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第二十一話
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リバーシのお陰でアトマス商会は王都でも1,2を争う有名店になった。他の商会からも小商会とは言え、珍しい商品を出し続ける侮れない商会としてマークされている。透明なグラスや鏡などは真似しようとする商会が後を絶たないが、いまだに成功した話は聞いた事が無い。
一方でユーリは、軽食販売に不満がある。もっとたくさんの種類を出したいのだが、今のままでは限界がある。やはり専門の料理店が欲しい。
アトマスに相談すると、商会が料理店を直営すると言うのは珍しいとの事だが、新しい事をするのがユーリ様だと言って賛成してくれた。現在、店舗候補地を探している最中だ。
現在、商会は順調に進んでいるので焦る必要は無いのだが、次の商品を考えないと、と常に思っているユーリだった。神様からは真面目過ぎると突っ込まれそうだ。
そんな折、アトマス商会にある依頼が入った。
貴族同士の結婚式の料理のプロデュース。そう、何時か父上に頼んで置いた話が、ここへ来て実現したのだ。
今回の仕事はユーリ一人で受ける事にする。他のメンバーは商会の店をお願いする。ユーリと、ホスト側の貴族の料理人で何とかする予定だ。
早速、新郎側の貴族に話を聞きに行く。貴族と言っても爵位は男爵で、相手も男爵の娘だそうだ。
「アトマス商会のユーリです。今回の料理のプロデュースを仕切らせて頂きます。」
そう挨拶するが、見た目は7歳、流石に大丈夫なのか?と言う空気が流れる。
「子供なので吃驚なさったでしょう?仕事はきちんとやりますのでご安心下さい。」
「オーバルバイン伯爵の紹介だ。何も問題は無いだろう。」
新郎の父親と見られる男が口を開いた。この人が男爵なのだろう。すると隣に立っているまだ成人したての青年が今回の新郎だろうと当たりを付ける。
「何か、希望とかありましたら、今のうちにおっしゃって下さい。」
「貴殿の店では他では食べられない料理が多数あると言う。それを披露して欲しい。」
「解りました。お酒や飲み物も同様で構いませんか?」
「ほう?珍しい酒も扱っておるのか?」
「そうですね。例えばこう言うのは如何でしょう?」
そう言ってユーリは大きめの氷を入れたグラスにウイスキーを入れてロックにして差し出す。
「氷の入った酒?」
「一口味見してみて下さい。」
「おお、これはかなり酒精が強いが、なんと香りの良く口当たりの良い酒だ。」
「それはウイスキーと言うお酒です。酒精は強いですが、水で割ったり氷を入れる事で、口当たりがまろやかになります。」
ウイスキーが余程気に入ったようで、男爵はご機嫌だ。お近づきの印にと1本進呈して置いた。
後の話は新郎とユーリの2人で詰めて行く。基本、男爵クラスの披露宴では貴族と平民がほぼ半数ずつ出席する。平民は商人が多いらしい。後は、年頃の貴族の子女が多く出席するのが他とは違う点らしかった。婚活の場所として利用されるのだそうだ。親の貴族も誰も出席させない訳にはいかないので面目が保てると言う利点もある。
話を総合すれば平均年齢の低い若者が多い披露宴って言う事になる、ここは思い切った料理を試すのに丁度良いと考えるユーリであった。
一応花嫁側の話も聞かなければいけないので新郎にアポイントメントを取って置いてもらう。
花嫁側からは出してはいけない料理や苦手な料理などを聞いて簡単に済ませた。
あとは料理人と話を詰めて行くだけだ。
さて、披露宴の当日、料理の説明係としてルイーゼを借りて来た。貴族の披露宴と言う事で緊張していたが、半分は平民だよと教えたら楽になったらしい。
若者が多いパーティーと言う事で立食のバイキング方式にしてみた。並ぶ料理は比較的冷めても美味しい物を中心に選んである。中には出来立てが美味しい物もあるので、そこはユーリが担当する。
並ぶ料理は、ローストビーフ、エビのテルミドール、ミートローフ、パスタ2種、オードブルの様な物も多数用意してある。また、コンビニに置いてある様な三角形のサンドウイッチも各種揃えた。ピザやハンバーガーも並んでいる。現代日本で見たら、何料理店?と首を傾げたくなるラインナップだ。ちなみに鮨や刺身は並べていない、この国では生魚を食べる習慣が無いからだ。
飲み物も多種揃えており、ソフトドリンク各種と、ウイスキー、生ビール、ワイン、シャンパン、チューハイ等を用意した。ドリンクはマジックバッグに入れて常に冷えた状態で提供出来るようにしてある。試しにコーヒー牛乳とコーラをラインナップに入れてみた。
披露宴は順調に進み、食事タイムに入る。司会進行が後部にあるブースで好きな物を好きなだけ取って食べて下さいと告げると。出席者たちがぞろぞろと後部へ押し寄せた。
貴族とは言え、食文化の発展してないこの世界では披露宴と言えども大した料理が出ないのが普通だ。せいぜい、子牛の丸焼きや、ローストチキンなどが出れば豪華と言うのが通常の披露宴だ。しかし、今回の披露宴では、式の開始から美味しそうな匂いが部屋に充満していた。
何時もの披露宴とは何かが違うと列席者たちは期待を持っていた。そしていよいよ料理タイム。
殺到した列席者は美味しい料理と美味しい酒に時を忘れて楽しんだのである。
王都でもあまり名の知られていないクライン男爵家とマイヤー男爵家の結婚披露パーティーは暫くの間噂の的になり、出席しなかった貴族達は悔しがって臍を噛むのであった。
一方でユーリは、軽食販売に不満がある。もっとたくさんの種類を出したいのだが、今のままでは限界がある。やはり専門の料理店が欲しい。
アトマスに相談すると、商会が料理店を直営すると言うのは珍しいとの事だが、新しい事をするのがユーリ様だと言って賛成してくれた。現在、店舗候補地を探している最中だ。
現在、商会は順調に進んでいるので焦る必要は無いのだが、次の商品を考えないと、と常に思っているユーリだった。神様からは真面目過ぎると突っ込まれそうだ。
そんな折、アトマス商会にある依頼が入った。
貴族同士の結婚式の料理のプロデュース。そう、何時か父上に頼んで置いた話が、ここへ来て実現したのだ。
今回の仕事はユーリ一人で受ける事にする。他のメンバーは商会の店をお願いする。ユーリと、ホスト側の貴族の料理人で何とかする予定だ。
早速、新郎側の貴族に話を聞きに行く。貴族と言っても爵位は男爵で、相手も男爵の娘だそうだ。
「アトマス商会のユーリです。今回の料理のプロデュースを仕切らせて頂きます。」
そう挨拶するが、見た目は7歳、流石に大丈夫なのか?と言う空気が流れる。
「子供なので吃驚なさったでしょう?仕事はきちんとやりますのでご安心下さい。」
「オーバルバイン伯爵の紹介だ。何も問題は無いだろう。」
新郎の父親と見られる男が口を開いた。この人が男爵なのだろう。すると隣に立っているまだ成人したての青年が今回の新郎だろうと当たりを付ける。
「何か、希望とかありましたら、今のうちにおっしゃって下さい。」
「貴殿の店では他では食べられない料理が多数あると言う。それを披露して欲しい。」
「解りました。お酒や飲み物も同様で構いませんか?」
「ほう?珍しい酒も扱っておるのか?」
「そうですね。例えばこう言うのは如何でしょう?」
そう言ってユーリは大きめの氷を入れたグラスにウイスキーを入れてロックにして差し出す。
「氷の入った酒?」
「一口味見してみて下さい。」
「おお、これはかなり酒精が強いが、なんと香りの良く口当たりの良い酒だ。」
「それはウイスキーと言うお酒です。酒精は強いですが、水で割ったり氷を入れる事で、口当たりがまろやかになります。」
ウイスキーが余程気に入ったようで、男爵はご機嫌だ。お近づきの印にと1本進呈して置いた。
後の話は新郎とユーリの2人で詰めて行く。基本、男爵クラスの披露宴では貴族と平民がほぼ半数ずつ出席する。平民は商人が多いらしい。後は、年頃の貴族の子女が多く出席するのが他とは違う点らしかった。婚活の場所として利用されるのだそうだ。親の貴族も誰も出席させない訳にはいかないので面目が保てると言う利点もある。
話を総合すれば平均年齢の低い若者が多い披露宴って言う事になる、ここは思い切った料理を試すのに丁度良いと考えるユーリであった。
一応花嫁側の話も聞かなければいけないので新郎にアポイントメントを取って置いてもらう。
花嫁側からは出してはいけない料理や苦手な料理などを聞いて簡単に済ませた。
あとは料理人と話を詰めて行くだけだ。
さて、披露宴の当日、料理の説明係としてルイーゼを借りて来た。貴族の披露宴と言う事で緊張していたが、半分は平民だよと教えたら楽になったらしい。
若者が多いパーティーと言う事で立食のバイキング方式にしてみた。並ぶ料理は比較的冷めても美味しい物を中心に選んである。中には出来立てが美味しい物もあるので、そこはユーリが担当する。
並ぶ料理は、ローストビーフ、エビのテルミドール、ミートローフ、パスタ2種、オードブルの様な物も多数用意してある。また、コンビニに置いてある様な三角形のサンドウイッチも各種揃えた。ピザやハンバーガーも並んでいる。現代日本で見たら、何料理店?と首を傾げたくなるラインナップだ。ちなみに鮨や刺身は並べていない、この国では生魚を食べる習慣が無いからだ。
飲み物も多種揃えており、ソフトドリンク各種と、ウイスキー、生ビール、ワイン、シャンパン、チューハイ等を用意した。ドリンクはマジックバッグに入れて常に冷えた状態で提供出来るようにしてある。試しにコーヒー牛乳とコーラをラインナップに入れてみた。
披露宴は順調に進み、食事タイムに入る。司会進行が後部にあるブースで好きな物を好きなだけ取って食べて下さいと告げると。出席者たちがぞろぞろと後部へ押し寄せた。
貴族とは言え、食文化の発展してないこの世界では披露宴と言えども大した料理が出ないのが普通だ。せいぜい、子牛の丸焼きや、ローストチキンなどが出れば豪華と言うのが通常の披露宴だ。しかし、今回の披露宴では、式の開始から美味しそうな匂いが部屋に充満していた。
何時もの披露宴とは何かが違うと列席者たちは期待を持っていた。そしていよいよ料理タイム。
殺到した列席者は美味しい料理と美味しい酒に時を忘れて楽しんだのである。
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