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天使の恋

恋する瞳

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彼は素敵な人だ。
働き者だし皆に優しい、それに…、かっこいい…!
そんな彼から視線を逸らす事が出来ないボクは、仕事を終わらせたばかりの天使だ。
「いらっしゃい、今日はどうしたのかな?」
今日も彼は誰かの笑顔のために働いている。
患者さんに薬と安心を与えている。
優しい笑顔に触れる事ができる患者さんに羨ましいとさえ思ってしまう。
今まで感じた事の無い気持ち。
恋しいと思う気持ち。
ボクは名前も知らない彼の美しい瞳と、いつか視線を合わせる事が出来ればと夢を見ている。


夕方、彼が小さい病院を閉めるまで、ボクは飽きもせず見守り続けていた。
いつも来るのは同じ患者さん。
もっと新しい人が来れば、彼はお金を手に入れて幸せになれるだろうか。
ボクは名前も知らない彼の幸せを願うばかりで、どこかにいる誰かの幸せを願えなくなっていた。
そのくらい彼に夢中なのだ。
「もしも彼の視線と出会う事ができるのなら…。」
ボクはため息の混じった声で、ありもしない妄想を小さく呟いていた。
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