1 / 3
1話
しおりを挟む
「アルマーニ・カレン、君との婚約を破棄させてもらう。そして、アルマーニ・ハルカを婚約者とすることをここに誓う」
殿下の宣言に、耳を疑った。
私との婚約を破棄して、妹のハルカを婚約者に選ぶ!?
そんなの納得いきません。でも…やっぱりそうだったのですね。
私と殿下は同じ学園に通っていた。
そして、数時間前に卒業式を終え、今はその歓迎会としてのパーティーに参加している。
せっかくの卒業パーティーは、嫌な記憶として一生脳裏に焼きつきそうだ。
夜空には無数の星々がパーティーを祝うように、煌びやかに彩っているのに対し、現状として、アウス殿下に婚約破棄を宣言されてしまった。
内心、立ち直れないくらいにショックを受けていますが、大事なパーティーですので、涙を流すのは城に帰ってからにします。
「アウス殿下……それは一体、何故でしょう? 私のことを愛しているとあんなにも……」
なんて訊いてはいるけれど、薄々気づいていたことではありました。
殿下は最近、考えなくとも分かるくらいに素っ気なかったので……。
「本当に申し訳ないと思っている。だが、僕はハルカに心を奪われてしまったのだ。これはもしかするといけないことなのかもしれないと理解はしていたが、どうしても気持ちが収まらないんだ。だから、すまない。僕は、君との婚約を解消して、ハルカを婚約者とすることにしたのだ」
殿下は、妹のハルカの元へと近づき、手を握る。
それを見ると同時に、何だかすごく、胸が熱くなるのを感じた。
「ごめんなさい……お姉様。ですが、私も殿下のことを愛してしまいました。もう引き返すことなどできません」
心なしか妹の表情は、勝ち誇っているように見えた。
優越感に浸っているのだろうか。
普段はいい子なのだけれど、私に対する嫉妬心が強いハルカのこと。
その態度にも、納得がいってしまうのが少し悲しいです。
「そうですか。それでしたらもう、私は何も言いません。ただ、互いに両親を説得する手段はありますの?」
すると、二人は顔を見合わせて顔色を赤く染める。
なんだか、嫌な予感がします。
「まさかとは思いますが、その……純潔を捧げたりなんてしてないわよね、ハルカ……?」
「そ、その……一応まあ……そういったことは」
煮え切らない様子から察してしまいました。
「そ、そんな! アウス殿下何をお考えなのですか!」
「な、なんだそんなに焦って!」
そう、二人はとんでもないことをやらかしてしまったということに……。
国の掟に触れてしまったのです。
殿下の宣言に、耳を疑った。
私との婚約を破棄して、妹のハルカを婚約者に選ぶ!?
そんなの納得いきません。でも…やっぱりそうだったのですね。
私と殿下は同じ学園に通っていた。
そして、数時間前に卒業式を終え、今はその歓迎会としてのパーティーに参加している。
せっかくの卒業パーティーは、嫌な記憶として一生脳裏に焼きつきそうだ。
夜空には無数の星々がパーティーを祝うように、煌びやかに彩っているのに対し、現状として、アウス殿下に婚約破棄を宣言されてしまった。
内心、立ち直れないくらいにショックを受けていますが、大事なパーティーですので、涙を流すのは城に帰ってからにします。
「アウス殿下……それは一体、何故でしょう? 私のことを愛しているとあんなにも……」
なんて訊いてはいるけれど、薄々気づいていたことではありました。
殿下は最近、考えなくとも分かるくらいに素っ気なかったので……。
「本当に申し訳ないと思っている。だが、僕はハルカに心を奪われてしまったのだ。これはもしかするといけないことなのかもしれないと理解はしていたが、どうしても気持ちが収まらないんだ。だから、すまない。僕は、君との婚約を解消して、ハルカを婚約者とすることにしたのだ」
殿下は、妹のハルカの元へと近づき、手を握る。
それを見ると同時に、何だかすごく、胸が熱くなるのを感じた。
「ごめんなさい……お姉様。ですが、私も殿下のことを愛してしまいました。もう引き返すことなどできません」
心なしか妹の表情は、勝ち誇っているように見えた。
優越感に浸っているのだろうか。
普段はいい子なのだけれど、私に対する嫉妬心が強いハルカのこと。
その態度にも、納得がいってしまうのが少し悲しいです。
「そうですか。それでしたらもう、私は何も言いません。ただ、互いに両親を説得する手段はありますの?」
すると、二人は顔を見合わせて顔色を赤く染める。
なんだか、嫌な予感がします。
「まさかとは思いますが、その……純潔を捧げたりなんてしてないわよね、ハルカ……?」
「そ、その……一応まあ……そういったことは」
煮え切らない様子から察してしまいました。
「そ、そんな! アウス殿下何をお考えなのですか!」
「な、なんだそんなに焦って!」
そう、二人はとんでもないことをやらかしてしまったということに……。
国の掟に触れてしまったのです。
807
あなたにおすすめの小説
【短編】婚約破棄した元婚約者の恋人が招いていないのにダンスパーティーに来ました。
五月ふう
恋愛
王子レンはアイナの婚約者であった。しかし、レンはヒロインのナミと出会いアイナを冷遇するようになった。なんとかレンを自分に引き留めようと奮闘するも、うまく行かない。ついに婚約破棄となってしまう。
【短編】可愛い妹の子が欲しいと婚約破棄されました。失敗品の私はどうなっても構わないのですか?
五月ふう
恋愛
「お姉様。やっぱりシトラ様は、お姉様ではなく私の子供が産みたいって!」
エレリアの5歳下の妹ビアナ・シューベルはエレリアの婚約者であるシトラ・ガイゼルの腕を組んでそう言った。
父親にとって失敗作の娘であるエレリアと、宝物であるビアナ。妹はいつもエレリアから大切なものを奪うのだ。
ねぇ、そんなの許せないよ?
【完結】女王と婚約破棄して義妹を選んだ公爵には、痛い目を見てもらいます。女王の私は田舎でのんびりするので、よろしくお願いしますね。
五月ふう
恋愛
「シアラ。お前とは婚約破棄させてもらう。」
オークリィ公爵がシアラ女王に婚約破棄を要求したのは、結婚式の一週間前のことだった。
シアラからオークリィを奪ったのは、妹のボニー。彼女はシアラが苦しんでいる姿を見て、楽しそうに笑う。
ここは南の小国ルカドル国。シアラは御年25歳。
彼女には前世の記憶があった。
(どうなってるのよ?!)
ルカドル国は現在、崩壊の危機にある。女王にも関わらず、彼女に使える使用人は二人だけ。賃金が払えないからと、他のものは皆解雇されていた。
(貧乏女王に転生するなんて、、、。)
婚約破棄された女王シアラは、頭を抱えた。前世で散々な目にあった彼女は、今回こそは幸せになりたいと強く望んでいる。
(ひどすぎるよ、、、神様。金髪碧眼の、誰からも愛されるお姫様に転生させてって言ったじゃないですか、、、。)
幸せになれなかった前世の分を取り返すため、女王シアラは全力でのんびりしようと心に決めた。
最低な元婚約者も、継妹も知ったこっちゃない。
(もう婚約破棄なんてされずに、幸せに過ごすんだーー。)
【完結】返してください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ずっと我慢をしてきた。
私が愛されていない事は感じていた。
だけど、信じたくなかった。
いつかは私を見てくれると思っていた。
妹は私から全てを奪って行った。
なにもかも、、、、信じていたあの人まで、、、
母から信じられない事実を告げられ、遂に私は家から追い出された。
もういい。
もう諦めた。
貴方達は私の家族じゃない。
私が相応しくないとしても、大事な物を取り返したい。
だから、、、、
私に全てを、、、
返してください。
【短編】側室は婚約破棄の末、国外追放されることになりました。
五月ふう
恋愛
「私ね、サイラス王子の
婚約者になるの!
王妃様になってこの国を守るの!」
「それなら、俺は騎士になるよ!
そんで、ラーニャ守る!」
幼馴染のアイザイアは言った。
「そしたら、
二人で国を守れるね!」
10年前のあの日、
私はアイザイアと約束をした。
その時はまだ、
王子の婚約者になった私が
苦難にまみれた人生をたどるなんて
想像すらしていなかった。
「サイラス王子!!
ラーニャを隣国フロイドの王子に
人質というのは本当か?!」
「ああ、本当だよ。
アイザイア。
私はラーニャとの婚約を破棄する。
代わりにラーニャは
フロイド国王子リンドルに
人質にだす。」
【完結】婚約破棄した元婚約者の愛人に訴えられました。元婚約者には私以外に愛する人がいたようです。
五月ふう
恋愛
「愛人のことを本気で好きになってしまったんだ。すまないが婚約破棄してくれないか?」
婚約者ロペスは私に言いました。
「そんな、、、。婚約破棄だなんて、、、。私は貴方を愛しているのに。」
ロペスはもう、私のことを見ていませんでした。彼が少しずつ私に興味を失っているのは感じていました。
「ごめんな。」
その謝罪がなんの意味も持たないことを私は知っていました。
「わかりま、、、した、、、。」
ロペスとの関係が終わってしまったことは、私にとって人生で一番と言ってもいいほど悲しいことでした。
だから私は、この婚約破棄が不幸の始まりであることをまだ知らなかったのです。
妾を正妃にするから婚約破棄してくれないかと言われました。
五月ふう
恋愛
妾を正妃にしたいから、婚約破棄してくれないか?王は、身を粉にして王のために働いていたウィリにそう言った。ウィリには、もう帰る場所がないのに。
浪費癖の激しい女は嫌いだと私を捨てた婚約者は、義妹を選びましたが…今では後悔してます。
coco
恋愛
浪費癖を指摘され、婚約者から別れを告げられた私。
そんな彼は、私の義妹を新たな婚約者に迎えるが…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる