死神さん、こっちです!

ボブえもん工房

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第2章 愛しいあなたへのラブレター

幸せな最期

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ドアを担いでいる少女が、私の手紙を持って外に出てから1日。
私は太一君の反応がどうだったかを早く聞きたくてそわそわしながら、病室の中をウロウロしていた。
すると、
「そんなにそわそわしたって、私が帰ってくる速度は変わらないんだよ。」
あの声だ。
冷たくもどこか温かみを感じるあの声。
「死神さん!」
少女は窓際に座って、私を見つめた。
「ちゃんと届けてきた。」
真っ直ぐに見つめられそう言われた時、何故か太一君を思い出した。
太一君も私の目を真っ直ぐに見て話してくれる、嘘をつかない人だ。
彼女もきっと嘘をついていない。
「ありがとう、本当にありがとう。」
少女は窓際から降りて、死んだ私が横たわっているベッドへと腰を下ろした。
「そ、それで・・・?太一君の反応は・・・?」
私はベッドへ座った少女の目の前まで行き、目線の高さに合わせてしゃがみ込んだ。
すると目の前に1枚のぐしゃぐしゃになった手紙を出してきた。
「あんたの彼氏が書いた手紙。手紙を届けた後反応を見てたらこれを書いてた。でも、自己満足ってことに気づいてゴミ箱にすぐ捨ててた。で、それを拾ってきたわけ。」
私は目の前に突き出された手紙を恐る恐る手に取って、中身を開き手紙を読んだ。
すると、私の目からはポロポロと大粒の涙が。
太一君も同じ事を思っていた。
私を愛してくれていた。
忘れないでいてくれる。
嬉しいけど悲しいその手紙にどう感情を表せば良いか、覚えていてくれることは嬉しいが、それでは太一君の幸せはどうなるのか。
そんな事が頭の中を巡り、自分の感情がぐちゃぐちゃになっていくのだけが分かる。
「泣くのもいいけど、手紙はしっかり届けたんだ。約束は守ってもらうよ。」
少女のあの声が私へと向けられた。
「えぇ、約束は守るわ。本当にありがとう。」
「・・・・・・、本当に指輪を渡さなくても良かったの?」
「いいのよ、太一君は忘れないって言ってくれているけど、いずれは忘れるし、それが太一君にとっては幸せなのよ。」
「ふーん・・・。」
「太一君が他の幸せを手に入れることが、私にとっての幸せよ。」
私は泣きながらも、笑顔を少女へと向けた。
これは本心だから。
少女は背中に担いでいるドアを床へ静かに置き扉を開け、私も立ち上がりそのドアの前へと立った。
「本当にありがとう。太一君のこと知られてよかったわ。あなたいい子ね。」
「早く階段登って欲しかっただけ。」
「そう、でも私を助けてくれたのは事実よ。ありがとう。」
私は何度も少女にお礼を言い、階段を1段1段と踏みしめながら登っていく。
この世界ともさよなら。
最期は太一君の本当の気持ちを知れて良かったと思うし、素敵な死神さんにも出会えた。
私は幸せだったよ、太一君。
だから、あなたにもこれからはもっと幸せになって欲しい。
私に幸せな時間をくれたあなたには、たくさんの幸せが待ってるはず。
これからが楽しみね。
「行ってらっしゃい。」
少女の声が後ろから聞こえた。
私は振り向かずに「行ってきます。」と言い、また階段を登る。
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