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First Chapter
呪いには笑いを
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ユルルアちゃんの顔の異変に気付いたのは、オレ達が『黒葉宮』で暮らし始めた直後だった。
「今日はいつにも増して綺麗だ」
黒い痣も少し薄くなって、何処となく顔の造形も整ってきたような気がする。
「きっと毎日楽しくて幸せで笑っているからでしょう」
そう答えてユルルアちゃんは軽やかに笑った。
「それなら良かった」
その時はそれで終わったのだが、オユアーヴが来て、クノハルが来た頃には本当に元通りの美貌に戻っていたのだ。
「どうして!?」と本人が鏡を見て一番驚いていた。「まさか『乱詛帝』の呪いでは無かったとでも……いえ、あれは確かに……」
「ある精霊獣の語ったと言う伝承にこのような記述があります。『我々の世界には道化師がいた。その者は家臣の誰よりも王座の近くに侍る事を許されたが、代わりに王を襲う様々な呪いや不運の身代わりとなり、「笑い」で打ち消す事が務めだった』……と」
語ってから、クノハルは信じられないような目つきをして言う。
「確かに……ユルルア姫は常に微笑んであらせられます」
「ええ、テオ様の御側にいられて私は天下一幸せで楽しいのですもの」
テオがもの凄く複雑そうな顔をしやがった。
勿論、ユルルアちゃんから呪いが消えた事は何よりも喜ばしいのだが、
「またアルドリックに奪われないか心配になってきた……」
「ひっ!嫌っ!気持ち悪いっ!想像するのも悍ましい!」
血相を変えてユルルアちゃんは顔を包帯でぐるぐる巻きにし始めた。
それでも不安は止まらなかったらしく、オユアーヴに大至急、仮面を作って欲しいと頼み込んでいた。
……その仮面の下に厳重に包帯を巻いた上で、いつも俯いてオレ達の車椅子を黙って押し、すれ違った人への挨拶さえしないようになってしまったが、
「他人なんて構いませんわ。私はテオ様の御側にいられて本当に幸せ」
暗くて狭くて陰気で湿気っている『黒葉宮』で、いつもユルルアちゃんは楽しそうに笑っている。
「今日はいつにも増して綺麗だ」
黒い痣も少し薄くなって、何処となく顔の造形も整ってきたような気がする。
「きっと毎日楽しくて幸せで笑っているからでしょう」
そう答えてユルルアちゃんは軽やかに笑った。
「それなら良かった」
その時はそれで終わったのだが、オユアーヴが来て、クノハルが来た頃には本当に元通りの美貌に戻っていたのだ。
「どうして!?」と本人が鏡を見て一番驚いていた。「まさか『乱詛帝』の呪いでは無かったとでも……いえ、あれは確かに……」
「ある精霊獣の語ったと言う伝承にこのような記述があります。『我々の世界には道化師がいた。その者は家臣の誰よりも王座の近くに侍る事を許されたが、代わりに王を襲う様々な呪いや不運の身代わりとなり、「笑い」で打ち消す事が務めだった』……と」
語ってから、クノハルは信じられないような目つきをして言う。
「確かに……ユルルア姫は常に微笑んであらせられます」
「ええ、テオ様の御側にいられて私は天下一幸せで楽しいのですもの」
テオがもの凄く複雑そうな顔をしやがった。
勿論、ユルルアちゃんから呪いが消えた事は何よりも喜ばしいのだが、
「またアルドリックに奪われないか心配になってきた……」
「ひっ!嫌っ!気持ち悪いっ!想像するのも悍ましい!」
血相を変えてユルルアちゃんは顔を包帯でぐるぐる巻きにし始めた。
それでも不安は止まらなかったらしく、オユアーヴに大至急、仮面を作って欲しいと頼み込んでいた。
……その仮面の下に厳重に包帯を巻いた上で、いつも俯いてオレ達の車椅子を黙って押し、すれ違った人への挨拶さえしないようになってしまったが、
「他人なんて構いませんわ。私はテオ様の御側にいられて本当に幸せ」
暗くて狭くて陰気で湿気っている『黒葉宮』で、いつもユルルアちゃんは楽しそうに笑っている。
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