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第二話
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目が覚めると朝日が差し込んでいるのか、眩しかった。
寝ぼけたような、頭痛が引いた時の様なぼんやりとした脳みそで、少年は体を起こす。
少年の名はユーライナ、家族からはユーリと呼ばれている。
ベッドの上で一度大きく伸びをすると、脳の中に様々な光景が流れ込んで来る。初めての経験にユーリは吃驚する。と同時に、結城真悟であった時の記憶や、神と邂逅した時の事が思い出される。
そう、あれから6年が経ったのだ。
しかし真悟にとってはほんの数時間の出来事。(時差ぼけにも程があるな・・・)と愚痴が出る。
しばし目を閉じ6年間のユーリの生活を顧みてから。自分の今の現状ややるべき事を思案する。幸いな事に、謎だった創造魔法の使い方も頭の中に刷り込まれている。すべての想像を形にする魔法、それが創造魔法だった。
「なんと言うか、思いっきりチートな能力だな。」
そう、創造魔法は人間に与えられる様な魔法では無い、言うなれば神の魔法だ。使い続けて一定の線を越えれば神になってしまうとも知識の片隅に書かれている。
「神にならないように使わないとな・・・」
真悟ことユーリが呟いた時。ノックの音が聞こえた。
「は、はい!」
焦って、返事をどもってしまった。入ってきたのは、まだ幼さの残る銀髪の少女だった。
「目覚めておいででしたかユーリ様」
彼女はユーリ付きのメイドで名前をアイリーンと言う。ユーリが生まれた時に雇われたと言うから6年は勤めているはずだが、どう見ても15,6歳に見える。異世界だからそう言う種族も居るのかと思ったが、ユーリの記憶では人族の様である。謎だ・・・
「お着替えが終わりましたら、食堂で朝食をお取り下さい。着替えの手伝いは要りますか?」
「あ、大丈夫。すぐに着替えて食堂へ行くよ。」
アイリーンにそう返事をして、ベッドから立ち上がった。
(とりあえず、情報収集をしないとな。これからどうするか決めるのは急がなくてもいいだろう。)
ユーリが食堂に入ると、既に他のメンバーが揃っていた。ユーリの記憶によると、ここは王都にある貴族街の中でも一等地にある。父親はカザフ・オーバルバイン伯爵、いわゆる上級貴族である。父親のカザフは王城で働いているので所謂領地と言う物は持っていない。母親はミレーネ、侯爵の次女だったそうだ。そして、長男のアルフリード、次男のジークハルト、長女のシルバーナと続く。上の二人は既に成人していて、父親の仕事を手伝っているそうだ。
「おはようございます。」
礼をして素早く席に着く。この世界にきて初めての食事だ、さて、どんな物が出てくるのか楽しみだ。ユーリは期待に胸を膨らませ、今だけは自分の置かれた複雑な立場を忘れていた。
はたして、ユーリの希望は呆気なく崩れ去った。出てきた朝食はベーコンエッグと野菜のスープ、そして固いパンのみであった。不味くは無い。が、全てが塩味。これが上級貴族の食事なのだろうか?ユーリの過去の記憶をトレースするが、この世界の食事は朝と晩の二回。そして、貴族は昼間にお茶の時間と称して軽食や甘いものを紅茶と一緒に少量食べる。
どうやらこの世界は食生活があまり進化していないようだ。神様の言っていた事が思い出される。自分の好きな様に生きていれば自然と文明のレベルが上がる。確かに、この食事に現代人の自分は満足出来ないだろう。と、ユーリは考えていた。そして、食事以外の事もほぼ同様なのだろうと。
(これはどうやら真面目に文明の引き上げに挑戦しないと駄目かも・・・)
ユーリは食事を急いで切り上げ部屋へと戻った。
自分の部屋に入ると無駄に広い空間に(落ち着かないな・・・)と口から洩れる。真悟時代の部屋は狭い1LDKのマンションだった。ざっとだが、10畳はある部屋に大きめのベッドと大きめのソファとテーブルセットが綺麗に配置されている。今の自分のサイズならソファでもゆっくり安眠できそうだ。
そんな事を考えていると、そう言えば自分は転生したのだったと改めて思いだす。鏡がないので自分の姿を見る事は出来ないが、着替えた時衣類が随分と小さかった事に気付く。とりあえず大きなソファに寝転がる。
これからどうするかだが、まずは現状把握からだ。
ユーリは自分の記憶から断片的に情報を引き出す方法を選んだ。
まず、オーバルバイン伯爵家は、伝統ある家系で、資産もそれなりにあり、裕福だ。家族の仲も悪くない。使用人は40名程度。家族の中に魔法使いは居ない。ただ、この世界には生活魔法と言う物があり。これは練習さえすれば誰でも使える物らしい。火種を付けたり、水を少量出したり。衣類や体を綺麗にする魔法で、1日に3回程度使えれば一人前だそうだ。
次にこの国の情勢だが、ここ300年程戦争らしい戦争は無いらしい。ちょっとした内乱が180年程前にあったそうだが、死者は出なかったそうだ。また、周辺諸国との関係も良好で、これから先2~300年は戦争は無いだろうと言われている。
庶民の生活についてだが、これはユーリの記憶からでは詳しいことは解らない。一度、自分の目で見る必要がありそうだ。
(ん~、なんかとんでもない所へ来てしまった様だ・・・)
寝ぼけたような、頭痛が引いた時の様なぼんやりとした脳みそで、少年は体を起こす。
少年の名はユーライナ、家族からはユーリと呼ばれている。
ベッドの上で一度大きく伸びをすると、脳の中に様々な光景が流れ込んで来る。初めての経験にユーリは吃驚する。と同時に、結城真悟であった時の記憶や、神と邂逅した時の事が思い出される。
そう、あれから6年が経ったのだ。
しかし真悟にとってはほんの数時間の出来事。(時差ぼけにも程があるな・・・)と愚痴が出る。
しばし目を閉じ6年間のユーリの生活を顧みてから。自分の今の現状ややるべき事を思案する。幸いな事に、謎だった創造魔法の使い方も頭の中に刷り込まれている。すべての想像を形にする魔法、それが創造魔法だった。
「なんと言うか、思いっきりチートな能力だな。」
そう、創造魔法は人間に与えられる様な魔法では無い、言うなれば神の魔法だ。使い続けて一定の線を越えれば神になってしまうとも知識の片隅に書かれている。
「神にならないように使わないとな・・・」
真悟ことユーリが呟いた時。ノックの音が聞こえた。
「は、はい!」
焦って、返事をどもってしまった。入ってきたのは、まだ幼さの残る銀髪の少女だった。
「目覚めておいででしたかユーリ様」
彼女はユーリ付きのメイドで名前をアイリーンと言う。ユーリが生まれた時に雇われたと言うから6年は勤めているはずだが、どう見ても15,6歳に見える。異世界だからそう言う種族も居るのかと思ったが、ユーリの記憶では人族の様である。謎だ・・・
「お着替えが終わりましたら、食堂で朝食をお取り下さい。着替えの手伝いは要りますか?」
「あ、大丈夫。すぐに着替えて食堂へ行くよ。」
アイリーンにそう返事をして、ベッドから立ち上がった。
(とりあえず、情報収集をしないとな。これからどうするか決めるのは急がなくてもいいだろう。)
ユーリが食堂に入ると、既に他のメンバーが揃っていた。ユーリの記憶によると、ここは王都にある貴族街の中でも一等地にある。父親はカザフ・オーバルバイン伯爵、いわゆる上級貴族である。父親のカザフは王城で働いているので所謂領地と言う物は持っていない。母親はミレーネ、侯爵の次女だったそうだ。そして、長男のアルフリード、次男のジークハルト、長女のシルバーナと続く。上の二人は既に成人していて、父親の仕事を手伝っているそうだ。
「おはようございます。」
礼をして素早く席に着く。この世界にきて初めての食事だ、さて、どんな物が出てくるのか楽しみだ。ユーリは期待に胸を膨らませ、今だけは自分の置かれた複雑な立場を忘れていた。
はたして、ユーリの希望は呆気なく崩れ去った。出てきた朝食はベーコンエッグと野菜のスープ、そして固いパンのみであった。不味くは無い。が、全てが塩味。これが上級貴族の食事なのだろうか?ユーリの過去の記憶をトレースするが、この世界の食事は朝と晩の二回。そして、貴族は昼間にお茶の時間と称して軽食や甘いものを紅茶と一緒に少量食べる。
どうやらこの世界は食生活があまり進化していないようだ。神様の言っていた事が思い出される。自分の好きな様に生きていれば自然と文明のレベルが上がる。確かに、この食事に現代人の自分は満足出来ないだろう。と、ユーリは考えていた。そして、食事以外の事もほぼ同様なのだろうと。
(これはどうやら真面目に文明の引き上げに挑戦しないと駄目かも・・・)
ユーリは食事を急いで切り上げ部屋へと戻った。
自分の部屋に入ると無駄に広い空間に(落ち着かないな・・・)と口から洩れる。真悟時代の部屋は狭い1LDKのマンションだった。ざっとだが、10畳はある部屋に大きめのベッドと大きめのソファとテーブルセットが綺麗に配置されている。今の自分のサイズならソファでもゆっくり安眠できそうだ。
そんな事を考えていると、そう言えば自分は転生したのだったと改めて思いだす。鏡がないので自分の姿を見る事は出来ないが、着替えた時衣類が随分と小さかった事に気付く。とりあえず大きなソファに寝転がる。
これからどうするかだが、まずは現状把握からだ。
ユーリは自分の記憶から断片的に情報を引き出す方法を選んだ。
まず、オーバルバイン伯爵家は、伝統ある家系で、資産もそれなりにあり、裕福だ。家族の仲も悪くない。使用人は40名程度。家族の中に魔法使いは居ない。ただ、この世界には生活魔法と言う物があり。これは練習さえすれば誰でも使える物らしい。火種を付けたり、水を少量出したり。衣類や体を綺麗にする魔法で、1日に3回程度使えれば一人前だそうだ。
次にこの国の情勢だが、ここ300年程戦争らしい戦争は無いらしい。ちょっとした内乱が180年程前にあったそうだが、死者は出なかったそうだ。また、周辺諸国との関係も良好で、これから先2~300年は戦争は無いだろうと言われている。
庶民の生活についてだが、これはユーリの記憶からでは詳しいことは解らない。一度、自分の目で見る必要がありそうだ。
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