創造魔法で想像以上に騒々しい異世界ライフ

埼玉ポテチ

文字の大きさ
21 / 151

第二十一話

しおりを挟む
 リバーシのお陰でアトマス商会は王都でも1,2を争う有名店になった。他の商会からも小商会とは言え、珍しい商品を出し続ける侮れない商会としてマークされている。透明なグラスや鏡などは真似しようとする商会が後を絶たないが、いまだに成功した話は聞いた事が無い。

 一方でユーリは、軽食販売に不満がある。もっとたくさんの種類を出したいのだが、今のままでは限界がある。やはり専門の料理店が欲しい。
 アトマスに相談すると、商会が料理店を直営すると言うのは珍しいとの事だが、新しい事をするのがユーリ様だと言って賛成してくれた。現在、店舗候補地を探している最中だ。

 現在、商会は順調に進んでいるので焦る必要は無いのだが、次の商品を考えないと、と常に思っているユーリだった。神様からは真面目過ぎると突っ込まれそうだ。

 そんな折、アトマス商会にある依頼が入った。
 貴族同士の結婚式の料理のプロデュース。そう、何時か父上に頼んで置いた話が、ここへ来て実現したのだ。

 今回の仕事はユーリ一人で受ける事にする。他のメンバーは商会の店をお願いする。ユーリと、ホスト側の貴族の料理人で何とかする予定だ。

 早速、新郎側の貴族に話を聞きに行く。貴族と言っても爵位は男爵で、相手も男爵の娘だそうだ。

「アトマス商会のユーリです。今回の料理のプロデュースを仕切らせて頂きます。」

 そう挨拶するが、見た目は7歳、流石に大丈夫なのか?と言う空気が流れる。

「子供なので吃驚なさったでしょう?仕事はきちんとやりますのでご安心下さい。」

「オーバルバイン伯爵の紹介だ。何も問題は無いだろう。」

 新郎の父親と見られる男が口を開いた。この人が男爵なのだろう。すると隣に立っているまだ成人したての青年が今回の新郎だろうと当たりを付ける。

「何か、希望とかありましたら、今のうちにおっしゃって下さい。」

「貴殿の店では他では食べられない料理が多数あると言う。それを披露して欲しい。」

「解りました。お酒や飲み物も同様で構いませんか?」

「ほう?珍しい酒も扱っておるのか?」

「そうですね。例えばこう言うのは如何でしょう?」

 そう言ってユーリは大きめの氷を入れたグラスにウイスキーを入れてロックにして差し出す。

「氷の入った酒?」

「一口味見してみて下さい。」

「おお、これはかなり酒精が強いが、なんと香りの良く口当たりの良い酒だ。」

「それはウイスキーと言うお酒です。酒精は強いですが、水で割ったり氷を入れる事で、口当たりがまろやかになります。」

 ウイスキーが余程気に入ったようで、男爵はご機嫌だ。お近づきの印にと1本進呈して置いた。
 後の話は新郎とユーリの2人で詰めて行く。基本、男爵クラスの披露宴では貴族と平民がほぼ半数ずつ出席する。平民は商人が多いらしい。後は、年頃の貴族の子女が多く出席するのが他とは違う点らしかった。婚活の場所として利用されるのだそうだ。親の貴族も誰も出席させない訳にはいかないので面目が保てると言う利点もある。

 話を総合すれば平均年齢の低い若者が多い披露宴って言う事になる、ここは思い切った料理を試すのに丁度良いと考えるユーリであった。

 一応花嫁側の話も聞かなければいけないので新郎にアポイントメントを取って置いてもらう。
 花嫁側からは出してはいけない料理や苦手な料理などを聞いて簡単に済ませた。
 あとは料理人と話を詰めて行くだけだ。



 さて、披露宴の当日、料理の説明係としてルイーゼを借りて来た。貴族の披露宴と言う事で緊張していたが、半分は平民だよと教えたら楽になったらしい。

 若者が多いパーティーと言う事で立食のバイキング方式にしてみた。並ぶ料理は比較的冷めても美味しい物を中心に選んである。中には出来立てが美味しい物もあるので、そこはユーリが担当する。

 並ぶ料理は、ローストビーフ、エビのテルミドール、ミートローフ、パスタ2種、オードブルの様な物も多数用意してある。また、コンビニに置いてある様な三角形のサンドウイッチも各種揃えた。ピザやハンバーガーも並んでいる。現代日本で見たら、何料理店?と首を傾げたくなるラインナップだ。ちなみに鮨や刺身は並べていない、この国では生魚を食べる習慣が無いからだ。

 飲み物も多種揃えており、ソフトドリンク各種と、ウイスキー、生ビール、ワイン、シャンパン、チューハイ等を用意した。ドリンクはマジックバッグに入れて常に冷えた状態で提供出来るようにしてある。試しにコーヒー牛乳とコーラをラインナップに入れてみた。

 披露宴は順調に進み、食事タイムに入る。司会進行が後部にあるブースで好きな物を好きなだけ取って食べて下さいと告げると。出席者たちがぞろぞろと後部へ押し寄せた。

 貴族とは言え、食文化の発展してないこの世界では披露宴と言えども大した料理が出ないのが普通だ。せいぜい、子牛の丸焼きや、ローストチキンなどが出れば豪華と言うのが通常の披露宴だ。しかし、今回の披露宴では、式の開始から美味しそうな匂いが部屋に充満していた。
 何時もの披露宴とは何かが違うと列席者たちは期待を持っていた。そしていよいよ料理タイム。
 殺到した列席者は美味しい料理と美味しい酒に時を忘れて楽しんだのである。

 王都でもあまり名の知られていないクライン男爵家とマイヤー男爵家の結婚披露パーティーは暫くの間噂の的になり、出席しなかった貴族達は悔しがって臍を噛むのであった。


しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

まったく知らない世界に転生したようです

吉川 箱
ファンタジー
おっとりヲタク男子二十五歳成人。チート能力なし? まったく知らない世界に転生したようです。 何のヒントもないこの世界で、破滅フラグや地雷を踏まずに生き残れるか?! 頼れるのは己のみ、みたいです……? ※BLですがBがLな話は出て来ません。全年齢です。 私自身は全年齢の主人公ハーレムものBLだと思って書いてるけど、全く健全なファンタジー小説だとも言い張れるように書いております。つまり健全なお嬢さんの癖を歪めて火のないところへ煙を感じてほしい。 111話までは毎日更新。 それ以降は毎週金曜日20時に更新します。 カクヨムの方が文字数が多く、更新も先です。

【完結】子爵令嬢の秘密

りまり
恋愛
私は記憶があるまま転生しました。 転生先は子爵令嬢です。 魔力もそこそこありますので記憶をもとに頑張りたいです。

転生先ではゆっくりと生きたい

ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。 事故で死んだ明彦が出会ったのは…… 転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた 小説家になろうでも連載中です。 なろうの方が話数が多いです。 https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

【完結】憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

処理中です...