転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ

文字の大きさ
171 / 308

171

しおりを挟む
「私が相手では不満かね?」

「いえ、そうではありません。ただ、1つ条件を飲んで頂けると助かるのですが。」

 僕は下手に出て、マルコスとの対決を避ける道を探っている。

「条件か?言って見ろ。」

「僕が剣聖と模擬戦をしたら、勝っても負けても、今後一切『迅雷の牙』は僕に関りを持たないと約束して下さい。もちろん、マルコスさんもですよ。個人的とか言っても駄目ですからね。」

「良いだろう。その条件、飲んでやる。」

 剣聖の約束は取り付けた。だが、マルコスが割って入る。

「駄目だ、その条件は飲めない。」

 やはり、そう来たか。

「では、この模擬戦は成立しませんね。残念ですが、僕は失礼します。」

 そう言って帰ろうとするとマルコスが動いた。僕の行く先を遮り帰さないつもりだ。

「そんな勝手が通るか。ただで帰れると思うなよ。」

 お?本性が丸見えですよ。

 さて、どうするか?ここで暴れても僕にメリットは無い。転移はあまり見せたくないのだが、実力を見せるのはもっと不味いかな?

 マルコスが剣に手をかける、室内で戦うつもりなのか?それとも脅しかな?

「俺と戦え。それならさっきの条件受けてやる。」

 一人称が変わってますよ?って言うか、あんたと戦いたくないから色々苦労してるんだけどね。

「悪いけど、それは出来ない相談だ。」

 そう言って転移で伯爵邸に逃げる。

 だんだんと、見境が無くなって来ているぞ、大丈夫か?マジで白昼襲って来る勢いだ。ギルマスにお願いされたが、襲われたら反撃はしますよ。

 しかし、なんでそこまでして、僕と戦いたいのかイマイチ理解出来ないのだが、こうなったら、ギルマスにお願いして、公式に模擬戦でもした方が後腐れが無いのでは無いかと思う。
 
 明日、ギルドに行ってギルマスに相談してみるかな。

 翌日、僕にとっては翌々日なのだが、早朝からギルドに行って見る。相変わらずの混みようだ。

 適当な列に並んで順番を待つ。

 15分程待っていたら、知らないギルド職員の女性に声を掛けられた。どうやらギルマスからの呼び出しらしい。手間が省けたな。

 2階に上がりギルマスの部屋をノックすると。入れと言う声が聞こえた。

 指示通り中に入ると、マルコスが居た。どう言う状況だ?

「来たか。まあ、座れ。」

 僕はマルコスと反対側のソファに座る。

「えーと、状況が判らないのですが、僕は何で呼ばれたのでしょうか?」

「マルコスから正式な試合の申し込みがあった。ギルド公認の模擬戦になるな。」

「あー、僕はAランクなのですが、Sランクのマルコスさんと正式に模擬戦をする意味も理由も分かりません。出来れば、その辺を詳しく知りたいのですが?」

 どう考えても、おかしいよね?僕が申し込むのなら意味はあると思うが、上位が下位に申し込む理由が判らん。

「意味はあるぞ、この試合に勝てば、お前はSランクに昇級出来る。」

 ほう?それは美味しいな。

「で、理由の方は?」

 そう聞いたら、マルコスがニヤリと笑って、ギルマスを制して話し出す。

「それは私から答えよう。実は君にはある嫌疑が掛かっているのだよ。君は、魔族なのではないか?」

 危ない、ソファじゃ無かったら転げ落ちてたぞ。

「あの?魔族って見た事無いんですが実在するんですか?」

 ギルマスの方を見て聞いてみる。

「俺も、良く解らんな。実際に魔族を見た者は俺の知る限り居ない。だが、存在自体は昔から本に記されている。」

「マルコスさんは、僕が、そんな要るか居ないかさえハッキリ判らない存在だと疑っているんですか?」

「ああ、私は半ば確信しているのだよ。昨日見せた魔法。あれは伝説の転移魔法では無いのか?」

 あれ?選択を間違ったか?あそこは戦わずに逃げるのが正解だと思ったのだが。

「で、それと模擬戦とどう関係するんですか?」

「君を公に葬り去る証拠が欲しいのだよ。自分が死にそうになれば本性を現すだろう?」

 駄目だ、こいつ完全にイカレてる。

「僕の記憶では魔族と言うのは亜人ですよね?この国では亜人は抹殺対象何ですか?」

「ふむ、言われてみれば、この大陸に亜人は存在しない。よって亜人に対する法律も存在しない。もし亜人が現れたら、生殺与奪の判断は皇帝がするんじゃないかな?」

 ギルマスが丁寧に説明してくれた。あれ?じゃあなんでマルコスは魔族を殺そうとしてるんだ?

「と言う事は、僕が魔族だったとしても、マルコスさんとは何の関係も無いって事ですよね?」

「君がただの魔族なら、確かに私には何の関係も無い。だが、君の力は明らかに大きすぎる。僕は君が魔王では無いかとも疑っているのだよ。」

「つまり、僕がただの魔族か、魔王なのか模擬戦で暴きたいと言う事ですか?」

「察しが良いな。魔王を倒せば勇者の称号が手に入る。私の狙いはそこにある。」

 こいつ、自分が負ける事を全然考慮してないな。

「ところで、魔族か魔王かどっちでも良いですが、普通の人間との見分け方ってあるんですか?」

「解らん。だが戦ってみれば何かが判るはずだ。」

 いい加減だなぁ~。

「あの、自分が負けたから魔王だとか言うのは無しですよ。僕はSランク昇級が掛かっているので勝ちに行きますし。勝つためには戦略も考えます。」

「それは模擬戦を受けると言う解釈で良いのか?」

「ギルマス公認なら仕方ないでしょう。断るって言う選択肢もあるんですか?」

 僕がギルマスの方を向くと、潰すなよと言う無言の圧力が掛かって来る。

「そうだ、審判はギルマスにお願いしますね。それで、こいつが適当な言いがかりをつけて来たらちゃんと公正に判断して下さい。」

 僕がそう言うと、一瞬考えてからギルマスが答える。

「解った。俺がやらないと後で面倒になりそうだから、引き受けよう。で、試合は何時やるんだ?」

「「今から!」」

 と言う事で急遽、模擬戦をする事となる。場所はギルドの裏手だ。3人でぞろぞろとギルドを出て裏に回る。当然周囲の者の注目を集める事となる。

 何事かと付いて来る者まで現れる。

 ギルドの裏手には試験用の武舞台とは別に練習用の武舞台がある。現在、試験用の方は使われている様だ。

 流石に朝の稼ぎ時に練習をする者は居ない。練習用の武舞台が空いていた。

 僕とマルコス、ギルマスの3人が武舞台に上がる。周囲には見物人が十数名も居る。おいおい狩りに行かなくて良いのか?

「さて、模擬戦のルールは知ってるな?攻撃魔法は禁止だ。補助魔法は使っても構わない。相手が戦闘不能になるか、降参を認めれば勝ちだ。」

 ギルマスの言葉に僕とマルコスが頷く。ギルマスが2本の木刀を1本ずつ手渡す。

 木刀を受け取った僕たちは5メートル程間をとって対峙する。

「よし、準備は良いな?始めるぞ。」

 ギルマスの言葉に2人が頷くと、始め!の声が掛かる。さて、最初は様子見だな。

 マルコスは事実上Sランク最強らしい。剣聖より強いとも言われている。どんな剣を使うのか興味はある。

 中段に構えるマルコスの剣を受ける為僕は右手に木刀を持ちぶらりと下げる。一見隙だらけに見えるが、受けるだけならこの方が相手の動きが良く見える。

 マルコスが5メートルの間を一気に詰め、攻撃して来る。最初は素直に横薙ぎ、躱すと、そこから変化する。剣の返しが早い。だが、僕は慌てずに木刀で受け流す。

「悪くは無いが、遅いな。魔法が嫌いと言いながら身体強化は使っているし、いい加減な奴だな。」

「私を怒らせて太刀筋を乱そうと言う魂胆か?甘いな、剣を持った私は、何時もより冷静になるのだよ。」

 魔族よりお前の方が怖いよ。

 その後もマルコスは様々な剣技で僕を翻弄しようとするが、如何せんスピードが遅い。5分も戦っていると癖も見えて来るし、本当に最強なのか疑問に思えて来る。

「どうした、逃げてばかりでは勝てんぞ?」

「遅いと言ったろう?勝とうと思えば何時でも勝てる。問題は勝っても僕が魔族だと言う疑いは晴れないんだろう?」

「強ければ強い程、魔族である疑惑は深まる。」

 そいつは困った。

「どうすれば、疑いが晴れるんだ?」

「簡単だ、君が死ねば終わる。」

 駄目だな、こう言うのを狂人と言うのかな?

 少しばかりスピードを上げてマルコスの意識を刈り取った。

「勝者、エイジ!」

 ギルマスの声に歓声が上がった。なんか見物人が増えてるし。

「おい、誰か救護室へマルコスを運んでくれ。それからエイジは俺の部屋に来い。話がある。」

 えっと、潰す様な事はしてないよね?

しおりを挟む
感想 299

あなたにおすすめの小説

俺のスキルが回復魔『法』じゃなくて、回復魔『王』なんですけど?

八神 凪
ファンタジー
ある日、バイト帰りに熱血アニソンを熱唱しながら赤信号を渡り、案の定あっけなくダンプに轢かれて死んだ 『壽命 懸(じゅみょう かける)』 しかし例によって、彼の求める異世界への扉を開くことになる。 だが、女神アウロラの陰謀(という名の嫌がらせ)により、異端な「回復魔王」となって……。 異世界ペンデュース。そこで彼を待ち受ける運命とは?

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~

はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。 病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。 これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。 別作品も掲載してます!よかったら応援してください。 おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。

レベル上限5の解体士 解体しかできない役立たずだったけど5レベルになったら世界が変わりました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
前世で不慮な事故で死んだ僕、今の名はティル 異世界に転生できたのはいいけど、チートは持っていなかったから大変だった 孤児として孤児院で育った僕は育ての親のシスター、エレステナさんに何かできないかといつも思っていた そう思っていたある日、いつも働いていた冒険者ギルドの解体室で魔物の解体をしていると、まだ死んでいない魔物が混ざっていた その魔物を解体して絶命させると5レベルとなり上限に達したんだ。普通の人は上限が99と言われているのに僕は5おかしな話だ。 5レベルになったら世界が変わりました

なんでもアリな異世界は、なんだか楽しそうです!!

日向ぼっこ
ファンタジー
「異世界転生してみないか?」 見覚えのない部屋の中で神を自称する男は話を続ける。 神の暇つぶしに付き合う代わりに異世界チートしてみないか? ってことだよと。 特に悩むこともなくその話を受け入れたクロムは広大な草原の中で目を覚ます。 突如襲い掛かる魔物の群れに対してとっさに突き出した両手より光が輝き、この世界で生き抜くための力を自覚することとなる。 なんでもアリの世界として創造されたこの世界にて、様々な体験をすることとなる。 ・魔物に襲われている女の子との出会い ・勇者との出会い ・魔王との出会い ・他の転生者との出会い ・波長の合う仲間との出会い etc....... チート能力を駆使して異世界生活を楽しむ中、この世界の<異常性>に直面することとなる。 その時クロムは何を想い、何をするのか…… このお話は全てのキッカケとなった創造神の一言から始まることになる……

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

処理中です...