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Final Chapter
リベリオン&レヴナント・ジョーカー
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よろず屋アウルガに潜入すると、ゲイブンの看病をしていたパーシーバーがオレ達の様子を見て絶句する。
お喋りのパーシーバーがしばらく絶句していたので、ロウは不安そうに、
「おい、『シャドウ』……大丈夫なのか?」
『……テオは、ボロボロよ。服もだけれど、仮面は付けていないし、あちこち酷い怪我をしているわ……』
そんな事に、今は構っていられないのだ。
オレ達はよろず屋アウルガの地下にこっそりと作った地下牢に向かう。
「『リベリオン&レヴナント・ジョーカー』を出してくれ」
「……分かった。アレが必要になったんだな」
『……テオ、気を付けてね。分かっているでしょうけれど、アレは……』
「分かっているさ」
『火力重視でオユアーヴに作らせたは良いが……反動が強すぎてオレ達でさえ長くは扱えない」
地下牢の前の階段の中から掘り起こしたのは、その暴れ馬、二丁拳銃『リベリオン&レヴナント・ジョーカー』の入った木箱だった。
――軽く整備して使える段階にしてからよろず屋アウルガに戻ってきたオレ達は、ゲイブンが裸足で突っ立っていたので驚いた。
腹を壊して寝込んでいるんじゃなかったのか?
「時が、来た」
ゲイブンの声だが、違う誰かの声だ。
明らかにオレ達精霊獣を視認しているらしく、パーシーバーと視線を合わせて、微笑んだ。
「おや……其方は、エージェント・Rが選んだ魂か」
『どうして……どうしてゲイブン、このパーシーバーちゃんが分かるの!?どうしてエージェント・Rを知っているの!?』
「わたくしがかの世界にエージェントを派遣したからだ」
そう言うなり、ゲイブンは微笑んだまま裸足で歩き出す。
「歩きながら、話そう」
「さて、何から話したものか……」
――オレ達は気付いた。裸足で歩いているのに、ゲイブンの足音が全くしない事に。
消失した地獄横町に向かいながら、ゲイブン――だと思っていた誰かは話す。
ロウは杖をつきながら、今はオレ達と手を繋いでいた。
「わたくしはこの少年に落人として宿った神、アド・マベ・ルフェーである」
『……最高神が、どうしてゲイブンの中に……?』
オレは訊ねる。
するとゲイブンの声なのに、全くゲイブンらしくない話し方で、
「かつて世界を救おうとしたがために神々の禁忌に触れてしまった、その贖いのためである」
「……世界を救おうとする事が禁忌だなんて、神様と言うのも中々窮屈なんだな」
相変わらずの皮肉を言うロウ。
すかさずに、その肩に乗っているパーシーバーがロウの頬をつねった。
『こら、ロウ!最高神様に向かってそんな口を聞いたら駄目よ!めっ!』
「構わない。わたくしは、結局、この世界で一人だけ救えなかったのだ」
ゲイブンは炭化した瓦礫の中を、するすると進んでいく。
『一人だけ救えなかったって……誰をですか……?』
パーシーバーが訊ねると、
「爆心地にいたエルフの娘だ。アルアと言う名であった」
「『始まりのエルフ』か」とテオが呟いた。
「救えなかったばかりに、『終わりのエルフ』にしてしまったのだ。エルフはあの時以来、子を作る事が出来ぬようになってしまった……」
ロウは何処か不機嫌そうだった。どうしたんだ?
「……いつからゲイブンの中に神様が入っていたんだ?」
「わたくし達、落人は、その時代で最も無垢な者に入る事になっている。この少年は、村が滅びてもなお無垢であったが故に、わたくしを魂の影に秘めたのだ」
ロウが苛立たしそうに呟く、
「神様だったらトロレト村だって救ってやれば良かったんだ!」
だから不機嫌だったのか……。
『ロウ!』
パーシーバーが慌てるのが分かる。けれどアド・マベ・ルフェーは怒りも悲しみもせず、
「許せとは言わない。だが、落人は還る時が来たるまでは禁忌に触れぬために、人の閾値以下の存在でしかあり得ないのだ。わたくし達がこの世界への干渉を許しているのは、落人が月へ還るその夜だけなのである」
お喋りのパーシーバーがしばらく絶句していたので、ロウは不安そうに、
「おい、『シャドウ』……大丈夫なのか?」
『……テオは、ボロボロよ。服もだけれど、仮面は付けていないし、あちこち酷い怪我をしているわ……』
そんな事に、今は構っていられないのだ。
オレ達はよろず屋アウルガの地下にこっそりと作った地下牢に向かう。
「『リベリオン&レヴナント・ジョーカー』を出してくれ」
「……分かった。アレが必要になったんだな」
『……テオ、気を付けてね。分かっているでしょうけれど、アレは……』
「分かっているさ」
『火力重視でオユアーヴに作らせたは良いが……反動が強すぎてオレ達でさえ長くは扱えない」
地下牢の前の階段の中から掘り起こしたのは、その暴れ馬、二丁拳銃『リベリオン&レヴナント・ジョーカー』の入った木箱だった。
――軽く整備して使える段階にしてからよろず屋アウルガに戻ってきたオレ達は、ゲイブンが裸足で突っ立っていたので驚いた。
腹を壊して寝込んでいるんじゃなかったのか?
「時が、来た」
ゲイブンの声だが、違う誰かの声だ。
明らかにオレ達精霊獣を視認しているらしく、パーシーバーと視線を合わせて、微笑んだ。
「おや……其方は、エージェント・Rが選んだ魂か」
『どうして……どうしてゲイブン、このパーシーバーちゃんが分かるの!?どうしてエージェント・Rを知っているの!?』
「わたくしがかの世界にエージェントを派遣したからだ」
そう言うなり、ゲイブンは微笑んだまま裸足で歩き出す。
「歩きながら、話そう」
「さて、何から話したものか……」
――オレ達は気付いた。裸足で歩いているのに、ゲイブンの足音が全くしない事に。
消失した地獄横町に向かいながら、ゲイブン――だと思っていた誰かは話す。
ロウは杖をつきながら、今はオレ達と手を繋いでいた。
「わたくしはこの少年に落人として宿った神、アド・マベ・ルフェーである」
『……最高神が、どうしてゲイブンの中に……?』
オレは訊ねる。
するとゲイブンの声なのに、全くゲイブンらしくない話し方で、
「かつて世界を救おうとしたがために神々の禁忌に触れてしまった、その贖いのためである」
「……世界を救おうとする事が禁忌だなんて、神様と言うのも中々窮屈なんだな」
相変わらずの皮肉を言うロウ。
すかさずに、その肩に乗っているパーシーバーがロウの頬をつねった。
『こら、ロウ!最高神様に向かってそんな口を聞いたら駄目よ!めっ!』
「構わない。わたくしは、結局、この世界で一人だけ救えなかったのだ」
ゲイブンは炭化した瓦礫の中を、するすると進んでいく。
『一人だけ救えなかったって……誰をですか……?』
パーシーバーが訊ねると、
「爆心地にいたエルフの娘だ。アルアと言う名であった」
「『始まりのエルフ』か」とテオが呟いた。
「救えなかったばかりに、『終わりのエルフ』にしてしまったのだ。エルフはあの時以来、子を作る事が出来ぬようになってしまった……」
ロウは何処か不機嫌そうだった。どうしたんだ?
「……いつからゲイブンの中に神様が入っていたんだ?」
「わたくし達、落人は、その時代で最も無垢な者に入る事になっている。この少年は、村が滅びてもなお無垢であったが故に、わたくしを魂の影に秘めたのだ」
ロウが苛立たしそうに呟く、
「神様だったらトロレト村だって救ってやれば良かったんだ!」
だから不機嫌だったのか……。
『ロウ!』
パーシーバーが慌てるのが分かる。けれどアド・マベ・ルフェーは怒りも悲しみもせず、
「許せとは言わない。だが、落人は還る時が来たるまでは禁忌に触れぬために、人の閾値以下の存在でしかあり得ないのだ。わたくし達がこの世界への干渉を許しているのは、落人が月へ還るその夜だけなのである」
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