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目に映る脅威
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単眼巨人の討伐クエストに挑むことを決めた宿り木。
初めて戦う魔獣、久しぶりの大きなクエスト、それらの要因が彼女たちの気持ちを昂らせていた。
「あ~早く戦いたいわ~単眼巨人」
「ダメっすよ。ただでさえウチらにとっては強敵なんすからね。まずは何よりも情報っす。調子に乗って戦えるほど甘い相手ではないんすから」
「わ…分かってるわよ」
「全く分かってないですね。今のままではいつものように敵陣に一人で突っ込んでいくに決まってます」
「うるさいわね!なによマクスウェル、文句でもあんの!!」
「文句の一つも言いたくなりますよ。戦いが始まるといつも誰かさんが単独で突っ込んでいくので、そのフォローをさせられている僕の身にもなってほしいものです」
「ま…まぁまぁ二人とも落ち着いて。マクスウェルも悪戯に挑発してはいけませんよ」
「はい…。すみません」
「まったく、いつまで経っても子供なんじゃから。さっさと情報を集めんか」
「あはははは。ラーニャちゃんの言う通りだね。二人とも口じゃなくて手と頭を動かしてね」
「「はーい」」
逸る気持ちを抑え?ながら冒険者ギルドで今回の標的である単眼巨人についての情報を集めるスズネたち。
標的の特徴や習性、弱点や戦い方に至るまで、今現在判明していることを徹底的に調べ尽くしていく。
そして、それらの調査と並行して実際の戦闘を想定した訓練も欠かすことなく行っていた。
スズネたちがそんな日々を二週間ほど過ごしていたある日 ──────── 。
バタンッ!!
「救急だ!すまないが誰か治癒魔法を使える者はいないか!仲間が重症なんだ!!」
突然入口の扉が力強く開けられる。
そして、一人の男が冒険者ギルドに飛び込んでくると同時にギルド内に大きな声が響き渡る。
「頼む!金なら後で必ず払う。誰でもいい。仲間を助けてくれ!!」
必死に頭を下げ続ける男の顔は悲壮感に覆われており、目には薄っすらと涙を浮かべている。
そして、男の後を追うようにして仲間と思われる二人の男がギルドに入ってきたのだが、その内の一人の背中には額や脇腹などから出血して気を失っている男が背負われていた。
見るからに深傷をを負っており、助かる見込みは少ないように思えるほどの重症であった。
どうやら最初に飛び込んできた男がこのパーティのリーダーらしく、クエスト挑戦中に仲間が負傷してしまい、命からがら逃げ帰ってきたようだ。
すると、大声を上げて慌てふためいていた男たちの混乱に気付いた一人の老人が傷を負った男の元へと駆け寄る。
「おい、傷を見せてみろ」
老人の言葉を聞き、男たちは急いでその場に負傷した仲間を下ろし、老人はすぐさま負傷者の衣服を破いて状態の確認を始めた。
「治るのか?治るよな?なんでもいいから早く治癒魔法をかけてくれ」
「少し黙ってろ。今観ているところだ。冷静さを欠いては救えるものも救えなくなってしまうぞ」
「す…すまない。動揺しちまって・・・」
リーダーの男は仲間の命が懸かっているということもあり、焦りを感情に乗せて治癒師の老人にぶつけたのだが、老人はそれを制止し、冷静に状態を見極めようとしていた。
─────────────────────────
「フゥーーー。これで一先ず命の心配はなくなった。しかし、これはあくまでも応急処置にすぎん。この後すぐにちゃんとした治療院に連れて行ってやれ」
「ありがとう。ありがとう。本当にありがとう」
老人の手によって仲間の危機を救うことができた安堵から、リーダーの男は涙ながらに何度も何度も頭を下げたのだった。
「凄い手際だったっすね」
「ホントにね。あの傷の深さじゃ、さすがにもう無理だと思ったわ」
「わ…私も驚きました。治癒魔法だけではなく、その前の薬草による処置も完璧でした。森で生きるエルフ族の中にもあそこまで出来る者は少ないですよ」
「あっという間だったね。今の私じゃ、あそこまでの治療は出来ないよ」
目の前で行われた神業のような的確な治療を見たスズネたちが驚きを隠せずにいると、ちょうど彼女たちに頼まれていた資料を届けにマリがやってきた。
「みんなお待たせ。資料持ってきたわよ」
「マリさん、さっき治療していたあの方って誰なんですか?」
「あ~さっきのモズロイさんね。冒険者歴四十年を超えるベテラン冒険者よ。主に薬草の採取と研究をしているBランクの冒険者で、さらに凄腕の治癒師でもあるのよ。それに危険地帯へ薬草採取に行くこともあるから実力も相当なはず。噂ではAランクの実力を有しているけど、薬草の研究には必要ないからってランクアップをしていないって話よ」
「よ…四十年・・・」
「大先輩っすね」
「それよりもマリさん、さっき負傷していた人たちってやっぱり・・・」
「ええ、単眼巨人の討伐に向かっていたパーティね。この二週間で三十八組目よ」
スズネたちが単眼巨人の討伐に向けて情報を集めていた中、ほぼ毎日のように冒険者の負傷及び死亡報告がギルドへと上がっていた。
今回のクエストにおける報酬の高さに惹かれて挑戦する者、興味本位で挑戦する者など、スズネたちに先んじて単眼巨人の根城があるとされているモンナケルタへと向かった冒険者パーティがことごとく返り討ちにされていたのだった。
そして、日々その実情を目の当たりにしていたスズネたちは準備を進めながらも一抹の不安を抱えていた。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「ヨッシャー!!ようやく単眼巨人と戦えるのね。腕が鳴るわ~」
「くれぐれも勝手に単独特攻しないようにお願いしますね」
「分かってるわよ。しつこい男ね」
「なんかいつも通りで安心するっす」
「え…援護は任せてください。魔眼の力も強くなり攻撃出来る範囲も広くなったので、わ…私も頑張ります」
「頼りにしてるわよセスリー。後ろは任せたわ」
「わっちは単眼巨人の王に新たな魔法をぶち込んでやるのじゃ」
「それはダメよ!単眼巨人の王はアタシが細切れにしてやるんだから」
「わっちじゃ!!」
「アタシよ!!」
「あはははは。みんな準備万端だね。それじゃ単眼巨人討伐クエストへ、しゅっぱーーーつ!!」
スズネの号令とともにホームを出発した宿り木。
目的地はもちろん単眼巨人が群れを成して棲まう山 ───── モンナケルタ。
入念な下準備をしてきた彼女たちではあったが、初めて訪れる場所、初めて戦う魔獣、そして近年報告されていなかった異常事態。
同ランクの先輩冒険者たちが次々と返り討ちにされている中、自分たちにどのような戦いが待ち受けているのか。
そんなドキドキとワクワクを心の内に同居させながら、スズネたちはモンナケルタへと歩を進めるのであった。
初めて戦う魔獣、久しぶりの大きなクエスト、それらの要因が彼女たちの気持ちを昂らせていた。
「あ~早く戦いたいわ~単眼巨人」
「ダメっすよ。ただでさえウチらにとっては強敵なんすからね。まずは何よりも情報っす。調子に乗って戦えるほど甘い相手ではないんすから」
「わ…分かってるわよ」
「全く分かってないですね。今のままではいつものように敵陣に一人で突っ込んでいくに決まってます」
「うるさいわね!なによマクスウェル、文句でもあんの!!」
「文句の一つも言いたくなりますよ。戦いが始まるといつも誰かさんが単独で突っ込んでいくので、そのフォローをさせられている僕の身にもなってほしいものです」
「ま…まぁまぁ二人とも落ち着いて。マクスウェルも悪戯に挑発してはいけませんよ」
「はい…。すみません」
「まったく、いつまで経っても子供なんじゃから。さっさと情報を集めんか」
「あはははは。ラーニャちゃんの言う通りだね。二人とも口じゃなくて手と頭を動かしてね」
「「はーい」」
逸る気持ちを抑え?ながら冒険者ギルドで今回の標的である単眼巨人についての情報を集めるスズネたち。
標的の特徴や習性、弱点や戦い方に至るまで、今現在判明していることを徹底的に調べ尽くしていく。
そして、それらの調査と並行して実際の戦闘を想定した訓練も欠かすことなく行っていた。
スズネたちがそんな日々を二週間ほど過ごしていたある日 ──────── 。
バタンッ!!
「救急だ!すまないが誰か治癒魔法を使える者はいないか!仲間が重症なんだ!!」
突然入口の扉が力強く開けられる。
そして、一人の男が冒険者ギルドに飛び込んでくると同時にギルド内に大きな声が響き渡る。
「頼む!金なら後で必ず払う。誰でもいい。仲間を助けてくれ!!」
必死に頭を下げ続ける男の顔は悲壮感に覆われており、目には薄っすらと涙を浮かべている。
そして、男の後を追うようにして仲間と思われる二人の男がギルドに入ってきたのだが、その内の一人の背中には額や脇腹などから出血して気を失っている男が背負われていた。
見るからに深傷をを負っており、助かる見込みは少ないように思えるほどの重症であった。
どうやら最初に飛び込んできた男がこのパーティのリーダーらしく、クエスト挑戦中に仲間が負傷してしまい、命からがら逃げ帰ってきたようだ。
すると、大声を上げて慌てふためいていた男たちの混乱に気付いた一人の老人が傷を負った男の元へと駆け寄る。
「おい、傷を見せてみろ」
老人の言葉を聞き、男たちは急いでその場に負傷した仲間を下ろし、老人はすぐさま負傷者の衣服を破いて状態の確認を始めた。
「治るのか?治るよな?なんでもいいから早く治癒魔法をかけてくれ」
「少し黙ってろ。今観ているところだ。冷静さを欠いては救えるものも救えなくなってしまうぞ」
「す…すまない。動揺しちまって・・・」
リーダーの男は仲間の命が懸かっているということもあり、焦りを感情に乗せて治癒師の老人にぶつけたのだが、老人はそれを制止し、冷静に状態を見極めようとしていた。
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「フゥーーー。これで一先ず命の心配はなくなった。しかし、これはあくまでも応急処置にすぎん。この後すぐにちゃんとした治療院に連れて行ってやれ」
「ありがとう。ありがとう。本当にありがとう」
老人の手によって仲間の危機を救うことができた安堵から、リーダーの男は涙ながらに何度も何度も頭を下げたのだった。
「凄い手際だったっすね」
「ホントにね。あの傷の深さじゃ、さすがにもう無理だと思ったわ」
「わ…私も驚きました。治癒魔法だけではなく、その前の薬草による処置も完璧でした。森で生きるエルフ族の中にもあそこまで出来る者は少ないですよ」
「あっという間だったね。今の私じゃ、あそこまでの治療は出来ないよ」
目の前で行われた神業のような的確な治療を見たスズネたちが驚きを隠せずにいると、ちょうど彼女たちに頼まれていた資料を届けにマリがやってきた。
「みんなお待たせ。資料持ってきたわよ」
「マリさん、さっき治療していたあの方って誰なんですか?」
「あ~さっきのモズロイさんね。冒険者歴四十年を超えるベテラン冒険者よ。主に薬草の採取と研究をしているBランクの冒険者で、さらに凄腕の治癒師でもあるのよ。それに危険地帯へ薬草採取に行くこともあるから実力も相当なはず。噂ではAランクの実力を有しているけど、薬草の研究には必要ないからってランクアップをしていないって話よ」
「よ…四十年・・・」
「大先輩っすね」
「それよりもマリさん、さっき負傷していた人たちってやっぱり・・・」
「ええ、単眼巨人の討伐に向かっていたパーティね。この二週間で三十八組目よ」
スズネたちが単眼巨人の討伐に向けて情報を集めていた中、ほぼ毎日のように冒険者の負傷及び死亡報告がギルドへと上がっていた。
今回のクエストにおける報酬の高さに惹かれて挑戦する者、興味本位で挑戦する者など、スズネたちに先んじて単眼巨人の根城があるとされているモンナケルタへと向かった冒険者パーティがことごとく返り討ちにされていたのだった。
そして、日々その実情を目の当たりにしていたスズネたちは準備を進めながらも一抹の不安を抱えていた。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「ヨッシャー!!ようやく単眼巨人と戦えるのね。腕が鳴るわ~」
「くれぐれも勝手に単独特攻しないようにお願いしますね」
「分かってるわよ。しつこい男ね」
「なんかいつも通りで安心するっす」
「え…援護は任せてください。魔眼の力も強くなり攻撃出来る範囲も広くなったので、わ…私も頑張ります」
「頼りにしてるわよセスリー。後ろは任せたわ」
「わっちは単眼巨人の王に新たな魔法をぶち込んでやるのじゃ」
「それはダメよ!単眼巨人の王はアタシが細切れにしてやるんだから」
「わっちじゃ!!」
「アタシよ!!」
「あはははは。みんな準備万端だね。それじゃ単眼巨人討伐クエストへ、しゅっぱーーーつ!!」
スズネの号令とともにホームを出発した宿り木。
目的地はもちろん単眼巨人が群れを成して棲まう山 ───── モンナケルタ。
入念な下準備をしてきた彼女たちではあったが、初めて訪れる場所、初めて戦う魔獣、そして近年報告されていなかった異常事態。
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