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005 市場調査再び
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今の俺が仕入れる事が出来て、この世界で必要とされる物。出来れば生活必需品が望ましい。さて、この世界の生活必需品ってなんだろう?今更ながらに自分のリサーチ不足を痛感する。
本当なら、この世界に協力者が居れば助かるのだが、現状頼れる人物は居ない。婆ちゃんは何故か、こっちの世界にあまり来たがらないし。
やはり、俺一人で市場調査をするしかない様だ。こうなったら、こっちの世界で1晩過ごしてみるか?
この世界の文明レベルや、生活習慣は実際に体験してみないと解らない。1晩で全部理解出来るとは思わないが、体験してみれば判る事も多いだろう。
と言う事で安い宿屋を探す事にした。思えば、1晩幾らで宿に泊まれるかと言うのも金銭感覚を掴むのには重要だと思える。
日本なら安い旅館等でも素泊まりで8千円位取られる。2食付きなら軽く1万円は超えるだろう。
まあ、日本の旅館は観光用だが、ビジネスホテルを例に考えてもあまり値段の差は無いだろう。こちらの宿屋が冒険者をメインターゲットにしているとなると、その辺の事情も変わって来るかもしれない。
だいたい、冒険者の平均年収ってどの位なのかも知らないので、宿屋の料金からその辺を推測するしか無い。
この世界の一般的な職業が農業だとすると、冒険者はサラリーマンに相当するのだろうか?ならば、冒険者の平均年収が解れば、だいたいこの世界の平均的な生活水準が解って来る。
まあ、身分制度のある世界なので、貴族や逆に貧民も多く居る様だが、平均値が解らない事には商売は難しい。
婆ちゃんは一般人が使うのは金貨までだと言って居た。金貨1枚は10万円相当になる。この世界の10万円がどの位の価値なのかは実際に使ってみないと解らないが、平均年収が割り出せれば、かなり近い数値で10万円の価値が解って来ると期待している。
出来るならば、冒険者と一緒に魔物退治を経験してみたいが、まず現代日本人の俺が冒険に出たら死ぬ確率は高いだろう。そう言えば、鑑定と結界のスキルはまだ検証すらしていない。
婆ちゃんは俺に与えた能力は全てスキルだと言って居た。魔法では無いのだから、使用制限が無いと言う事なのだろうか?
魔法と言えば、魔法屋で有効そうな魔法の価格を調べておく必要がある。折角魔法のある世界に来たんだから、1つ位は魔法を使ってみたい。
市場調査をしながら宿屋の情報屋魔法屋の情報も集める。どうやら冒険者は定宿を持っている者が多いらしい。1泊素泊まりで大銅貨3枚と言うのが標準らしい。日本円にすると3千円だ。
月にすると9万円になるが、何時他の町に移動するか解らない冒険者にとっては、家を借りるより宿屋に泊まる方が色々と都合が良いらしい。
ちなみに、家族が居てこの町を拠点にしている冒険者は家を借りている。家族4人が住む家は月に銀貨7枚前後だそうだ。日本円で7万前後なら、そう高くは無いだろう。1人で宿屋暮らしをするよりも安いしね。
冒険者は最低ランクがGで、ボリュームゾーンはDランクだ。Gランクは見習い扱いで、通常はすぐにFランクに上がる。EとFは初心者ランクと呼ばれて、Dランクに上がって初めて一人前の冒険者と言われるらしい。
Dランクからは魔物の討伐依頼も増える為、怪我人や時には死人が出る事がある。その為、Cランクが冒険者の1つの壁になる。また、Dランクになると冒険者として食べて行けるだけの稼ぎがあるので、わざわざCランクに上がらない者も居る。
と言う訳でDランクがボリュームゾーンとなる訳だ。ちなみに、Dランクの平均的な稼ぎが、月に金貨4枚程度らしい。
確かに月に40万も稼ぐのであれば、月に9万円の宿代も払えるだろう。だが、平均的な農家は月に金貨2枚も稼げれば良いらしい。命を懸けて40万と安全に20万。どちらが割に良いのか判断に困る所だ。
まあ、そう言う訳で冒険者は稼ぐが、その分金を使う。その為、商売人は冒険者相手に商売をする事が多い。最初に来た時に食べた串肉なんかも、冒険者向けの屋台だったらしい。道理でボリュームがあった訳だ。
人口の5分の1が冒険者と言う事は5分の4は冒険者以外と言う事になる、それなのに商売人は冒険者を相手にする。これはそれだけ冒険者の消費が多いと言う事になる。つまり、この町の経済は冒険者によって支えられていると言っても過言では無い。
ならば冒険者が求める物を販売すれば儲かると言う事にならないか?冒険者が求める物それは美味い食事と酒。そして、武器と防具だ。
正直、ここに食い込む余地は今の俺には無さそうだ。まずは露店から商売すると考えると、冒険者より一般庶民からお金を得る事を考えないとイケないのでは無いだろうか?
お金を持っている者では無く持っていない者から稼ぐと言うのは結構ハードルが高いんじゃないか?いや、それでも稼げると言うアドバンテージがあると婆ちゃんは考えて居るのかもしれない。
ちょっと安易に考えて居たのかもしれない。まあ、日本でも異世界でも金を稼ぐと言うのは簡単では無いと言う事だね。
明日も引き続きリサーチをしよう。とりあえず、今日は宿屋に泊まって、こちらの世界の生活を体験しよう。目当ての宿屋も教わったし、そこに向かう事にした。
と、市場を後にしようとした時に、悲鳴と怒声が上がった。なんだ?トラブルか?
喧嘩とかに巻き込まれるのは出来れば避けたいが、野次馬がかなりの人数声が聞こえた方へ流れて行くので、興味本位で俺もそちらに向かう。まあ、これだけの人が居れば、巻き込まれる事は無いだろうと言う打算もある。
騒ぎの中心に居たのは1人の少女だった。歳の頃は15、6歳位。恰好から考えるに冒険者だろうか?
どうやら、彼女を取り合って2組の冒険者パーティーが争っている様だ。まあ、喧嘩と言えば喧嘩だが、剣を抜いたりと言った荒事にはなりそうに無い。少しホッとする。
2組のパーティーが、自分の所のパーティーが如何に素晴らしいかプレゼンテーションをすると言った感じの口喧嘩が始まる。
あの少女にそこまでしてパーティー入りして欲しい理由があるのだろうか?
俺は隣で喧嘩を見ているおじさんに聞いてみた。
「あの少女は何か特別な存在なんですか?」
「ああ、どうやらあの子は初級魔法が使えるそうだぜ。パーティーに魔法使いが居るってのはDランクパーティーがCランクに上がる早道だからな。両者とも必死な訳さ。」
なるほど、魔法はそれなりの価格がすると聞いたから、魔法使いは希少な訳だ。あの年齢で魔法が使えると言う事は、家が裕福なのだろうか?だとしたら冒険者になる必要はなさそうだが。
ああ、その理論から行くと若い魔法使いの冒険者は数が少ない。当然取り合いになるって事だな。まあ、当の魔法使いからすれば、これは成り上がるチャンスと言う訳になる。
道理で誰も止める気配が無い訳だ。
ちなみに魔法の価格は初級で金貨10枚から30枚位だ。日本円で言うと100万円から300万円程になる。魔法を覚えるにはスクロールと言う使い捨ての魔道具を使用するらしい。
安いか高いかは、その人の価値観にも寄るだろうが、冒険者になるのであれば最低でも初級魔法を3つは持っていないと厳しい。組み合わせにも寄るが500万円から700万円位はかかる。
Cランクの冒険者になれば月に金貨6枚以上は稼ぐと言うから、初期投資としては悪く無い選択だと思う。もちろん、お金があるのならばと言う条件付きだが。
もしかしたら、彼女の両親は冒険者なのかもしれない。ならば、自分の娘が冒険者になると言い出したら、魔法を覚えさせる位はするだろう。
それに、彼女が稼いで、更に魔法を覚えて、使いこなせるようになれば、貴族への道が開かれる可能性だってある。
ラノベの影響か、冒険者=独身と言うイメージがある。この町の冒険者の数を考えれば両親あるいは両親のいずれかが冒険者と言う家庭があって当然だ。
魔法使いは少ないと婆ちゃんは言っていたが、初級魔法なら使える者は結構な数居るのかもしれない。こうなると俺も使ってみたいが、最低金貨10枚はキツイな、頑張って稼がないと。
さて、トラブルに巻き込まれずに済んだ俺は、目的の宿屋へと辿り着いた。前に昼食を食べた食堂に作りは似ているが、若干こちらの方が年季が入って居る。
中に入ると、20歳位の女性が出迎えてくれた。宿屋の娘さんだろうか?泊か食事か聞かれるので、泊まりだと答える。
「2食付きで大銅貨5枚だよ。」
2食と言うのは朝と晩だ。食事付きで5千円はカプセルホテル並みに安い。とりあえず銀貨を1枚出して1泊頼むと言うと大銅貨5枚が帰って来た。
宿泊客の部屋は全部2階にあるそうだ。部屋数は10個、俺の貰った鍵の様な板には5と言う数字だけが書いてある。多分5号室の事だろう。
部屋は思ったより広く、ベッドも大きめだ。無理をすれば大人2人が寝られる。ちなみに1部屋を2人で使うと食事分の大銅貨2枚だけ追加されるらしい。
部屋代が3千円で食事代が2千円と言うのは部屋が安いのか食事が高いのか悩む所だ。食事は正直あまり美味くない。これは日本の食事に慣れてしまっているからと言う理由もあるだろうが、とにかく主食のパンが不味いのが原因だ。
基本、朝も晩もメニューはあまり変わりが無い。冒険者は昼飯は携帯食を食べるそうだ。これは雑貨屋でも冒険者ギルドの売店でも購入出来る。俺も購入してみたが、硬いパンを更に乾燥させたものと干し肉のセットで、銅貨5枚程した。
パンは乾パンどころの硬さでは無い。釘が打てるんじゃないかと言う位硬い。干し肉も塩分が強すぎてそのままではとてもじゃ無いが食べられない。
どうやって食べるのか店員に聞いたら、ナイフで削り落としながら少しずつ食べるらしい。当然水は必須だ。
毎日これを食べていたら、健康的にどうなんだろう?
本当なら、この世界に協力者が居れば助かるのだが、現状頼れる人物は居ない。婆ちゃんは何故か、こっちの世界にあまり来たがらないし。
やはり、俺一人で市場調査をするしかない様だ。こうなったら、こっちの世界で1晩過ごしてみるか?
この世界の文明レベルや、生活習慣は実際に体験してみないと解らない。1晩で全部理解出来るとは思わないが、体験してみれば判る事も多いだろう。
と言う事で安い宿屋を探す事にした。思えば、1晩幾らで宿に泊まれるかと言うのも金銭感覚を掴むのには重要だと思える。
日本なら安い旅館等でも素泊まりで8千円位取られる。2食付きなら軽く1万円は超えるだろう。
まあ、日本の旅館は観光用だが、ビジネスホテルを例に考えてもあまり値段の差は無いだろう。こちらの宿屋が冒険者をメインターゲットにしているとなると、その辺の事情も変わって来るかもしれない。
だいたい、冒険者の平均年収ってどの位なのかも知らないので、宿屋の料金からその辺を推測するしか無い。
この世界の一般的な職業が農業だとすると、冒険者はサラリーマンに相当するのだろうか?ならば、冒険者の平均年収が解れば、だいたいこの世界の平均的な生活水準が解って来る。
まあ、身分制度のある世界なので、貴族や逆に貧民も多く居る様だが、平均値が解らない事には商売は難しい。
婆ちゃんは一般人が使うのは金貨までだと言って居た。金貨1枚は10万円相当になる。この世界の10万円がどの位の価値なのかは実際に使ってみないと解らないが、平均年収が割り出せれば、かなり近い数値で10万円の価値が解って来ると期待している。
出来るならば、冒険者と一緒に魔物退治を経験してみたいが、まず現代日本人の俺が冒険に出たら死ぬ確率は高いだろう。そう言えば、鑑定と結界のスキルはまだ検証すらしていない。
婆ちゃんは俺に与えた能力は全てスキルだと言って居た。魔法では無いのだから、使用制限が無いと言う事なのだろうか?
魔法と言えば、魔法屋で有効そうな魔法の価格を調べておく必要がある。折角魔法のある世界に来たんだから、1つ位は魔法を使ってみたい。
市場調査をしながら宿屋の情報屋魔法屋の情報も集める。どうやら冒険者は定宿を持っている者が多いらしい。1泊素泊まりで大銅貨3枚と言うのが標準らしい。日本円にすると3千円だ。
月にすると9万円になるが、何時他の町に移動するか解らない冒険者にとっては、家を借りるより宿屋に泊まる方が色々と都合が良いらしい。
ちなみに、家族が居てこの町を拠点にしている冒険者は家を借りている。家族4人が住む家は月に銀貨7枚前後だそうだ。日本円で7万前後なら、そう高くは無いだろう。1人で宿屋暮らしをするよりも安いしね。
冒険者は最低ランクがGで、ボリュームゾーンはDランクだ。Gランクは見習い扱いで、通常はすぐにFランクに上がる。EとFは初心者ランクと呼ばれて、Dランクに上がって初めて一人前の冒険者と言われるらしい。
Dランクからは魔物の討伐依頼も増える為、怪我人や時には死人が出る事がある。その為、Cランクが冒険者の1つの壁になる。また、Dランクになると冒険者として食べて行けるだけの稼ぎがあるので、わざわざCランクに上がらない者も居る。
と言う訳でDランクがボリュームゾーンとなる訳だ。ちなみに、Dランクの平均的な稼ぎが、月に金貨4枚程度らしい。
確かに月に40万も稼ぐのであれば、月に9万円の宿代も払えるだろう。だが、平均的な農家は月に金貨2枚も稼げれば良いらしい。命を懸けて40万と安全に20万。どちらが割に良いのか判断に困る所だ。
まあ、そう言う訳で冒険者は稼ぐが、その分金を使う。その為、商売人は冒険者相手に商売をする事が多い。最初に来た時に食べた串肉なんかも、冒険者向けの屋台だったらしい。道理でボリュームがあった訳だ。
人口の5分の1が冒険者と言う事は5分の4は冒険者以外と言う事になる、それなのに商売人は冒険者を相手にする。これはそれだけ冒険者の消費が多いと言う事になる。つまり、この町の経済は冒険者によって支えられていると言っても過言では無い。
ならば冒険者が求める物を販売すれば儲かると言う事にならないか?冒険者が求める物それは美味い食事と酒。そして、武器と防具だ。
正直、ここに食い込む余地は今の俺には無さそうだ。まずは露店から商売すると考えると、冒険者より一般庶民からお金を得る事を考えないとイケないのでは無いだろうか?
お金を持っている者では無く持っていない者から稼ぐと言うのは結構ハードルが高いんじゃないか?いや、それでも稼げると言うアドバンテージがあると婆ちゃんは考えて居るのかもしれない。
ちょっと安易に考えて居たのかもしれない。まあ、日本でも異世界でも金を稼ぐと言うのは簡単では無いと言う事だね。
明日も引き続きリサーチをしよう。とりあえず、今日は宿屋に泊まって、こちらの世界の生活を体験しよう。目当ての宿屋も教わったし、そこに向かう事にした。
と、市場を後にしようとした時に、悲鳴と怒声が上がった。なんだ?トラブルか?
喧嘩とかに巻き込まれるのは出来れば避けたいが、野次馬がかなりの人数声が聞こえた方へ流れて行くので、興味本位で俺もそちらに向かう。まあ、これだけの人が居れば、巻き込まれる事は無いだろうと言う打算もある。
騒ぎの中心に居たのは1人の少女だった。歳の頃は15、6歳位。恰好から考えるに冒険者だろうか?
どうやら、彼女を取り合って2組の冒険者パーティーが争っている様だ。まあ、喧嘩と言えば喧嘩だが、剣を抜いたりと言った荒事にはなりそうに無い。少しホッとする。
2組のパーティーが、自分の所のパーティーが如何に素晴らしいかプレゼンテーションをすると言った感じの口喧嘩が始まる。
あの少女にそこまでしてパーティー入りして欲しい理由があるのだろうか?
俺は隣で喧嘩を見ているおじさんに聞いてみた。
「あの少女は何か特別な存在なんですか?」
「ああ、どうやらあの子は初級魔法が使えるそうだぜ。パーティーに魔法使いが居るってのはDランクパーティーがCランクに上がる早道だからな。両者とも必死な訳さ。」
なるほど、魔法はそれなりの価格がすると聞いたから、魔法使いは希少な訳だ。あの年齢で魔法が使えると言う事は、家が裕福なのだろうか?だとしたら冒険者になる必要はなさそうだが。
ああ、その理論から行くと若い魔法使いの冒険者は数が少ない。当然取り合いになるって事だな。まあ、当の魔法使いからすれば、これは成り上がるチャンスと言う訳になる。
道理で誰も止める気配が無い訳だ。
ちなみに魔法の価格は初級で金貨10枚から30枚位だ。日本円で言うと100万円から300万円程になる。魔法を覚えるにはスクロールと言う使い捨ての魔道具を使用するらしい。
安いか高いかは、その人の価値観にも寄るだろうが、冒険者になるのであれば最低でも初級魔法を3つは持っていないと厳しい。組み合わせにも寄るが500万円から700万円位はかかる。
Cランクの冒険者になれば月に金貨6枚以上は稼ぐと言うから、初期投資としては悪く無い選択だと思う。もちろん、お金があるのならばと言う条件付きだが。
もしかしたら、彼女の両親は冒険者なのかもしれない。ならば、自分の娘が冒険者になると言い出したら、魔法を覚えさせる位はするだろう。
それに、彼女が稼いで、更に魔法を覚えて、使いこなせるようになれば、貴族への道が開かれる可能性だってある。
ラノベの影響か、冒険者=独身と言うイメージがある。この町の冒険者の数を考えれば両親あるいは両親のいずれかが冒険者と言う家庭があって当然だ。
魔法使いは少ないと婆ちゃんは言っていたが、初級魔法なら使える者は結構な数居るのかもしれない。こうなると俺も使ってみたいが、最低金貨10枚はキツイな、頑張って稼がないと。
さて、トラブルに巻き込まれずに済んだ俺は、目的の宿屋へと辿り着いた。前に昼食を食べた食堂に作りは似ているが、若干こちらの方が年季が入って居る。
中に入ると、20歳位の女性が出迎えてくれた。宿屋の娘さんだろうか?泊か食事か聞かれるので、泊まりだと答える。
「2食付きで大銅貨5枚だよ。」
2食と言うのは朝と晩だ。食事付きで5千円はカプセルホテル並みに安い。とりあえず銀貨を1枚出して1泊頼むと言うと大銅貨5枚が帰って来た。
宿泊客の部屋は全部2階にあるそうだ。部屋数は10個、俺の貰った鍵の様な板には5と言う数字だけが書いてある。多分5号室の事だろう。
部屋は思ったより広く、ベッドも大きめだ。無理をすれば大人2人が寝られる。ちなみに1部屋を2人で使うと食事分の大銅貨2枚だけ追加されるらしい。
部屋代が3千円で食事代が2千円と言うのは部屋が安いのか食事が高いのか悩む所だ。食事は正直あまり美味くない。これは日本の食事に慣れてしまっているからと言う理由もあるだろうが、とにかく主食のパンが不味いのが原因だ。
基本、朝も晩もメニューはあまり変わりが無い。冒険者は昼飯は携帯食を食べるそうだ。これは雑貨屋でも冒険者ギルドの売店でも購入出来る。俺も購入してみたが、硬いパンを更に乾燥させたものと干し肉のセットで、銅貨5枚程した。
パンは乾パンどころの硬さでは無い。釘が打てるんじゃないかと言う位硬い。干し肉も塩分が強すぎてそのままではとてもじゃ無いが食べられない。
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