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第二十四話
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翌朝、ルーネさんにアイスとケーキを渡した後、ユーリは教会へ来ていた。教会は古い建物ではあるが、広さは十分にある。子供たちがまばらに中へと入って行くので、ユーリもそれに付いて行った。
「あら?初めての子ね?」
「はい、そうですけど、僕も入れますか?」
「大丈夫よ。毎日来る子は少ないわ、あなたも歓迎するわ。」
シスターがユーリの背中をそっと押して教会の中へ導く。
「ここで、勉強するのよ。自分の名前くらいは書けるかしら?」
「はい、多少は文字を書けます。」
「そう、なら大丈夫ね。空いてる席に座って、前にいるシスターの言う事を良く聞いてね。」
よく見るとシスターが4人ほど居て、教師役と子供たちの監視役に分かれているらしい。座ったユーリの正面に居るシスターはB4サイズ位の黒板らしき物を持っている。どうやらあれで文字を教える様だ。
一通り授業を受けてみるが、日本で言えば小学校1,2年生位のレベルだ。来てる子供たちの年齢はだいたい6~10歳程度。この中で、12歳になったら学院へ行く子は居ない。つまり最終学歴がこのレベルである。
ユーリはここでもまた、レベルを上げなければいけない事を発見してしまった。教育レベル。これは上げるの大変そうだな。教科書を作っても読めないんじゃ話にならない。そうなると学校を作らないといけない。庶民用の学校かぁ。教師も育成しないといけないし、教科書作り、高等教育も視野に入れないと。
そんな事を考えていると、周りが急に騒がしくなった。お待ちかねの給食タイムらしい。
食事は、豆と野菜を煮込んだスープ、少量の肉と野菜の炒め物、そして例の固いパンだ。味付けは全て塩だが、野菜から良い出汁が出ているので思ったよりは食べられる。問題点はパンだけだな。この固いパンだけは早めに何とかしたい。伯爵家の料理人達はほぼ全員柔らかいパン作りに成功している。アトマス商会でレシピとドライイーストの販売を行えばあっという間に王都中に広がるだろう。計画の前倒しを検討するユーリであった。
教会を後にして『大地の恵亭』へと帰路につく。この世界の食事は約1000年変わってないらしい、味付けは塩、調理方法は焼くか煮るかだ。一方で魔法による進化を遂げた物もある。魔石を使った製品だ。トイレは水洗。風呂も蛇口をひねればお湯が出る。神様が歪な進化をしている様な事を言っていたのはこの事だろう。
『大地の恵亭』はきっと流行る。これは確信を持って言える。貴族でさえ庶民とあまり差の無い食事をしているのだ、そこへ新しい料理は革命を起こすだろう。真似をする店も出て来るはず。ユーリはそれに期待している。
アトマス商会では異世界の調味料やレシピを販売する予定だ。あと、魔石を利用した冷蔵庫を販売したいと考えている。季節はもうすぐ夏だが、冬用の暖房製品も既に色々考えている。また、娯楽用品第2弾として将棋を販売してみたいとも考えている。リバーシはルールが簡単だったのであっという間に広まったが、将棋はルールが非常に難しい。これはじっくりと広めて行くつもりだ。
王都に一通り商品が広まったら地方へも行ってみたい。地方には地方の文化があるだろうし、海へも行ってみたい。
(あ、その前に学院へも行かないとなぁ)
元日本人としては魔法学院と言うのは非常に興味がある。既に幾つかの魔法は使えるが、攻撃魔法はまだ使った事が無い。学院では実践的な授業もあるそうなので期待している。
魔法と言えば、最近新しい魔法の開発をしていない。これは神になってしまわない様にと言う自制と、物質具現化が便利なので他の魔法を使う必要が無いからだ。そろそろ転移系の魔法も使ってみたいとは思うが、使うと目立ってしまうのが難点だ。
色々考えながら歩いていると、もうすぐ『大地の恵亭』と言う所でアトマスさんに会った。
「どうしたんですか?こんなところで。」
「本当に教会に行ったんですね。どうでした?」
「初めて庶民の料理を食べたけど、貴族の料理とあまり変わりが無かったよ。」
「そうですね。基本料理は煮るか焼くかですし、味付けは塩だけですからね。」
「うん。それが問題なんだよね。塩は人間にとって無くてはならない物、けど過剰に摂取すると寿命を縮めるんだ。だから僕は調味料を広めたいと思い商会を始めたんだよ。」
「へぇ。そうだったんですか?私は、透明なグラスや綺麗な鏡がユーリ様の売りたい物だと勝手に思ってました。」
まあ、最初の商品が透明なグラスだったからなぁ。そう思われても仕方がない。けど、あれが切欠でここまでこれたのだから間違いでは無かったはず。
「ん~、それもあながち間違いでは無いんだけどね。僕には色々と広めたい物が沢山あるって思ってくれれば良いよ。」
「はい、しっかりとお手伝いします。」
「いや、なるべく早くオーナー代わってね。」
「善処します。」
商品はユーリの魔法で作っている、この構図が変わらなければ意味が無い。商売の右腕はアトマスさんが居る。あとは職人の右腕が欲しい。ユーリが広めたい物を再現できる職人を探そうと心に決めるユーリであった。
「あら?初めての子ね?」
「はい、そうですけど、僕も入れますか?」
「大丈夫よ。毎日来る子は少ないわ、あなたも歓迎するわ。」
シスターがユーリの背中をそっと押して教会の中へ導く。
「ここで、勉強するのよ。自分の名前くらいは書けるかしら?」
「はい、多少は文字を書けます。」
「そう、なら大丈夫ね。空いてる席に座って、前にいるシスターの言う事を良く聞いてね。」
よく見るとシスターが4人ほど居て、教師役と子供たちの監視役に分かれているらしい。座ったユーリの正面に居るシスターはB4サイズ位の黒板らしき物を持っている。どうやらあれで文字を教える様だ。
一通り授業を受けてみるが、日本で言えば小学校1,2年生位のレベルだ。来てる子供たちの年齢はだいたい6~10歳程度。この中で、12歳になったら学院へ行く子は居ない。つまり最終学歴がこのレベルである。
ユーリはここでもまた、レベルを上げなければいけない事を発見してしまった。教育レベル。これは上げるの大変そうだな。教科書を作っても読めないんじゃ話にならない。そうなると学校を作らないといけない。庶民用の学校かぁ。教師も育成しないといけないし、教科書作り、高等教育も視野に入れないと。
そんな事を考えていると、周りが急に騒がしくなった。お待ちかねの給食タイムらしい。
食事は、豆と野菜を煮込んだスープ、少量の肉と野菜の炒め物、そして例の固いパンだ。味付けは全て塩だが、野菜から良い出汁が出ているので思ったよりは食べられる。問題点はパンだけだな。この固いパンだけは早めに何とかしたい。伯爵家の料理人達はほぼ全員柔らかいパン作りに成功している。アトマス商会でレシピとドライイーストの販売を行えばあっという間に王都中に広がるだろう。計画の前倒しを検討するユーリであった。
教会を後にして『大地の恵亭』へと帰路につく。この世界の食事は約1000年変わってないらしい、味付けは塩、調理方法は焼くか煮るかだ。一方で魔法による進化を遂げた物もある。魔石を使った製品だ。トイレは水洗。風呂も蛇口をひねればお湯が出る。神様が歪な進化をしている様な事を言っていたのはこの事だろう。
『大地の恵亭』はきっと流行る。これは確信を持って言える。貴族でさえ庶民とあまり差の無い食事をしているのだ、そこへ新しい料理は革命を起こすだろう。真似をする店も出て来るはず。ユーリはそれに期待している。
アトマス商会では異世界の調味料やレシピを販売する予定だ。あと、魔石を利用した冷蔵庫を販売したいと考えている。季節はもうすぐ夏だが、冬用の暖房製品も既に色々考えている。また、娯楽用品第2弾として将棋を販売してみたいとも考えている。リバーシはルールが簡単だったのであっという間に広まったが、将棋はルールが非常に難しい。これはじっくりと広めて行くつもりだ。
王都に一通り商品が広まったら地方へも行ってみたい。地方には地方の文化があるだろうし、海へも行ってみたい。
(あ、その前に学院へも行かないとなぁ)
元日本人としては魔法学院と言うのは非常に興味がある。既に幾つかの魔法は使えるが、攻撃魔法はまだ使った事が無い。学院では実践的な授業もあるそうなので期待している。
魔法と言えば、最近新しい魔法の開発をしていない。これは神になってしまわない様にと言う自制と、物質具現化が便利なので他の魔法を使う必要が無いからだ。そろそろ転移系の魔法も使ってみたいとは思うが、使うと目立ってしまうのが難点だ。
色々考えながら歩いていると、もうすぐ『大地の恵亭』と言う所でアトマスさんに会った。
「どうしたんですか?こんなところで。」
「本当に教会に行ったんですね。どうでした?」
「初めて庶民の料理を食べたけど、貴族の料理とあまり変わりが無かったよ。」
「そうですね。基本料理は煮るか焼くかですし、味付けは塩だけですからね。」
「うん。それが問題なんだよね。塩は人間にとって無くてはならない物、けど過剰に摂取すると寿命を縮めるんだ。だから僕は調味料を広めたいと思い商会を始めたんだよ。」
「へぇ。そうだったんですか?私は、透明なグラスや綺麗な鏡がユーリ様の売りたい物だと勝手に思ってました。」
まあ、最初の商品が透明なグラスだったからなぁ。そう思われても仕方がない。けど、あれが切欠でここまでこれたのだから間違いでは無かったはず。
「ん~、それもあながち間違いでは無いんだけどね。僕には色々と広めたい物が沢山あるって思ってくれれば良いよ。」
「はい、しっかりとお手伝いします。」
「いや、なるべく早くオーナー代わってね。」
「善処します。」
商品はユーリの魔法で作っている、この構図が変わらなければ意味が無い。商売の右腕はアトマスさんが居る。あとは職人の右腕が欲しい。ユーリが広めたい物を再現できる職人を探そうと心に決めるユーリであった。
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