉を聞き、男たちは急いでその場に負傷した仲間を下ろし、老人はすぐさま負傷者の衣服を破いて状態の確認を始めた。


「治るのか?治るよな?なんでもいいから早く治癒魔法をかけてくれ」

「少し黙ってろ。今観ているところだ。冷静さを欠いては救えるものも救えなくなってしまうぞ」

「す…すまない。動揺しちまって・・・」


リーダーの男は仲間の命が懸かっているということもあり、焦りを感情に乗せて治癒師の老人にぶつけたのだが、老人はそれを制止し、冷静に状態を見極めようとしていた。



─────────────────────────


「フゥーーー。これで一先ず命の心配はなくなった。しかし、これはあくまでも応急処置にすぎん。この後すぐにちゃんとした治療院に連れて行ってやれ」

「ありがとう。ありがとう。本当にありがとう」


老人の手によって仲間の危機を救うことができた安堵から、リーダーの男は涙ながらに何度も何度も頭を下げたのだった。


「凄い手際だったっすね」

「ホントにね。あの傷の深さじゃ、さすがにもう無理だと思ったわ」

「わ…私も驚きました。治癒魔法だけではなく、その前の薬草による処置も完璧でした。森で生きるエルフ族の中にもあそこまで出来る者は少ないですよ」

「あっという間だったね。今の私じゃ、あそこまでの治療は出来ないよ」


目の前で行われた神業のような的確な治療を見たスズネたちが驚きを隠せずにいると、ちょうど彼女たちに頼まれていた資料を届けにマリがやってきた。


「みんなお待たせ。資料持ってきたわよ」

「マリさん、さっき治療していたあの方って誰なんですか?」

「あ~さっきのモズロイさんね。冒険者歴四十年を超えるベテラン冒険者よ。主に薬草の採取と研究をしているBランクの冒険者で、さらに凄腕の治癒師でもあるのよ。それに危険地帯へ薬草採取に行くこともあるから実力も相当なはず。噂ではAランクの実力を有しているけど、薬草の研究には必要ないからってランクアップをしていないって話よ」

「よ…四十年・・・」

「大先輩っすね」

「それよりもマリさん、さっき負傷していた人たちってやっぱり・・・」

「ええ、単眼巨人サイクロプスの討伐に向かっていたパーティね。この二週間で三十八組目よ」


スズネたちが単眼巨人サイクロプスの討伐に向けて情報を集めていた中、ほぼ毎日のように冒険者の負傷及び死亡報告がギルドへと上がっていた。
今回のクエストにおける報酬の高さに惹かれて挑戦する者、興味本位で挑戦する者など、スズネたちに先んじて単眼巨人サイクロプスの根城があるとされているモンナケルタへと向かった冒険者パーティがことごとく返り討ちにされていたのだった。
そして、日々その実情を目の当たりにしていたスズネたちは準備を進めながらも一抹の不安を抱えていた。



◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ 


「ヨッシャー!!ようやく単眼巨人サイクロプスと戦えるのね。腕が鳴るわ~」

「くれぐれも勝手に単独特攻しないようにお願いしますね」

「分かってるわよ。しつこい男ね」

「なんかいつも通りで安心するっす」

「え…援護は任せてください。魔眼の力も強くなり攻撃出来る範囲も広くなったので、わ…私も頑張ります」

「頼りにしてるわよセスリー。後ろは任せたわ」

「わっちは単眼巨人の王サイクロプスキングに新たな魔法をぶち込んでやるのじゃ」

「それはダメよ!単眼巨人の王サイクロプスキングはアタシが細切れにしてやるんだから」

「わっちじゃ!!」

「アタシよ!!」

「あはははは。みんな準備万端だね。それじゃ単眼巨人サイクロプス討伐クエストへ、しゅっぱーーーつ!!」


スズネの号令とともにホームを出発した宿り木。
目的地はもちろん単眼巨人サイクロプスが群れを成して棲まう山 ───── モンナケルタ。
入念な下準備をしてきた彼女たちではあったが、初めて訪れる場所、初めて戦う魔獣、そして近年報告されていなかった異常事態。
同ランクの先輩冒険者たちが次々と返り討ちにされている中、自分たちにどのような戦いが待ち受けているのか。
そんなドキドキとワクワクを心の内に同居させながら、スズネたちはモンナケルタへと歩を進めるのであった。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜

サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。 父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。 そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。 彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。 その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。 「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」 そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。 これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

我らダンジョン攻略部〜もしも現実世界にダンジョンができて、先行者利益を得られたら〜

一日千秋
ファンタジー
昨今、話題の現実にダンジョンができる系の作品です。 高校生達のダンジョン攻略と日常の学校生活、ビジネス活動を書いていきます。 舞台は2025年、 高校2年生の主人公の千夏将人(チナツマサト)は 異世界漫画研究部の部長をしています。 同じ部活の友人たちとある日突然できたダンジョンに できてすぐ侵入します。 オタクは知っている、ダンジョンには先行者利益があることを。 そして、得たスキルでこつこつダンジョンを攻略していき、日本で影響力をつけていった先に待ち受ける困難とは!? ダンジョンの設定はステータス、レベル、スキルあり、ダンジョン内のモンスターの死体はしっかり消えます。 一話につき1000〜2500文字くらいの読みやすい量になっているので初心者には読みやすい仕様になっております。 キャラクターはところどころ新キャラが出てきますがメインストーリーは主に3人なので複雑になりすぎないように心がけています。 「いいね」頂けるととても嬉しいです! 「お気に入り」登録も最高に嬉しいです! よろしくお願いします! ※契約書、経済システムの書式、掲示板テンプレはAI生成を活用して制作しております。修正、加筆は行っております。ご了承下さい。

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...